お宝映画・番組私的見聞録 -29ページ目

燃えろ!青春

今まで生徒役だった黒沢年男が、主演の先生役に昇進?したのが「燃えろ!青春」(68年)である。実年齢では当時24歳だったので、先生役で普通なのだが、そう若く見えるタイプでもなかったとのに、よくまあ高校生役をやっていたものである。まあ実年齢20歳過ぎで高校生役というのは当時は普通によくあったことであるのだが。
タイトルの「燃えろ!青春」って、当時のテレビ青春ドラマにあったような気がするが、実はなかったのである。
本作ではこれまで先生役を担ってきた夏木陽介、竜雷太も共演という集大成版。といっても三人の先生が集結して何かをやるというような話ではない。夏木は先生役ではないし、映画版には初出演となる竜などは先生役ではあるが、黒沢演じる新米教師に後を託して去って行く、というような役柄なのだ。
ちなみにヒロインだった藤山陽子だが、前回の「燃えろ太陽」を最後に結婚して芸能界を引退している。夏木の話では彼女は男勝りでアクティブな性格だったという。元々女優を長く続けようとは思っていなかったらしい。
で、今回ヒロインとなるのが酒井和歌子、星由里子である。酒井和歌子は当時19歳。これまでは生徒役であったが、本作では先生ではなくバレーボール部のコーチという役柄のようだ。さすがに先生役にはまだ若いということだろうか。
星百合子は当時25歳でここでは校医の役。「若大将シリーズ」のヒロイン澄子で人気だったが、本作の直前に公開の「リオの若大将」でシリーズを降板。後を継いでヒロインとなったのが酒井和歌子である。
他の出演者は東野英治郎、京塚昌子、藤木悠、曾我廼家一二三、十朱久雄、田武謙三、七尾怜子などで、生徒役はお馴染みの矢野間啓治、木村豊幸に加え、岩上政宏、頭師孝雄、加藤久美子、高橋厚子、藤沼幸枝、野平みどり、望月敦子、矢沢良子、和田良子など。
女生徒役の中では高橋厚子がオール東宝ニュータレント6期で、それなりに活躍していたが後は詳細不明な顔ぶれだ。ちなみに藤山陽子は同1期で、黒沢年男は4期である。東宝では60年(15期)まではニューフェイスと呼ばれ、61年からニュータレント(8期まで)と呼称している。
夏木陽介は18年1月に、星由里子も同年5月にいずれも鴈で死去、藤山陽子も22年に亡くなっている。

燃えろ!太陽

「でっかい太陽」の続編となるのが「燃えろ!太陽」(67年)である。言われなくても、太陽は燃えているわというツッコミは置いといて、まあ「でっかい太陽」と基本的な設定と出演者は同じだ。ただ「燃えろ!太陽」で検索すると志賀公江の70年代の少女漫画がヒットしたりする。タイトルは全く同じなのだが、内容は全く違う無関係の作品である。
夏木陽介、藤山陽子、東野英治郎、藤木悠、曾我廼家五郎八、三遊亭歌奴といったところは前作と同じ役で登場しているが、ライバルである南高校関係者は今回登場しない。
新キャラもおり野川由美子(芸者〆奴)、砂塚秀夫(辻先生)、そしてストーリー上は主役に近い黒沢年男(立川太平)等である。黒沢演じる立川は大利根北高校「劣等生番付」で一位の不良生徒という設定。今の世の中で、こんなランキングが発表されようものなら大問題になるであろうが、その立川を夏木演じる真介がサッカー部に入れて鍛えなおそうとする。しかもキャプテンに就任させてしまうのだ。
酒井和歌子は前作とは違う並木和子という役で登場。黒沢が憧れる女生徒の役である。黒沢のライバル、つまり恋敵となるのが同じサッカー部の丸山で三遊亭歌二が演じる。前作では三遊亭歌一が丸山信一役で、歌二は加来金太郎役だったのだが、何故か二人の役名が入れ替わっている。正直、二作とも未見なのではっきりしないが、歌二の方が演技うまかったとか、前作では設定としてはあっても、劇中では役名がさして意味がないとかあったのかもしれない。
また小池正史の役名も庄司一郎から庄司三郎に何故か変更されているが、他は前作どおり。三遊亭町奴(〆田)、宮内恵子、美保くるり、遠山智恵子、富永幸子、北島マヤは変更なし。ちなみに〆田という苗字だが、ちゃんと実在する。無論、全国でも20数件のレア苗字だが。にしても本作では野川の役名も〆奴とか、〆の字が好きなんだろうか。
ちなみに小池正史はNHKの「泣くな太陽」(63年)というドラマに出演していた。主役は前作「でっかい太陽」にも出演していた小柳徹だったようだ。「太陽」だらけでややこしい。小池は日活のドキュメンタリー風映画「非行少年」(64年)でも主役グループの一人を演じていた。ちなみに役者活動は続けているようだ。
あと、先生ABCとして中山豊、佐田豊、堤康久という東宝大部屋俳優の名があるが、佐田豊はこのつい4年前つまり63年には黒澤映画「天国と地獄」で、間違えて誘拐される少年の父親というセリフも出番も多い大役を演じていたが、本来は今回のような役柄の人である。

