誠直也の出演映画
70年代青春スターシリーズ。今回から誠直也である。「ファイヤーマン」「秘密戦隊ゴレンジャー」など宮内洋同様テレビヒーロー役者のイメージも強いが、結構映画出演も多い。堅物そうな外見だが、学生時代は破天荒な生活を送っていたようである。
誠直也は48年佐賀県生まれで本名は古川誠剛という。福岡電波高校(現・福岡工大城東)時代はラグビー部の主将として全国大会優勝の経験を持つ。しかし、半月板を損傷しラグビーを断念する。目標を失った形で法政大学に進学したが、ある日スロットゲームの機械を見て、それをリース会社から借りてスナックやバーに置く仕事を始めた。それが大当たりし、学生ながら月収300万を稼ぎ、高級車を手に入れたり、銀座で飲み歩いたりしていたという。そんな生活を4年生になるとピタリと辞めて、卒業にこぎつけた。就職も決まっていたのだが、そんな時に居酒屋で知り合いだった映画関係者にばったりと出会い、役者にならないかと勧められる。ガラじゃないし、興味もなかったが、本人曰く酔った勢いでOKしてしまったという。そして就職はせず、71年に役者としてデビューするのである。劇団はもちろん、演劇部の経験も全くなしでありながら、すぐに仕事に恵まれたという。
デビュー作は東映の「現代やくざ 血桜三兄弟」である。菅原文太主演のシリーズものだ。共演は伊吹吾郎、渡瀬恒彦、荒木一郎、小池朝雄らで、悪役に河津清三郎、名和宏、藤山浩二など。誠直也は三郎という役名だが、どういう役かは未見なので不明である。タイトルは三兄弟だが、設定では文太と伊吹が実の兄弟。あらすじで最後は渡瀬、荒木を加えた四人で殴り込みをかけるというので、三兄弟って誰を指す?と思ってしまった(おそらく荒木以外の三人だろう)。
71年は他にも「不良番長 突撃一番」「新網走番外地 吹雪の大脱走」といった東映の人気シリーズにチョイ役ではあるが、顔を出している。
72年になると前作で顔を出したのが利いたかのかシリーズ14弾「不良番長 のら犬機動隊」では、カポネ団の一人(バクダン)に抜擢されたのである。梅宮辰夫、山城新伍、藤竜也、峰岸徹(当時・隆之介)らに混じった無名の新人といった感じであろうか。本作は後に「仮面ライダーアマゾン」となる岡崎徹の映画デビュー作で、彼もカポネ団員に抜擢されている。ちなみに通称「ゴーカン」である。
続く15弾「不良番長 一網打尽」にも誠は出演。今回は梅宮演じる神坂のダチという設定だが、すぐに殺されてしまうようだ。岡崎は本作でもカポネ団員で、通称は「金庫」である。
宮内洋の出演映画 その4
もう1回宮内洋である。
74年は前項のとおり「助け人走る」に出演していたが、その終了後に公開されたのが「女必殺拳」である。志穂美悦子主演のカンフーアクションだが、元々は主演は香港のスター女優・アンジェラ・マオに決定していたのである。
東映の女番長(スケバン)シリーズにも陰りが見え始め、岡田茂社長は代わりとして「女千葉真一」、つまりは女カンフーアクションのようなものを構想したのである。その千葉の下で修行をしていた志穂美悦子は既にデビューし「キカイダー01」等で活躍していたが、岡田は彼女の存在を知らなかったのである。
「東映女カラテ新路線香港女優で発進」という報道がされると、千葉がその監督予定だった鈴木則文の前に現れ、今度の映画に使ってくださいと志穂美の映像を見せたのである。その身のこなしに驚いた鈴木は「必ず重要な役で使う」と千葉に約束。もっとも千葉は「わざわざ香港から呼ばなくても、志穂美を主役に使えばいい」と思っていたそうだ。しかし、アンジェラが諸事情により参加できなくなり、鈴木は直ぐに志穂美の起用を岡田に進言したのである。こうして、志穂美主演が決定したが、元々予定されていたのは主役を助ける女空手家の役である。役名は早川絵美といったが、そこには菅沢恵美子が起用されることになった。少林寺拳法を特技としており、菅沢は役名をそのまま芸名とした。後に特撮ドラマ「ザ・カゲスター」にベルスター役で出演することになる。ちなみに、今は誠直也の奥さんである。ちなみに、鈴木は脚本のみの参加となり、監督は山口和彦がやることになった。
