桜木健一の出演映画 その3
「柔道一直線」から宮土尚治から桜木健一に改名するが、テレビ中心の活躍は変わらず、映画への出演は少ない。
桜木健一としての最初の映画出演は近藤正臣の項でも触れた「柔の星」(70年)である。タイトル通り柔道もので、桜木の主演だが、「柔道一直線」の劇場版というわけではない。「柔道一直線」は東映の製作だが、こちらは東宝の制作で人気に肖ったものであろう。東映まんが祭りにおいては「柔道一直線」の第18話が上映されたことがある。
71年には「刑事くん」シリーズもスタートし、すっかりお茶の間の人気者になったこともあってか、71~73年の映画出演はないようである。
74年、久々に映画に出演しているが、なんと「仁義なき戦い完結編」である。本作の公開は「刑事くん・第2部」が終了した直後で、刑事役のイメージが強いだろう中でのヤクザ役である。品行方正な役が続くので、こういった役もやってみたかったということだろうか。まあブレイク前の宮土尚治時代には、任侠もの数本に出演しているので、初のヤクザキャラというわけではないけれども。
ちなみに、菅原文太演じる広能昌三率いる広能組の若衆の一人を演じており、射殺されてしまう役である。
「極道VSまむし」は、若山富三郎演じる「極道」シリーズの清吉と菅原文太と川地民夫の「まむしの兄弟」のコラボ映画である。ここでの桜木は川谷拓三の仲間のチンピラといった感じの役である。
そして「あゝ決戦航空隊」。タイトル通り戦記物だが、鶴田浩二演じる神風特攻隊の創始者・大西瀧治郎を主役に描かれている。大西は海軍中将だが、「児玉機関」の総務部長だったことがある。児玉とはロッキード事件で知られる児玉誉士夫のことで、戦時中に海軍物資の調達を行っていた。そんなわけで、本作には児玉も登場するのだが、演じるのは小林旭なのである。実際の児玉は小柄であまり大物感を感じない外見なので、小林は全くイメージが違う。ロッキード事件でその名が世に出たのは76年のことで、映画製作中は「右翼の大物」「政財界の黒幕」という認識で、岡田茂東映社長などスタッフが話を聞きにいったという。児玉以外にも岡村吾一(山城新伍)、中井勝彦(長谷川明男)といった通常こういった映画には登場しない人物も出てきたりする。菅原文太、北大路欣也、渡瀬恒彦、松方弘樹、梅宮辰夫そして安藤昇といった任侠映画でお馴染みの顔ぶれになっており、いずれも実在の人物を演じた。
そんな中、桜木や西城秀樹はオリジナルキャラを演じている。桜木は海兵で、西城は特攻隊員。西城は一日のみの撮影で長髪を飛行帽とマフラーで隠していた。
これらが立て続けに公開された後に「刑事くん・第3部」がスタートし、桜木は三たび三神刑事を演じることになるのだった。
75年は映画出演はなく、76年に出演したのが「新仁義なき戦い 組長最後の日」であり、ここでは組員の役と、この辺では刑事とヤクザを交互に演じるような形になっていたのである。
桜木健一の出演映画 その2
前回に引き続き桜木健一の宮土尚治時代についてである。東映の専属というわけではないはずだが、出演作はほぼ東映である。
68年は前回触れた二作の他に「極悪坊主」「侠客列伝」にも出演している。「極悪坊主」はタイトル通り坊さんの世界を描いているのだが、まあ内容はヤクザものといった感じである。主演は若山富三郎であり、石山健二郎、石山律雄の親子共演が見られる(親子の役)。他に菅原文太、小松方正、橘ますみ、白木マリ、武原英子、小島慶四郎、藤山寛美、ミヤコ蝶々など。桜木の役は「赤シャツ」となっており、曾根晴美が「カミナリ」、佐藤蛾次郎が「ラムネ」で、この辺は仲間なのだろう。
