はじめに

前回の投稿では、「translanguagingの壁」として、中1生徒でさえもオールイングリッシュに固執していることを書きました。

この「壁」を取り壊さない限りは、より自然な言語使用であるtranslanguagingが広まっていかないと僕は懸念を示しました。

 

しかし早速、今週ふとこの「壁」を取っ払いうる良い方法に出会ったのです。

一体それは、どんな方法なのでしょう?

 

  国際交流イベント

translanguaging へと繋がるいい方法とは、我が校で行われている国際交流イベントです。

私学ということもあり、毎年何名か留学生を受け入れているのですが、今年は20人程度来校しているようです。

その生徒たち (年齢、出身バラバラに見えました)が我々の英語の授業に来てくれて、特別活動をするという機会が設けられました。

たったの1時間ですが (考査前のこの時期には大きい1時間ですが、、笑)、生徒たちはとても楽しそうに過ごしていました。

 

我々教員は、教室から広い場所へ連れていき、生徒をグループ分けしてただ見守るだけです。生徒たちはグループに分かれて、留学生が用意してくれた遊びを一緒にやります。折り紙、ジェスチャーゲーム、グループのみんながヒントをあげて引いたカードを当てるゲームなどをやっていました。

 

そうです、ただの遊びの時間です。笑

でもこの「遊び」が、translanguagingを自然にしてくれる大事な時間だと僕は思いました。

 

たとえば、生徒たちの会話を観察していると、留学生が日本語を話し、僕の生徒が英語を話している場面をよく見かけました。お互いのターゲットランゲージなので普通といえば普通ですが、それでも「日常」から考えると不思議な光景です。

また、留学生と僕の生徒が日本語と英語を行き来しながら会話するのも何度も見かけました。

 

留学生: It is like .. なんか...あの... washing an elephant (のジェスチャー)は難しいね!

僕の生徒: Yes, yes. Difficult. できないよ〜

 

といった感じです。まさにtranslanguagingではありませんか!!

これって国際交流では普通にやるよね!?

ってことに、生徒が気づいてくれたらもう最高ですし、そうでなくともこの話を別の授業の時間ですることで、translanguagingの壁を取り払っていけると感じました。

 

もちろん互いに英語・日本語の運用能力が足りていないことは否めませんが、それでも「意味交渉」をするために必要なことはある言語の「完璧」な文法ではなく、translanguaging でありその心構えなのだと改めて思いました。

 

  おわりに

僕の生徒が経験した国際交流の時間に、translanguaging の壁を取り除く希望を見出しました。

もちろんこのような恵まれた環境は、どの地域、学校にもあるわけではないのは理解しています。しかし、このような「遊び」の国際交流を、若い時期のどこかで持てるのは大変貴重な経験だと思います。

直接海外に行ったり人を招いたりできなくても、今の時代ならオンラインでそれができるはずです。

生徒個々人でもいいし、学校が何かしらのメディアを通じて国際交流をさせてあげることができると思います (実際、東京の公立の先生で、特にインフラもなかったなかで、オンライン国際交流をされている方を知っています)。

 

英語学習にももちろん、基礎基本や学校で教わる大切なことがたくさんありますが、やっぱりゴールを忘れてはならないなと思います。

どんな形であれ、「国際交流」を果たすために英語を学んでいる/教えているのです。であるならば、中学生など低年齢のうちは特に、どんどん「遊び」のなかで英語を学ぶことをして欲しいと思います。そうすると必ずといっていいほど、translanguaging に触れることになり、translingual identityが養われていくでしょう。

 

そうやって築かれたidentityは、現代では大変大きな意義がありますし、英語学習を促進させるものになります。そんな英語学習・教育を目指していきたいものですね。