話が横に逸れたが、宮内の役は志穂美が演じる紅竜の兄であり、香港の麻薬捜査官。ただ行方不明であり、実は悪の組織に捕らわれていたという展開のなので活躍は出来ない。彼女の協力者として、師匠・千葉真一、大堀早苗、前述の早川絵美が登場する。大堀は「プレイガール」に最後の1クールのみメンバーとして出演していた。なお、本作には「プレイガールQ」に中盤からレギュラー入りした山本良々も顔を出している。内田朝雄、近藤宏が珍しく味方役である。悪の親玉は天津敏で、山本昌平、石橋雅史、日尾孝司などがその配下である。
またテレビに目を向けると74年は「刑事くん・第3部」に桜木健一演じる三神刑事の同僚である風間刑事として出演した。番組は1年間続いたが、75年になると並行して「秘密戦隊ゴレンジャー」にアオレンジャーとして出演することになる。主演はアカレンジャー・誠直也で、宮内は当初脇役だと思って断ろうとしたが、宮本武蔵でいう佐々木小次郎のポジションと言われ、出演することにしたという。このように、75年は多忙で映画出演はなかったが、76年はゴレンジャーの劇場版「秘密戦隊ゴレンジャー爆弾ハリケーン」が公開されている。21分というテレビより短い尺ではあるが、オリジナル作品なのである。ちなみに、76年は「トラック野郎・天下御免」にクレジットはされているが、本編には未登場という出来事があった。その辺の事情に関しては不明である。誠直也が出演しているので「ゴレンジャー」人気を意識してのものではあったのだろう。
宮内洋の出演映画 その3
引き続き宮内洋である。
72年はもう1本あり、「麻薬売春Gメン」に出演している。やはり「キイハンター」の先輩でもある千葉真一主演の正統派アクション映画である。千葉はタイトル通り麻薬Gメンの役で、宮内は彼とは別に事件を追う県警の刑事役である。
他には、千葉の妻役に武原英子、宮内とコンビのベテラン刑事が佐野浅夫で、渡辺文雄や戸浦六宏、渡辺やよい、中村敦夫らが出演している。麻薬捜査事務所の所長に河合弦司、県警の刑事役に相馬剛三、日尾孝司、伊達弘といったお馴染みの東映脇役陣が並んでいる。
三悪(性病、麻薬、売春)追放協会が全面協力のキャンペーン映画という側面もあり、その協会の代表である菅原通済が自ら出演している。フィクサーとしても知られるが、小津安二郎のタニマチ的な存在でもあり「彼岸花」「秋刀魚の味」などの小津映画七本に脇役で出演していたりもする。
73年は女番長シリーズの4作目である「女番長(スケバン)」に出演。本作は杉本美樹、池玲子のW主演といった感じであろうか。宮内はかつて池の恋人であり、杉本ともいい関係になってしまうというモテ役柄であるが、結局は池ををかばって命を落とすのである。悪の親玉が天津敏で、杉本と池が共闘して立ち向かう。割合シリアスな展開となるようだ。他の出演者は荒木一郎、衣麻遼子、名和宏、内田勝正、遠藤辰雄、三原葉子、須藤リカ、一の瀬レナ、太田美鈴、丘ナオミなどで歌手の西来路ひろみも杉本の仲間として出演している。
73年といえば、宮内にとって大きな出来事が二つの大きな出来事があった。「キイハンター」の終了と「仮面ライダーV3」の主演抜擢である。オーディションではなく、関係者のリストアップから面接が行われた。面接とは知らずふてぶてしい態度だったというが、逆に気に入られたらしい。伝説にもなっているドアをけ破って入って来たという噂は「私にも常識はあります」と否定している。