「侠客列伝」は高倉健主演、マキノ雅弘監督の任侠もの。鶴田浩二、若山富三郎との共演で話題をよんだ。個人的には任侠もの、ヤクザものをほぼ見ないので断片的な情報から判断すると桜木は大木実、里見浩太朗、長門裕之らと共に高倉の子分の一人だと思われる。悪役が河津清三郎、遠藤辰雄で、他に菅原謙二、藤純子、宮園純子、桜町弘子、中村竹弥、小島慶四郎、藤山寛美など。
69年はほぼ同時に公開された二本に出演しているが、一作は「昭和残侠伝 唐獅子仁義」で、高倉健主演の人気シリーズの第5作である。桜木の役はヒロイン藤純子の弟だが、高野真二に殺されてしまうという役。高野の親分は河津清三郎である。他に池部良、待田京介、志村喬、山本麟一、御木本伸介など。
ここまで宮土尚治時代は全て東映作品だったのだが、もう一本の「性犯罪法入門」は大映の作品。テレビの方も東映のドラマが中心だったので大映作品は初だと思われる。オムニバス風に、昭和元禄の時代を描いている。主演は松岡きっこで、クレジットでは三木本賀代、渚まゆみ、長谷川待子、山東昭子、笠原玲子と続く。小倉一郎が松岡、渚とその仲間(宇田あつみ、光嵐子)に誘惑される浪人役。笠原玲子が義父(杉狂児)と怪しい関係にあり、その様子を双眼鏡で覗いている浪人生を演じているのが桜木である。他にE・H・エリック、遠藤辰雄(太津朗)、諸口あきら、森乃福郎など。
そして、この三カ月後「柔道一直線」の主役に抜擢されることになる。小柄(165cm)で芝居がうまいという条件に合致することから東映のプロデューサー(斉藤頼照)が彼の拠点であった大阪から呼び寄せたものである。21歳で中学生から高校生を演じることになるが、当時は割と普通であり共演する近藤正臣などは29歳で高校生役である。これを機に本名の宮土尚治から桜木健一の芸名を名乗るようになったのである。健一の「健」は高倉健に肖り、「一」は「柔道一直線」の一であるらしい。
桜木健一の出演映画
近藤正臣は「柔道一直線」(69~71年)がブレイクのきっかけとなったが、同じく「柔道一直線」でブレイクしたと言えば、主役である桜木健一もそうなのである。というわけで、今回は桜木健一である。彼もテレビの方での活躍がメインであり、映画の出演は少ないといえる。
桜木健一は48年生まれ。6歳の頃から関西の児童劇団で活動していた。デビューはNHKの「ひょうたんの子」(60年)というドラマらしい。当時はまだ本名の宮土尚治で活動しており、桜木健一となったのが「柔道一直線」からなのである。つまり、それ以前は全て宮土尚治名義なわけだが、映画の方もこの60年から名前が見受けられる。
二本あり、どちらも東映の時代劇だ。記録上映画デビュー作となるのが第二東映の「次郎長血笑記 殴り込み道中」である。次郎長が黒川弥太郎で、森の石松が品川隆二。他に和崎俊哉(当時は隆太郎)、伏見扇太郎、花園ひろみ、戸上城太郎などが出演していた。ちなみに、監督はデビュー二年目の工藤栄一であった。もう一作が「庄助武勇伝 会津磐梯山」で、こちらは東映の本社制作。庄助とは唄で知られる小原庄助のことで、大友柳太郎が演じている。他に丘さとみ、山形勲、多々良純、左卜全、千秋実、そして美空ひばりなどが出演している。
ここからしばらく映画出演はなかったようだが、テレビの方では「天兵童子」(64~65年)で、当時16歳の宮土少年は主役を得ている。共演は同世代の土田早苗、火野正平(当時は二瓶康一)で、少年向け時代劇ではあったが、松山容子、伏見扇太郎、小笠原弘、千葉敏郎、原建策といった面々が出演していたようだ。
