ジーナの眼は、涙でかすんできた。
「あたし、あなたやルース伯母さまやおばあさまが若かったころのことを考えると・・・・・・どうしてみんな似たひとばかりに思えるんでしょう!・・・・・・あたしには想像もつかないの・・・・・・どうしてだか・・・・・・」
「そうでしょうとも」とミス・マープルはいった。「はるかに遠くすぎさった日のことですもの」
はるかに遠くすぎさった日 かぁ、、
最初の殺人が起こるまでのシチュエーションが実に面白い、それだけでも十分に驚きなのに、かつまたそこに何故かさらに新たなる人物を登場させてもいる、このことがどう真相に関わってくるのか? さすがはクリスティ✨
「なあんだ、そうだったの。そうにちがいなかったのだわ」ミス・マープルはいった。
魔術の殺人 / A.クリスティ
一作の短編集を含む全12作+アルファからなるマープルものの長編第五弾✨
この物語の顛末にはクリスティの敬愛するホームズ譜的な余韻をすら感じるなぁ、、この余韻はポアロものでは感じたことはないような?
つまりは、そもそもポアロでは書きえなかったこの余韻をマープルものを書くことによって成し得たのではないか? そんな気がした一作
そんな余韻を感じたものだから続けて長編第六弾、クリスティ中期の傑作といわれる 見立てもの を✨
冒頭より
イリュージョン という単語が 幻覚 と訳されているけど、幻影 のほうがいいなぁ...
はるかに遠くすぎさった日
それは 幻影 だ
二度とはもどらない 夢のような 日々 だ...