水谷豊の出演映画
70年代青春スターシリーズ、今回は水谷豊である。水谷豊もテレビでの活躍が目立つ役者であり、実際映画の方では目立つ作品は少ないと言える。
65年、12歳の時に劇団ひまわりに入団。68年手塚治虫原作の「バンパイヤ」で主役デビューを果たす。実写ドラマではあるが、アニメとの合成作品である。水谷演じるトッペイがオオカミに変身する際、変身後はアニメとなって動くわけである。何となく勘違いしていたが、バンパイヤはトッペイだけではなく何百人とおり、狼だけでなく蝙蝠やら亀やらいろいろな形態がある。今、YouTubeで公式が無料配信を行っているので、興味ある人は見てみたらいかがだろう。
映画の方のデビューは70年の「その人は女教師」と公式ではなっているようだが、水谷豊という名前がクレジットされたのは「バンパイヤ」よりも早い67年の日活映画「青春の海」だったりするのだ。主演は吉永小百合で、その妹が和泉雅子。その隣人が父親が笠智衆で、川地民夫、渡哲也、和田浩治、山内賢の四兄弟という中々豪華なキャスト。吉永は中学校教師で水谷はその生徒の一人である。漢字は不明だが「アガワヨシユキ」という役名もあるようだ。ちなみに話に関わる生徒を演じているのは小倉一郎である。
話が前後するが、「バンパイヤ」で主役を演じたものの人気俳優の仲間入りとはいかなかった。主な活動は東宝学園青春シリーズの5作目となる「炎の青春」(69年)に生徒役で出演したくらいだろうか。しかし低視聴率でわずか10回で打ち切られている。
その縁からなのか70年、水谷は東宝の映画に立て続けに出演している。その1つが前述の「その人は女教師」である。主演は岩下志麻で、相手役となるのが映画デビューとなる三船史郎である。あの三船敏郎の長男だ。タイトルどおり岩下は教師役だが、水谷はその生徒の一人のようだ。
「その人は女教師」より2週間ほど早く公開されているのが「バツグン女子高生16才は感じちゃう」である。ピンク映画のようなタイトルだが、主演は清純派・吉沢京子なのでそういう映画ではないだろう。他に黒沢年男、夏木陽介、内藤洋子、有島一郎、久保菜穂子といった青春ドラマなキャストが並ぶ。生徒役も矢野間啓治、木村豊幸のコンビに加え、小倉一郎そして水谷豊といった具合。
11月にはシリーズ第2弾「バツグン女子高生そっとしといて16才」が公開。吉沢、黒沢、夏木に加えて岸ユキ、柴田侊彦などで、本作では柴田が中心生徒となるようだ。矢野間と木村コンビに加え、赤塚真人そして水谷豊。今までは一応、役名があったのだが、ここでは「部員A」となっており、その他大勢扱いである。
次回に続く。
中村雅俊の出演映画 その3
もう1回、中村雅俊である。
80年に公開されたのが「ニッポン警視庁の恥と言われた二人 刑事珍道中」という長いタイトルの映画である。タイトルから主人公が二人のダメ刑事ということは想像と思うが、演じるのは一人は当然、中村雅俊でもう一人は勝野洋である。
「俺たちの勲章」や「大空港」で刑事を演じた中村と「太陽にほえろ」のテキサス刑事でお馴染みの勝野という刑事イメージも強い二人のタッグ。また「俺たちの旅」の中村と「俺たちの朝」の勝野という「俺たち」シリーズの主人公タッグともいえる。
製作が角川春樹事務所と日本テレビ。企画は岡田晋吉、脚本は鎌田敏夫、監督は斎藤光正よいう二人を売り出したスタッフによる作品なのである。ダメ刑事設定だが、当時のイメージ的には若いけど優秀という感じだったのではないだろうか。役名が中村が斑島(まだらじま)で、勝野が樺屋(かばや)というのだが、どちらも実在しない苗字のようだ。キャラクターがキャラクターだけに気を遣ったということだろうか。カバヤ(食品)といえば「ジューC」でお馴染みのお菓子メーカーだが、文字通り動物の「カバ」から来ているらしい。