久々の映画出演となったのが「あゝ同期の桜」(67年)である。タイトル通り戦記物だが、高倉健を筆頭に松方弘樹、千葉真一、夏八木勲、蟹江敬三、村井国夫、藤純子、佐久間良子、西村晃、天知茂、鶴田浩二といったオールスターキャストで、桜木は菊地二飛曹という役を演じている。当時は並行して同タイトルのドラマも放送されており、こちらは視聴率が振るわなかったのだが、映画の方は予想に反して大ヒットした。
翌68年も「あゝ同期の桜」に続き、東映戦記映画三部作の第二弾として「人間魚雷あゝ回天特別攻撃隊」が公開され、本作も鶴田浩二、松方弘樹、千葉真一、佐久間良子、藤純子ら引き続き出演している組に加え、梅宮辰夫、伊丹十三、山城新伍、小川知子、桜町弘子、大木実、待田京介、里見浩太朗、山田太郎、金子信雄、藤山寛美、志村喬、近衛十四郎、池部良といったスター俳優が集結した。桜木は芦沢二飛曹という役で出演。
同じく68年に前述の三部作の第三弾である「あゝ予科練」も公開された。鶴田浩二、千葉真一、伊丹十三、山城新伍、梅宮辰夫、池部良、丹波哲郎、大原麗子、伴淳三郎、沢村貞子らが出演。メインとなる予科練の新入隊員を演じるのが西郷輝彦、谷隼人、太田博之、長沢純、そして宮土尚治こと桜木である。脱落してしまう役のようだが、初のメインキャスト抜擢である。本作での公演が「柔道一直線」への出演に繋がったと言われている。三部作すべてに出演しているのは鶴田、千葉、藤純子、桜木くらいである。
近藤正臣の出演映画 その4
さらに引き続き近藤正臣である。74年はもう1本あり松竹「狼よ落日を斬れ」である。
池波正太郎の「その男」と「人斬り半次郎」が原作となっており、二時間半超えの大作で中身は風雲編・激情編・怒涛編に分かれているようだ。
主演は高橋英樹で、「その男」の主人公である杉虎之助を演じる。松竹では前73年の「宮本武蔵」に次ぐ主演である。虎之介は架空の人物だが、物語の中心となる他の三人は実在した人物で、緒形拳演じる中村半次郎、西郷輝彦演じる沖田総司、そして近藤正臣演じる伊庭八郎である。
沖田総司は有名だろうが、伊庭は幕臣の一人で、隻腕の剣客として知られる。沖田が病死した翌明治2年、箱館戦争の際に死亡した。中村半次郎こと桐野利秋は薩摩藩士で陸軍の軍人。明治10年の西南戦争で戦死している。
他の出演者だが、松坂慶子、大地喜和子、本阿弥周子、和崎俊哉、田村高廣、佐野浅夫、今井健二、坂上二郎、辰巳鉚太郎などである。
75年は東宝「動脈列島」1本だけだが、中々の大作である。タイトルだけでは中身が想像しにくいのだが、大雑把に言えば、社会派サスペンスと言うことになるのだろうか。
新幹線の騒音のせいで、患者が亡くなったことに怒りを覚えた青年医師・秋山が国鉄(現JR)に脅迫。要求を受け入れなければ、新幹線を転覆させるという。捜査本部長に任命された犯罪科学捜査研究所署長・滝川を中心とした警視庁・県警との闘争が描かれる。
その秋山役が近藤で、滝川役が田宮二郎である。近藤は基本的には単独犯だが、恋人の看護師である関根恵子や元看護師の梶芽衣子の協力もあったりする。警察関係者が小池朝雄、近藤洋介、井川比佐志、渥美国泰、勝部演之、小沢栄太郎などで国鉄関係者が山村聰、平田昭彦、加藤和夫など。
本作公開の二カ月前に東映の「新幹線大爆破」が公開されており、新幹線を破壊する犯人と捜査陣の対決という構図が同じため、どうしても後から公開された本作は二番煎じと感じた人もいたと思われるが、前者は当時流行っていたパニック映画にカテゴリーされ、後者は前述の通り騒音問題を扱った社会派という違いがある。
「動脈列島」の原作は清水一行で、監督は大映出身の増村保造が初めて東宝系の東京映画で指揮を執った。そのためか同じく大映出身の田宮二郎、関根恵子、峰岸徹などが参加。増村の監督作である「ザ・ガードマン」からも神山繫、中条静夫、稲葉義男が姿を見せている。