ここからヒーロー人生がスタートし、出演作品の傾向も変わっていくようである。この73年「仮面ライダーV3対デストロン怪人」という30分強の映画版オリジナルも製作されている。三人ライダーの共演ではあるが、藤岡弘、佐々木剛は変身後の声だけの参加である。
V3の終了した74年にレギュラー出演したのが時代劇「助け人走る」である。映画テレビを通じて東映以外(松竹)の作品に出演するのは初めてであった。事情により「必殺」の文字はないが「必殺シリーズ」の第3弾である。第20話からの途中参加だが、1クールの放送延長が決まったことによる追加キャストという感じだろう。他の二人(田村高廣、中谷一郎)がベテランということもあり、前作「仕置人」の沖雅也のようなアクションのできる若手俳優として選ばれたのではないどろうか。役名は「島帰りの龍」で髪型は現代そのまんまで空手を使うが、殺し技は相手を持ちあげて脳天から逆さ落しにする「脳天砕き」。特撮ヒーロー同様のクールな正義感を演じたのである。
宮内洋の出演映画 その2
前回に引き続き宮内洋である。
70年はあのシリーズにも出演している。それは「不良番長」シリーズである。まずその第8作である「不良番長出たとこ勝負」。主演は梅宮辰夫で、「キイハンター」の先輩である谷隼人がレギュラーだった。梅宮演じる神坂弘以外のカポネ団はだいたいあだ名で呼ばれ、谷はそのまま「タニー」だったが、谷川武というちゃんとした本名設定もある。山城新伍も毎回登場するが、基本的には同じようで違う役だ。「××五郎」であることが多い(本作ではハクライ五郎)他は流動的なのだが、本作でも団員役である鈴木やすし、安岡力也である率が高い。毎回その助っ人が登場するのだが、本作では待田京介で、デビューまもない渡瀬恒彦もそんな感じの役だ。さて宮内だが「柔道場の警官」というチョイ役である。相馬剛三、関山耕司という東映お馴染みの脇役と一緒に映ったりしている。
そして第10作「不良番長口から出まかせ」にも宮内は出演しているが、本作では団員役に昇格し、タカシこと沢田隆役である。実は谷隼人が前作限りで降板しており、その二枚目枠に宮内が入ったということだろう。谷の降板は「キイハンター」の撮影で時間が取れなくなったということのようだが、じゃあ同じ番組に出ている宮内はという話になる。これに関しては谷は「キイハンター」の正メンバーで出演率は高いが、宮内は「国際警察特別室」という彼らの後方支援的な立場で、この70年の出演回数は16回なので余裕がありそうである。ちなみに、第1話から登場している室長役の仲谷昇は5年間で16回しか出演していない。そういえば宮内は45年生まれであることを自著で明かしているが、谷は46年生まれなので宮内が年上だったことになる。宮内の「不良番長」シリーズ出演は本作以降なく、1回限りのカポネ団員であった。
71年に入っても「キイハンター」の出演頻度は前年とほぼ変わっていない。しかし、映画出演は「現代ポルノ伝 先天性淫婦」の1本だけである。主演はサンドラ・ジュリアンに池玲子で「あの宮内洋がポルノ映画に」と今なら思ってしまうが、まだヒーロー役者になる前だし、東映専属俳優なら出ろと言われれば、出るしかなかったのだろう。当時の本人がどう思っていたかは知らないけれども。サンドラはフランスの女優で東映が招聘し、二作品に出演している。おそらく、彼女主演の洋画が日本でも公開され反響が良かったので呼び寄せたということではないだろうか。宮内をめぐるサンドラ対池玲子みたいな構図があるようだが、そんな単純ではなく、小池朝雄、渡辺文雄、遠藤辰雄(太津朗)といった中年たちが絡んでくるようだ。
