高校さすらい派 | お宝映画・番組私的見聞録

高校さすらい派

今回は他の森田健作主演作を見て行こうと思う。
「高校さすらい派」(70年)は、「少年サンデー」に連載されていた原作・滝沢解、画・芳谷圭児の漫画の映画化である。連載と言っても約二カ月で、単行本1冊に収まるくらいの作品である。この頃のサンデーやマガジンはほぼ青年向け雑誌だったのである。自分は子供だった時代だが、ジョージ秋山の「銭ゲバ」「告白」、楳図かずお「おろち」「アゲイン」、永井豪「まろ」、園田光慶「ターゲット」等あまり子供向けとは言えない作品が妙に印象に残っている。「高校さすらい派」は、短期間だったこともあってか全く記憶にない。芳谷圭児といえば「高校生無頼控」とか、やはり成人向け雑誌のイメージでサンデーに載っていたのが意外にも感じる。
当時の芳谷や滝沢はフジオプロ劇画部に所属。赤塚不二夫とは似ても似つかない絵の芳谷だが、これは赤塚がストーリー劇画をプロヂュースしたいとの思いから、芳谷を部長に迎えて発足させたもの。ちなみに70年当時のサンデーにはマガジンから移籍した「天才バカボン」が連載していた。しかし同時に「もーれつア太郎」が連載されており、そっちの人気が高まったこともありサンデー版の「バカボン」は半年程度で連載を終了している。
 

とまあ、話が大きく逸れたが映画版「高校さすらい派」は、モリケン演じる少年院出身の主人公が、編入した高校での教育方針に反発し、東大安田講堂のような闘争を繰り広げるというようなものだ。
この森田に賛同する同級生を演じるのが山本紀彦、武原英子。当時、山本は27歳で、武原は24歳。20代が高校生を演じるのが普通な時代なので、学ラン、セーラー服姿なら高校生に見えたかも。山本は問題児の役だが、どうしても気のいい兄ちゃんに見える。ちなみに「のりひこ」ではなく「としひこ」である。武原は年相応にしか見えなくて、先生役のイメージが強い。やはり翌71年の「おれは男だ」や「高校生ブルース」で、武原は先生役をやっているからだろう。ちなみに、武原は「新スター」とクレジットされている。
他の出演者だが、武原の妹役が吉沢京子、父親役が神田隆、校長が内田朝雄、教頭が佐野浅夫、加えて佐藤友美、山本麟一、三谷昇、佐藤蛾次郎、根岸一正、島津元、ケン・サンダースそして笠智衆。笠は少年院の教官役である。

当初、モリケンたちに賛同する優等生役の島津元は、まもなく脚本家に転身し畑嶺明となる。日テレ・ユニオン映画の「俺たちの旅」「俺たちの祭」など「俺たち」シリーズに参加するが、最も有名なのは「毎度おさわがせします」「夏・体験物語」等のエロティックコメディ?であろう。関係ないが島津元という名は佐分利信の若い頃の芸名でもある。
舞台となるのは鳥取で、OPはジープで鳥取砂丘を疾走する森田とケン・サンダース。主題歌は森田ではなく、ケンとエディ村田なる人物が歌っている。