続く76年も映画出演は松竹「超高層ホテル殺人事件」の1本だけだが、主演である。原作は森村誠一の同名小説で、二時間ドラマのようなタイトルだが、実際に二時間ドラマでも田村正和や小野寺昭の主演でドラマ化されている。森村作品のブームは翌77年の角川映画「人間の証明」からだと思われるので、その時期であればもっとヒットした可能性もある。ちなみに、森村作品の初映画化でもあった。
主演は近藤と由美かおるで、他に中山仁、西村晃、中野誠也、米倉斉加年、綿引勝彦(当時は洪)、芦田伸介などである。
近藤正臣の出演映画 その3
引き続き近藤正臣である。
71~72年はテレビ出演が増え売れっ子になったこともあってか、映画出演はないようである。個人的には「火曜日の女シリーズ」の「クラスメート~高校生ブルース」が印象に残っている。武原英子主演のサスペンスで、近藤も30歳にして高校生を演じていた。沖雅也、沖田駿一、水谷邦久らも高校生役だ。
そして73年は松竹の「花心中」で映画初主演を務めた。ヒロインは中野良子で、他に津川雅彦、横山リエ、森本レオなど。物語は男女の心中から始まるが、男(近藤)は生き残り、女(横山)は死亡する。女の妹が中野で、姉の死の原因を知るため近藤に会いに来る。自殺の原因となったのが津川演じる作詞家だ。
原作は阿久悠、上村一夫の劇画で、二人は「月光仮面」「隠密剣士」などを手掛けた広告代理店・宣弘社の企画部員で席が隣だったという間柄だ。その上司が「月光仮面」「隠密剣士」の脚本を書いていた伊上勝で、後に「仮面ライダー」など70年代の特撮の多くを手掛ける。藤岡弘の項で書くのを忘れていたが、当初「仮面ライダー」の主演に内定していたのは近藤だったそうな(日程が合わず藤岡弘に変更)。
74年はまず東宝の時代劇「鬼輪番」で主演を務めている。これも小池一夫、やまさき拓未による劇画が原作。大雑把に言うと若い五人の忍者の戦いを描いた話だが、その五人が近藤の他、峰岸徹(当時は隆之介)、水谷豊、高峰圭二、荒牧啓子である。彼等の仲間だが、裏切ったような行動(結局は味方)を取るのが岸田森、敵役の目付には佐藤慶で、他に藤巻潤、上野山功一など。高峰は「ウルトラマンA」で有名だが、近藤とは戦記ドラマ「若いいのち」(65年)で共演してから親交があったという。荒牧は70年代前半に活躍した女優だが、75年を最後に出演記録がないので、その辺りで引退したと思われる。
この74年に近藤が主演を務めたドラマ「斬り抜ける」でも、岸田森、佐藤慶とは共演している。
松竹「流れの譜」は「第一部動乱」「第二部夜明け」という二部構成で、三時間近い大作である。誰が主演なのかというと、ポスター上でトップに名前があるのは竹脇無我で、次が近藤、そして森田健作が続いているが、ストーリーを読んだ限りでは田村高廣に思える。
昭和の初めの北海道から物語は始まり、陸軍中佐の田村高廣と妻・司葉子の間に六人の子供がいる。長男が近藤で、次男が12代目市川團十郎(市川海老蔵)で、五男が竹脇無我だ。團十郎と他の三人(三男、四男、六男)は戦死する。祖父が笠智衆で、近藤の妻が大谷直子、竹脇の恋人が島田陽子だが、彼女も空襲で死亡する。
第二部は戦後が描かれ、田村、近藤、司もそれぞれ亡くなり竹脇は長山藍子と結婚。その間に中島久之、森田健作演じる子供が誕生している。第二部は竹脇が主役となるようだ。他にも岩下志麻、高橋洋子、松橋登、松坂慶子、田宮二郎なども出演している。
この辺りになると完全に主演俳優となっているのである。
近藤正臣の出演映画 その2
