先週、新訂の表記変更の煩雑さについていろいろ書きましたが、その中の一つ、同じ言葉でも意味によって表記を分けるものについては、「取りたて」はもともと分けていたものでしたけれども、このたびの改訂で新たに表記を分けることになったものが非常に多く、それもまたスムーズに作業をする大きな妨げになっているように思います。「ツクる」が出てくると今でもよく作業の手が止まりますし、「カわる」は見直しの際にこれでよかったかなと悩んで改めて用字用例辞典を見直すことが多いです。
しかし、そういう超頻出語ならば、これは表記が変わったという事実は頭にしっかり刷り込まれていますからいいのですが、今日の表題の「めぐる」は、そんなに出てくる言葉ではないですし、そもそも日本語としては表記を分ける必要はないので、出てきたときは表記を分けなければいけないという事実が頭から消え去ってしまっていて、納品前に行う間違いチェックで必ず引っかかる危険なトラップになっています。
ではその「めぐる」はどのように書き分けをするようになったかといいますと、用字用例辞典には平仮名表記に「まつわる」の場合と記載があるのみなので辞書でちょっと掘り下げてみますと、
1 周囲をまわる。周囲に沿って進む。
2 周囲を取り囲む。取り巻く。
3 あちこちまわり歩く。巡回する。
4 まわって再びもとに返る。
5 ある事柄を中心としてそのことに関連する。
(以下、現在用いない意味のようなので略)
とデジタル大辞泉の「めぐる」の項に記載があるのですが、5が用字用例辞典的に平仮名表記するもので、それ以外が漢字表記するものとなります。
こう見ると、確かに5だけちょっと異質ではあります。1から4は具体的な動きですが、5は事柄で。
でもやっぱり、表記は一緒でよかったのになあと言いたくなってしまいます……。