新・ハレンチ学園
71年の正月に公開されたのが「新・ハレンチ学園」である。70年10月からはテレビドラマでの「ハレンチ学園」がスタートしており、低俗番組との非難も少なからずあったが12チャンネルとしては記録的な高視聴率をマークしていた。
さて映画版では何が「新」なのかと言えば、原作でもあった「ハレンチ大戦争」の後の世界を描いているところである。
原作の永井豪と言えば、後の「デビルマン」や「バイオレンスジャック」等を見てもわかると思うが残酷描写が多いのが特徴でもある。キャラクターが次から次へと死んで行くわけだが、本作ではその永井豪の絵を用いて、このハレンチ大戦争を処理するという予算に優しいアイデア。
生き残り生徒として、前作から引き続き登場するのが千葉裕(山岸)、大谷淳(イキドマリ)、アタック一郎(フーセン)、増田ひろ子(名前は初子に変更されている)等で、聖ハレカヤ学園を乗っ取って、新しいハレンチ学園を作るというところから始まるのが今回のお話。
旧ハレンチ学園の教師たちは軒並み戦死したという設定だが、ヒゲゴジラは登場。演じるのは2作目でも同役を演じた高松しげお。ただし、別のヒゲゴジラであるという設定である。他に教師となるのが大泉滉、E・H・エリック、海野かつを等で、募集に現るのがストレート・コンビ(橋達也、花かおる)。パッと見がコント55号に似ており、明らかに彼らを意識していたと思われる。橋達也は「笑いの園」などを経て、07年には日本喜劇人協会の会長に就任したりしている。
左卜全演じる用務員甚兵衛も引き続き登場。何故かハレカヤ学園の用務員になっていたという設定。
そして二代目十兵衛である渡辺やよい。生徒ではなく何故か教師である。先代とは別人で、児島美ゆきの十兵衛も死んでいるという設定のようだ。児島美ゆきが嫌がって降板したという説もあるが、並行してドラマ版が放送されており、そしらを優先したということではないだろうか。
演じる渡辺やよいは、児島とは同い年(学年は1つ下)で、彼女と同じ東映児童研修所の出身。渡辺は「プレイガール」のレギュラーになるなど、この後もセクシー路線で活躍していく。
そして、映画版「ハレンチ学園」の顔ともいえる宍戸錠。今回はマカロニ(戦死)ではなくゲバゲバという教師の役。当時流行っていた「ゲバゲバ90分」に宍戸も出演していたからなのだろう。本作では学園長に就任する。
他の出演者としては、三遊亭圓楽(五代目)、桂三枝(現・文枝)、常田富士男、そして生徒の中に片桐夕子(当時、五月由美)などがいる。テレビ版で解説と次回予告を担当している教育評論家の阿部進(カバゴン)も顔を見せている。
ハレンチ学園(映画版)その2
前回の続きである。ハレンチ学園シリーズの2作目が「身体検査の巻」、3作目が「タックル・キッスの巻」と立て続けに公開された。映画産業の斜陽化が進んでおり、大映と日活が配給網を統合しダイニチ映配が設立され、本シリーズもダイニチの配給となったのである。
短期間で公開されたわりには、配役はコロコロ変わっており、3作とも出演しているのは児島美ゆき(十兵衛)、左卜全(甚兵衛)、武智豊子(柳生弥生)、大谷淳(イキドマリ)、増田ひろ子(ひろ子)、そして宍戸錠(マカロニ)くらいである。特に教師役は毎回変わっている。
ヒゲゴジラは藤村俊二から高松しげお、牧伸二、丸越は小松方正から近藤宏、世志凡太、パラソルは由利徹から林家こん平、平凡太郎といった具合だ。山岸役も雷門ケン坊から千葉裕へとチェンジ。実はケン坊と千葉は同い年で、もうすぐ14歳という時期であったが、千葉はハンサムだった分多少は大人っぽくは見えた。後に青春ドラマで活躍し、「Gメン75」では刑事役に抜擢されるまでになった。