前回に続いて近藤正臣である。67年はもう1本あり、東映の集団時代劇「十一人の侍」にも出演している。タイトルの十一人の一人ではなく、主人公(夏八木勲)の妻(宮園純子)の弟、つまり義理の弟・喬之助を演じている。さすがに十一人全部を描くことはなく夏八木勲、里見浩太朗、西村晃、青木義朗などを除くと、汐路章、唐沢民賢、五十嵐義弘、岩尾正隆、有川正治といった(割と知られている)大部屋の面々が「十一人」のメンバーだったりする。討つべき相手である松平斉厚を演じるのは菅貫太郎。近藤演じる喬之助は単独で狙うのだが、菅が演じる松平を近藤が狙うというこの構図はドラマ「斬り抜ける」(74年)と同じである。こちらは松平丹波守ではあるけれども。
68年は映画出演の記録はなく、69年に飛ぶのだがやはり東映時代劇である「妖艶毒婦伝人切りお勝」に出演。主演は宮園純子で、近藤はまたしてもその弟役だ。父親役が西村晃で、この父と弟を殺された宮園の復讐物語なのである。その復讐相手が今井健二や曾根晴美だったりする。宮園に協力するのが大信田礼子であり、若山富三郎だったりするのだが、大信田は当時人気ドラマだった「旅がらすくれないお仙」のかみなりお銀のようなコスチュームで登場。若山も本作の半年後に公開される「賞金稼ぎ」シリーズの市兵衛のようなスタイルで出てくるのである。個人的には予告編のみ見たことはあるのだが、そこに近藤の姿はなかった。
「日本暗殺秘録」は二時間半近いオムニバス形式の映画だが、大半が「血盟団事件」を描いており、それだけでも1本の映画になる(約百分)。このパートの主演は千葉真一で、あえて本作に合いそうなヤクザ映画のスターを避けての起用だという。大映を解雇され五社協定のため映画界を干されていた田宮二郎が本作で復帰し、初の東映出演を果たした。近藤もこのパートに出演している。
それと同時期に公開されたのがカルト映画として名高い「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」である。クレジットでは「パノラマ島奇談」よりとなっているが、大半は「孤島の鬼」がベースになっているようである。本作で近藤はセリフもないシャム双生児の片割れを演じているというのは割合知られている話ではないだろうか。
以上のように69年は、ほとんど目立たない役に終始しているのだが、翌70年にドラマ「柔道一直線」に出演し、その結城真吾役で強烈な印象を残すことになったのである。
そんな70年の映画出演は「柔の星」のみである。タイトル通り柔道映画で、主演は桜木健一なので「柔道一直線」の映画版と思いきや、実は本作は東宝映画。「柔道一直線」は東映なので東宝がその人気に肖って制作したものだ。近藤は本作ではライバルではなく、桜木の親友役だ(柔道部員)。この二人と大野剣友会の面々が共通の出演者で、他は清川虹子、川津祐介、岸久美子、木村由貴子、露原千草などでライバル役は「スペクトルマン」の成川哲夫が演じる。
また本作では製作に、かつて黒澤明映画のプロデューサーとして活躍したが57年に契約を解除された本木荘二郎の名がある。外注作ではあるが東宝作品に10数年ぶりの復帰となった。
近藤正臣の出演映画
70年代青春スターシリーズ、今回は近藤正臣である。この人がブレイクしたと言えるのは「柔道一直線」(70~71年)の結城真吾役であるが既に29歳になろうかという時である。若々しく見えるとはいえ、その年齢で高校生役だ。足でピアノを弾くシーンは有名であろう。ただそれ以前について(特に出演映画)はあまり知られていないのではないだろうか。