他の出演者だが、二人の上司が金子信雄で、他の刑事役が江幡高志、山本紀彦、伊藤敏孝、住吉正博など。他に大楠道代、藤谷美和子、風祭ゆき、木の葉のこ、桜京美、北村和夫、穂積隆信、三谷昇、森川正太、佐藤蛾次郎、丹古保鬼馬二、りりィ、伴淳三郎といったところである。藤谷美和子は本作が映画デビュー作で、角川春樹が木の葉のこの夫役で顔を見せている。
また、中村は82~84年にかけて松竹の正月映画、つまり「男はつらいよ」シリーズの併映作品の主演を務めているのである。まず「次郎長青春編つっぱり清水港」(82年)。清水次郎長の青年期を描いたもので、勿論中村が演じている。その一家を佐藤浩市(桶屋の鬼吉)、原田大二郎(大政)、明石家さんま(小政)、島田紳助(森の石松)、松本竜介(直吉)、平田満(法印大五郎)が演じている。さんまや紳助竜介など「オレたちひょうきん族」が大人気の頃である。他に大谷直子、田中好子、柄本明、ケーシー高峰、加藤武、北村和夫、三木のり平などである。
続いて「喜劇・家族同盟」(83年)。これはコメディ現代劇で中原理恵、川谷拓三、佐藤B作、中尾ミエ、ミヤコ蝶々、平田満、コント赤信号、高田純次、小松政夫、有島一郎など。やはりテレビバラエティなどで活躍していた人が目だつ。
そして「ねずみ小僧怪盗伝」(84年)。ねずみ小僧次郎吉を中村が演じ、その姉である女ねずみ小僧を小川真由美が演じている。小川の女ねずみ小僧は70年代の人気テレビシリーズで4シリーズ存在し、その最終作は松竹が制作に関わっている。だだし、テレビシリーズと本作は別人設定のようである。
他の出演者は和由布子、中条きよし、松坂慶子、小野ヤスシ、名取裕子、玉川伊佐男、黒崎輝、レオナルド熊、コント赤信号、加藤嘉、渡瀬恒彦、仲谷昇、丹波哲郎などである。
中村雅俊の出演映画 その2
前回に続き中村雅俊である。
75年は主演ドラマ「俺たちの旅」が大ヒットしている。それに肖ったのか「俺たちの時」(76年松竹)という映画が公開されている。ただしこれは中村雅俊が主役であるということ以外、「俺たちの旅」とは全く関連性はない。スタッフも出演者も全く違うのである。「俺たちの時」の原作はなんと山田洋次。監督は水川淳三で、脚本も鎌田敏夫ではなく高橋正圀である。ヒロインは三度目となる壇ふみで、他に竹下景子、赤塚真人、佐野浅夫、ミヤコ蝶々、柳家小さん、川辺久造、笠智衆などで、森田健作との共演が多いメンバーに感じる。
77年にはかねてから交際中だった五十嵐淳子と結婚。まだデビューから3年そこらで、周囲からは猛反対されたという。実際、ファンクラブの数も1万人から1800人まで減ったという。ファンの数は減ったが、仕事が減ることはなかったのである。
映画では「坊っちゃん」(77年松竹)が公開されている。これが五度目の映画化だそうである。当然、坊っちゃんは中村である。ちなみに近藤大助という本名が設定されている。マドンナは松坂慶子で、他に地井武男(山嵐)、米倉斉加年(赤シャツ)、岡本信人(うらなり)、湯原昌幸(野だいこ)、大滝秀治(狸)、荒木道子(清)、五十嵐めぐみ(小夜)、宇都宮雅代(〆香)などである。