でっかい太陽

映画「これが青春だ!」に続く、夏木陽介主演の青春映画第2弾が「でっかい太陽」(67年)である。テレビ版「青春とはなんだ」の脚本2話分を元にしたストーリーとなっている。
夏木陽介と藤山陽子以外のキャストは一新されている。夏木の役名は由木真介で「これが青春だ!」と変わらないが、藤山陽子は町田早苗となっている。舞台となる高校も大利根北高校に変更されている。ライバル校は大利根南高校で、両校は対立関係にあるという設定だ。
女子生徒役は東宝の新人女優というのはわかるが、男子生徒役には何故か三遊亭一門の若手落語家が起用されている。無論、それ以外にも名子役と言われていた役者も起用されてはいる。
わかりやすく高校別にキャストをまとめてみる。まず北高は夏木、藤山以外では、東野英治郎(大久保校長)、藤木悠(赤松教頭)、曾我廼家五郎八(佃用務員)、生徒役に大沢健三郎(玉木正夫)、小池正史(庄司一郎)、三遊亭歌一(丸山信一)、三遊亭歌二(加来金太郎)、三遊亭町奴(〆田)、赤塚真人(サッカー部員)、宮内恵子(浦島悦子)、美保くるり(田中京子)、遠山智英子(ユリ)、富永幸子(みどり)、北島マヤ(久江)など。
南高は十朱幸代(相馬かおり先生)、十朱久雄(中村校長)、犬塚弘(猿丸先生)、小柳徹(久米)、酒井和歌子(本田桃代)などである。藤山と十朱幸代は夏木を巡るライバル関係で、大沢と酒井は高校は別だが交際しているという設定だ。
大沢健三郎は成瀬巳喜男の映画「秋立ちぬ」(60年)で、主役の少年を演じていた。70年初頭には引退して、家業を継いだようである。三遊亭一門はいずれも前座名。歌一は現在の三遊亭小歌で、歌二は読み方は同じで現在は三遊亭歌司となっているようだ。町奴は二代目三遊亭歌扇となったようだが廃業してしまったようだ。この辺詳しくないので、合っているどうか。
宮内恵子は後の牧れいのこと。北島マヤは「ガラスの仮面」のヒロインと同じ名前だが、こちらの方が先である。つまり作者(美内すずえ)がその存在を知らずにヒロインを名付けたら偶然一致していたというわけである。十朱久雄と幸代は親子共演ということになる。小柳徹は69年に20歳に若さで交通事故死している。
他の出演者は前述の三遊亭一門の師匠である三遊亭歌奴(後の三遊亭圓歌)、賀原夏子、西城康彦、浦山珠実など。小林夕岐子や高橋厚子がノンクレジットで出演している。
 

これが青春だ!

