お宝映画・番組私的見聞録 -27ページ目

高校さすらい派

今回は他の森田健作主演作を見て行こうと思う。
「高校さすらい派」(70年)は、「少年サンデー」に連載されていた原作・滝沢解、画・芳谷圭児の漫画の映画化である。連載と言っても約二カ月で、単行本1冊に収まるくらいの作品である。この頃のサンデーやマガジンはほぼ青年向け雑誌だったのである。自分は子供だった時代だが、ジョージ秋山の「銭ゲバ」「告白」、楳図かずお「おろち」「アゲイン」、永井豪「まろ」、園田光慶「ターゲット」等あまり子供向けとは言えない作品が妙に印象に残っている。「高校さすらい派」は、短期間だったこともあってか全く記憶にない。芳谷圭児といえば「高校生無頼控」とか、やはり成人向け雑誌のイメージでサンデーに載っていたのが意外にも感じる。
当時の芳谷や滝沢はフジオプロ劇画部に所属。赤塚不二夫とは似ても似つかない絵の芳谷だが、これは赤塚がストーリー劇画をプロヂュースしたいとの思いから、芳谷を部長に迎えて発足させたもの。ちなみに70年当時のサンデーにはマガジンから移籍した「天才バカボン」が連載していた。しかし同時に「もーれつア太郎」が連載されており、そっちの人気が高まったこともありサンデー版の「バカボン」は半年程度で連載を終了している。
 

とまあ、話が大きく逸れたが映画版「高校さすらい派」は、モリケン演じる少年院出身の主人公が、編入した高校での教育方針に反発し、東大安田講堂のような闘争を繰り広げるというようなものだ。
この森田に賛同する同級生を演じるのが山本紀彦、武原英子。当時、山本は27歳で、武原は24歳。20代が高校生を演じるのが普通な時代なので、学ラン、セーラー服姿なら高校生に見えたかも。山本は問題児の役だが、どうしても気のいい兄ちゃんに見える。ちなみに「のりひこ」ではなく「としひこ」である。武原は年相応にしか見えなくて、先生役のイメージが強い。やはり翌71年の「おれは男だ」や「高校生ブルース」で、武原は先生役をやっているからだろう。ちなみに、武原は「新スター」とクレジットされている。
他の出演者だが、武原の妹役が吉沢京子、父親役が神田隆、校長が内田朝雄、教頭が佐野浅夫、加えて佐藤友美、山本麟一、三谷昇、佐藤蛾次郎、根岸一正、島津元、ケン・サンダースそして笠智衆。笠は少年院の教官役である。

当初、モリケンたちに賛同する優等生役の島津元は、まもなく脚本家に転身し畑嶺明となる。日テレ・ユニオン映画の「俺たちの旅」「俺たちの祭」など「俺たち」シリーズに参加するが、最も有名なのは「毎度おさわがせします」「夏・体験物語」等のエロティックコメディ?であろう。関係ないが島津元という名は佐分利信の若い頃の芸名でもある。
舞台となるのは鳥取で、OPはジープで鳥取砂丘を疾走する森田とケン・サンダース。主題歌は森田ではなく、ケンとエディ村田なる人物が歌っている。