小太り少年フーセン役はテレビ版と同じアタック一郎になっている。「身体検査の巻」までは、石井均、小桜京子、倉園朱美、星野みどりは同じ役で出演。他には藤村有弘、伊藤るり子、真理アンヌ、宮川和子、月亭可朝といったところがゲスト的に出演している。実はなべおさみも前作と同じ十兵衛の父役で出ているのだが、下の名前が宗成から只則へ変わっているようだ。そのなべと月亭可朝がクレジットのトメになっており、児島美ゆきは少し前に表示されるようになったが、2作目もクレジットは「みゆき」になっていた(3作目から美ゆき)。
「タックル・キッスの巻」には鳳啓介・京唄子、正司玲児・正司敏江という夫婦漫才コンビが出演。この時点では前者はすでに離婚していたが、後者も後に離婚。しかし、ともに離婚後もコンビは継続した。他に由利徹、佐山俊二、南州太郎、早野凡平などが出演。由利徹は1作目(パラソル)とは違う役である。
十兵衛の父役は大泉滉に変更となったが、母役は2作目から榎木兵衛(もちろん女装)である。監督は前2作の丹野雄二から林功に交代。これはテレビ版を丹野が手掛けることになったからであろうか。丹野はこの後、アニメの製作に携わるようになるが、林はロマンポルノ等成人映画を撮り続けた。
ハレンチ学園(映画版)
いきなりだが「ハレンチ学園」の映画版である。原作は創刊してまもなかった「少年ジャンプ」に68年から連載。テレビドラマ化もされ、放送局の東京12チャンネル(現・テレビ東京)では、局内歴代ドラマでの最高視聴率を記録しており(70年10月放送の第2話)、50年以上破られていないらしい(ドラマ以外では93年のサッカーW杯が最高)。
映画版についてだが、ドラマ版よりも早く70年の5月~9月にかけて立て続けに3本が公開されている。テレビ版が先であれば、色々な意味で注目され、より映画もヒットしたかもしれない。現代に比べれば、いろいろと緩い時代ではあったが、当時でさえ低俗であるとか教育上不適切であるなどの非難を大きく浴びていたコンテンツなのである。ちなみにハレンチ(破廉恥)という言葉に性的な意味を含むようになったのは本作がきっかけだ。
さて、1作目の「ハレンチ学園」(70年)だが、製作は日東プロ&ピロ企画、配給が日活となっている。実はテレビ版と同じ役で出演しているのはヒロインみつ子(十兵衛)の児島美ゆきと、あゆ子役の星野みどり、用務員甚兵衛の左卜全だけである。倉園朱美と増田ひろ子も同じ役だと思われるが、本作で二人はノンクレジットだ。
主だったキャストは雷門ケン坊(山岸)、大谷淳(イキドマリ)、藤村俊二(ヒゲゴジラ)、小松方正(丸越)、由利徹(パラソル)、渡辺史郎(フーセン)、そして宍戸錠(マカロニ)となっている。
他にはなべおさみ、ミッキー安川、うつみみどり、小桜京子、石井均、武智豊子、上田吉二郎、小松政夫、大泉滉といったところ。実質的な主人公は児島美ゆきと雷門ケン坊のはずだが、クレジット的にはなんと5枚目に追いやられ、児島などは「美ゆき」ではなく「みゆき」とクレジットされている。単純に誤表記なのだが、新人だし「美ゆき」と表記する人はほとんどいないだろうから仕方ないところか。
で、トップクレジットなのが宍戸錠である。まあ日活生え抜きのスターだし、そうかなという気もするが、並んでいるのが藤村や由利ではなくなべおさみである。ちなみに十兵衛の父役で、そう出番が多いわけでもない。不思議と当時のなべは大物扱いされていたのである。
