new暴れん坊商人~視覚障害者の呟き~ -93ページ目

果てしなき道のり

 今日、やっと登用筆記試験が終わった。
 職場復帰して、試験が受けられるようになり、3年目。
 昨年は、筆記試験→面接とどうにか突破し、、1つ上の資格に登用になったが、今年も、も1つ上の資格への挑戦であった。
 
 過去の試験問題もあり、また、どんな箇所が出題されるのかも予想でき、結構気楽に構えていた。
 パソコンで試験を受けるため、フロッピーディスクに入った問題用のファイルを開いてみると、
「しめしめ、予想していた問題がほとんどじゃ。」
 快心の出来??のような気がしますです。

 けんど、今のわしの視覚障害を持っての仕事ぶりでは、これ以上の資格には上がれんじゃろうと覚悟している。
 けんど、ええもんね。
 心の中ではそう思っていても、できる努力はしているもんね。
 筆記試験だけでは、誰にも負けんもんね。
 まだ筆記を突破できたかどうかはわからんけんど、やるだけやったので悔いは残らんです。

 あーー、今日は久しぶりに寝酒でもひっかけて、ゆっくり眠ろうかいのぉ。

マルマル訓、現る!

 娘の話題、3連発。
 小学生時代の同級生の男の子に、選挙のポスター依頼を受けた娘。
 気合を入れて描いたポスターを大事そうに持って学校へ行った。

 その日の夕方、その男の子・マルマル訓が我が家を訪れた。
 会社が休みじゃったわしは、パンツ一丁シャツ一丁でくつろいでいたので、慌ててTシャツと短パンをはいて玄関へ。
「どちらさんですか。」
と聞くと、
「すいません。」
とかわいらしい女の子みたいな声。
 もう一度、
「何のご用でしょうか?」
と聞く。てっきり、また何かのセールスでやって来たと思い、きつめに聞くわし。
「あのー、マルマルです。」
 そう、マルマル君である。
「あっ、ごめんごめん、今開けるけーね。」
とドアを開けると、背の小さい気のよさそうな男の子が立っていた。
 目が見え難いわしには、どんな顔をしていて、どんなかっこうかはわからない。
「娘はまだ学校から帰ってないんよ。何か伝えておこうか?」
と聞くと、
「いや、いいです。また、後で来ます。」
とどぎまぎと答えて帰って行った。

 しばらくして学校から帰って来た娘にそのことを伝えて、どんなやつなんかを聞いてみる。
「背は私より小さくて、頭がクルクルよ。」
 そう、天然のクルクルパーマだそうである。

 夕方6時近くに再びマルマル君現る。
 そっと会話を聞いているわし。
「今日は、ありがとね。そんじゃあね。よっしゃよっしゃ。」
とそれだけ言ってそそくさと帰って行った。

 学校でポスターを渡した時は、そっけない感じであったらしいが、男として、キチンとお礼を言いたかったんじゃろうかねぇ。
「なかなかええとこもあるじゃない。」
 けんど、中学1年の男の子が女の子の家を訪れるのには勇気がいったじゃろうに。
 選挙に当選するよう、影ながら応援しちゃろうと思ったお父さんでした。

漫画家としての初仕事

 続けて娘の話題。
 先日、漫画を書くための道具を買い込んで修行をしていた娘。
 小学校の卒業アルバムを持って帰ってきた。
 その中で、
「将来、漫画家になりそうなやつ。」
とのテーマの投票で、17票を獲得してブッチギリで一意になったそうな。
「やるじゃん。」
 これで、ますますお尻に火がついたようである。
 
 そして、小学生時代のクラスメートの男の子に、
「選挙に立候補するから、ポスターを書いてくれぇ。わしゃードラエモンも満足に書けないんじゃー。書いてくれたら何でもするけぇー。」
と頼み込まれたらしい。
「頼まれたからには、恥をかかせてはいけんけぇ、本気で書かなきゃぁ。」
と、昨日の夜、何時間もかけてポスター作成にいそしんでいた。

 絵柄は緑の黒板に立候補者の名前が白くくっきりと書かれていて、その黒板を指差して、にんまり笑うマルマル君。
 このメガネをかけてのニンマリ顔が、彼の特徴を一番現しているそうである。
 得意げに説明してくれました。
 
 漫画家としての血が騒ぐのか?自分のプライドがあるのか?
 まあ、没頭できるってことはええことです。
 娘よ。初仕事じゃね。

漫画家への道

 娘は、今年中学校に入学した。
 そして、美術部に入った。
 美術部といっても、油絵や風景画などを描くわけではない。
 そう、漫画の修行のために入部したのである。

 同級生や先輩の仲にも、漫画大好き少女が多い。
 家族で買い物にいっても、本屋へ駆け込み漫画を買いあさっている。
 家のパソコンでも、インターネットで、好きな「テールズ」関連の絵コンテやイラストなどを見あさっている。
 