松竹「旅行シリーズ」 その2

前回に引き続きフランキー堺主演の「旅行シリーズ」である。そこで触れたとおり、森田健作は第5作「縁結び旅行」(70年1月)には出演していないが、以降の作品には全て参加している。
第6作は「満願旅行」(70年4月)。森田も復帰し、伴淳三郎、ミヤコ蝶々といったいつものメンバーに加え、女優陣は香山美子、松岡きっこ、団令子らが登場。団令子と言えば東宝の女優であり、調べた限りでは松竹への出演は、この1本のみである。東映や大映への出演もなく約110本ある出演映画は本作以外は全て東宝(東京映画、宝塚映画を含む)なのである。ゆえに、本作への出演経緯が気になるところである。03年に亡くなったが、06年には息子の団優太が38歳で自死している。
第7作は「体験旅行」(70年10月)。本作には森川信や左とん平、左時枝の左コンビなどの他、奈美悦子や城野ゆき等は出演している。奈美悦子は当時19歳で、この年に元ヴィレッジシンガースの林ゆたかと結婚している。しかし72年には離婚。城野ゆきは東映のイメージが強いが、この時点ではフリーであった。自分らの世代だとやはり「キャプテンウルトラ」のアカネ隊員という印象が強い。
第8作は「開運旅行」(71年3月)。71年の本シリーズはこの1作のみである。倍賞千恵子が復帰し、大原麗子、園佳也子、財津一郎などがゲスト出演している。大原麗子も東映出身だが70年に日活と大映、71年に東宝と次々に出演。松竹への出演も本作が初だったようである。
第9作は「喜劇・誘惑旅行」(72年2月)。約1年ぶりにシリーズが復活。久々にタイトルにも「喜劇」が。倍賞千恵子に加え、尾崎奈々、森次浩司といった松竹青春映画の面々が顔を揃え、他に川口まさみ等。川口まさみは「ビーバー」のデビュー時の芸名で、高校時代のあだ名がビーバーだったそうだ。余談だが、黒澤映画「赤ひげ」で、一度は加山雄三の相手役に選ばれたらしいが、最終的に内藤洋子に変更となっている(長身のため)。
第10作は「喜劇・怪談旅行」(72年6月)。フランキーと森田以外はキャストが変わっており、三木のり平、ケーシー高峰、野川由美子、川崎あかね、日色ともえ等が出演している。川崎あかねは大映倒産のため、松竹に移籍してきたばかりだったが、翌年にはフリーとなっている。
第11作にて最終作となるのが「快感旅行」(72年12月)だ。伴淳三郎とミヤコ蝶々が復帰したが、倍賞千恵子は出演せず妹の倍賞美津子がシリーズ初出演となった。他に光本幸子、朱里エイコ、そして「ザ・ガードマン」でお馴染み藤巻潤。藤巻も大映倒産に伴ってか、初の松竹映画出演となった。

何故か本シリーズが初の松竹出演となっている役者が多いようである。

松竹「旅行シリーズ」

今回は松竹の「旅行シリーズ」(68~72年)である。いきなり感があるかもしれないが、これには森田健作もレギュラーで出演していたのである。
主演はフランキー堺である。フランキーの主演で「〇〇シリーズ」って言うと、東宝のイメージがあるのだが、68年に東宝から松竹に移っていたのである。そのタイミングで森田も松竹に入社しているので、彼も出演させようということになったのかもしれない。
実はこのシリーズについて、詳しく取り上げているような資料がなく、毎度のことながら見たこともない(と思う)。

そこで活躍するのが「松竹・映画作品データベース」である。松竹本社が公式にやっているのだが、どうやら昨年くらいから公開されたページのようで、新東宝、大映、日活に比べて調べにくかった松竹作品が、ある程度明らかにすることが可能になったわけなのだ。
というわけで、自力で調べた限りでは、この「旅行シリーズ」は全部で11本。森田はその中で、第1作「喜劇・大安旅行」(68年)と第5作「縁結び旅行」(70年)を除く9作に出演している。ちなみに、タイトルに「喜劇」と付くものと付かないものが混在しており、付かないものは喜劇色は薄いということなのだろうか。
主演のフランキー含めて、その役柄は毎回違う。ただ、基本的にフランキーは国鉄の職員で車掌であるというケースが多いようだ。
森田がシリーズ初出演となる第2作「喜劇・婚前旅行」(69年4月)は、森田自身の映画出演としては3作目。もちろん初の喜劇映画出演となる。伴淳三郎の息子がフランキーで、その息子が森田という設定で、三代にわたって国鉄マンだ。ヒロインは倍賞千恵子で、他に野添ひとみ、江美早苗、ピンキーとキラーズ、ミヤコ蝶々など。まあ、伴淳と倍賞、ミヤコ蝶々もシリーズレギュラーである。
第3作「喜劇・逆転旅行」(69年8月)は前述の出演者以外では佐藤友美、早瀬久美など。テレビシリーズ「おれは男だ」でも共演する早瀬とは、ここで既に共演していたのである(しかも恋仲)。ちなみに倍賞の役名は「さくら」だったりする。
第4作は「よさこい旅行」(69年11月)である。前述のとおり「喜劇」の文字がない。このポスターが特徴的でタイトルよりも「ホテル奥道後」という文字の方がでかかったりするのだ。愛媛・松山にあるホテルで、まあタイアップなのだろうが、ここまで強調されているのはあまり見たことがない。一度潰れかけたようだが、現在も「奥道後壱湯の守」として営業しているようだ。