あと、実質的主演の二人のバランスが良くない。同級生設定だが雷門ケン坊が子供っぽく見えすぎるのである。それもそのはずで、児島が18歳なのに対してケン坊はまだ13歳だったのである。ちなみにテレビ版の山岸役である小林文彦も14歳であったため、どうしても児島が大人びて見えた。
新・事件記者(映画版)
人気ドラマ「事件記者」は66年3月をもってNHKでの放送が終了したが、その数か月後に公開された劇場版が2本存在する。日活版は60分弱のSPであったが、この東宝版(正確には東京映画)は約90分の尺があり、テレビシリーズの出演者がほぼ総出演している。
当然、日活版の沢本忠雄の姿はないが、「新・事件記者 大都会の罠」(66年)にはオリジナルキャラとして三上真一郎演じる寺川記者が登場し、あらすじを見た限りでは実質的な主役と言えそうだ(未見なのであしからず)。
出演者は永井智雄(相沢キャップ)、原保美(長谷部)、滝田裕介(伊那)、大森義夫(八田)、園井啓介(山崎)、高城淳一(浦瀬キャップ)、山田吾一(岩見)、外野村晋(熊田キャップ)に加え、日活版には未登場だった近藤洋介(白石)、前田昌明(青海)、伊藤正博(坂本)、中原成男(鶴岡キャップ)、守田比呂也(亀田)、谷沢裕之(国分)、石井淳(遠山)、須賀了輔(須賀)、原精次(原キャメラマン)、坪内美詠子(お近)なども登場。
警察関係者は宮坂将嘉(村田部長刑事)のみ日活版にも出演していたが、この東宝版では加えて高島敏郎(捜査一課長)、野口元夫(山本部長刑事)、藤岡重慶(遠藤刑事)、木下秀雄(鳥貝刑事)、館敬介(湯浅主任)といった面々も登場している。
ただ、番組終了が報じられた直後に荒木記者役の清村耕次が自殺し、最終7話のみ代わりに登場した藤岡琢也(矢島)は出演していない。また、綾川香演じる浅野記者も登場しないようだ。
ゲスト出演は、大空真弓、平田昭彦、金子信雄、山本学、川辺久造、富田仲次郎、佐々木孝丸、若水ヤエ子といった顔ぶれである。
「大都会の罠」から2カ月後に公開されたのが「新・事件記者 殺意の丘」(66年)である。
レギュラー出演者陣は前作ほぼ一緒だが、三上真一郎は登場せず綾川香が復帰している。オリジナルキャラとしては北浦昭義(辻キャメラマン)が登場する。
ゲスト出演は大空真弓、芦田伸介、福田豊土、富田仲次郎、瞳麗子、松本克平、稲葉義男、伊沢一郎、梅津栄、松尾嘉代、浜田寅彦、永田靖、wけんじ(宮城けんじ、東けんじ)などである。
NHKでの放送が終了した後、各民放が出演者をそのまま引き取って「事件記者」を続行しようと画策したが、結局二つに分裂。原作者の島田一男がフジテレビを選択したため、「事件記者」のタイトルで10月より放送されたが、半年て終了した。NHK版から継続出演したのは、原保美、大森義夫、園井啓介、外野村晋、中原成男、守田比呂也、伊藤正博などで他はNET(現テレビ朝日)の「ある勇気の記録」を選択した。
事件記者(映画版)その2
前回の続きである。「事件記者」の日活映画版は59年の後半から60年の2月まで、ほぼ毎月のペースで8作が公開されたのだが、ピタリと止まり、丁度2年が経過した。もう終了したのだろうと思いきや62年2月になって、第9弾となる「事件記者 拳銃貸します」が公開された。
NHKでのドラマの方は、まだ継続中で人気も衰えてはいなかったこともあってか、新たに新作を作ろうと思ったのか、製作上の都合で中断していたのかは不明だが、映画版オリジナルの沢本忠雄演じる菅記者が主演というスタイルは変わることはなかった。
