宮内洋の出演映画 その4
もう1回宮内洋である。
74年は前項のとおり「助け人走る」に出演していたが、その終了後に公開されたのが「女必殺拳」である。志穂美悦子主演のカンフーアクションだが、元々は主演は香港のスター女優・アンジェラ・マオに決定していたのである。
東映の女番長(スケバン)シリーズにも陰りが見え始め、岡田茂社長は代わりとして「女千葉真一」、つまりは女カンフーアクションのようなものを構想したのである。その千葉の下で修行をしていた志穂美悦子は既にデビューし「キカイダー01」等で活躍していたが、岡田は彼女の存在を知らなかったのである。
「東映女カラテ新路線香港女優で発進」という報道がされると、千葉がその監督予定だった鈴木則文の前に現れ、今度の映画に使ってくださいと志穂美の映像を見せたのである。その身のこなしに驚いた鈴木は「必ず重要な役で使う」と千葉に約束。もっとも千葉は「わざわざ香港から呼ばなくても、志穂美を主役に使えばいい」と思っていたそうだ。しかし、アンジェラが諸事情により参加できなくなり、鈴木は直ぐに志穂美の起用を岡田に進言したのである。こうして、志穂美主演が決定したが、元々予定されていたのは主役を助ける女空手家の役である。役名は早川絵美といったが、そこには菅沢恵美子が起用されることになった。少林寺拳法を特技としており、菅沢は役名をそのまま芸名とした。後に特撮ドラマ「ザ・カゲスター」にベルスター役で出演することになる。ちなみに、今は誠直也の奥さんである。ちなみに、鈴木は脚本のみの参加となり、監督は山口和彦がやることになった。
話が横に逸れたが、宮内の役は志穂美が演じる紅竜の兄であり、香港の麻薬捜査官。ただ行方不明であり、実は悪の組織に捕らわれていたという展開のなので活躍は出来ない。彼女の協力者として、師匠・千葉真一、大堀早苗、前述の早川絵美が登場する。大堀は「プレイガール」に最後の1クールのみメンバーとして出演していた。なお、本作には「プレイガールQ」に中盤からレギュラー入りした山本良々も顔を出している。内田朝雄、近藤宏が珍しく味方役である。悪の親玉は天津敏で、山本昌平、石橋雅史、日尾孝司などがその配下である。
またテレビに目を向けると74年は「刑事くん・第3部」に桜木健一演じる三神刑事の同僚である風間刑事として出演した。番組は1年間続いたが、75年になると並行して「秘密戦隊ゴレンジャー」にアオレンジャーとして出演することになる。主演はアカレンジャー・誠直也で、宮内は当初脇役だと思って断ろうとしたが、宮本武蔵でいう佐々木小次郎のポジションと言われ、出演することにしたという。このように、75年は多忙で映画出演はなかったが、76年はゴレンジャーの劇場版「秘密戦隊ゴレンジャー爆弾ハリケーン」が公開されている。21分というテレビより短い尺ではあるが、オリジナル作品なのである。ちなみに、76年は「トラック野郎・天下御免」にクレジットはされているが、本編には未登場という出来事があった。その辺の事情に関しては不明である。誠直也が出演しているので「ゴレンジャー」人気を意識してのものではあったのだろう。