森田健作の「夕陽シリーズ」

森田健作の初主演作となるのが、デビューから約半年に公開された「夕陽の恋人」(69年)である。その後「夕陽に向かう」(69年)「夕陽が呼んだ男」(70年)と続く「夕陽シリーズ」の主演を務めた。まあ、森田健作と言えば、夕陽に向かって「バカヤロー」と叫ぶイメージがあるが、これらの作品でそういうシーンがあるかどうかは知らない。いずれも未見なので。
「夕陽の恋人」の相手役は尾崎奈々である。なんだかこの辺りの時代の松竹青春映画って、ほぼギロインが尾崎奈々という感じがする。ちなみに「夕陽が呼んだ男」のヒロインも尾崎奈々である。「ウルトラセブン」でお馴染み森次浩司(晃嗣)が森田の兄役で、岡田英次が父役である。他のキャストだが、大坂志郎、柳沢真一、久保菜穂子、そして黛ジュン。ここでは本人役のようである。気になるキャストとしては巽千太郎だろうか。「光速エスパー」の研究所員でしか見たことがない。「特別機動捜査隊」「ナショナルキッド」等東映で活躍した巽秀太郎とは、恐らく関係はないだろう。ただ巽秀太郎は元々は松竹ニューフェイスだったはず。
順番が逆になるが「夕陽が呼んだ男」の他の出演者は竹脇無我、藤岡弘、辰巳柳太郎、藤岡琢也、左とん平、花沢徳衛、水戸光子といったところ。竹脇と藤岡弘は兄弟で、辰巳はその父役だ。ここでの藤岡弘は森田にとっては嫌な奴の役のようで、藤岡には珍しい役柄ではないだろうか。松竹青春映画には歌手が付き物だったりするが、本作には森山加代子、ベッツイ&クリスが出演している。後者は当時共に20歳の米国人デュオで、デビュー曲の「白い色は恋人の色」がヒットしていた時期である。
この両作でポスターに名前があったのが大橋壮多。「必殺シリーズ」等の時代劇で悪役としてお馴染みのちょいデブな役者である。子役あがりでその当時は大橋洋一の名で活動していた。
「夕陽に向かう」のヒロイン役は珠めぐみである。松竹所属のはずだが、映画出演は4本ほどしかない。専らテレビでの活躍が目立っていた。中学生でデビューし、その時の役名である珠子から芸名が付けられている(本名は不明)。割と知られているかもしれないが、彼女の姪にあたるのがダウンタウンの浜田雅功夫人として知られる小川菜摘である。
他のキャストは、田中邦衛、河内桃子、太田博之、左時枝、小松方正、根上淳、ピンキーとキラーズ等である。

夕月 

東宝の青春映画シリーズは、前回で終了。「青春」というワードで思い出される役者と言えば、森田健作であろう。ひよっとして最近の人は千葉県の知事だったと人としか認識してないのであろうか。
それはさておき、森田健作(本名・鈴木栄治)は49年生まれ。デビュー作は「夕月」(69年)という松竹映画で、森田が20歳になったばかりのときの作品で、主演は黛ジュンである。68年「天使の誘惑」が大ヒットし、その年のレコード大賞に輝いているが、「夕月」はその次のシングルのタイトル。類計では「天使の誘惑」を上回る売り上げだそうだが、個人的にはほとんど聞き覚えのない曲だったりする。
そのヒット曲の映画化に際し、松竹は相手役を募集し、それに選ばれたのが森田健作というわけである。ちなみに森田健作というのはその時の役名でもあり、それをそのまま芸名にしたという、昔はわりと多かったパターンである。
森田の事務所といえばサンミュージックだが、森田がそのタレント第1号なのである。ちなみに、黛の当時の事務所は石原プロだったりする。昔は女性タレントもいたのである。
当時、松竹の宣伝部にいた芸能レポーター石川敏男によると、オーディションの最終審査の際、ほぼ鈴木栄治(森田)で行くことは松竹や田中監督、サンミュージックの間で話はまとまっていたのだが、それに異を唱えたのが他ならぬ主演の黛であったという。オーディションには目黒祐樹も参加しており、彼女は「目黒さんと共演したい」と主張したという。最終審査で言いだされたので関係者も困惑。今更、変更もできないので関係者が彼女を説得。今回は森田で行くが、次回作は目黒も加えて撮ることで納得させたという。この辺の裏話は当時の森田は知る由なかった。
「夕月」の他の出演者は山口崇、佐藤友美、中山千夏、川口敦子、河原崎長一郎、田中邦衛、小沢栄太郎などである。黛は看護婦の役で、森田は高校生ではなくボクサーの役である。
ところで、前述の「次回作」にあたる作品は存在しないようである。「夕陽の恋人」(69年)でも森田、黛は共演しているが目黒の姿はなく、「栄光の黒豹」(69年)では森田、目黒が共演しているが、黛の姿はなかったりするのだ。まあ自分の主演作なので、新人よりは目黒の方が良いと考えただけかもしれないが。

