ある在宅ワーカーのつぶやき -28ページ目

ある在宅ワーカーのつぶやき

みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

更新をお休みしておりまして申し訳ありません。

相変わらず、バイトと仕事に追われてしまっていますので、定期更新はしばらくできそうにないのですが、少し余裕ができたときにちょっと更新するスタイルでいこうかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

ということで久々の更新なのですが、これまた久々に新訂関係でないものです。

これは大分前に記事にした「私立」or「市立」の関連というか内容はほぼ同じなんですが、先月の繁忙期に「あっ」と思ったものです。

というのが、「私立」「市立」は「ワタクシリツ」「イチリツ」と呼んで発言中も区別することが多いんですけど、これはそういう区別のできる言い方をあまりしないんですね。例えば「市有地」「私有地」ですが、このようなものは前後の文脈を見て判断するしかありません。

 

それでこの間うっかり間違いそうになったのが、「市有林」と「私有林」です。

具体的には、平成31年から徴収されている森林環境譲与税というのがあるんですが、先日受けた仕事の中で、その森林環境譲与税に関して、「市町村の区域内にあるシ有林の面積で決まる」という旨の発言がありました。

どっちでしょう。聞いただけでは分かりませんよね。

 

こういうのは文脈でどうこうではなく、法律で定められたものなので、法律の条文を調べてみるべきです。というわけで法律を調べてみますと、第28条の市町村に対する譲与の基準として、「私有林人工林の面積」とありました。

ということで、上記の発言は、「市町村の区域内にある私有林の面積で決まる」とすべきです。

 

ただ、これも、森林環境譲与税に関することは「私有林」でオーケーですが、市の予算や決算の話になると、同じ会議の中で市の所有している林地の管理の話が出てくることもあり、その場合は「市有林」になるので、非常に紛らわしいです。ぼやっと聞いていたら100%聞き逃す自身があります。(というか、上記の「私有林」も二度目のチェックで発見しました)

一瞬も気が抜けない、日本語は本当に恐ろしいです……。

昨日の記事にて、動植物の表記の基準について若干の変更があった旨を記載しました。

その中では記載しなかったのですが、用字用例辞典冒頭の表記の基準の中で、昨日触れた「片仮名書きの語」の前にある「平仮名の語」の中に、えとは平仮名表記というものがありまして、えとは本来の動植物名の表記ルールがどうであれ、平仮名表記であることが決まっています。これは旧ルールから引き続き変わらぬものとなっております。

 

これまでこのブログで何度か触れてきましたが、動植物名の表記ルールは、これらの基準にのっとりつつも、結構例外が多いです。

そんな中で、今日の表題の「ネズミ」は、旧ルールにおいては、基本片仮名表記でえとのみは平仮名表記という、基準どおりのものでしたが、今回の改訂でそうではなくなってしまいました。

 

新訂の用字用例辞典の「ネズミ」の項を見ますと、例外表記の部分に、旧ルールで記載のあった「ねずみ年」「ね年」のほかに、「ねずみ色」「ねずみ算」「ねずみ講」「ねずみ取り(交通)」「ぬれねずみ」とというのがしれっと付け加わっています。

これらは「注例」とありますので、ほかにも類例があります。恐らくですが、内容からして、動物のネズミを指さないものは平仮名表記なのでしょう。つまり、「ねずみ取り」はスピード違反等取締りの場合で、実際に動物のネズミを捕獲するものは「ネズミ取り」でよいのでしょう。

 

……とは思いますが、明確な記載がないのではっきり断言はできません。本当にこういう書き分けについてのずばっとした答えが欲しいです。列挙だけではなくて。

 

 

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すみません、バイトを入れ過ぎて記事ストックが尽きてしまいました。

というか、バイトを入れたので仕事をセーブするつもりが、なぜか9月と同じぐらい仕事が…。

少し更新をお休みさせていただきます。

申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。

用字用例辞典の冒頭に記載されています表記の基準において、片仮名書きの語の中で、動植物の表記についての記載があります。これは旧ルールと変更はありません。

しかし、その内容に若干の変更があります。

 