72年も池玲子主演の「女番長ブルース牝蜂の挑戦」に出演している。女番長シリーズの2作目である。池が率いるのが「パール団」で、渡辺やよい、杉本美樹らがメンバー。杉本はシリーズ3~5作目では主役に昇格する。対立する「黒ゆり会」のリーダーが風間千代子で、メンバーに女屋美和子など。その風間の恋人が宮内である。風間はモデル出身で、72~76年の期間東映の映画やテレビ作品に出演していた。宮内はグループ間の対立を止めようとしたりする好人物として描かれており、その兄貴分として登場するのが梅宮辰夫演じる自称「不良番長」。設定(台本)上は宮原明という名らしいが、その正体は神坂弘のようである。他に荒木一郎、小山明子、由利徹、小池朝雄、岡八郎、山城新伍などが出演している。
宮内洋の出演映画
70年代スターシリーズ、今回はヒーロー役者と言えば真っ先に挙がるであろう宮内洋である。彼もテレビ中心で活躍しているので、映画出演は少ないのである。
宮内洋は47年生まれ(自著では45年生まれとしている)。出生地は満州で、育ちは千葉の銚子だというが、プロフィールでは東京出身となっているようだ。早くから丹波哲郎に憧れ弟子入りを志願するが「高校を卒業してから来い」と言われたというエピソードから、高校在学中には丹波門下を目指していたようだ。高校卒業後は日本大学に進学。俳優出身者が多い芸術学部ではなく商学部である。その在学中から丹波に師事したようである。
68年に東映ニューフェイス12期生となる。同期は片山由美子、ひろみどり、小林千枝など。片山由美子は「ジャイアントロボ」に出演した後に正式入社した形である。
テレビドラマデビューは69年の「あゝ忠臣蔵」だが、本人は「キイハンター」と言い切っている。師匠・丹波哲郎主演のアクションで、70年の正月放送の92話から登場した。役名の壇俊介は「スパイキャッチャーJ3」(65年)で主役の川津祐介の役名と同じである。無論、師匠である丹波の尽力もあってのレギュラー入りだろう。
映画のデビューも69年である。ウィキペディアでは「夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース」が挙がっており、公開時期から言うとこれが映画デビュー作となるようだが、役柄は確認できなかった。まあチョイ役なのだろう。ちなみに「長崎ブルース」は青江三奈のヒット曲で、松方弘樹、谷隼人、梅宮辰夫、大原麗子に加え青江本人も出演している。
「やくざ刑罰史 私刑」は、石井輝男の監督作品。本作で宮内はやくざ一家で菅原文太の弟分のような役を演じている。新吉という役名もあったりする。他の出演者は大友柳太郎、林真一郎、安部徹、大木実、石橋蓮司、高英男、吉田輝雄などで同期の片山由美子も顔を出している。
「組織暴力兄弟盃」も菅原文太主演のヤクザものだが、宮内はここでは「大場組組員」としての出演である。大場を演じるのが安藤昇だ。他の出演だが、待田京介、山城新伍、野添ひとみ、渡辺文雄、嵐寛寿郎、そして宮内の師匠である丹波哲郎などである。「共演」はこれが初となる。また小林稔侍が宮内と同じ「大場組組員」として出演している。
69年はこれらの作品に顔を出し、明けて70年、前述のように「キイハンター」にレギュラー入りしたのである。
それと並行しての映画出演もあった。70年最初の映画出演は「現代任侠道兄弟分」だった。これは菅原文太と鶴田浩二が主演の任侠ものである。共演は待田京介、吉行和子、桑原幸子、砂塚秀夫、渡辺文雄らに加え大ベテランの小杉勇が顔を出して言う。東映出演は15年ぶりくらいで、おそらく本作が最後の映画出演になるのではないだろうか。宮内は「滝」という役名はあるが、詳細は不明である。