 とうとう先日美術部の先輩2人と同級生3人とで、自転車で30分近くかけて、漫画を本格的に描くための道具を買いにいった。
 ペン先、インク、トーン、4コマ漫画用の原稿用紙などなど。
 そして、自分の部屋の机にかぶりついて、4コマ漫画を書いている。
 シャーペンで下書きを書き、インクをつけてペン先でなぞり、風景などをトーンを使用して仕上げ、ベタで髪の毛などを塗っていく。
 結構、時間がかかるらしい。
 
 学校の勉強をするときとは違い、すごい集中力である。
 2時間後、、初めて書いた4コマ漫画をわしと妻に得意げに見せていた。
 妻に聞くと、結構、本格的な仕上がりだそうである。

 ちょくちょく週間の漫画雑誌にイラストなどの投稿もしているらしい。
 漫画、命なんですねぇ。
 相当気合が入っているんですねぇ。
 娘よ。夢に向かってけっぱれよぉ!
 お父さんは、陰ながら応援してまっせぇ!

あるラジオのパーソナリティーの休演

 わしが毎朝聞いているラジオ番組、
「おはようパーソナリティー 道上陽三です」
のアナウンサーが3ヶ月ほど手術のためにお休みをするそうである。
 
 頭の髄膜腫を摘出するそうである。
 その腫瘍のために、視力と嗅覚が極端におちてきたそうである。
 アナウンサーにとっては、原稿を読むことができないということはどんなに苦痛だっただろうか?
 確かに最近、視聴者からのハガキを読むときにおかしいなとは感じていた。
 けんど、そんな苦しみはあまり感じさせないほど、明るい口調であった。

 いくら、良性の腫瘍で、成功率の高い手術であるとはいえ、右目奥8センチのところに5センチくらいの大きさの腫瘍を取り除くのであるから、将来、完全に復活できると安心はできないであろうに。

 日に日に落ちて行く視力、わしの状態と似ているのかなとも思う。
 けんど、手術すれば元のように見える可能性は高いからええなとも思う。
 とにかく、一日も早い復活を願うのでありました。

眠気との戦い

 最近、お昼前後に妙に眠気が襲ってくる。
 会社では、一日パソコンの前に座り、各種資料を作成しているのだが、キーボードをカシャカシャやっていると、どうにもならないほど眠くなるのである。

 音声を頼りに操作をしているので、画面は特に見ていなくてもいいのだが、ほんまに眼をつぶっていると、コックリとしてしまいそうで怖いのである。
 そんな時はトイレに行って、顔を洗い体を軽く動かしてみる、
 そんでもなかなか頭はすっきりしてくれない。
 
 そこで考えたのが、ペッツというか小さい粒のお菓子で、めちゃくちゃスーとするやつ。
 コンビニでも100円くらいで売っているこのお菓子をなめるのである。
 口の中から、のどから胃までスカーとして、どうにか仕事が続けられるのである。
 
 それをなめているのを知っているのか知っていないのか、近くに座っている、部長やマネージャまで時々なめている気配である。
 50粒くらいが入っている容器をポケットに入れていると、歩くたびにカシャカシャ音がしてわかるのである。

 やっぱし、仕事途中で居眠りしちゃったらまずいですよねぇ。
 けんど、そんな病気もあるとかないとか。
 年のせいか、朝は早くから眼が覚めてしまうんで、まっ、夜は早めに寝て、睡眠を十分とるしかないんでしょうねぇ。

道路工事

 会社への通勤路、また道路工事が始まった。
 歩道側面の排水を整備するためのものらしく、交差点付近や横断歩道の端が、バリカで囲まれている。
 同じ場所が工事されているのならまだしも、日々状況が違っている。

 今日も会社からの帰り道、朝まではなかった場所にバリカが立っていたらしい。
 白杖カンカン横断歩道を渡ろうとすると、
「あーー、危ない、工事しとるよ。」
と後ろでおばちゃんの声がした。
「ありゃ、ここは、また通れんようになったんですか?」
とバリカが経っていると思われる場所を白杖で突っついていると、
「ダメダメー!そこは通れんって。左、左。危ない危ない。早く渡らんとだめじゃない。」
とすごい剣幕である。

 わしとしては、白杖でバリカの場所を探っているだけで、少しは見えているのでそんなに危険は感じていなかったんじゃけどねぇ。
「どうもどうも。」
とさりげなく挨拶をしてそこを通り過ぎた。
「あそこまでうるさく言わんでええのにのぉ。」
とブツブツつぶやきながら、いつも通る道を進んでいると、次の交差点に差し掛かったところで、
「あーー、そこも危ない。前の車、止まってあげてぇーー。」
と、こりゃまた後ろで金切り声が聞こえた。
 どうやらわしの後をこっそりつけて用心していてくれたらしい。

「わしのブツブツのつぶやきは聞こえなかったかしらん。」
と思いつつ、家路を急いだのでした。
 おばちゃん、お疲れさん。

試験勉強

 今年も登用試験のシーズンがやってきた。
 昨年、18年ぶりに登用試験に合格したとは言え、上の資格への挑戦は果てしなく続くわけでして・・・。

 先週は、下の娘が期末試験の勉強を、今週は上のお兄ちゃんが期末試験の勉強をしていまして。
 わしはと言うと、いつもお決まりの方法でして。
 課題となっている本やマニュアルの電子データを手に入れて、それをエクセルファイルに貼り付けて、でそうなところを自分なりに抜書きしてまとめて、耳で聞きながら、パソコンのメモ帳などに入力しながら憶えていく。