出演者もテレビ版と同じ顔ぶれで、東京日報の永井智雄(相沢キャップ)、滝田裕介(伊那)、大森義夫(八田)、園井啓介(山崎)、綾川香(浅野)、中央日日は高城淳一(浦瀬キャップ)、山田吾一(岩見)、新日本タイムスは外野村晋(熊田キャップ)、そして4作目まで出演していた宮阪将嘉(村田部長刑事)が復活している。ただ、原保美演じる長谷部記者は登場しない。
映画版のみのキャラである相馬千恵子(ひさごの女将)、雪丘恵介(毎朝・桜井キャップ)も引き続き登場するが、相原巨典の役が中央日日の桑原記者から新日本タイムスの岡本記者に変更となっている。また、本作のみだが、伊藤寿章(澤村昌之助)が中央日日の富原記者として登場する。ちなみに、澤村昌之助は伊藤雄之助の実弟である。しかし、伊藤雄之助のような長い顔ではなく、どちらかというと丸顔だ。雄之助の実兄である澤村宗之助も丸顔なので、雄之助のみ突然変位という感じである。ゲストは新井麗子、山田禅二など。
そして、第10弾で日活版最終作となる「事件記者 影なき侵入者」が2カ月後(62年4月)に公開されている。レギュラ-出演者は前作とほぼ同じ。ゲストは森塚敏、堀恭子、河上信夫など。この年の2作に関してはゲストに、これといったビッグネームは登場していない。
滝田裕介や高城淳一は、日活の俳優ではないが「大都会」シリーズや「西部警察」シリーズでは、渡哲也の上司を演じた。原保美、大森義夫、園井啓介は「科学捜査官」(73~74年)に揃ってレギュラー出演している(ただし、園井は脱税事件で途中降板)。
綾川香は字面だと女性感が強いが、普通に男性である。カオリではなくコウと読む。本名は松原保夫といい、芸名は香川県綾歌郡の出身ということから来ているようだ。後に綾川志剛という男っぽい字面に改名している。
事件記者(映画版)
今回は「事件記者」の劇場版である。ドラマはNHKで58~66年まで続き、その後フジテレビでも放送された人気シリーズだが、映画版も日活で10本、東宝(東京映画)で2本の12本が存在する。まずは、日活版の「事件記者」シリーズを取り上げたい。
NHK版に関しては世代ではないし、63年までは生放送だったこともあり現存する映像もほとんどないということで、ほぼ見たことがない。この時代の記者は新聞記者にしろ雑誌記者にしろドラマにしやすいこともあったのか、ヒーローのような扱いだった。
舞台は警視庁詰めの新聞記者が所属する「警視庁桜田クラブ」。番組スタート翌年の59年に1作目の「事件記者」が公開される。1本50分程度のSPだが、59年の後半だけで6作が公開されている。日活版では多くのテレビシリーズのキャストが、そのままの役で出ているが、数名のオリジナルキャストが存在する。主演の沢本忠雄演じる東京日報の新人・菅記者もオリジナルキャラである。沢本忠雄は57年のデビュー。大学時代(日本大学芸術学部)に日活で助監督募集を見て応募するが、何故かエキストラとして映画に出演することになり、その時の阿部豊監督により見いだされ、次作の「雌花」でヒロインの南田洋子の弟役に抜擢された。翌58年の「十代の恋よさようなら」で初主演となるが、本人は元々裏方志望だったため、その旨を日活の幹部に伝えると「君を売り出すのにいくらかかったと思っていいるんだ」と言われ、役者を続けざるを得なかったという。
1作目~8作目では、テレビ版と同じく東京日報は永井智雄(相沢キャップ)、原保美(長谷部)、大森義夫(八田)、滝田裕介(伊那)、園井啓介(山崎)、綾川香(浅野)と全員出ているが、中央日日は高城淳一(浦瀬キャップ)、山田吾一(岩見)で、新日本タイムスは外野村晋(熊田キャップ)のみ。この時期にレギュラー入りしていたかは不明なのだが、近藤洋介、前田昌明、中原成男らは出演しておらず、清村耕次が演じた新日本の荒木記者は内田良平が演じている(1、2作目のみ)。