ちなみに、松竹ではこれが三度目の映画化で、66年版では坂本九が坊っちゃん(小川大助)を演じ、マドンナ役は加賀まりこだった。遡って58年版では南原宏治(当時は伸二)が坊ちゃん(塩原昌之助)を演じ、マドンナ役は有馬稲子であった。原作には本名は出てこないので、映画によってオリジナルになっている。南原の坊っちゃんは今考えると想像しにくいが、東映時代は二名目役だったのである。この時期は五社協定に触れ東映を離れ、松竹と本数契約を結んでいた頃である。本作でのあ相手役でもある有馬稲子の推薦でにんじんくらぶに所属したのである。
話を戻すとテレビの方では「俺たちの祭」が始まっている。ヒロインは映画でコンビを組むことが多かった檀ふみが起用されている。スタッフは「俺たちの旅」と同じなのだが、シリアスな展開が多くなり視聴率的に苦戦し、全23回で終了した。実は「われら青春!」も全22回で終了しているのだけれども。
77年の年末に公開、つまり78年の正月映画であるお馴染みのシリーズ「男はつらいよ 寅次郎頑張れ」に中村は出演する。ストーリー上は準主役ともいえる役柄で、彼の姉役がマドンナとなる藤村志保で、中村が恋する娘を大竹しのぶが演じている。
このタイミングで「俺たちの旅」のDVDマガジンの発売が発表され、当時の出演者である中村雅俊、田中健、岡田奈々が記者発表会に姿を現した。中村、田中は72歳、岡田は64歳になるが、まあ実年齢よりは若く見える。岡田奈々というと、若い人はAKB48のメンバー(元)を思い浮かべるのだろうが、やはり我々世代には70年代アイドルだった彼女のことである。ただし、先輩の方は芸名だけれども。
中村雅俊の出演映画
70年代青春スターシリーズ、今回は中村雅俊である。この人もテレビを中心に活躍しているので、出演映画についてはあまり知られていない気がする。
中村雅俊と言えば「われら青春」(74年)であろう。有名な話だが、元々は松田優作に決定していた先生役だが、急遽「太陽にほえろ」へ出演することになったため、松田らが文学座の後輩である中村を両番組のプロデューサーである岡田晋吉に推薦したことで決まったという。ちなみに中村のテレビ初出演はその「太陽にほえろ」のゲスト出演である。
元々音楽好きでもあり、「われら青春」内で歌った挿入歌「ふれあい」が大ヒットする。出演映画第1作もずばり「ふれあい」(74年松竹)というその大ヒット曲をモチーフとした作品で、当然中村が主役である。
中村はほとんど学校には行っていない大学生の役。ヒロインは壇ふみで、純粋なラブストーリーである。他に大出俊、小倉一郎、関根世津子、新橋耐子などで、文学座の先輩である江守徹、高原駿雄、北村和夫などが脇を固めている。関根世津子は70年代に活躍した美人女優で、レギュラーはなかったと思うが、出演歴を見ると特撮、刑事ドラマ、時代劇など自分の見ていた番組ばかりなので記憶に残っている。80年代初期に引退したようだ。
映画第2作は「想い出のかたすみに」(75年松竹)。こちらも壇ふみとのコンビで主演である。そこに水谷豊、そして浅丘ルリ子が絡むという四角関係的なストーリーになっているようだ。大出俊、北村和夫が「ふれあい」に引き続き出演。他に川辺久造、荒木道子、八木昌子など。文学座が制作に名を連ねている。
この75年と言えば、中村と松田優作が共演した刑事ドラマ「俺たちの勲章」が放送され、ゲスト出演した五十嵐淳子と出会ったことでも知られる。実は中村の三作目の映画はその五十嵐がヒロインとなる「凍河」(76年松竹)という作品。出会って、割合すぐに同棲生活に入ったという話なので、当時の二人は完全に恋人関係。それを知っていてキャスティングされたかどうかは不明だが、結婚は翌77年の話なので、世間的に知られていないはずである。
