『137億年の物語』 | 店舗探し.comの過去コラム

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2013/10/22

これは壮大な歴史書です。

『137億年の物語~宇宙が始まってから今日までの全歴史』
  クリストファー・ロイド著 文藝春秋

日本史であれ世界史であれ、私たちが学校で習う歴史は、
2足歩行を選択した猿あたりから始まっています。
今からせいぜい400万年前からということになります。

しかし、人類のルーツはもちろん400万年前突然出現した
わけではありません。
更に時代をさかのぼっていくと、たとえば「ホヤ」は人類
の最も古い祖先とも言われています。
なぜならばホヤには脊索と呼ばれる原始的な背骨があるから
です。

更にさかのぼること37億年前に、生命そのものが誕生された
としています。

37億年前に誕生した生命が、世代交代を繰り返して私たち
現代人にまでつながっているのです。
厳密に歴史を探るのであれば少なくとも37億年前から稿を
起こす必要があるのです。

宇宙の歴史はビッグバンを起源とします。

今から137億年前のことです。
ビッグバンが無ければ地球も存在していないことになり、
地球が存在していなければ生命が誕生することもありません
でした。

こうして考えると、真の歴史書はつまり、ビッグバンから
記述されなければ完璧にはならないはずです。

本書はそんな気が遠くなるような作業に取り組み、137億年の
歴史を42章約500ページで記述したものです。

ホモ・サピエンスが登場したのは今からざっと20万年前です。
宇宙の全歴史137億年を1日24時間に換算すると、ホモ・サピ
エンスの登場は23時間59分57秒です。

人類が全歴史の内に占める割合は、24時間のうち、たった3秒
でしかないのです。

“ほしいものが何でも手に入る世界があるとしよう。
食料は新鮮で、バラエティに富んでいる。
するべき仕事はあるが、1日に3,4時間働けばそれで終わりだ。
好きなだけ寝て、好きなだけ休む。友達や家族といっしょに、
料理をしたり、話をしたり、ダンスを楽しんだり、ただ楽しく
すごしていればいいのだ。
この世界では病気になる恐れもほとんどない。戦争や争いも
めったに起こらない。”

数多くの証拠から、石器時代の人々は穏やかで幸せな暮らし
を送り、争いもめったに起きなかったことがうかがえるそう
です。
そして、この時代は、人類が地球に現れてからの99%の年月を
占めていたのです。

人類の不幸は最近1%の時間に始まったと言えるのです。

病気、戦争、自然破壊・・・。

全歴史24時間のうち最後の1秒にも満たない短時間の内に、
人類は地球に対して、あらゆる害悪をまき散らしてしまい
ました。

追っては逃げる蜃気楼のような幸せをつかもうとして、前へ
前へと必死に疾走する必要などありません。

ほんの1秒前に逆戻りするだけで、そこにはたくさんの
青い鳥が羽ばたいているのです。

『137億年の物語』は大部ですが間違いなしの名著です。
是非ご一読を!