燃えろ!青春

今まで生徒役だった黒沢年男が、主演の先生役に昇進?したのが「燃えろ!青春」(68年)である。実年齢では当時24歳だったので、先生役で普通なのだが、そう若く見えるタイプでもなかったとのに、よくまあ高校生役をやっていたものである。まあ実年齢20歳過ぎで高校生役というのは当時は普通によくあったことであるのだが。
タイトルの「燃えろ!青春」って、当時のテレビ青春ドラマにあったような気がするが、実はなかったのである。
本作ではこれまで先生役を担ってきた夏木陽介、竜雷太も共演という集大成版。といっても三人の先生が集結して何かをやるというような話ではない。夏木は先生役ではないし、映画版には初出演となる竜などは先生役ではあるが、黒沢演じる新米教師に後を託して去って行く、というような役柄なのだ。
ちなみにヒロインだった藤山陽子だが、前回の「燃えろ太陽」を最後に結婚して芸能界を引退している。夏木の話では彼女は男勝りでアクティブな性格だったという。元々女優を長く続けようとは思っていなかったらしい。
で、今回ヒロインとなるのが酒井和歌子、星由里子である。酒井和歌子は当時19歳。これまでは生徒役であったが、本作では先生ではなくバレーボール部のコーチという役柄のようだ。さすがに先生役にはまだ若いということだろうか。
星百合子は当時25歳でここでは校医の役。「若大将シリーズ」のヒロイン澄子で人気だったが、本作の直前に公開の「リオの若大将」でシリーズを降板。後を継いでヒロインとなったのが酒井和歌子である。
他の出演者は東野英治郎、京塚昌子、藤木悠、曾我廼家一二三、十朱久雄、田武謙三、七尾怜子などで、生徒役はお馴染みの矢野間啓治、木村豊幸に加え、岩上政宏、頭師孝雄、加藤久美子、高橋厚子、藤沼幸枝、野平みどり、望月敦子、矢沢良子、和田良子など。
女生徒役の中では高橋厚子がオール東宝ニュータレント6期で、それなりに活躍していたが後は詳細不明な顔ぶれだ。ちなみに藤山陽子は同1期で、黒沢年男は4期である。東宝では60年(15期)まではニューフェイスと呼ばれ、61年からニュータレント(8期まで)と呼称している。
夏木陽介は18年1月に、星由里子も同年5月にいずれも鴈で死去、藤山陽子も22年に亡くなっている。

燃えろ!太陽

「でっかい太陽」の続編となるのが「燃えろ!太陽」(67年)である。言われなくても、太陽は燃えているわというツッコミは置いといて、まあ「でっかい太陽」と基本的な設定と出演者は同じだ。ただ「燃えろ!太陽」で検索すると志賀公江の70年代の少女漫画がヒットしたりする。タイトルは全く同じなのだが、内容は全く違う無関係の作品である。
夏木陽介、藤山陽子、東野英治郎、藤木悠、曾我廼家五郎八、三遊亭歌奴といったところは前作と同じ役で登場しているが、ライバルである南高校関係者は今回登場しない。
新キャラもおり野川由美子(芸者〆奴)、砂塚秀夫(辻先生)、そしてストーリー上は主役に近い黒沢年男(立川太平)等である。黒沢演じる立川は大利根北高校「劣等生番付」で一位の不良生徒という設定。今の世の中で、こんなランキングが発表されようものなら大問題になるであろうが、その立川を夏木演じる真介がサッカー部に入れて鍛えなおそうとする。しかもキャプテンに就任させてしまうのだ。
酒井和歌子は前作とは違う並木和子という役で登場。黒沢が憧れる女生徒の役である。黒沢のライバル、つまり恋敵となるのが同じサッカー部の丸山で三遊亭歌二が演じる。前作では三遊亭歌一が丸山信一役で、歌二は加来金太郎役だったのだが、何故か二人の役名が入れ替わっている。正直、二作とも未見なのではっきりしないが、歌二の方が演技うまかったとか、前作では設定としてはあっても、劇中では役名がさして意味がないとかあったのかもしれない。
また小池正史の役名も庄司一郎から庄司三郎に何故か変更されているが、他は前作どおり。三遊亭町奴(〆田)、宮内恵子、美保くるり、遠山智恵子、富永幸子、北島マヤは変更なし。ちなみに〆田という苗字だが、ちゃんと実在する。無論、全国でも20数件のレア苗字だが。にしても本作では野川の役名も〆奴とか、〆の字が好きなんだろうか。
ちなみに小池正史はNHKの「泣くな太陽」(63年)というドラマに出演していた。主役は前作「でっかい太陽」にも出演していた小柳徹だったようだ。「太陽」だらけでややこしい。小池は日活のドキュメンタリー風映画「非行少年」(64年)でも主役グループの一人を演じていた。ちなみに役者活動は続けているようだ。
あと、先生ABCとして中山豊、佐田豊、堤康久という東宝大部屋俳優の名があるが、佐田豊はこのつい4年前つまり63年には黒澤映画「天国と地獄」で、間違えて誘拐される少年の父親というセリフも出番も多い大役を演じていたが、本来は今回のような役柄の人である。