まず、基本として動植物は片仮名表記なのですが、その表記の例外として、旧ルールでは「動植物に関係ある常用漢字のうち、漢字1字で書けるもの」とあり、新訂では「漢字1字で書けるもの」とあります。つまり、「動植物に関係ある常用漢字のうち、」が今回の改訂でなくなっています。

それで具体的にどうなっているかというと、その記載の下に対象の語が示されていますが、動物では25あったものが「鵜」と「鷹」が加わって27に、植物では29あったものが「粟」「栗」が加わって31になっています。

 

さらに、その次の「特に漢字で書く慣用の強いもの」というのは旧ルールと変わっていないのですが、その例示したもののうち幾つかのものはなくなっています。

このうち、「裸麦」「ハト麦」は、用字用例辞典から項目名自体も消えているため、片仮名表記となったものと考えてよいでしょう。

一方、「チョ麻」(「チョマ」と読む。「カラムシの別名。また、その繊維で織った布」(デジタル大辞泉より))と「燕麦」「ライ麦」「珪藻」はこの「特に漢字で書く慣用の強いもの」の例示からは消えていますが、用字用例辞典の項目として存在し、漢字表記となっているため、これらは旧ルールに引き続き漢字表記のままであります。

 

つまり、、上記の最後に記載したとおり、例示からは消えたが項目して存在しているものがあったため、この冒頭の表記の基準の記載はあくまでも例示であり、一つ一つ用字用例辞典の項目を確認したほうがよいということでしょう……。

ちょっと泣けてきました……。

連日愚痴っていますとおり、このたびの用字用例辞典の改訂は面倒くさいことが圧倒的に多いですが、たまにこのブログでも触れていますとおり、ごく少数表記が簡単になったように感じるものもあります。今日のお題もその一つです。

 

これは旧ルールのときも記事にしていますが、「主立った」という形で使われることの多い言葉です。一般的にはあまり用いられないと思われる表記をするルールになっていたのが、このたびの改訂で個人的にはしっくりくる表記になりました。

というか、前の表記は、用字用例辞典を見て初めて、こんな表記できるんだというのを知ったものです。もちろん納品前のチェックリストに入れておりまして、いつまでたっても削除できない状態が続いておりましたが、「重」を「主」と間違うことについてのチェックは今回ようやく削除することができました。

 

まあ、でも代わりに「主」を「重」と間違うことについてのチェックが加わったのですがね……。7年以上かけて一生懸命覚えたルールからなかなか切り替えられなくて困っている言葉であります。

先週、新訂の表記変更の煩雑さについていろいろ書きましたが、その中の一つ、同じ言葉でも意味によって表記を分けるものについては、「取りたて」はもともと分けていたものでしたけれども、このたびの改訂で新たに表記を分けることになったものが非常に多く、それもまたスムーズに作業をする大きな妨げになっているように思います。「ツクる」が出てくると今でもよく作業の手が止まりますし、「カわる」は見直しの際にこれでよかったかなと悩んで改めて用字用例辞典を見直すことが多いです。

 

しかし、そういう超頻出語ならば、これは表記が変わったという事実は頭にしっかり刷り込まれていますからいいのですが、今日の表題の「めぐる」は、そんなに出てくる言葉ではないですし、そもそも日本語としては表記を分ける必要はないので、出てきたときは表記を分けなければいけないという事実が頭から消え去ってしまっていて、納品前に行う間違いチェックで必ず引っかかる危険なトラップになっています。

 

ではその「めぐる」はどのように書き分けをするようになったかといいますと、用字用例辞典には平仮名表記に「まつわる」の場合と記載があるのみなので辞書でちょっと掘り下げてみますと、

 

1 周囲をまわる。周囲に沿って進む。
2 周囲を取り囲む。取り巻く。
3 あちこちまわり歩く。巡回する。
4 まわって再びもとに返る。
5 ある事柄を中心としてそのことに関連する。

(以下、現在用いない意味のようなので略)

 

とデジタル大辞泉の「めぐる」の項に記載があるのですが、5が用字用例辞典的に平仮名表記するもので、それ以外が漢字表記するものとなります。

こう見ると、確かに5だけちょっと異質ではあります。1から4は具体的な動きですが、5は事柄で。

でもやっぱり、表記は一緒でよかったのになあと言いたくなってしまいます……。