夏夕介の出演映画 その3 | お宝映画・番組私的見聞録

夏夕介の出演映画 その3

今回も夏夕介である。
73年の映画出演は前回紹介した2本だけだが、10月から「顔で笑って」「ラブラブ・ライバル」という2本の大映テレビ制作のドラマのレギュラーを務めている。どちらも脇役のようだが、翌74年の3月まで続いている。
その74年の映画出演は調べたところ1本もなかったようだが、ドラマのゲスト出演が多かったようだ。そして10月になり「純愛山河 愛と誠」がスタートし、夏は主演の誠役に抜擢されている。愛役は当時15歳の新人だった池上季実子である。高校生役だが、夏は当時24歳で、岩清水役の中島久之も22歳であった。ちなみに、映画版も第1作がこの74年に公開されたが、誠役は西城秀樹で、愛役は役名をそのまま芸名にした早乙女愛が務めている。
ドラマ版の他の出演者は平泉征、高橋昌也、鳳八千代、苅谷俊介、名古屋章、子役だった戸川京子、そして原作・梶原一騎の実弟である真樹日佐夫が特別出演。真樹はケンカシーンの監修も担った。製作はアニメでお馴染みの東京ムービーで、本作が唯一のテレビドラマ製作となっている。2クール26話で終了したが、スタッフへのギャラ未払い騒動などがあったための打ち切りだったという。
75年3月にドラマ「愛と誠」が終了した直後から、前年はゼロだった映画出演が相次いでいる。まずは日活の「襟裳岬」。森進一のヒット曲を基にした歌謡映画である。主演は山口いずみで、その相手役として神有介、そして夏夕介である。夏と字面の似ている神有介だが、映像出演作は多くない。その中では同年の「男組青春大革命」での神竜役が目立つ。専ら舞台方面で活動しており、現在も劇団を主宰したりプロダクションの代表だったりする。他の出演者は天知総子、金田龍之介、ハナ肇、そして森進一が本人役で登場する。撮影は実際に襟裳岬周辺で行われたようだ。
本作は、当時はロマンポルノが主軸となっていた日活の製作配給となっているが、実はたまに一般映画を製作することもあったのである。ただ併映作品が製作中止などで中々決まらず、結局東映が7年前にお蔵入りにしていた「雪夫人絵図」を買い取って上映したという。主演が佐久間良子で、共演が山形勲、丹波哲郎、谷隼人、浜木綿子などであった。お蔵入りの理由は当時の東映はエロとヤクザ映画が全盛で東映調の作品ではなかったから。他社から譲ってくれという話もあったが、佐久間の主演作を他社には渡せないと断っていた。その佐久間が東映を退社したタイミングで日活に売ったため公開まで7年かかったというわけである。良質作の二本立てではあったが、興行的に失敗したという。
次が東宝「お姐ちゃんお手やわらかに」。これはホリプロ15周年記念作品であり、ホリ企画制作の製作となっている。主演は和田アキ子で、夏夕介、鈴木ヒロミツ、森昌子といったホリプロのタレントがメインとなっている。山口百恵も本人役で登場。ちなみに同時上映は山口主演の「潮騒」であった。山口百恵が東宝作品で脇役なのは本作だけだそうだ。他はホリプロのタレントではなく、番組上の繋がりでの出演者もいる。せんだみつお、デストロイヤー、ラビット関根(関根勤)、マジシャンの伊藤一葉などは和田メインのバラエティ「うわさのチャンネル」からの出演だ。他に堺正章、研ナオコ、坊屋三郎、小林亜星、藤村有弘、多々良純、砂塚秀夫、塩沢ときといった面々が出演している。
正直、初耳の作品で恐らくソフト化もされていないと思われる。情報も少ないし、レア度の高い作品ではないだろうか。、