権力とマイノリティ -7ページ目

消費税を上げる? 財政の再分配を考え直せ

■消費税は低所得者に負担増
 社会保障制度を維持するために、消費税を上げようという議論が、次々出てきている。なんと消費税を17%にしようという話しまで、経済財政諮問会議で出ている。消費税による負担は、低所得者層に重たくのしかかる。
 大企業や高額所得者に優遇税制で、減税しておいて、財源がないからという理由で、安直に消費税を上げるというのは、あまりにもひどいではないか。 

 少子高齢社会で社会保障費が足りないと、直ぐに言い出す政府・厚労省だが、消費税上げる前に、やるべきことがあるのではないか。我が国は、曲がりなりにも先進国で「経済大国」なのだから、社会保障費は国民が安心して生きていくための必要経費である。

 つまり、財政の再分配をどうしていくかを、きちんと考えていくべきなのだ。政府はお金持ち企業からしっかり税金をとって、障害者や高齢者など、社会福祉・医療を必要としている人に、きちんと再配分していくことが必要なのである。
 2007年度の米軍に対する思いやり予算は、なんと2173億円。こういう予算を社会保障費に使えばいい。

●読売新聞 10月20日9時19分
【社会保障制度維持には消費税「正面から議論」…与謝野会長】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071020i302.htm?from=main3
 自民党財政改革研究会の与謝野馨会長(党税制調査会小委員長)は19日、読売新聞のインタビューに応じ、年金・医療・介護の社会保障制度を維持していくため「消費税の議論を正面からせざるを得ない」と述べたうえで、消費税を「社会保障目的税」とし、税率の引き上げに国民の理解を求めていく意向を示した。

 また、地方自治体の社会保障財源に関連して、「(国が決めた通りに課税するのでなく、必要なら)知事や県議会が税を県民にお願いするようにならないと、本当の地方自治にならない」と述べ、自治体が課税自主権を積極的に活用すべきだとの考えを明らかにし
た。

 与謝野会長は社会保障制度について「財政的な裏付けをきちんとしておかなければいけない。借金財政でやっていけば、壁にぶつかる」と述べ、安定的な財源確保の必要性を強調。さらに「法人税、所得税はこれ以上、上げる議論はできない」と指摘、消費税率引き上げが避けられないとの認識を示した。

●北海道新聞 10月19日 卓上四季「重い負担」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/55794.html
 朝日茂さんは結核で療養所に暮らし、生活保護を受けていた。当時の保護基準では、例えばパンツを年に一枚しか買えない。ちり紙は一日平均一枚半だ。これでは憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」はできない、と裁判で国を訴えた。

 提訴五十年になる朝日訴訟だ。一審の東京地裁は、朝日さんを支持し違憲判決を下す。一九六〇年十月十九日のことである。上級審で敗訴したが、「人間裁判」と呼ばれ、人が生きる権利を問い続けた。

 今の社会は当時より豊かだ。だが近年、社会保障の水準は引き下げられている。生活保護以下の賃金しか得られない「働く貧困層」も急増した。若者の雇用問題に詳しい作家の雨宮処凛(かりん)さん(滝川市出身)は「国内で奴隷ができているような状態だ」と指摘する。

 政府・与党内に消費税の増税論が浮上した。財政のために最大2・5%の税率引き上げが必要だという。社会保障を含む歳出削減か、消費税上げか、どちらを選ぶか迫った形だ。

 消費増税による負担は、所得が低いほど重くなる。だが大企業や高額所得者向けに行った減税に切り込む話は聞こえない。ずいぶんとバランスを欠いた議論である。
 庶民の汗を踏み台に、一部の人ばかりがうまいことをする。そんな格差の広がりを改めるのが先決ではないか。病床から世のゆがみをただそうとした朝日さんの思いは、今に生きている。