ややこしい話なのだが、前回のテレビ版「青春とはなんだ」の映画版が「これが青春だ!」(66年)なのである。ちょうどこの時期は東宝の学園青春ドラマ第2弾として竜雷太主演の「これが青春だ」が放送されており、こっちの映画版だとしばしば混同されている。二つを見分ける方法は「!」マークがついているのが映画で、付いていないのがテレビドラマということである。
このブログタイトルに(映画)を付けているのも分かりやすくするためである。テレビ版「青春とはなんだ」の映画版と書いたが、出演者の多くとスタッフがほぼ一緒という意味であり、登場人物の役名が変更されていたりするのだ。
森山高校の名は変わらないが、夏木陽介演じる主人公の名は由木真介に変更となっている。しかし藤山陽子の役名は永井明子で変わらず、藤木悠も中川先生で一緒である。後、十朱久雄の校長も同じだが、生徒たちは役名が変更となっている。矢野間啓治(柴田勇作)、木村豊幸(高木良吉)、岡田可愛(佐々愛子)、豊浦美子(野村美子)、土田早苗(田代早苗)など。後は新キャストが団令子、佐藤允、三木のり平、南都雄二、田中春男、酒井和歌子、黒沢年男などで、酒井と黒沢はライバル校・太田高校の生徒役で、さらに黒沢は番長という設定だ。酒井は当時17歳だが、黒沢は22歳だった。
教師役であろう団令子の役名は矢吹礼子。詳しい人なら後のドラマ「飛び出せ青春」で使われる役名が多いことに気が付くかもしれない。矢吹礼子の名は相原ふさ子、矢野間と木村の役名を合体させた高木勇作は石橋正次、柴田良吉は頭師佳孝がそれぞれ受け継いでいる。
ちなみにドラマの「これが青春だ」にも矢野間啓治、木村豊幸、岡田可愛は生徒役で出演している。まあ、いずれにしてもややこしいことこの上ない。
夏木陽介も藤木悠も東宝育ちだが、後に東映の「Gメン75」でもレギュラーとして共演することになる

青春とはなんだ(映画版)

「青春とはなんだ」というタイトルで思い浮かべるのは、夏木陽介主演の東宝青春ドラマを思い浮かべる人の方が多い気がするが、今回取り上げるのは映画版のほう、つまり石原裕次郎主演の日活映画作品である。当欄で裕次郎映画を扱うのは初めてかもしれない。
まあ別にこの映画版がマイナー作品というわけではない。原作は兄・石原慎太郎だし、しかも裕次郎をイメージして書いたということだし有名作の部類に入るのではないだろうか。ただ、ドラマは1年に渡って放送され、東宝の学園青春ドラマシリーズの第1作でもあることから、ドラマの印象の方がより強いのではないだろうか。
映画の公開は65年7月だが、ドラマはその10月からスタート。日活と東宝ということもあり、キャストがかぶることもなく、映画とテレビでは役名などが異なっている部分もある。
基本的な設定は同じで、アメリカ帰りの野々村健介は英語教師として田舎町の高校に赴任するところから物語は始まる。主人公の名前は同じだが、ヒロイン教師の名前は違う。映画版は杉浦圭子(十朱幸代)で、テレビ版は永井明子(藤山陽子)だ。高校の名前も映画は岩代高校で、テレビは森山高校だ。
映画とテレビで共に使われている役名は次のとおり。カッコ内は役者で前者が映画、後者がテレビ版である。勝又教頭(須賀不二男、山茶花究)、山角先生(高城淳一、加東大介)、橘公夫(根岸一正、寺田農)、高松保夫(太田博之、杉本哲章)、樋口育子(西尾三枝子、土田早苗)、寺田(中村上治、矢野間啓治)、久保(吉田毅、木村豊幸)、友田(松島武、阿知波信介)、植源(高品格、宮口精二)、金高(深江章喜、平田昭彦)といったところか。ちなみに吉田毅は沖田駿一のこと。チンピラっぽい役が多いが、れきっとした日活ニューフェイスである。
こう並べるとテレビ版キャストも結構豪華に見えたりする。「七人の侍」が二人(加東、宮口)いたりするし、土屋嘉男や藤原釜足も出ているのだ。校長役は十朱久雄だが、映画版では娘の十朱幸代がヒロイン教師だったりする。ちなみに映画版の校長役だが松本克平か山田禅二である。どちらかがPTA会長でどちらかが校長なのだ。こういう不確定な書き方をしているのは資料によっては、逆に書かれていたするからなのである(しかもウィキペディアでは浜村純、浜田寅彦になっている)。もちろん、見直せばすぐにわかることだが、諸事情によりすぐには出来ないので…。
他の出演者としては、藤木悠、桂小金治、上田吉二郎、三崎千恵子、槙杏子、前野霜一郎など。

