「隠し事のある人にとっては、会話はいつだって危険なものですよ」
((((゜д ゜;)))) 💦
直前に読了したロスマクの「さむけ」は1963年発表の俗にいうハードボイルドもの、トリックよりも洒落たセリフや人間関係に根ざした事件をメインに置いているイメージ🤔?
でもなぁ 人間関係というなら、、
「人は他人のことをなにひとつ知らないというのがほんとうじゃないかしら」と、イーヴリンがいった。「たとえいちばん身近な人のことでさえも・・・・・・」
翌1964年の発表になるクリスティの本作を読みはじめて、その冒頭の牧歌的な雰囲気に古き良き時代のミステリィ小説然とした、ハードボイルドとはかけ離れた感触を持ったのだけれど、どうしてどうして、登場する人物の描き方にジャンル的な差異などは感じることもなく、さすがは クリスティ✨
否、
ポアロものとの差異の強調として、登場人物の印象、行動や、彼ら彼女らとの会話を丁寧に描くことで、そこから事件の糸口を見つけるその手法は、マープルものにして、今の小説と比べてもまったく遜色なく読めた、さすがは クリスティ✨
彼女はたったひとつの武器しか持っていない、その武器とは会話だった。
カリブ海の秘密 / A.クリスティ
避暑地での老人の死はただの持病によるものだと誰もが信じていた、ただひとり、マープルをのぞいては
そして
「うちの使用人の一人なんです」と、彼はいった。「名前はなんていったかな──そう、ヴィクトリアだ。だれかが彼女にナイフを突き刺したんです」
あらたな死
「ヴィクトリアです──気だてのよい娘で──とてもよく笑う──ああ、彼女は──もう二度と笑わないんですわ。わたしは忘れません──けっして──」彼女の声は、ヒステリックに昂ぶった。
そして
何気ない会話からの本格ミステリィ然とした着地のさせ方は、さすがは クリスティ✨
「やれやれ。近ごろの医者はこんなものを無制限に患者に渡すんだな。不眠で悩んでいる若い女性に、羊の数をかぞえろとか、おきあがってビスケットをつまめとか、手紙を一、二通書いてからベットに入れとか教える医者は一人もおらんらしい。即効薬か、近ごろの患者はみなそれを要求する。わたしはときおりそういった薬を患者に渡すのが残念でならないことがあるよ。人間は人生において耐えることを学ばなければならない。赤ん坊を泣きやませるためにゴムの乳首をくわえさすのはいい。しかし一生そのやり方をつづけることはできんからね」
本作を発表したこの年、クリスティは74歳で最晩年の時期にあたる、マープルを通しての彼女の人生観が現れているようにも思えるなぁ、、
昔はトリックの面白さにより惹かれていたというのもあったからかもしれないけれど、マープルものよりもポアロものにどっぷりとつかっていた
でも今は、
こういうミステリィの方に魅了されるのを感じる、クイーンのライツヴィルものはまさにそうだしね