42年京都生まれで、高校時代から演劇部に在籍していたが、卒業後は女手一つで育ててくれた母親の小料理店を継ぐために板前修業をしている。しかし、三カ月程度で辞め、アングラ劇団を作って活動を始めた。松竹でエキストラなどをしていた66年には結婚。その年に今村昌平監督が坂本スミ子の息子役を探しているということで、面識のあった近藤のことを思い出した事務所の社長が彼を紹介。そして野坂昭如原作の「『エロ事師たち』より人類学入門」での映画デビューとなった。配給は日活、主演は小沢昭一で、その内縁の妻が坂本である。ちなみに当時29歳で、息子の近藤は24歳だ。他に中村鴈治郎、ミヤコ蝶々、菅井一郎、園佳也子、西村晃、殿山泰司、内田朝雄、浜村純、菅井きんなど。
続いて出演したのは東映の「893愚連隊」(66年)である。これは監督の中島貞夫が「人類学入門」を見て、近藤を気に入りキャスティングしたものだという。主演は松方弘樹で、その仲間に荒木一郎、広瀬義宣で、そこに刑務所帰りの天知茂が加わろうとする。広瀬は東映の大部屋俳優だが、本作では大抜擢といえる。悪役が珍しく高松英郎で、近藤は松方らを裏切ると言った感じの役だ。他に宮園純子、桑原幸子、稲野和子、三島ゆり子、ケン・サンダース、待田京介など。
67年は東映京都での任侠映画の出演が続いている。まずは「懲役十八年」で、主演は安藤昇で、松竹で俳優デビューしたが、これは初の東映出演作である。主に刑務所の中で話が進むのだが、安藤の他、水島道太郎、山城新伍、小松方正、汐路章らが囚人役でそこに近藤が収監されてくる。彼が部下だった男の実弟であることに気付いた安藤はその唯一の身内である姉(桜町弘子)に会えるように取り計らう。看守役が小田部道麿、西田良、結城哲也そして若山富三郎といった面々。結城がチャンバラトリオに加入するのはこの翌年である。他に小池朝雄、千原しのぶ、菅井きん、志賀勝など。近藤も中々重要な役で出演しているのである。
続いて北島三郎、村田英雄、鶴田浩二による「兄弟仁義」シリーズの三作に出演。「続関東三兄弟」「関東命知らず」「関東兄貴分」の三本だが、この中では「関東兄貴分」で、重要な役柄を演じている。村田英雄の弟でストーリー上では中心となる男を演じている。
「男の勝負 関東嵐」も「兄弟仁義」と同じ山下耕作監督で、村田英雄が主演を務め北島三郎が助演という形。こちらは鶴田ではなく池部良が登場する。近藤は村田が世話になる菅井一郎の息子(養子)という設定。こちらもストーリーに絡んでくる役だ。
あまりイメージにないが、ブレイク前の近藤正臣は血気盛んな若者役で東映の任侠映画に出演していたのである。
藤岡弘の出演映画 その8
藤岡弘に関しては前回で終了と思ったが、松竹時代以降についても1回だけ触れておこう。
「仮面ライダー」終了後の映画に関してだが、ここまで縁のなかった東宝の作品が続くことになる。その第1弾が「野獣狩り」(73年)で、藤岡が刑事に扮するアクション映画である。伴淳三郎がその父親でやはり刑事をしている。つまりは「おやこ刑事」なのである。松竹時代に共演はほぼなかったと思う。
「黒の戦線」なる組織が登場し、そのリーダーが富川澈夫。屈折した青年といった役が似合う役者で、ちなみに「すみお」と読む。他のメンバーが菅原一高、樋浦勉、山口嘉三、中村まり子など。菅原は現状は幻の特撮となっている「サンダーマスク」の主演である。藤岡の上司役で加藤和夫、稲葉義男。稲葉は殉職してしまう。他に渚まゆみ、西本裕行、中条静夫など。渚まゆみは大映の出身。この年27歳上の作曲家・浜口庫之助と結婚し、まもなく引退するが後に復帰する。この辺りから藤岡にハードボイルドなイメージが付いていったように思える。