新・ハレンチ学園

71年の正月に公開されたのが「新・ハレンチ学園」である。70年10月からはテレビドラマでの「ハレンチ学園」がスタートしており、低俗番組との非難も少なからずあったが12チャンネルとしては記録的な高視聴率をマークしていた。
さて映画版では何が「新」なのかと言えば、原作でもあった「ハレンチ大戦争」の後の世界を描いているところである。
原作の永井豪と言えば、後の「デビルマン」や「バイオレンスジャック」等を見てもわかると思うが残酷描写が多いのが特徴でもある。キャラクターが次から次へと死んで行くわけだが、本作ではその永井豪の絵を用いて、このハレンチ大戦争を処理するという予算に優しいアイデア。
生き残り生徒として、前作から引き続き登場するのが千葉裕(山岸)、大谷淳(イキドマリ)、アタック一郎(フーセン)、増田ひろ子(名前は初子に変更されている)等で、聖ハレカヤ学園を乗っ取って、新しいハレンチ学園を作るというところから始まるのが今回のお話。
旧ハレンチ学園の教師たちは軒並み戦死したという設定だが、ヒゲゴジラは登場。演じるのは2作目でも同役を演じた高松しげお。ただし、別のヒゲゴジラであるという設定である。他に教師となるのが大泉滉、E・H・エリック、海野かつを等で、募集に現るのがストレート・コンビ(橋達也、花かおる)。パッと見がコント55号に似ており、明らかに彼らを意識していたと思われる。橋達也は「笑いの園」などを経て、07年には日本喜劇人協会の会長に就任したりしている。
左卜全演じる用務員甚兵衛も引き続き登場。何故かハレカヤ学園の用務員になっていたという設定。
そして二代目十兵衛である渡辺やよい。生徒ではなく何故か教師である。先代とは別人で、児島美ゆきの十兵衛も死んでいるという設定のようだ。児島美ゆきが嫌がって降板したという説もあるが、並行してドラマ版が放送されており、そしらを優先したということではないだろうか。
演じる渡辺やよいは、児島とは同い年(学年は1つ下)で、彼女と同じ東映児童研修所の出身。渡辺は「プレイガール」のレギュラーになるなど、この後もセクシー路線で活躍していく。
そして、映画版「ハレンチ学園」の顔ともいえる宍戸錠。今回はマカロニ(戦死)ではなくゲバゲバという教師の役。当時流行っていた「ゲバゲバ90分」に宍戸も出演していたからなのだろう。本作では学園長に就任する。
他の出演者としては、三遊亭圓楽(五代目)、桂三枝(現・文枝)、常田富士男、そして生徒の中に片桐夕子(当時、五月由美)などがいる。テレビ版で解説と次回予告を担当している教育評論家の阿部進(カバゴン)も顔を見せている。
 

ハレンチ学園(映画版)その2

前回の続きである。ハレンチ学園シリーズの2作目が「身体検査の巻」、3作目が「タックル・キッスの巻」と立て続けに公開された。映画産業の斜陽化が進んでおり、大映と日活が配給網を統合しダイニチ映配が設立され、本シリーズもダイニチの配給となったのである。
短期間で公開されたわりには、配役はコロコロ変わっており、3作とも出演しているのは児島美ゆき(十兵衛)、左卜全(甚兵衛)、武智豊子(柳生弥生)、大谷淳(イキドマリ)、増田ひろ子(ひろ子)、そして宍戸錠(マカロニ)くらいである。特に教師役は毎回変わっている。
ヒゲゴジラは藤村俊二から高松しげお、牧伸二、丸越は小松方正から近藤宏、世志凡太、パラソルは由利徹から林家こん平、平凡太郎といった具合だ。山岸役も雷門ケン坊から千葉裕へとチェンジ。実はケン坊と千葉は同い年で、もうすぐ14歳という時期であったが、千葉はハンサムだった分多少は大人っぽくは見えた。後に青春ドラマで活躍し、「Gメン75」では刑事役に抜擢されるまでになった。
小太り少年フーセン役はテレビ版と同じアタック一郎になっている。「身体検査の巻」までは、石井均、小桜京子、倉園朱美、星野みどりは同じ役で出演。他には藤村有弘、伊藤るり子、真理アンヌ、宮川和子、月亭可朝といったところがゲスト的に出演している。実はなべおさみも前作と同じ十兵衛の父役で出ているのだが、下の名前が宗成から只則へ変わっているようだ。そのなべと月亭可朝がクレジットのトメになっており、児島美ゆきは少し前に表示されるようになったが、2作目もクレジットは「みゆき」になっていた(3作目から美ゆき)。 
「タックル・キッスの巻」には鳳啓介・京唄子、正司玲児・正司敏江という夫婦漫才コンビが出演。この時点では前者はすでに離婚していたが、後者も後に離婚。しかし、ともに離婚後もコンビは継続した。他に由利徹、佐山俊二、南州太郎、早野凡平などが出演。由利徹は1作目(パラソル)とは違う役である。
十兵衛の父役は大泉滉に変更となったが、母役は2作目から榎木兵衛(もちろん女装)である。監督は前2作の丹野雄二から林功に交代。これはテレビ版を丹野が手掛けることになったからであろうか。丹野はこの後、アニメの製作に携わるようになるが、林はロマンポルノ等成人映画を撮り続けた。