五十嵐淳子は「五十嵐じゅん」の芸名でデビューし、清純派ムードで人気を得たが銀座でホステスをしていた過去が暴かれ一度芸能界を引退している。しかし75年に映画「阿寒に果つ」のヒロインで復帰。自分から原作の渡辺淳一に売り込んだと言われている。つまり復帰してまもない頃に中村と出会ったことになる。ちなみに、復帰直後はまだ「五十嵐じゅん」であった。
話を戻すと「凍河」は五木寛之の小説が原作。他の出演者は岡田茉莉子、岡田英次、原田美枝子、米倉斉加年、御木本伸介、西尾三枝子、佐分利信、そして石原裕次郎が中村の兄役で出演。裕次郎の映画出演は本作が最後となっている。
石橋正次の出演映画 その3
引き続き石橋正次の出演映画である。
「恋は放課後」(73年)は沖雅也の項でも紹介した作品で、沖と松坂慶子が主演である。石橋の役はといえば「男子生徒」となっているが、ポスターには顔も名前も載っている。まあ出番は少ないのだろう(未見)。
「喜劇 日本列島震度0」(73年)は、松竹の作品データベースにおいて石橋正次で検索して出てくる唯一の作品。主演はフランキー堺、財津一郎で、二人が気を寄せる女占い師が日色ともゑ。フランキーの娘が鳥居恵子で、その彼氏が石橋である。映画では大役の少ない石橋だが、ポスターにも大きく載っており、ストーリーを見る限りでもメインの一人といえる。島田陽子が地震研究所員の役で出演。当時20歳ではあったが、前年に「続・氷点」のヒロイン陽子を演じたことで人気女優となっていた。本名も「ようこ」である。他にあのねのねが学生役で顔を見せている。
「赤ちょうちん」(74年)は、ロマンポルノに転向した日活が三年ぶりに制作した一般映画である。南こうせつとかぐや姫のヒット曲の映画化だ。「神田川」に続くヒット曲だが、こちらは東宝で映画化されている。この時も日活からも話があり、かぐや姫の担当ディレクターは日活を希望していたが、神田川を作詞した喜多條忠が勝手に東宝と契約してしまったのだという。そこで次のシングルを映画化するなら日活でということになったようだ。
主演は高岡健二と秋吉久美子。監督はロマンポルノ移行前の最終一般映画「八月の濡れた砂」(71年)と同じ藤田敏八が担当した。こういった映画では歌っている本人が出演するのが通例のような気もするが本人たちの出演はない。実は作曲者である本人たちには無関係のところで話が進み、事務所サイドは「お前たちは映画には関係ない」と次作「妹」も含め、勝手に決まっていたという。南こうせつは芸能界に不信感が募り、かぐや姫の解散を早めたという。「赤ちょうちん」の映画化と言っても歌が流れるだけで、歌詞の内容を取り入れているような描写はない。
石橋の役柄だが、秋吉演じる幸枝の兄というもの。個人名は設定されていないようだ。他に河原崎長一郎、中原早苗、横山リエ、小松方正、悠木千帆(樹木希林)、長門裕之など。
「トラック野郎 御意見無用」(75年)は、お馴染み「トラック野郎」シリーズの第1作。シリーズと言っても、この時点ではシリーズ化の予定はなっかたという。主演は菅原文太、愛川欽也で、他に中島ゆたか、夏純子、佐藤允、湯原昌幸など。石橋は「乗用車の運転手」で出演しており、友情出演扱いになっている。石橋の主演でトラックと言えば「火曜日のあいつ」(76年)を思い出す人もいるかもしれないが、相変わらず再放送もなく、CS等での放送もなく、ソフトが出る気配もないという幻の番組状態である。
石橋正次の出演映画 その2
前回の続きである。石橋正次はテレビの方で忙しくなったせいか、映画では「あしたのジョー」以降に主演となることはなかった。