73年の年末に公開されたのが小説、映画共に大ヒットした「日本沈没」である。個人的にも小説を読み、映画も見に行った記憶はあるが、小学生だったし、よくわかってなかったかもしれない。藤岡演じる小野寺はイメージ的に科学者だと思っていたが、あくまでも深海潜水艇の操縦者である。
主演扱いは博士役の小林桂樹で、総理役の丹波哲郎が次に来る。いしだあゆみが藤岡の恋人役。他に夏八木勲、中丸忠雄、村井国夫、神山繫、滝田裕介、角ゆり子、島田正吾、二谷英明など。角ゆり子は72-75年辺りに活動していた女優。本作にはノンクレジットで原作の小松左京、プロデューサーの田中友幸、物理学者の竹内均などが顔を見せている。
74年に入り藤岡は「野獣死すべし 復讐のメカニック」の主人公・伊達役に抜擢。他の出演者は黒沢年男、緑魔子、村井国夫、小松方正、真理明美、加藤嘉など。これは二度目の映画化で、最初は59年に同じ東宝で監督も同じ須川栄三での映像化あった。ちなみに主演は仲代達矢である。ただ、「野獣死すべし」と言えば、80年の角川映画・松田優作主演のものがイメージに強いのではないだろうか。
74年の年末に公開されたのが「エスパイ」である。「日本沈没」と同じ小松左京原作のSF特撮だ。藤岡は主人公の田村良夫を演じる。こう言ってはなんだが、主人公らしくないネーミングである。草刈正雄演じる後輩の三木次郎とか敵役の内田勝正演じる巽五郎の方がまだ主人公っぽい名前に感じる。ヒロインは松竹時代に共演もあった由美かおるで、他に加山雄三、睦五郎、岡田英次、そして若山富三郎。日本ではお馴染みのウィリー・ドーシー、フランツ・グルーベル、ロルフ・ジェサーといった外国人俳優も大勢出演している。
そして75年は水谷豊の項で紹介した「東京湾炎上」。藤岡はテロ一味に乗っ取られるタンカーに乗り組んでいる地質学者という役柄である(もちろん強い)。この年は映画出演はこれ一作だったようだが、テレビ出演も多かったためであろう。
以上のように、70年代のこの時期は東宝のアクションやパニック系の特撮作品で活躍していたのである。
藤岡弘の出演映画 その7
さて、今回も松竹時代の藤岡弘だが、最近別の記事で紹介したものばかりである。
69年はまず、ヴィレッジ・シンガースの映画として紹介した歌謡映画「落葉とくちづけ」で尾崎奈々と主演。記憶喪失の青年を演じる。ヴィレッジ・シンガースの五人は予告編では共演と謳われている。ポスター上で名前がトップなのはヴィレッジだが、藤岡と尾崎の姿が一番大きく載っている。ヴィレッジ同様に人気GSのオックスもポスターでの扱いは大きいが物語に絡むわけではない。ちなみに赤松愛の脱退前で、その後任が夏夕介である。藤岡の松竹での主演作は本作が最後となった。
69年の出演作はあとコント55号の映画として紹介したもの2本に出演しているのみである。まずは「コント55号と水前寺清子のワン・ツー・パンチ三百六十五歩のマーチ」というえらく長いタイトルの作品。まあ、当然主演は55号と水前寺なのだが、藤岡はその水前寺と結ばれるという役。当時の水前寺は大ヒットドラマ「ありがとう」でのヒロイン役だったりしたが、男みたいな短髪だったこともあり、子供ながらにも女性を感じなかった。あくまでも個人的な嗜好だけれども。もう1本が大晦日公開の「チンチン55号ぶっ飛ばせ‼ 出発進行」だが、こちらは完全な顔見せ出演で役柄は「ヘルメットの男」である。
そして、70年。恐らく松竹の専属俳優として最後の映画出演となったのが「夕陽が呼んだ男」である。主演は森田健作なので、彼の出演映画として紹介した作品である。藤岡は竹脇無我の弟という役だが、これが愚弟という設定。脇役の時でも、基本好青年役だった藤岡にしては珍しい役といえる。ポスターに藤岡の姿はない。