でっかい太陽

映画「これが青春だ!」に続く、夏木陽介主演の青春映画第2弾が「でっかい太陽」(67年)である。テレビ版「青春とはなんだ」の脚本2話分を元にしたストーリーとなっている。
夏木陽介と藤山陽子以外のキャストは一新されている。夏木の役名は由木真介で「これが青春だ!」と変わらないが、藤山陽子は町田早苗となっている。舞台となる高校も大利根北高校に変更されている。ライバル校は大利根南高校で、両校は対立関係にあるという設定だ。
女子生徒役は東宝の新人女優というのはわかるが、男子生徒役には何故か三遊亭一門の若手落語家が起用されている。無論、それ以外にも名子役と言われていた役者も起用されてはいる。
わかりやすく高校別にキャストをまとめてみる。まず北高は夏木、藤山以外では、東野英治郎(大久保校長)、藤木悠(赤松教頭)、曾我廼家五郎八(佃用務員)、生徒役に大沢健三郎(玉木正夫)、小池正史(庄司一郎)、三遊亭歌一(丸山信一)、三遊亭歌二(加来金太郎)、三遊亭町奴(〆田)、赤塚真人(サッカー部員)、宮内恵子(浦島悦子)、美保くるり(田中京子)、遠山智英子(ユリ)、富永幸子(みどり)、北島マヤ(久江)など。
南高は十朱幸代(相馬かおり先生)、十朱久雄(中村校長)、犬塚弘(猿丸先生)、小柳徹(久米)、酒井和歌子(本田桃代)などである。藤山と十朱幸代は夏木を巡るライバル関係で、大沢と酒井は高校は別だが交際しているという設定だ。
大沢健三郎は成瀬巳喜男の映画「秋立ちぬ」(60年)で、主役の少年を演じていた。70年初頭には引退して、家業を継いだようである。三遊亭一門はいずれも前座名。歌一は現在の三遊亭小歌で、歌二は読み方は同じで現在は三遊亭歌司となっているようだ。町奴は二代目三遊亭歌扇となったようだが廃業してしまったようだ。この辺詳しくないので、合っているどうか。
宮内恵子は後の牧れいのこと。北島マヤは「ガラスの仮面」のヒロインと同じ名前だが、こちらの方が先である。つまり作者(美内すずえ)がその存在を知らずにヒロインを名付けたら偶然一致していたというわけである。十朱久雄と幸代は親子共演ということになる。小柳徹は69年に20歳に若さで交通事故死している。
他の出演者は前述の三遊亭一門の師匠である三遊亭歌奴(後の三遊亭圓歌)、賀原夏子、西城康彦、浦山珠実など。小林夕岐子や高橋厚子がノンクレジットで出演している。
 

これが青春だ!