警察関係では宮坂将嘉演じる村田部長刑事のみテレビシリーズから登場。他はオリジナルキャストで、二本柳寛(捜査一課長)、清水将夫(西郷デスク)、相原巨典(中央日日・桑原)、雪丘恵介(毎朝・桜井キャップ)、相馬千恵子(ひさごの女将)、丘野美子(やす子)など。丘野美子は1,3,5作目に登場するが、主人公の菅ではなく滝田裕介演じる伊那の婚約者という設定である。4作目から高原駿雄(新日本・竹本)も登場する。
ゲスト出演は1作目は宍戸錠、2作目「真昼の恐怖」で小園蓉子、3作目「仮面の脅迫」で楠侑子、4作目「姿なき狙撃者」で南風夕子、5作目「影なき男」で待田京介といったところである。
特別機動捜査隊 東京駅に張り込め
映画版「特別機動捜査隊」の第2作目は「特別機動捜査隊 東京駅に張り込め」(63年)である。前作から二カ月も経たないうちの公開である。走るパトカーの中に特捜隊の五人がこじんまりと乗っているOPは前作と全く同じである。テレビシリーズのOPでは二台または三台の覆面パトカーが連なって走っているイメージが強いが、初期は1台のみ(初代クラウンのパトカー)だったのである。
メンバーは勿論前作と同じで、安部徹(立石主任)、織本順吉(橘部長刑事)、南廣(荒牧刑事)、亀石征一郎(桃井刑事)、千葉真一(内藤刑事)である。クレジットは1枚目に千葉、南、安部の順で、2枚目はゲストで、織本と亀石は3枚目に回されている。これは1作目も同じだ。千葉と亀石は共に第6期東映ニューフェイスだが、少し差を付けられている。ただテレビの「特別機動捜査隊」においては、千葉は一回だけゲスト出演するに留まったが、亀石は66年に久保田刑事役で二度ほど出演。その後73年になって五人目の主任である矢崎警部補としてレギュラー入りしている。
ちなみに当人同士は親友関係にあり、千葉が主宰するJACの重役を亀石が務めたりしていた。亀石は2021年7月に亡くなったが、千葉はその1か月後の8月に亡くなっている。共に82歳であった。
さて、映画の方だがファッションショーの舞台で新進デザイナーが毒殺される事件が発生する。ファッション業界のドロドロした内幕を描いたシチュエーションの話は他でも見たような気がするが、何かは忘れた。本作のテレビシリーズでも似たような話があったかもしれない。
ゲスト出演者は久保菜穂子、筑波久子、新井茂子、小川守、故里やよい、高英男、浜田寅彦など。小川守と新井茂子は、本作の翌月に公開された「警視庁物語十代の足取り」(63年)でも共演し、両作で恋人関係にある役を演じている。新井も千葉、亀石と同期である第6期の東映ニューフェイス。後に中田博久と結婚して引退する。小川守は第7期のニューフェイスで期待されていた存在だったようだが、65年には早々と引退してしまったようである。事情は不明である。
高英男の本職はシャンソン歌手だが、画面に登場するだけで怪しい雰囲気があり、主に悪役で数本の映画に出演している。
映画の方は二本のみで終了したが、テレビシリーズは77年まで全801回の長寿番組となった。
特別機動捜査隊(映画版)
現在でもあるのだが、特に昔は人気のテレビドラマの映画版が製作されることがままあった。今はテレビ版のキャストを変えることは、ほぼないであろうが、昔は映画版ではキャストが一新されることも多かった気がする。
「特別機動捜査隊」は61年~77年にかけて、全801話が放送された人気刑事ドラマである。本作にも映画版が2本存在するのだが、キャストは映画版のみの顔ぶれとなっている。
