ホテルローヤル / 桜木紫乃 | カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

カーツの歴史散策&御朱印作庭  庭は眺めるものではなく、       出てみるものなのだ、、

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電光影裏斬春風

知っているようで知らない歴史の裏側をそっと、

御朱印帳をたずさえぶらり、ふらり、、つれづれに、、、

日々徒然に

上映後の監督のトークイヴェント付きで映画を鑑賞

 

なるほどなぁ... 

 

波瑠さん演じる主人公を

 

 うまく旅立たせたかった

 

とは武正晴監督の弁、とても優しい目線だ

 

 

ということで原作を手に✨

 

 

 

ホテルローヤル / 桜木紫乃 

 

 

第149回直木賞受賞作

 

 

原作は、あえて誰が主人公かといえば ホテル自体 がそうなのかな?

ホテルローヤルというラブホテルを往来の中心にすえ、各人各様の物語が、オムニバス形式で、時間をさかのぼって綴られる

 

この 時間をさかのぼる というところが本作の肝なのかもね... 

 

映画版は主人公をホテルの跡をはからずも取ることになってしまった娘である雅代にすることで、その旅立ちの物語として時系列的に再構築しているが、原作は、ホテルの現在からその誕生前へと、ある種人の一生を俯瞰するかのように、あるいは見てきたかのように、各人各様の人生を紡ぎだす

それはあたかも作者である桜木紫乃さんがホテルローヤルにみる幻影、優しい目線、走馬灯にみるような愛着とおぼしき思い出、あるいは、愛情そのものの顕われ なのかもしれない、、

 

 

追記

 

この オムニバス という素材をどう一本の映画にまとめあげるのか、映画作りという観点においては、それは シン・ウルトラマン のそれと何ら変わらない、そこにあるものは、監督のその素材に抱く愛着、注ぐ愛情に他ならない

 

あとは、観る側、読む側が、その思いにどう向き合い、どうとらえるかに委ねられる

 

そんなことを思うといつも思い出すのは京極さんの、「この世に面白くない本などない」という至言だ

面白い本を読むという通りいっぺんの構え方ではなく、面白く読むという感覚、その面白さのツボにふれることが出来るかどうか、それは、美味しいものを食べる ではなくて、美味しく食べる という感覚なんだろう、、

もちろん、ツボにはまらなくてもいい、いいにはいいが、、ツボにはまったほうが 断然面白い に決まっている

 

と、

 

この頃はそんなことを思うんだな

 

 

『** ホテルローヤル **』