ややこしい話なのだが、前回のテレビ版「青春とはなんだ」の映画版が「これが青春だ!」(66年)なのである。ちょうどこの時期は東宝の学園青春ドラマ第2弾として竜雷太主演の「これが青春だ」が放送されており、こっちの映画版だとしばしば混同されている。二つを見分ける方法は「!」マークがついているのが映画で、付いていないのがテレビドラマということである。
このブログタイトルに(映画)を付けているのも分かりやすくするためである。テレビ版「青春とはなんだ」の映画版と書いたが、出演者の多くとスタッフがほぼ一緒という意味であり、登場人物の役名が変更されていたりするのだ。
森山高校の名は変わらないが、夏木陽介演じる主人公の名は由木真介に変更となっている。しかし藤山陽子の役名は永井明子で変わらず、藤木悠も中川先生で一緒である。後、十朱久雄の校長も同じだが、生徒たちは役名が変更となっている。矢野間啓治(柴田勇作)、木村豊幸(高木良吉)、岡田可愛(佐々愛子)、豊浦美子(野村美子)、土田早苗(田代早苗)など。後は新キャストが団令子、佐藤允、三木のり平、南都雄二、田中春男、酒井和歌子、黒沢年男などで、酒井と黒沢はライバル校・太田高校の生徒役で、さらに黒沢は番長という設定だ。酒井は当時17歳だが、黒沢は22歳だった。
教師役であろう団令子の役名は矢吹礼子。詳しい人なら後のドラマ「飛び出せ青春」で使われる役名が多いことに気が付くかもしれない。矢吹礼子の名は相原ふさ子、矢野間と木村の役名を合体させた高木勇作は石橋正次、柴田良吉は頭師佳孝がそれぞれ受け継いでいる。
ちなみにドラマの「これが青春だ」にも矢野間啓治、木村豊幸、岡田可愛は生徒役で出演している。まあ、いずれにしてもややこしいことこの上ない。
夏木陽介も藤木悠も東宝育ちだが、後に東映の「Gメン75」でもレギュラーとして共演することになる

青春とはなんだ(映画版)

「青春とはなんだ」というタイトルで思い浮かべるのは、夏木陽介主演の東宝青春ドラマを思い浮かべる人の方が多い気がするが、今回取り上げるのは映画版のほう、つまり石原裕次郎主演の日活映画作品である。当欄で裕次郎映画を扱うのは初めてかもしれない。
まあ別にこの映画版がマイナー作品というわけではない。原作は兄・石原慎太郎だし、しかも裕次郎をイメージして書いたということだし有名作の部類に入るのではないだろうか。ただ、ドラマは1年に渡って放送され、東宝の学園青春ドラマシリーズの第1作でもあることから、ドラマの印象の方がより強いのではないだろうか。
映画の公開は65年7月だが、ドラマはその10月からスタート。日活と東宝ということもあり、キャストがかぶることもなく、映画とテレビでは役名などが異なっている部分もある。
基本的な設定は同じで、アメリカ帰りの野々村健介は英語教師として田舎町の高校に赴任するところから物語は始まる。主人公の名前は同じだが、ヒロイン教師の名前は違う。映画版は杉浦圭子(十朱幸代)で、テレビ版は永井明子(藤山陽子)だ。高校の名前も映画は岩代高校で、テレビは森山高校だ。
映画とテレビで共に使われている役名は次のとおり。カッコ内は役者で前者が映画、後者がテレビ版である。勝又教頭(須賀不二男、山茶花究)、山角先生(高城淳一、加東大介)、橘公夫(根岸一正、寺田農)、高松保夫(太田博之、杉本哲章)、樋口育子(西尾三枝子、土田早苗)、寺田(中村上治、矢野間啓治)、久保(吉田毅、木村豊幸)、友田(松島武、阿知波信介)、植源(高品格、宮口精二)、金高(深江章喜、平田昭彦)といったところか。ちなみに吉田毅は沖田駿一のこと。チンピラっぽい役が多いが、れきっとした日活ニューフェイスである。
こう並べるとテレビ版キャストも結構豪華に見えたりする。「七人の侍」が二人(加東、宮口)いたりするし、土屋嘉男や藤原釜足も出ているのだ。校長役は十朱久雄だが、映画版では娘の十朱幸代がヒロイン教師だったりする。ちなみに映画版の校長役だが松本克平か山田禅二である。どちらかがPTA会長でどちらかが校長なのだ。こういう不確定な書き方をしているのは資料によっては、逆に書かれていたするからなのである(しかもウィキペディアでは浜村純、浜田寅彦になっている)。もちろん、見直せばすぐにわかることだが、諸事情によりすぐには出来ないので…。
他の出演者としては、藤木悠、桂小金治、上田吉二郎、三崎千恵子、槙杏子、前野霜一郎など。