2023年回顧録 その2 | お宝映画・番組私的見聞録

2023年回顧録 その2

前回に続いて回顧録である。今回は俳優編だ。
元日に亡くなったのが長谷川哲夫(84)。個人的には「ザ・ガードマン」等に出てくる知的悪役のイメージなのだが、世間一般的には「七人の孫」とか「水戸黄門」の徳川綱吉役のイメージであろうか。13部~28部まで同役を演じている。その間に黄門様は東野英治郎→西村晃→佐野浅夫と変わっている。俳優座養成所10期生で、同期にはやはり知的悪役のイメージが強い西沢利明や中野誠也などがいる。
同じ一月には悪役として活躍した上野山功一(89)も。58年に日活に入社し、鈴木清順監督から「ワルに向いている」と言われて悪役の道に進んだという。65年に日活を離れ大映に移籍する。現代劇だけでなく時代劇の出演も多くなる。大映倒産後はテレビに活躍の場を移し、前述の「ザ・ガードマン」や「キイハンター」「プレイガール」といった人気アクションドラマ、時代劇でも前述の「水戸黄門」や「必殺シリーズ」等の人気番組に何度も登場する悪役として活躍。例外的に「イナズマンF」の荒井役や「超神ビビューン」のダイマ博士など正義側の人間として登場することもあった。
同じ89歳では扇千景。国会議員としてのイメージが強い人も多いかもしれないが、77年に参議院議員初当選するまでは女優であった。ちなみに「おうぎ」ではなく「おおぎ」と読む。54年に宝塚歌劇団に入団し、その年から東宝の時代劇映画へ出演している。ただ、メインヒロインになることはほとんどなかった。58年には映画で共演した二代目中村扇雀(現・四代目坂田藤十郎)と結婚している。60年代からはテレビが活動の中心となっていた。彼女の場合、映画やドラマより富士フィルム「シングル8」のCMでの「私にも写せます」が一番有名かもしれない。
まだ記憶に新しいであろう財津一郎も89歳であった。熊本では伝統のある進学校済々黌高校の出身。平仮名で書くと「せいせいこうこうこう」だ。くりいむしちゅーの二人もここの出身だ。55年に石井均一座に入り、62年から吉本興業へ。64年から吉本新喜劇に参加し、その際に芸名を財津一郎(それ以前は財津肇メ)としている。名付け親は当時の林社長で「吉本では大衆的な名前でなければいかん」という理由から。66年の「てなもんや三度笠」出演から全国的に名が知れるようになった。2011年を最後に活動を休止していたが、タケモトピアノのCMは2000年から同じものが流れ続けていた。そのCM契約が終了した翌月に亡くなったのである。
同じく89歳では勝部義夫。知る人ぞ知る東宝の脇役俳優だ。名前は知らないという人も多いかも。327本もの映画に出演しているが、ゴジラシリーズなど特撮ものの印象が強く、記者や通信担当の軍人の役が多かったりする。「ウルトラセブン」でも通信担当のウエノ隊員として十数回出演している。俳優は76年に引退しており、その後は地元の島根で「しまね映画祭」設立なぢに携わっていた。
ウルトラシリーズでは「帰ってきたウルトラマン」の団時朗(74)。資生堂「MG5」のCMで注目され、68年に映画出演した際の役名である団次郎を芸名とした(本名は村田秀雄)。71年に帰りマンの主役に抜擢されたが、前年の「江戸川乱歩シリーズ明智小五郎」では悪役の黄金仮面を演じていた。昭和のウルトラマン俳優としては初の物故者となっている。
「ウルトラマンタロウ」で最終の3話だけだが、新副隊長を演じたのが三谷昇(90)である。29歳の時、事故で片方の眼を失明したが、俳優活動を続けていた。オファーを受けた時は初めて子供にも言えるような役で嬉しかったと答えていた。
「ウルトラマンレオ」でMACの梶田隊員を演じたのが朝倉隆(71)。MAC隊員は途中で入れ替わったり全滅したりで印象に残っていない人も多いと思うが、梶田は17~40話まで登場している。
後は列記となってしまうが、中真千子(86)、津山登志子(69)、奈良岡朋子(93)、小桜京子(90)、市川段四郎(76)、鈴鹿景子(67)、鈴木瑞穂(96)、中庸助(93)、花ノ本寿(84)など。海外では「0011ナポレオンソロ」のイリヤ役であるディヴット・マッカラム(90)などが世を去っている。
ここに挙げた以外の方にも合掌。
本日は大晦日なので、必然的に2023年最後の更新である。来年も今年ぐらいのペースで更新できればいいなとは思っている。