誠直也の出演映画 その3 | お宝映画・番組私的見聞録

誠直也の出演映画 その3

今回も誠直也である。
73年はファイヤーマンとしてヒーローを演じた誠だったが、東映が絡んでいなかったからなのか、74年になっても東映で誠が出演する映画はヤクザ映画ばかりであった。特にこの年は出演作が多い。
「安藤組外伝 人斬り舎弟」はタイトル通り安藤昇主演で、菅原文太、梅宮辰夫、渡瀬恒彦などが共演。「山口組外伝 九州進攻作戦」は菅原文太が主演で、梅宮辰夫、松方弘樹、渡瀬恒彦に加え、津川雅彦そして志村喬なんかも出演している。「唐獅子警察」は小林旭が主演で、安藤昇、渡瀬恒彦、志村喬などが共演。「暴力街」は安藤昇が主演で、小林旭、夏八木勲、菅原文太、丹波哲郎が共演という、似たような顔ぶれが代わる代わる主役をやっていたという感じ。ちなみに「暴力街」には誠が「ファイヤーマン」で共演した平泉征も出演している。その誠だが、これらの作品では、いずれも組員の一人を演じているようだ。
「任侠花一輪」は藤竜也主演の唯一のヤクザ映画。藤はこれが初の主演作だという。当時、藤竜也が語りだけのレコード「花一輪」を出しており、それを基に映画化したものである。原案の小谷夏とは「花一輪」の作詞者である久世光彦のペンネーム。その久世が演出していた「時間ですよ」の中で、一人シリアスで寡黙な男・風間のイメージで藤は演じているようだ。共演は多岐川裕美、宮園純子、名和宏、梅宮辰夫など。誠の役(高原健太)は未見なので、よくわからないがやはり組員の一人ではないだろうか。
「衝撃!売春都市」はヤクザ映画ではなくアクション映画である。梅宮辰夫が麻薬Gメンで、他に中島ゆたか、山城新伍、白石襄、そして宮内洋の項でも説明したが、三悪追放協会の代表でもある菅原通済が本人役で出演している。白石襄は「ブラバス」のCMなどにも出演していたモデルだが、短期間ではあるが役者もやっていた。「特別機動捜査隊」にも白石刑事としてレギュラー出演していた時期があった。本作では愚連隊のリーダーを演じているが、誠は(予想だが)その仲間の一人ではないだろうか。これも未見なので。
そして何と言っても「仁義なき戦いシリーズ」。誠はそのうちの三本に若手組員役で出演しているのだ。
「仁義なき戦い頂上決戦」で、誠は山城新伍率いる江田組の若衆。「仁義なき戦い完結編」では宍戸錠率いる大友組の若衆。「新仁義なき戦い」では、若山富三郎率いる青木組の組員。八名信夫と共に中谷一郎演じる難波組長を射殺するが、後に殺されるという役だ。つまり三作とも違う役である。
ほぼヤクザ映画に明け暮れた74年であったが、75年になって「秘密戦隊ゴレンジャー」の主役アカレンジャー役に抜擢されたのである。現在も延々と続く「スーパー戦隊シリーズ」の第1作である。これが人気を呼び、誠もすっかりヒーロー役者としてお茶の間に認識されたと思われる。これを境にヤクザ映画に出演することがほぼなくなったのである。そして77年からは「特捜最前線」で吉野刑事役に抜擢。藤岡弘、荒木しげる、夏夕介、三ツ木清隆といったヒーロー役者が集結し「特撮最前線」などと言われていた。誠は8年の間出演し続けたのであった。