黒部進の出演映画 その4 | お宝映画・番組私的見聞録

黒部進の出演映画 その4

今回も引き続き黒部進である。
67年はもう一本あって、「怪獣島の決戦 ゴジラの息子」にも出演している。ゴジラの息子つまりミニラの登場である。まあゴジラも生物なので子供が居ても不思議ではないだろうが、母親は?つまりママゴジラがいるということになるが、そこを疑問に思ってはいけないのだろう。完全に子供を意識した作品というイメージだが、本編そのものはシリアスだったりする。観客動員も前作を大きく下回ったという。
主演は高島忠夫で、共演は前田美波里、久保明、平田昭彦、佐原健二、土屋嘉男など。撮影ではグアム島ロケが行われたが、高島は大の飛行機嫌いで、実はこのロケには参加していない。代役を使って遠目から撮影し、後からアップの部分を挿入したようだ。前田美波里は当時19歳。66年に資生堂のキャンペンガールとして有名になったが、実は64年に東宝現代劇に入団(東宝ニュータレント5期生)しており、モデルが先というわけではない。翌68年にはマイク真木と結婚している。黒部は気象観測機の機長という役。「ウルトラマン」で人気を得ているが、メインとしての登場ではない。ミニラの中の人は小人のマーチャン(深沢政雄)。当時46歳にして、初のスーツアクターを務めた。
68年に入ったが、公開された出演映画は3本と少ない。まずは、岡本喜八監督の時代劇「斬る」。ちなみに英語版タイトルは「Kill!」で、音は同じだが意味は違う(広い意味では同じだが)。原作は山本周五郎「砦山の十七日」で、侍をやめた男と百姓から侍になろうとする男の物語。主演は仲代達矢と高橋悦史。高橋は67年の「日本のいちばん長い日」から岡本作品に続けて出演しているが、主役級の役どころは本作が初めて。上州の小比木藩領で二人は偶然出会うが、その頃圧政を行っていた城代家老が七人の若侍(中村敦夫、中丸忠雄、地井武男、橋本功、久保明など)に暗殺される。次席家老(神山繁)は藩政をわが物にしようと浪人隊(岸田森など)を差し向ける。若侍たちは砦山にたてこもり、仲代は彼らの味方になるが、高橋は浪人隊に加わり敵味方として戦うことになるといった感じの展開である。地井武男はこれが映画初出演で、中村敦夫はブレイク前だが60年代終盤からそれなりに活躍していた。黒部は神山と同じ苗字(鮎沢)なので、恐らく息子の役だろう。他に星由里子、東野英治郎など。ちなみに、大映の「斬る」は62年で市川雷蔵が主演。こちらは柴田錬三郎が原作である。
「怪獣総進撃」はゴジラシリーズ第9作で、怪獣が全部で11体登場しキラアク星人という女性に擬態した宇宙人も登場する。主演は久保明、小林夕岐子で、他に田崎潤、佐原健二、土屋嘉男、伊藤久哉など。黒部はコントロールセンター所員Aという役だが、資料によっては黒岩という名前が付いている。ヒロインの小林はこれが本格的な映画デビュー作。東宝ニュータレント6期生で、父は水島道太郎だ。キラアク星人役の愛京子は女優としての活動期間は3年程度で、歌手としてもシングル3枚を出している。本作以降の出演記録はなく、詳細は不明だ。同じキラアク星人を演じる宮内恵子(牧れい)、高橋厚子、佐川亜梨は小林と同じ東宝ニュータレント6期生である。
「連合艦隊司令長官 山本五十六」は東宝男優陣総出演といった感じの戦記映画。主演は三船敏郎で、以下藤田進、加山雄三、森雅之、柳永二郎、宮口精二、安部徹、加東大介、佐藤允、平田昭彦、土屋嘉男、佐原健二、田村亮、黒沢年男、久保明、辰巳柳太郎、松本幸四郎(初代松本白鸚)などが登場し、女優も司葉子、酒井和歌子、豊浦美子などが出演している。黒部は陸軍少佐参謀Bといった役。
「ウルトラマン」以降、特撮映画への出演が増えたが、メインとは言い難い役ばかりであった。