 正直なところ、昨年は、後がないと追い詰められていましたが、今年はとりあえず目標は果たしているので、楽な気持ちでいますです。
 昔から変わっていないのは、ほんまに試験日ギリギリにならないとやりださないところですかねぇ。

 実際の試験日は、7月14日の金曜日でして、微妙にまだ日があるんですよねぇ。
 お酒の誘惑に負けてしまい、今晩も焼酎を飲んじゃったしね。
 けんど、そろそろやりださないと、記憶力が落ちているわしには、ちとキツイんですけど、

 まあ、ボチボチやりまっか。

わし仕様のパソコン設定

 わしが会社で使用しているパソコンや、自宅で使用しているパソコンは、視覚障害者にとって使いやすい設定がされている。

 これらは、
畠山工のホームページ
とか、
視覚障害者用パソコン設定手順
とかを参考にしながら、設定したものである。
 少しは画面の状況が見えているわしにとっては、これらの設定をすることによって、音声を頼りに自力でパソコン操作ができているのである。

 こんなことを知らずにいた頃は、絶対眼の見えない、見えにくい視覚障害者はパソコンなんて操作はできないんだと思っていた。
 もちろん、画面の情報を音声に変換してくれる、スクリーンリーダーというソフトがパソコンにインストールされていないと、お手上げなんですけどね。

 それに今年になって購入したノートパソコン。
 B5型の小さい液晶画面なので、今使っている16型のデスクトップのパソコンの画面と比べると見にくいんじゃろうと思っていたんじゃけど、これが血が運ですよねぇ。
 最近の液晶画面の技術が進んでいるのか、画面自体がラップトップ式になっていて、「ハイコントラスト黒」の黒地に白色の状態で使うと、眼をこらせば、中心部の視野が吹っ飛んでいるわしでも結構見やすいような気がしますです。
 あっ、もちろん文章を読むことができんですけんど。

 今秋にも発表される?次世代のWindows、「ロングホーン」って言ったかしらん。
 この新しいOSになっちゃうと、またそれに対応したスクリーンリーダーを開発せんといけんのじゃろうねぇ。
 そのOS自体に、画面情報を音声化してくれる仕組みが最初から組み込まれているのが一番いいんじゃけどねぇ。
 そうなったら、視覚障害者も喜ぶじゃろうねぇ。
 もちろん、他の障害者にとっての補助機能が付いているといいんじゃけどね。
 楽しみにしときませう。

視覚障害者の体験記

 日ごろ、よく聞かせていただいている方のブログのコメントにこんなことが書かれていた。
「私は、他の視覚障害者の方の手記をよく聞かせていただいている。」

 そうなんですよねぇ。
 わしが、6年前に見えにくくなってきて、会社からダメダメ宣告を受け、必死に復職に向けて模索していた時にも、他の視覚障害者の体験記が書かれている手記なんかをインターネットで検索したりして聞きあさってましたです。

Tの会・会報
とか、

視覚障害者からのメッセージ
とか。

 他にも個人的なHPを加えると数え切れないほどです。
 もちろん、今でもインターネットで検索しては、少しでも視覚障害に関する情報を集めてますです。

 それらを聞いて、世の中には、わしと同じように中途で視覚に障害を持ち、もがき苦しんでいる人がいかに多いことか。
 わしは、いかに視覚障害に関して無知だったのか。
 工夫次第では、まだまだどうにかなるもんじゃ。
 晴眼者にとっては、視覚障害者がどのような思いで日ごろ過ごしているのか知らないのか。
 インターネットでこれらの情報を聞ける人は、全体の視覚障害者の方の数パーセントしかいないのか。

 まあ、いろいろな発見ができるものである。「 このようなことがなければ、とっくにわしはつぶれていたろうなぁ。」
と、しみじみ思う出巣。

 けんど、これらの手記・体験談に書かれているのは、どっちかというと成功事例やある程度障害を受け止めて、前向きに生きられている人のお話が多いんですよねぇ。
 これらの人はほんのわずかで、何の情報も入らずに、日々もがき苦しみ、また、情報が入っていたとしても、なかなか回りの人に認めてもらえず、自分の殻に閉じこもり陰鬱な日々を過ごされている方は多いんだと思いますです。
 そして、もがき苦しんでいる人の方のお話はなかなか表に出てこず、お聞きする機会も少ないんですよねぇ。
 これらの人に対して、どうにかして暖かい手を差し伸べることはできないんでしょうかねぇ。
 このことを考えるといつも憂鬱になりますです。 (フゥーー)

 まあ、わしとしては前に進んで行くしかないんでして、子供らが独り立ちして、一区切りして、妻とのんびりとした日々を過ごすことができる日までは、けっぱらねば・・・!
 あっ。 ボチボチとねっ!