森次晃嗣(浩司)の出演映画 その4 | お宝映画・番組私的見聞録

森次晃嗣(浩司)の出演映画 その4

引き続き森次浩司である。
72年は「可愛い悪女」以外にも4作ほど出演している。まずは「喜劇・誘惑旅行」は森田健作の所で取り上げたかもしれないが、旅行シリーズの9作目である。主演はフランキー堺と倍賞美津子。舞台はフィリピンのマニラである。他の出演者は森田健作、尾崎奈々、川口まさみ、佐藤允などで森次の役は「司会」となっている。クイズ番組の商品がフィリピン旅行なので、その司会ということだろう。
「あゝ声なき友」は原作を読んだ渥美清が映画化実現のため「渥美清プロダクション」を作り、松竹と提携製作をした作品だ。戦友たちの遺書を預かって一人生還した男が、その全国の遺族を訪ね歩くという内容だ。渥美は企画の他、当然主演でもある。ポスターには渥美を先頭に、それ以外の出演者は五十音順で30人近くの名前が並んでいる。新克利(アタラシカツトシ)がいなければ、どちらにしろ渥美が先頭だったのだが。主な出演者は倍賞千恵子、小川真由美、市原悦子、大滝秀治、江原真二郎、長山藍子、長門裕之、香山美子、田中邦衛、財津一郎など。森次の役柄はよくわからないが、松村達雄の息子のようである。
「祭りだお化けだ全員集合‼」は、松竹ドリフ映画の第9作。クレージーキャッツからもハナ肇、犬塚弘、安田伸、桜井センリの四人が出演している。他の出演者は藤岡琢也、林美智子、早瀬久美、三遊亭金右など。森次はヒロイン役である林の恋人といった役のようだ。
ここまでは松竹作品だが、ATGの「音楽」にも出演している。三島由紀夫の原作で、成人映画に指定されており「猥褻か神聖な愛の儀式か-女の性と心理の深奥をえぐる衝撃作」と謳われていた。主演は黒沢のり子で、精神科医に細川俊之、他に高橋長英、松川勉、森秋子、藤田みどり、三谷昇など。森次は黒沢の恋人役だ。黒沢は高校卒業後の66年、黒沢妙子の名で東映「浪曲子守唄」に女給役で出演したのが映画デビューのようである。その後「網走番外地」シリーズなどに出演。72年に「木枯し紋次郎」の第3話で足の不自由な娘役でメインゲストとして出演したが、それを見たATGのプロデューサーである葛井欣士郎が彼女を本作に抜擢したという。ちなみに彼女は67~70年までは後に児玉誉士夫邸にセスナで突っ込んで死亡する前野霜一郎(光保)と結婚していた。
さて森次だが、翌73年に一つの出来事があった。浩司からの改名である。近所に萬屋錦之介、甲にしき夫妻が住んでおり姓名判断に凝っていた二人から改名を薦められたのだ。森次晃嗣の誕生である。読みは一緒だが、字面は難しくなった。ただ早いうちの改名だったので、もうこちらの字に慣れた人がほとんどだろう。