「望郷」というタイトルの映画はいくつかあるようだが、石橋が出演したのは71年の松竹映画である。本作は森進一のヒット曲「望郷」の映画化、つまり歌謡映画で、松竹や東映に多いイメージだ。主演は森進一本人で、その歌謡映画は数本存在する。
ストーリー上は三田佳子と榊原るみが主演という感じ。二人は姉妹という役柄で、三田は妻子のある江原真二郎と不倫中で、榊原は中学の同級生の森田健作と再会する。江原の役がレコードディレクターで、彼が担当しているのが森進一だ。ちなみに役名は森川信一郎という。石橋正次も森田、榊原の同級生という役で当時のポスターに顔(姿)は載っていない。森田健作と石橋正次の共演と言えば「おこれ!男だ」(73年)があったが、それ以前に共演があったわけである。そういえば、三田と江原は共に東映出身だ。
「夏の妹」(72年)は大島渚が監督した創造社、ATG制作という作品。返還直後の沖縄で全編ロケが行われている。主演は栗田ひろみで、当時15歳の中学生。71年にNHKドラマ「さすらい」でデビューしたばかりで、映画は初出演でもあった。出演者は大島の妻である小山明子はじめ、大島映画常連の戸浦六宏、小松方正、佐藤慶、殿山泰司といった顔ぶれ(ちなみに小山、戸浦、小松は創造社のメンバーでもある。翌73年に解散)。こういったベテラン勢の中に石橋正次と歌手であるりりィが加わっている。
本作では、石橋が鼻歌で「シルバー仮面」(71年)の主題歌「故郷は地球」を口ずさむ場面がある。これは本作にもシルバー仮面にも脚本で参加している佐々木守が打ち合わせで口ずさんでいたからだという。石橋は「シルバー仮面」には出演していないが、後番組である「アイアンキング」(72年)で主演となっている。脚本は全話佐々木が担当した。
「飛び出せ!青春」(73年)は大ヒットドラマの映画版。再編集ではないが、ドラマ撮影終了後に新たに撮影された総集編的な内容となっている。引き続いての撮影だったせいか主演の村野武範以下、ほぼ同じスタッフ、キャストが参加しており、石橋もテレビと同じ高木勇作役で出演している。しかし、ヒロインの酒井和歌子と石橋の出演回のみセットで出演していた生田みどり役の太田黒久美は出演していない。
ドラマの時期は石橋の「夜明けの停車場」が大ヒットしたため歌手活動が忙しくなり、14~27話まで休学したという設定で出演していない。このドラマ中に披露したのがヒットのきっかけだったという。映像上は村野を前に石橋がギターを弾いて歌っているが、実はギターが弾けず、実際は村野がギターを弾いているという。
石橋正次の出演映画
70年代青春スターシリーズ、今回は石橋正次である。森田健作も沖雅也もテレビで人気を得たが、石橋もそうだと言えるだろう。ではあるがそのドラマに関しては取り上げていると思うので、あまり語られない気がする出演映画に関して追ってみたいと思う。
石橋正次は48年生まれ。本名は字面は同じだが「マサツグ」と読む。小学生の時、児童劇団に入団。親に無理矢理入れさせられたのだという。舞台専門だったのか映画やテレビなどの出演記録はない。そのうち舞台俳優を目指すようになり、高校卒業後に新国劇に入団した。新国劇は日本史の教科書にも出てくるような劇団だが、剣劇を主としていた。緒形拳や若林豪などを輩出したが、やはり新国劇といえば、辰巳柳太郎と島田正吾のイメージであろう。31年に共に当時26歳だった二人が主役に抜擢。87年に劇団が解散するまで、50年以上そのも中心であり続けたのである。まあ、その後継者が作れなかったということでもあるのだが。