「花札賭博 猪鹿三番勝負」は、野川由美子、梅宮辰夫が主演の女博徒もの。未見だが(あらすじを見たかぎりでは)藤純子や江波杏子がやっていたものとはテイストが違い、夜の世界が強めの作風とでも言うのだろうか。三条泰子、橘ますみ、杉本エマ、宮園純子、ピーター、伴淳三郎などが共演。悪役が小池朝雄、遠藤辰雄(太津朗)で、宮内に加え谷隼人も「キイハンター」から出演している。宮内は「藤井」という役名だが、やはり詳細は不明である。
桜木健一の出演映画 その3
「柔道一直線」から宮土尚治から桜木健一に改名するが、テレビ中心の活躍は変わらず、映画への出演は少ない。
桜木健一としての最初の映画出演は近藤正臣の項でも触れた「柔の星」(70年)である。タイトル通り柔道もので、桜木の主演だが、「柔道一直線」の劇場版というわけではない。「柔道一直線」は東映の製作だが、こちらは東宝の制作で人気に肖ったものであろう。東映まんが祭りにおいては「柔道一直線」の第18話が上映されたことがある。
71年には「刑事くん」シリーズもスタートし、すっかりお茶の間の人気者になったこともあってか、71~73年の映画出演はないようである。
74年、久々に映画に出演しているが、なんと「仁義なき戦い完結編」である。本作の公開は「刑事くん・第2部」が終了した直後で、刑事役のイメージが強いだろう中でのヤクザ役である。品行方正な役が続くので、こういった役もやってみたかったということだろうか。まあブレイク前の宮土尚治時代には、任侠もの数本に出演しているので、初のヤクザキャラというわけではないけれども。
ちなみに、菅原文太演じる広能昌三率いる広能組の若衆の一人を演じており、射殺されてしまう役である。
「極道VSまむし」は、若山富三郎演じる「極道」シリーズの清吉と菅原文太と川地民夫の「まむしの兄弟」のコラボ映画である。ここでの桜木は川谷拓三の仲間のチンピラといった感じの役である。
そして「あゝ決戦航空隊」。タイトル通り戦記物だが、鶴田浩二演じる神風特攻隊の創始者・大西瀧治郎を主役に描かれている。大西は海軍中将だが、「児玉機関」の総務部長だったことがある。児玉とはロッキード事件で知られる児玉誉士夫のことで、戦時中に海軍物資の調達を行っていた。そんなわけで、本作には児玉も登場するのだが、演じるのは小林旭なのである。実際の児玉は小柄であまり大物感を感じない外見なので、小林は全くイメージが違う。ロッキード事件でその名が世に出たのは76年のことで、映画製作中は「右翼の大物」「政財界の黒幕」という認識で、岡田茂東映社長などスタッフが話を聞きにいったという。児玉以外にも岡村吾一(山城新伍)、中井勝彦(長谷川明男)といった通常こういった映画には登場しない人物も出てきたりする。菅原文太、北大路欣也、渡瀬恒彦、松方弘樹、梅宮辰夫そして安藤昇といった任侠映画でお馴染みの顔ぶれになっており、いずれも実在の人物を演じた。
そんな中、桜木や西城秀樹はオリジナルキャラを演じている。桜木は海兵で、西城は特攻隊員。西城は一日のみの撮影で長髪を飛行帽とマフラーで隠していた。
これらが立て続けに公開された後に「刑事くん・第3部」がスタートし、桜木は三たび三神刑事を演じることになるのだった。
75年は映画出演はなく、76年に出演したのが「新仁義なき戦い 組長最後の日」であり、ここでは組員の役と、この辺では刑事とヤクザを交互に演じるような形になっていたのである。
桜木健一の出演映画 その2
前回に引き続き桜木健一の宮土尚治時代についてである。東映の専属というわけではないはずだが、出演作はほぼ東映である。