そして、この70年に転機が訪れる。東映のアクションドラマ「ゴールドアイ」のレギュラー出演である。出演経緯は不明だが、12話より千葉治郎と共に登場。ご存知のとおり千葉とは「仮面ライダー」でも共演することになる。本作はここでも何度か取り上げているが渡瀬恒彦、柴俊夫も本作がドラマデビューなのである。ちなみに藤岡は松竹所属のままでの東映出演であった。
この東映ドラマ出演がきっかけになったかどうかは定かでないが翌71年「仮面ライダー」の主演に抜擢される。この年事実上五社協定が崩壊したこともあり、正式に松竹との専属契約を解消したのである。元々体育会系気質だった藤岡には、松竹青春映画のおっ坊ちゃん役は自分には合わないと感じていたのである。
以降の活躍は改めて書くまでもないだろう。
藤岡弘の出演映画 その6
またも引き続き松竹時代の藤岡弘である。
68年の藤岡弘最初の出演映画は「ミニミニ突撃隊」だ。西野バレエ団の五人娘である「レ・ガールズ」が主役の映画である。メンバーは金井克子、由美かおる、原田糸子、奈美悦子、江美早苗の五人だ。当時の年齢は金井は22歳だったが、原田は19歳、後の三人は17歳である。三人が実年齢では高校生だったのだが、本作では全員女子大生の役で、全員が寮に住んでいる。由美、原田、奈美の三人が寮を抜け出しゴーゴー喫茶で三人の若者と知り合う。それが石立鉄男、山本紀彦、藤岡弘で、石立と由美、奈美と山本、原田と藤岡というペアになる。一方、その三人を探しに行った金井は入川保則と知り合うことになる。
当初レ・ガールズは四人であり、江美はこの時点では加入してまもなかったこともあってか、一人はハブられた形になっている。石立鉄男はまだブレイク前のアフロヘアーではない二枚目で、その石立ドラマの常連となる山本紀彦とこの時点で共演していたわけである。ちなみにポスターに山本の名はない。入川保則は悪役のイメージが強いが、松竹映画では二枚目役も多かった。
ここから約半年、藤岡の出演作品はなかったようだが、9月15日公開の二作品両方に藤岡が出演している。
まずは「初恋宣言」だが、こちらも前述のレ・ガールズが主演の作品である。ただし、金井克子は未出演で、代わりに六人目の志摩ゆきが参加している。メンバーでも主役は由美かおるで、江美早苗が準主役的な役柄に格上げされている。
志摩ゆきは彼女たちの番組「レ・ガールズ」にも登場したが、まもなく番組が終了してしまったため、ほとんど認知されなかったようだが、70年にソロ歌手としてデビューを果たしている。翌71年には上条恒彦と六文銭に参加し、「出発の歌」という大ヒット曲が出ている。その際は四角佳子名義だったようだ。翌72年に吉田拓郎と結婚し引退。拓郎と言えば、浅田美代子、森下愛子のイメージだが、最初の妻は志摩ゆきだった人なのである。ちなみに彼女は2000年に活動を再開している。
話が大きく逸れたが、由美の相手役は田村正和で、他の出演者はミヤコ蝶々、千昌夫、コント55号などで、藤岡の役柄については未見なので不明だ。
そして、当日公開のもう1本が「小さなスナック」。パープル・シャドウズのヒット曲を元にした本人たちも出演の歌謡映画で、ポスター上でも彼らの名がトップだが、主演は藤岡弘と尾崎奈々である。これについては「パープル・シャドウズの映画」として触れたので、ここでは触れないが、藤岡久々の主演作であった。
68年年末には「コント55号と水前寺清子の神様の恋人」が公開されているが、これも「コント55号の映画」として紹介しているのでここでは触れない。ちなみに藤岡の役柄は水前寺清子の恋人だ。