【新訂にて変更】「つくる」→「作る」or「創る」or「造る」or「つくる」※2021/3追記 | ある在宅ワーカーのつぶやき

ある在宅ワーカーのつぶやき

みそっかす反訳者が、用字用例辞典(日本速記協会)の表記ルールにおける個人的な解釈についての記事を書いています。2020年4月半ばから新訂対応です。たまにテープ起こしについてのそのほかの話も。文中で引用している辞書はこちら→https://dictionary.goo.ne.jp/jn/

以前、このブログについて、私の、私による、私のためのブログである旨記載したことがあります。

それは今も全く変わっていなくて、現在は、主に新訂の変更点を把握するために記事を作成し、実際の作業で書き分けの難しい言葉が出てきたときにそのポイントを確認するために閲覧しています。

というのも、簡単検索できるマイ辞書はエクセルで作っているんですが、既に1万語強を登録していまして、あまりたくさんの情報を載せたくないので、詳しい書き分けについてはそこでは触れていないのです。ですから、「」の記事なんかもう何回見たことか……!!(いいかげん覚えたいんですが脳が白旗を上げています)

 

というわけでこのブログを今最も閲覧しているのは多分私ですが、その回数をさらに増やすことになるであろうのが今日の記事です。

昨日に引き続き、平仮名表記からの使い分けという厄介な、しかも超頻出語の表記変更です。

こういうのの何が厄介かというと、漢字表記に変更になったということまでは何とか覚えても、肝腎の漢字の使い分けが必要であることが頭からすっぽり抜けてしまうことです。

 

いや、そんなあほ私だけかもしれませんが、この「作る」については新旧対照表からの単語登録データ作成とその後のメンテ、納品前のチェックリストで何度も見たはずなのに、しばらくの間全部「作る」にしてしまっていました……。自分の記憶力が残念過ぎて涙が出ます。いや、それを受け取った側も涙が出たかもしれません。(怒りで)

 

まあそれはさておき、この使い分けも超面倒です。

用字用例辞典の用例を見てみますと、「作る」は「薬・米・時計・料理・議事録-を作る」、「造る」は「酒・船・貨幣・建物・道路・庭園・兵器・みそ・ダム・自動車-を造る、石造り、寝殿造り」、「創る」は「神は万物を創る、新しい文化を創る、画期的な商品を創り出す」、「つくる」は「体・国・列・環境・機会・規則・計画・子供・人材・制度・組織・法律・平和-をつくる、まち・村づくり、生けづくり、形づくる」と、ちょっと脳が情報の処理を拒否しそうな感じになっています。

 

仕方ないので辞書を見てみますと、こちらはまた一つの項目として記載されていますが、まず見るべきものとして最後に記載がある補説があります。


[補説]一般的には「作る」が用いられ、「造る」は家や船など大きなものをつくること、また、酒を仕込むことに用いられる。「創る」は創刊・創業・創作・創造・創立などのように、新しい物事をつくりだす意で使うが、製造・製作・育成・栽培などに関しては使わない。(デジタル大辞泉より)

まずは補説ですね。これが用字用例辞典における基本の漢字の使い分けのように見えます。「酒を仕込むこと」の関連で「みそ」も「造る」に含まれるんじゃないかなと思います。貨幣は謎ですが……。ここはもう出てきたら一々用字用例辞典の用例を見るしかないと思います。

 

それで、一番問題となるのが「作る」と「つくる」の書き分けではないかと思います。辞書では「一般的には「作る」が用いられ」という部分が、用例にありますように、用字用例辞典では書き分けが必要なわけです。

 

用例と辞書の意味を見比べてみますと、個人的には、デジタル大辞泉では以下の意味が用字用例辞典では平仮名表記になっているような気がします。

 

3 いままで存在しなかったものを新しく生じさせる。「子供を―・る」「地方に支店を―・る」

(→用字用例辞典の用例「子・組織-をつくる」等に該当?)

4 意図的に工夫して、形・状態を現出する。わざとそのようなようすをする。「口実を―・る」

(→用字用例辞典の用例「機会をつくる」に該当?)

 

全く違うかもしれませんが……。平仮名表記の「つくる」については、具体的に形のある物を作るわけではない場合のような気もします。つまり、形ある「物」のときは「作る」で、「子」は形はあるけど物ではないので平仮名表記ではないかという解釈です。

 

いずれにせよ、こういう厄介なものは用字用例辞典に用例だけではなく何か使い分けのポイントを載せてほしい気持ちでいっぱいです……。

 

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速記協会で新訂用字用例辞典の正誤表が出ています。主に用例部分ですけど、少数ながら項目自体の表記の訂正や頻出語の用例も含まれていますので、新訂の用字用例辞典を使われている方は御確認されたほうがよいかと思います。

 

 

★2021年3月28日追記

令和3年2月に速記協会から発行された「日本の速記2021年冬臨時増刊号 新訂標準用字用例辞典の解説その2」にて、改めて解説されていました。

その書き分けを以下引用しますが、何と、

 

【作る】主として、手作業で規模の小さいもの、抽象的なもの、無形のものをこしらえる

【造る】主として、規模の大きいもの、工業的なもの、有形なものをこしらえる

【創る】創造性のあるものを生み出す

【つくる】「作る」「造る」いずれも当てにくい場合、仮名書きとする

 

なのだそうで。

どういうことなん……。そして何でこれをまず用字用例辞典に書いてくれんのん……。今さら後出し過ぎじゃろう……。

無形のものも「作る」とは……。これ、用字用例辞典本体の用例や、2020年夏に出た1冊目の解説から読み取れた方はいらっしゃいますか?

というか、2020夏の記載の、「「作る」は、主として規模の小さいものをこしらえること。「造る」は、主として規模の大きなものをこしらえること。醸造すること。「創る」は、独創性のあるものを生み出すこと。限定使用。「つくる」は、主として抽象語に使う」と全体的に内容が変わっていないですかね……?

本当何なん……?