68年は前回触れた二作の他に「極悪坊主」「侠客列伝」にも出演している。「極悪坊主」はタイトル通り坊さんの世界を描いているのだが、まあ内容はヤクザものといった感じである。主演は若山富三郎であり、石山健二郎、石山律雄の親子共演が見られる(親子の役)。他に菅原文太、小松方正、橘ますみ、白木マリ、武原英子、小島慶四郎、藤山寛美、ミヤコ蝶々など。桜木の役は「赤シャツ」となっており、曾根晴美が「カミナリ」、佐藤蛾次郎が「ラムネ」で、この辺は仲間なのだろう。
「侠客列伝」は高倉健主演、マキノ雅弘監督の任侠もの。鶴田浩二、若山富三郎との共演で話題をよんだ。個人的には任侠もの、ヤクザものをほぼ見ないので断片的な情報から判断すると桜木は大木実、里見浩太朗、長門裕之らと共に高倉の子分の一人だと思われる。悪役が河津清三郎、遠藤辰雄で、他に菅原謙二、藤純子、宮園純子、桜町弘子、中村竹弥、小島慶四郎、藤山寛美など。
69年はほぼ同時に公開された二本に出演しているが、一作は「昭和残侠伝 唐獅子仁義」で、高倉健主演の人気シリーズの第5作である。桜木の役はヒロイン藤純子の弟だが、高野真二に殺されてしまうという役。高野の親分は河津清三郎である。他に池部良、待田京介、志村喬、山本麟一、御木本伸介など。
ここまで宮土尚治時代は全て東映作品だったのだが、もう一本の「性犯罪法入門」は大映の作品。テレビの方も東映のドラマが中心だったので大映作品は初だと思われる。オムニバス風に、昭和元禄の時代を描いている。主演は松岡きっこで、クレジットでは三木本賀代、渚まゆみ、長谷川待子、山東昭子、笠原玲子と続く。小倉一郎が松岡、渚とその仲間(宇田あつみ、光嵐子)に誘惑される浪人役。笠原玲子が義父(杉狂児)と怪しい関係にあり、その様子を双眼鏡で覗いている浪人生を演じているのが桜木である。他にE・H・エリック、遠藤辰雄(太津朗)、諸口あきら、森乃福郎など。
そして、この三カ月後「柔道一直線」の主役に抜擢されることになる。小柄(165cm)で芝居がうまいという条件に合致することから東映のプロデューサー(斉藤頼照)が彼の拠点であった大阪から呼び寄せたものである。21歳で中学生から高校生を演じることになるが、当時は割と普通であり共演する近藤正臣などは29歳で高校生役である。これを機に本名の宮土尚治から桜木健一の芸名を名乗るようになったのである。健一の「健」は高倉健に肖り、「一」は「柔道一直線」の一であるらしい。
桜木健一の出演映画
近藤正臣は「柔道一直線」(69~71年)がブレイクのきっかけとなったが、同じく「柔道一直線」でブレイクしたと言えば、主役である桜木健一もそうなのである。というわけで、今回は桜木健一である。彼もテレビの方での活躍がメインであり、映画の出演は少ないといえる。
桜木健一は48年生まれ。6歳の頃から関西の児童劇団で活動していた。デビューはNHKの「ひょうたんの子」(60年)というドラマらしい。当時はまだ本名の宮土尚治で活動しており、桜木健一となったのが「柔道一直線」からなのである。つまり、それ以前は全て宮土尚治名義なわけだが、映画の方もこの60年から名前が見受けられる。
二本あり、どちらも東映の時代劇だ。記録上映画デビュー作となるのが第二東映の「次郎長血笑記 殴り込み道中」である。次郎長が黒川弥太郎で、森の石松が品川隆二。他に和崎俊哉(当時は隆太郎)、伏見扇太郎、花園ひろみ、戸上城太郎などが出演していた。ちなみに、監督はデビュー二年目の工藤栄一であった。もう一作が「庄助武勇伝 会津磐梯山」で、こちらは東映の本社制作。庄助とは唄で知られる小原庄助のことで、大友柳太郎が演じている。他に丘さとみ、山形勲、多々良純、左卜全、千秋実、そして美空ひばりなどが出演している。
ここからしばらく映画出演はなかったようだが、テレビの方では「天兵童子」(64~65年)で、当時16歳の宮土少年は主役を得ている。共演は同世代の土田早苗、火野正平(当時は二瓶康一)で、少年向け時代劇ではあったが、松山容子、伏見扇太郎、小笠原弘、千葉敏郎、原建策といった面々が出演していたようだ。