ハレンチ学園(映画版)

いきなりだが「ハレンチ学園」の映画版である。原作は創刊してまもなかった「少年ジャンプ」に68年から連載。テレビドラマ化もされ、放送局の東京12チャンネル(現・テレビ東京)では、局内歴代ドラマでの最高視聴率を記録しており(70年10月放送の第2話)、50年以上破られていないらしい(ドラマ以外では93年のサッカーW杯が最高)。
映画版についてだが、ドラマ版よりも早く70年の5月~9月にかけて立て続けに3本が公開されている。テレビ版が先であれば、色々な意味で注目され、より映画もヒットしたかもしれない。現代に比べれば、いろいろと緩い時代ではあったが、当時でさえ低俗であるとか教育上不適切であるなどの非難を大きく浴びていたコンテンツなのである。ちなみにハレンチ(破廉恥)という言葉に性的な意味を含むようになったのは本作がきっかけだ。
さて、1作目の「ハレンチ学園」(70年)だが、製作は日東プロ&ピロ企画、配給が日活となっている。実はテレビ版と同じ役で出演しているのはヒロインみつ子(十兵衛)の児島美ゆきと、あゆ子役の星野みどり、用務員甚兵衛の左卜全だけである。倉園朱美と増田ひろ子も同じ役だと思われるが、本作で二人はノンクレジットだ。
主だったキャストは雷門ケン坊(山岸)、大谷淳(イキドマリ)、藤村俊二(ヒゲゴジラ)、小松方正(丸越)、由利徹(パラソル)、渡辺史郎(フーセン)、そして宍戸錠(マカロニ)となっている。
他にはなべおさみ、ミッキー安川、うつみみどり、小桜京子、石井均、武智豊子、上田吉二郎、小松政夫、大泉滉といったところ。実質的な主人公は児島美ゆきと雷門ケン坊のはずだが、クレジット的にはなんと5枚目に追いやられ、児島などは「美ゆき」ではなく「みゆき」とクレジットされている。単純に誤表記なのだが、新人だし「美ゆき」と表記する人はほとんどいないだろうから仕方ないところか。
で、トップクレジットなのが宍戸錠である。まあ日活生え抜きのスターだし、そうかなという気もするが、並んでいるのが藤村や由利ではなくなべおさみである。ちなみに十兵衛の父役で、そう出番が多いわけでもない。不思議と当時のなべは大物扱いされていたのである。
あと、実質的主演の二人のバランスが良くない。同級生設定だが雷門ケン坊が子供っぽく見えすぎるのである。それもそのはずで、児島が18歳なのに対してケン坊はまだ13歳だったのである。ちなみにテレビ版の山岸役である小林文彦も14歳であったため、どうしても児島が大人びて見えた。
 

新・事件記者(映画版)