数本のテレビドラマに出た後、日活映画のオーディションを薦められ合格。それが「非行少年若者の砦」(70年)であった。監督は藤田敏八で、藤田自身で面接を行ったらしいが、石橋はそれを知らず「監督はどこですか?」と言ってしまったと本人が語っていた。
逆に気に入られたのか、石橋は主役の高校生に抜擢される。ただクレジットは二番手でトップは地井武男であった。他に南田洋子、江原真二郎、伊丹十三といった他社で活躍していた面々に加え、松原智恵子、梶芽衣子、隅田和世といった顔ぶれ。変わったところでは、音楽担当の稲垣次郎がバーマスターの役で出演している。
そして、次に出演したのが「あしたのジョー」(70年)である。要するに漫画の実写版だが、近年はこの実写版の存在も知られるようになった気がする。先に新国劇による舞台版があり、そこで主役の矢吹丈を石橋が、丹下段平を辰巳柳太郎が演じていたのである。新国劇といえば、固いチャンバラのイメージがあり、人気漫画を舞台化していたとは意外な気がした。
製作は新国劇映画(+日活)となっており、そのままジョーを石橋が、丹下を辰巳が演じている。辰巳が眼帯をしてあの扮装をしているのに多少驚く。後は映画版でのキャストということになると思うが、力石徹は亀石征一郎、青山を小松政夫、マンモス西は山本正明、白木葉子は高樹蓉子が抜擢された。イメージに近い俳優をということなのだろうが、少年院を出て、それほど経っていない時期の話である。特別少年院であれば最大22歳までが収容されているらしいが、小松は当時28歳、亀石に至っては当時32歳であった。高樹は(新人)付きであったが、デビューは68年である。ようこは役に合わせたわけではなく元々(本名も)ようこである。まあ実写版映画が成功と言われることは滅多にないけれども。
他の出演者は中山昭二、見明凡太郎、武藤英司など。また、ウルフ金串役を現役ボクサーだったスピーディー早瀬が演じた。
主題歌を石橋自身が歌っており、歌手デビューということになるが、歌をやるのは嫌だったという。当時は主演が歌を歌いう風潮があったため、歌うことになったようだ。
沖雅也の出演映画 その5
日活を離れた後の沖雅也についても少々追ってみたい。
「八月の濡れた砂」(71年)の主演を怪我で逃した沖だったが、テレビの方では「さぼてんとマシュマロ」(71~72年)で吉沢京子と共に主演となっている。ちなみに本作では芸名の字面だけでなく顔もよく似ていた仲雅美と兄弟役を演じていた。また「キイハンター」(72年)にもセミレギュラーとして出演している。物語の中では正メンバーとなったらしいのだが、登場は5回のみでOPにも紹介されないので、覚えている人も少ないと思う。
とまあテレビの方で実績を積んでいき、ついに映画でも主演に抜擢されている。東宝の「高校生無頼控」(72年)である。原作は小池一夫、芳谷圭児による劇画で、主人公のムラマサ(沖)が行方不明の兄を探すため、高校を中退して旅をするという話だが、旅先では必ず女性と知り合い性的関係を結ぶのである。兄役が岸田森で、女性陣が夏純子、八並映子、沢知美、進千賀子、川村真樹、長谷川照子等で、他に宍戸錠、岡崎二朗、杉山俊夫、柳瀬志郎、榎木兵衛といった元日活勢も顔を出している。企画には寺山修司、中山千夏、赤塚不二夫が名を連ねている。本作はシリーズ化され、2、3作目が製作されたが、主演は大門正明に変更となっている。
73年は松竹で映画出演。「男じゃないか 闘志満々」では、森田健作と兄弟を演じ、「恋は放課後」では、松坂慶子と主演を務めた。松坂慶子が熱血女教師で、沖は不良生徒ちにの兄貴分で、不良のリーダーがミラーマンの石田信之だった。