久々の映画出演となったのが「あゝ同期の桜」(67年)である。タイトル通り戦記物だが、高倉健を筆頭に松方弘樹、千葉真一、夏八木勲、蟹江敬三、村井国夫、藤純子、佐久間良子、西村晃、天知茂、鶴田浩二といったオールスターキャストで、桜木は菊地二飛曹という役を演じている。当時は並行して同タイトルのドラマも放送されており、こちらは視聴率が振るわなかったのだが、映画の方は予想に反して大ヒットした。
翌68年も「あゝ同期の桜」に続き、東映戦記映画三部作の第二弾として「人間魚雷あゝ回天特別攻撃隊」が公開され、本作も鶴田浩二、松方弘樹、千葉真一、佐久間良子、藤純子ら引き続き出演している組に加え、梅宮辰夫、伊丹十三、山城新伍、小川知子、桜町弘子、大木実、待田京介、里見浩太朗、山田太郎、金子信雄、藤山寛美、志村喬、近衛十四郎、池部良といったスター俳優が集結した。桜木は芦沢二飛曹という役で出演。
同じく68年に前述の三部作の第三弾である「あゝ予科練」も公開された。鶴田浩二、千葉真一、伊丹十三、山城新伍、梅宮辰夫、池部良、丹波哲郎、大原麗子、伴淳三郎、沢村貞子らが出演。メインとなる予科練の新入隊員を演じるのが西郷輝彦、谷隼人、太田博之、長沢純、そして宮土尚治こと桜木である。脱落してしまう役のようだが、初のメインキャスト抜擢である。本作での公演が「柔道一直線」への出演に繋がったと言われている。三部作すべてに出演しているのは鶴田、千葉、藤純子、桜木くらいである。
近藤正臣の出演映画 その4
さらに引き続き近藤正臣である。74年はもう1本あり松竹「狼よ落日を斬れ」である。
池波正太郎の「その男」と「人斬り半次郎」が原作となっており、二時間半超えの大作で中身は風雲編・激情編・怒涛編に分かれているようだ。
主演は高橋英樹で、「その男」の主人公である杉虎之助を演じる。松竹では前73年の「宮本武蔵」に次ぐ主演である。虎之介は架空の人物だが、物語の中心となる他の三人は実在した人物で、緒形拳演じる中村半次郎、西郷輝彦演じる沖田総司、そして近藤正臣演じる伊庭八郎である。
沖田総司は有名だろうが、伊庭は幕臣の一人で、隻腕の剣客として知られる。沖田が病死した翌明治2年、箱館戦争の際に死亡した。中村半次郎こと桐野利秋は薩摩藩士で陸軍の軍人。明治10年の西南戦争で戦死している。
他の出演者だが、松坂慶子、大地喜和子、本阿弥周子、和崎俊哉、田村高廣、佐野浅夫、今井健二、坂上二郎、辰巳鉚太郎などである。
75年は東宝「動脈列島」1本だけだが、中々の大作である。タイトルだけでは中身が想像しにくいのだが、大雑把に言えば、社会派サスペンスと言うことになるのだろうか。
新幹線の騒音のせいで、患者が亡くなったことに怒りを覚えた青年医師・秋山が国鉄(現JR)に脅迫。要求を受け入れなければ、新幹線を転覆させるという。捜査本部長に任命された犯罪科学捜査研究所署長・滝川を中心とした警視庁・県警との闘争が描かれる。
その秋山役が近藤で、滝川役が田宮二郎である。近藤は基本的には単独犯だが、恋人の看護師である関根恵子や元看護師の梶芽衣子の協力もあったりする。警察関係者が小池朝雄、近藤洋介、井川比佐志、渥美国泰、勝部演之、小沢栄太郎などで国鉄関係者が山村聰、平田昭彦、加藤和夫など。
本作公開の二カ月前に東映の「新幹線大爆破」が公開されており、新幹線を破壊する犯人と捜査陣の対決という構図が同じため、どうしても後から公開された本作は二番煎じと感じた人もいたと思われるが、前者は当時流行っていたパニック映画にカテゴリーされ、後者は前述の通り騒音問題を扱った社会派という違いがある。