人気ドラマ「事件記者」は66年3月をもってNHKでの放送が終了したが、その数か月後に公開された劇場版が2本存在する。日活版は60分弱のSPであったが、この東宝版(正確には東京映画)は約90分の尺があり、テレビシリーズの出演者がほぼ総出演している。
当然、日活版の沢本忠雄の姿はないが、「新・事件記者 大都会の罠」(66年)にはオリジナルキャラとして三上真一郎演じる寺川記者が登場し、あらすじを見た限りでは実質的な主役と言えそうだ(未見なのであしからず)。
出演者は永井智雄(相沢キャップ)、原保美(長谷部)、滝田裕介(伊那)、大森義夫(八田)、園井啓介(山崎)、高城淳一(浦瀬キャップ)、山田吾一(岩見)、外野村晋(熊田キャップ)に加え、日活版には未登場だった近藤洋介(白石)、前田昌明(青海)、伊藤正博(坂本)、中原成男(鶴岡キャップ)、守田比呂也(亀田)、谷沢裕之(国分)、石井淳(遠山)、須賀了輔(須賀)、原精次(原キャメラマン)、坪内美詠子(お近)なども登場。
警察関係者は宮坂将嘉(村田部長刑事)のみ日活版にも出演していたが、この東宝版では加えて高島敏郎(捜査一課長)、野口元夫(山本部長刑事)、藤岡重慶(遠藤刑事)、木下秀雄(鳥貝刑事)、館敬介(湯浅主任)といった面々も登場している。
ただ、番組終了が報じられた直後に荒木記者役の清村耕次が自殺し、最終7話のみ代わりに登場した藤岡琢也(矢島)は出演していない。また、綾川香演じる浅野記者も登場しないようだ。
ゲスト出演は、大空真弓、平田昭彦、金子信雄、山本学、川辺久造、富田仲次郎、佐々木孝丸、若水ヤエ子といった顔ぶれである。
「大都会の罠」から2カ月後に公開されたのが「新・事件記者 殺意の丘」(66年)である。
レギュラー出演者陣は前作ほぼ一緒だが、三上真一郎は登場せず綾川香が復帰している。オリジナルキャラとしては北浦昭義(辻キャメラマン)が登場する。
ゲスト出演は大空真弓、芦田伸介、福田豊土、富田仲次郎、瞳麗子、松本克平、稲葉義男、伊沢一郎、梅津栄、松尾嘉代、浜田寅彦、永田靖、wけんじ(宮城けんじ、東けんじ)などである。
NHKでの放送が終了した後、各民放が出演者をそのまま引き取って「事件記者」を続行しようと画策したが、結局二つに分裂。原作者の島田一男がフジテレビを選択したため、「事件記者」のタイトルで10月より放送されたが、半年て終了した。NHK版から継続出演したのは、原保美、大森義夫、園井啓介、外野村晋、中原成男、守田比呂也、伊藤正博などで他はNET(現テレビ朝日)の「ある勇気の記録」を選択した。

事件記者(映画版)その2

前回の続きである。「事件記者」の日活映画版は59年の後半から60年の2月まで、ほぼ毎月のペースで8作が公開されたのだが、ピタリと止まり、丁度2年が経過した。もう終了したのだろうと思いきや62年2月になって、第9弾となる「事件記者 拳銃貸します」が公開された。
NHKでのドラマの方は、まだ継続中で人気も衰えてはいなかったこともあってか、新たに新作を作ろうと思ったのか、製作上の都合で中断していたのかは不明だが、映画版オリジナルの沢本忠雄演じる菅記者が主演というスタイルは変わることはなかった。
出演者もテレビ版と同じ顔ぶれで、東京日報の永井智雄(相沢キャップ)、滝田裕介(伊那)、大森義夫(八田)、園井啓介(山崎)、綾川香(浅野)、中央日日は高城淳一(浦瀬キャップ)、山田吾一(岩見)、新日本タイムスは外野村晋(熊田キャップ)、そして4作目まで出演していた宮阪将嘉(村田部長刑事)が復活している。ただ、原保美演じる長谷部記者は登場しない。
映画版のみのキャラである相馬千恵子(ひさごの女将)、雪丘恵介(毎朝・桜井キャップ)も引き続き登場するが、相原巨典の役が中央日日の桑原記者から新日本タイムスの岡本記者に変更となっている。また、本作のみだが、伊藤寿章(澤村昌之助)が中央日日の富原記者として登場する。ちなみに、澤村昌之助は伊藤雄之助の実弟である。しかし、伊藤雄之助のような長い顔ではなく、どちらかというと丸顔だ。雄之助の実兄である澤村宗之助も丸顔なので、雄之助のみ突然変位という感じである。ゲストは新井麗子、山田禅二など。
そして、第10弾で日活版最終作となる「事件記者 影なき侵入者」が2カ月後(62年4月)に公開されている。レギュラ-出演者は前作とほぼ同じ。ゲストは森塚敏、堀恭子、河上信夫など。この年の2作に関してはゲストに、これといったビッグネームは登場していない。
滝田裕介や高城淳一は、日活の俳優ではないが「大都会」シリーズや「西部警察」シリーズでは、渡哲也の上司を演じた。原保美、大森義夫、園井啓介は「科学捜査官」(73~74年)に揃ってレギュラー出演している(ただし、園井は脱税事件で途中降板)。
綾川香は字面だと女性感が強いが、普通に男性である。カオリではなくコウと読む。本名は松原保夫といい、芸名は香川県綾歌郡の出身ということから来ているようだ。後に綾川志剛という男っぽい字面に改名している。