映画版「特別機動捜査隊」及び「特別機動捜査隊 東京駅に張り込め」(東映いずれも63年)は、上映時間約60分で、テレビサイズより10分程度長い。出演は千葉真一、南廣、安部徹、亀石征一郎、織本順吉の五人で彼らが特捜隊刑事を演じている。少し年配の人なら、いずれも顔は思い浮かぶメンツではないだろうか。
千葉真一は最も若手の刑事役で、普段は悪役の安部徹はギャングの親分にしか見えないが主任警部補役なのである。テレビ版では主任、つまり当時で言えば波島進が主役なのだが、この映画版では安部よりも千葉がトップクレジットなので彼が主演扱いなのだろう。
問題は彼らの役名なのだが、いくつかある映画データーベース的なサイトではいずれも、安部徹(秋山警部補)、織本順吉(倉本部長刑事)、南廣(井上刑事)、亀石征一郎(土屋刑事)、千葉真一(小松刑事)となっている。しかし、ウィキペディアでは順に立石警部補、橘部長刑事、荒牧刑事、桃井刑事、内藤刑事となっている。どちらが正しいのか。
これは見てみるのが一番早い。幸いにも録画したものがあるので確認してみた。すると、すぐに安部徹が「立石」で、千葉真一が「内藤」であることがわかり、後者つまりウィキペディアが正解であることがわかる。実は後者の役名はテレビ版と同じものなのである。
おそらく台本上では、役者も違うしゆえに役名も違うものを用意していたのではないだろうか。それをテレビ版と同じ役名にどこかの段階で変更したのであろう。つまり記録上では最初に予定された役名のままになっているということなのではないだろうか。
ちなみに、62~63年ころのテレビ版キャストは波島進(立石主任)、南川直(橘部長刑事)、岩上瑛(荒牧刑事)、轟謙二(桃井刑事)、巽秀太郎(内藤刑事)となっており、俳優に詳しくないとわからない顔ぶれであろう。南川、岩上、轟は東映の脇役俳優であり、巽は特撮ヒーロー「ナショナルキッド」(60~61年)で主役(二代目)を演じていた。波島は当時のスター俳優であるが、この番組を71年に降板直後に引退しているため知らない人も多いかもしれない。ちなみに初代七色仮面であり、千葉が二代目七色仮面である。
ザ・ガードマン 東京忍者部隊
「ザ・ガードマン」の映画版2作目は「ザ・ガードマン 東京忍者部隊」(66年)である。前作の「東京用心棒」から年は跨いだが、約2カ月しか経っていないので、テレビレギュラーからの出演者は前作と同じで、宇津井健(高倉キャップ)、藤巻潤(清水隊員)、倉石功(杉井隊員)、中条静夫(小森隊員)、稲葉義男(吉田班長)である。おそらく前回書いたのと同じ理由で、川津祐介(荒木隊員)と神山繁(榊隊員)は出ていない。なお、前作同様に早川雄三が上司である三原本部長役で出演している。
ちなみに本作の公開日前日に「東京警備指令ザ・ガードマン」第45話が放送され、神山演じる榊が警察から転職しメンバー入りしている。
今回はテレビシリーズでもお馴染みの現金(金塊)輸送が行われる。しかし、やはり番組本編も忙しいのか、本作ではこの映画だけのオリジナルメンバーが登場する。長谷川明男(並川隊員)と小笠原良智(牧隊員)の二人である。長谷川は当時、大映に籍を置いていたが、小笠原は俳優座の人である。共にテレビシリーズにはゲスト出演経験があり、本作の監督である弓削太郎の監督回に小笠原がゲスト出演していたところからの抜擢であろうか。