「動脈列島」の原作は清水一行で、監督は大映出身の増村保造が初めて東宝系の東京映画で指揮を執った。そのためか同じく大映出身の田宮二郎、関根恵子、峰岸徹などが参加。増村の監督作である「ザ・ガードマン」からも神山繫、中条静夫、稲葉義男が姿を見せている。
続く76年も映画出演は松竹「超高層ホテル殺人事件」の1本だけだが、主演である。原作は森村誠一の同名小説で、二時間ドラマのようなタイトルだが、実際に二時間ドラマでも田村正和や小野寺昭の主演でドラマ化されている。森村作品のブームは翌77年の角川映画「人間の証明」からだと思われるので、その時期であればもっとヒットした可能性もある。ちなみに、森村作品の初映画化でもあった。
主演は近藤と由美かおるで、他に中山仁、西村晃、中野誠也、米倉斉加年、綿引勝彦(当時は洪)、芦田伸介などである。
近藤正臣の出演映画 その3
引き続き近藤正臣である。
71~72年はテレビ出演が増え売れっ子になったこともあってか、映画出演はないようである。個人的には「火曜日の女シリーズ」の「クラスメート~高校生ブルース」が印象に残っている。武原英子主演のサスペンスで、近藤も30歳にして高校生を演じていた。沖雅也、沖田駿一、水谷邦久らも高校生役だ。
そして73年は松竹の「花心中」で映画初主演を務めた。ヒロインは中野良子で、他に津川雅彦、横山リエ、森本レオなど。物語は男女の心中から始まるが、男(近藤)は生き残り、女(横山)は死亡する。女の妹が中野で、姉の死の原因を知るため近藤に会いに来る。自殺の原因となったのが津川演じる作詞家だ。
原作は阿久悠、上村一夫の劇画で、二人は「月光仮面」「隠密剣士」などを手掛けた広告代理店・宣弘社の企画部員で席が隣だったという間柄だ。その上司が「月光仮面」「隠密剣士」の脚本を書いていた伊上勝で、後に「仮面ライダー」など70年代の特撮の多くを手掛ける。藤岡弘の項で書くのを忘れていたが、当初「仮面ライダー」の主演に内定していたのは近藤だったそうな(日程が合わず藤岡弘に変更)。
74年はまず東宝の時代劇「鬼輪番」で主演を務めている。これも小池一夫、やまさき拓未による劇画が原作。大雑把に言うと若い五人の忍者の戦いを描いた話だが、その五人が近藤の他、峰岸徹(当時は隆之介)、水谷豊、高峰圭二、荒牧啓子である。彼等の仲間だが、裏切ったような行動(結局は味方)を取るのが岸田森、敵役の目付には佐藤慶で、他に藤巻潤、上野山功一など。高峰は「ウルトラマンA」で有名だが、近藤とは戦記ドラマ「若いいのち」(65年)で共演してから親交があったという。荒牧は70年代前半に活躍した女優だが、75年を最後に出演記録がないので、その辺りで引退したと思われる。
この74年に近藤が主演を務めたドラマ「斬り抜ける」でも、岸田森、佐藤慶とは共演している。
松竹「流れの譜」は「第一部動乱」「第二部夜明け」という二部構成で、三時間近い大作である。誰が主演なのかというと、ポスター上でトップに名前があるのは竹脇無我で、次が近藤、そして森田健作が続いているが、ストーリーを読んだ限りでは田村高廣に思える。
昭和の初めの北海道から物語は始まり、陸軍中佐の田村高廣と妻・司葉子の間に六人の子供がいる。長男が近藤で、次男が12代目市川團十郎(市川海老蔵)で、五男が竹脇無我だ。團十郎と他の三人(三男、四男、六男)は戦死する。祖父が笠智衆で、近藤の妻が大谷直子、竹脇の恋人が島田陽子だが、彼女も空襲で死亡する。
第二部は戦後が描かれ、田村、近藤、司もそれぞれ亡くなり竹脇は長山藍子と結婚。その間に中島久之、森田健作演じる子供が誕生している。第二部は竹脇が主役となるようだ。他にも岩下志麻、高橋洋子、松橋登、松坂慶子、田宮二郎なども出演している。
この辺りになると完全に主演俳優となっているのである。