また、松竹出演の流れからか「必殺仕置人」に棺桶の錠役で出演。20近く年の離れた山崎努、藤田まことと対等な役を演じ、やはりテレビの方で存在感を強めていった。
「ザ・ゴキブリ」は、タイトルだけ聞くと驚くが「ゴキブリ刑事」の続編。原作はマンガである。松竹ではなく、東宝と石原プロの共同製作だ。主人公の鳴海刑事を演じるのは日活時代に沖とは共演の多かった渡哲也。角刈りにサングラス、ショットガンという見覚えのあるスタイル。沖は(おそらく)その後輩刑事で、1作目には出ていない。石原プロ作品には「男の世界」以来の出演だ。共演は峰岸徹(当時は隆之介)、青木義朗、高品格、南原宏治、河津清三郎、苅谷俊介、武藤章生、安部徹、丹波哲郎などである。この「ゴキブリ刑事」2作はある程度成功したということで、石原プロは「大都会」シリーズの製作に進むことになる。
この後の沖は74年に松竹の「あした輝く」に出演しているが、74年はこれ1作だけで75~76年に関しては映画出演はなかったようである。基本的には「バーディ大作戦」「ふりむくな鶴吉」などテレビシリーズへの出演がメインとなる。
プライベートで75年は実父の死去により、事務所社長でもあった日景忠男と養子縁組し、日景城児となったのである。
沖雅也の出演映画 その4
今回も沖雅也の日活時代の出演作品を。
71年なので、日活が一般映画の製作を休止して、日活ロマンポルノに移行することになる年である。配給も大映と統合し、ダイニチ映配となっている頃だ。
「男の世界」(71年)は、日活と石原プロの製作で石原裕次郎にとって最後の日活出演となった作品である。沖雅也が日活時代に裕次郎と共演した作品は本作のみだが、数年後にご存知の通り「太陽にほえろ」でレギュラーとして共演することになる。裕次郎が自ら企画製作したアクション作品で、一匹狼のヤクザという役柄。カナダに移住していたが突如帰国したため、宍戸錠扮する警部が付けまわす。悪役となるのは内田良平、大滝秀治。沖はフーテンとして登場するが、クレジットは三番手となっている。トップは勿論裕次郎だが、じゃあ二番手はというと何となべおさみ。
未見なので何とも言えないが、なべの役柄は洗車屋の店長で、役名も設定がないようだ。あらすじを見る限りでは、重要な役というわけでもなさそう。以前から書いているが、この頃(70年前後)のなべは不思議なほど、クレジット的には大物扱いされていたのである。他の出演者は川地民夫、杉山俊夫、武藤章生、小高雄二といった日活メンに加え、菅原謙次、二瓶正也、鳥居恵子といった他社イメージの強い面々も顔を揃える。ちなみに二瓶は東宝を離れフリーになっており、鳥居は石原プロの所属で、彼女は最初で最後の日活作品だったようである。
「流血の抗争」(71年)は宍戸錠主演で、沖の日活出演最後となった作品である。宍戸錠は出所したての秋葉組幹部で、藤竜也や沖はその弟分である組員。佐藤允は他の組だが宍戸の幼馴染で、梶芽衣子がその妹。敵役はここでも内田良平で他に戸上城太郎、三田村元、深江章喜、三条泰子、郷鍈治など。宍戸と郷の日活での兄弟共演はこれが最後となった。
沖は「流血の抗争」が最後と書いたが、実は日活製作の一般映画最終作となった「八月の濡れた砂」(71年)の主演に抜擢されていたのである。しかし、撮影開始直後にバイクで転倒しケガをして降板となってしまったのである。藤岡弘とか岡崎徹とか、この辺りの時代は撮影中のバイク事故が多かったように思う。