この二人と藤巻潤演じる清水が今回の輸送を担当し、特殊輸送車の運転席に長谷川と小笠原、その後部の密閉された部屋に藤巻が配置され直接、金塊を守るというスタイル。つまり、三人で輸送を担当しているものの藤巻に関しては別撮りが可能になっているわけである。ゆえに、出番の最も多いガードマンは長谷川と小笠原の二人なのだ。話は逸れるが、この二人と言えば、「必殺必中仕事屋稼業」の13話「いろはで勝負」の回で遊郭の跡目争いをした三人(もう一人は東野英心)の中の二人だったことを思い出した。
他の出演者だが、犯人グループが成田三樹夫、安部徹、戸浦六宏という中々の顔ぶれ。他にも山下洵一郎、松村達雄、穂積隆信、長谷川待子、明星雅子など。前作の待田京介同様に、成田三樹夫の名が1枚目にクレジットされている。タイトルの「忍者部隊」を感じるようなところは、まあないだろう。
「ザ・ガードマン」の映画は、二本のみで終了してしまうが、テレビシリーズは71年末まで続いたのである。
ザ・ガードマン 東京用心棒
「ザ・ガードマン」は65~71年にかけて全350回放送された大人気番組である。その映画版の第1作が「ザ・ガードマン 東京用心棒」(65年)である。舞台となる「東京パトロール」は、日本初の警備業である日本警備保障(現・セコム)がモデルであり、警備会社とガードマンという言葉がが日本中に広まるきっかけともなった。
製作は大映テレビ室で、出演俳優も当時は大映所属だった顔ぶれが多い。映画版も当然大映の製作である。
レギュラーは、宇津井健(高倉キャップ)、藤巻潤(清水隊員)、倉石功(杉井隊員)、中条静夫(小森隊員)、稲葉義男(吉田班長)に加え、本作には出演していない川津祐介(荒木隊員)、神山繁(榊隊員)がいる。
川津は大映の所属ではないし(松竹出身だがこの時点ではフリー)、この時期は東映のアクションドラマ「スパイキャッチャーJ3」(65~66年)への出演で忙しかったからであろう。本編の欠席も多いし。神山に関しては、そもそもこの時期はまだレギュラーではなかったのである。ガードマンは事件捜査・逮捕などの権限はないので警察の人間が必要となり、高倉の親友である「榊警部」が第2話からセミレギュラーとして登場していた。だが、66年放送分の45話から唐突に転職してメンバー入りしているので映画版の公開時には不在なのだ。ただ、本作では北原義郎が榊警部役で出演している。
また、番組初期は高倉の上司として清水将夫演じる三原チーフ(本部長)の存在があった。確か通算4~5回程度しか登場しないが、初期のOPには毎回顔と名前が出ていたわけである。本作では早川雄三が三原本部長役で出演している。
ところで、番組タイトルだが、47話までは「東京警備指令ザ・ガードマン」が正式タイトルになっていたが、48話以降は「東京警備指令」の文字が外れている。そもそも本作のタイトルである「東京用心棒」は、番組開始にあたり、日本警備保障が「当社は用心棒ではない」と拒否されたタイトルなのである。映画ならいいだろうと内緒で使用したわけではないと思うが、余程使いたかったのだろうか。
ゲストは待田京介、江波杏子、久保菜穂子、渚まゆみ、千波丈太郎、根上淳など。当時は「007」の影響で前述の「スパイキャッチャー」のようなドラマが流行っていたこともあり、いかにもな「秘密兵器」が使われてたりしている。
出演者クレジットだが、1枚目が宇津井健、藤巻潤/待田京介、倉石功で、稲葉義男は2枚目、中条静夫に関しては3枚目に回されており、長年大映の大部屋俳優だった中条の当時の序列の低さが窺える。しかし、この番組でブレイクし人気俳優となっていたのは、改めて言うまでもないだろう。
ちなみに、中条静夫と早川雄三、北原義郎はいずれも第4期大映ニューフェイスである。