沖の代わりに急遽選ばれたのが広瀬昌助だった。俳優座養成所出身でこれが映画2本目であった。広瀬と並んで主演扱いだったのが村野武範。翌72年の「飛び出せ青春」でブレイクすることになる。ヒロインのテレサ野田は大人びているが当時14歳の中学生。関根恵子(現・高橋惠子)辺りもやっていたが、この年齢で全裸シーンとか現在では許されないと思われる。ちなみにテレサは本人のクリスチャンネームである。本名は西園寺環だが、野田環としている資料も見受けられる。三人とも日活映画(旧)では最初で最後の出演となっている。他に隅田和世、藤田みどり、中沢治夫(剛達人)、地井武男、渡辺文雄、原田芳雄など。テレサと隅田和世は現在消息は不明となっているようだ。
沖雅也日活では唯一のチャンスを逃し、松竹へ移籍することになる。出演作は意外と多いのだが、役柄には恵まれず日活出身というイメージは薄いものとなっている。
沖雅也の出演映画 その3
引き続き沖雅也の日活時代の出演作品を追ってみたい。
70年に入って、日活でも任侠映画が多くなっていたが、沖は若い組員役など役にはあまり恵まれていなかった。クレジット順も10番手前後であることも多い状況であった。
「やくざの横顔」「斬り込み」(70年)は、いずれも主演は渡哲也。前者で沖の役柄は丘みつ子の弟というもの。後者では郷鍈治、岡崎二朗、藤竜也と同様の若手組員の一人。敵役は曾根晴美で、東映一筋だったがこの年より日活作品に出演するようになっている。杉良太郎と中村竹弥の「大江戸捜査網」コンビも共演している。
「盛り場仁義」(70年)は、主演が北島三郎、里見浩太朗で思わず東映作品?と思ってしまう。北島は69年から日活作品に顔を出し始めたが、里見は恐らく本作が実質的日活初出演ではないだろうか。東映は任侠映画中心になり、時代劇が製作されなくなっていた。里見は任侠映画は合わないとテレビ中心にシフトしていたが、日活でも結局、任侠映画へ出演することになってしまっている。
実質的と書いたのは、同じ月(1月)に「関東義兄弟」が一足早く公開されたため。これに北島、里見も出演しているのである。主演扱いは村田英雄で、役者としてはやはり東映のイメージだ。ただ、制作はニューセンチュリー映画であり(配給が日活)、日活俳優は梶芽衣子くらいしか出演していない。
「盛り場仁義」での沖の役柄は土建会社(元は組)の社員。二谷英明、川地民夫、梶芽衣子、岡崎二朗、丘みつ子、白木マリ、今井健二らに加え、三波伸介が顔を出している。
「花の特攻隊 あゝ戦友よ」(70年)は、この時期には珍しい戦記物で原作は川内康範。杉良太郎が主演で浜田光夫、藤竜也、岡崎二朗、郷鍈治、川口恒、長谷川明男そして沖雅也らが特攻隊員に扮する。他の出演者は梶芽衣子、和泉雅子、伊藤るり子、三ツ木清隆、曾根晴美、南原宏治、丹波哲郎など。杉はテレビでは既に主演があったが、映画では本作が唯一の主演作のようである。しかも、本作以降は劇場用映画には出演していない。
打って変わって「いちどは行きたい女風呂」(70年)。「ハレンチ学園」がヒットしている時期で、その路線を狙った喜劇という感じである。浜田光夫が主演で、予備校生の役。ちなみに当時26歳だ。他に夏純子、岡崎二朗、深江章喜、長谷川照子、由利徹、小松方正、前野霜一郎など。「ハレンチ学園」にも出演していた星野みどり、増田ひろ子なども出演している。
沖の役柄は高校生だが、銭湯の息子で東雲(しののめ)修次。その兄・建一を演じるのが南雲修治。この人が主題歌である「女風呂の唄」を歌っている。当時ナンセンスフォークの帝王などと呼ばれており、この歌が小ヒットしたことにより本作が作られたとも言われている。沖の役名はこの人から来ているようだ。