緊急行動 貧困のスパイラル化を招く生活保護費の大幅削減

 厚労省は何とも姑息な手段で、生活保護費削減に向けた、初の検討会議を開催する。それに対する緊急行動が、厚労省前で行われます。

●北海道新聞 10/18 07:02
【生活保護費、都市部大幅削減も 「級地」見直し あす初の検討会議】 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/55613.html
 二〇〇八年度から生活保護費を削減する方針の厚生労働省は、給付の基本となる基準額の引き下げ幅など具体的な内容を話し合う検討会の初会合を十九日に開く。物価などを考慮し、地域ごとに支給額に差をつけていた「級地」制度も抜本的に見直す方針で、札幌市など都市部では大幅な引き下げが懸念される。

 協議を始めるのは学識経験者らでつくる厚労省社会・援護局長の私的研究会「生活扶助基準に関する検討会」で、年内に報告書をまとめる。食費や光熱費、被服費などを算定した、最低生活費にあたる基準額の引き下げを提言する見通し。

 さらに基準額を支給する際、物価などを考慮して全国を六区分している「級地制度」も、一九八七年の同制度導入以来初めて見直す。現行では基準額が一番高い東京などでは平均世帯(夫婦と子供一人)の支給額は月額十六万二千百七十円。続く札幌などは十五万四千八百七十円だが、最低水準の地域の十二万五千六百八十円との差を縮める考え。そのため、基準額の高い地域ほど見直しの影響が大きくなる。

 基準額の水準は〇四年度の全国消費実態調査の結果を基に検討する。九九年度の前回調査に比べ、消費支出が4・5%減少していることから、生活保護費の基準額も引き下げは必至。同じ水準が適用されると札幌市の場合、基準額の削減は年間約八万円となる見通しで、「級地」が見直されれば、削減額はさらに膨らむ見通しだ。


■まだイジメ足りないのか!?
生活保護受給者だけじゃない!低所得者全体に影響
「難民」化・少子高齢化を推進してどうする?
ふざけるな!最低生活費基準切下げを阻止する、怒りの緊急行動のおしらせ


【とき】10月19日(金)18:30~21:00
【ところ】厚生労働省前
【やること】リレートーク。その時間、5F第12会議室で「検討会」が開かれます。会議室に届くよう、一人一人が訴えましょう。ずっといられない方でも、ちょっと立ち寄って、ひとこと言ってやりませんか! 
【持参してください!】横断幕他アピールに使える物なんでも。特に拡声器をお持ちの方、どなたか!!
【問合せ連絡先】080-3022-4422(湯浅。NPOもやい/反貧困ネットワーク事務局長)

【緊急記者会見もあります】
主催:生活保護問題対策全国会議
時間・場所:厚生労働省記者クラブ18:00~

【呼びかけ文】
<検討会の目的>
 厚生労働省は、10月19日19:00~20:30の予定で、「生活扶助基準に関する検討会(一回)」を開くことを、急遽決定しました(座長:樋口美雄慶応大学教授。委員:岡部卓(首都大学東京)、駒村康平(慶応大学)、菊池馨実(早稲田大学)、根本嘉昭(神奈川県立保健福祉大学))。年内には結論を出すと厚生労働省担当者は言っています。
 「骨太の方針2006」を受けた今回の検討会で、厚生労働省は「一般低所得世帯の消費実態との均衡」を理由に最低生活基準の切り下げを狙っています。

<貧困化スパイラルが進む——生活保護受給者だけの問題じゃない!>
 本当に必要なことは「一般低所得世帯の消費実態」が上がるようにすることのはずですが、最低生活基準が切り下がれば、まったく逆の効果を生みます。それに連動している各種基準額が切り下がり、収入が増えなくても、今まで減免されたものを支払わなければならなくなり、負担増につながります。

○ 医療:国民健康保険料の減免基準等が下がります。
○ 福祉:介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法による利用料の減額を受けられない人が増えます。
○ 地方税:非課税基準が下がります。
○ 教育:公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準が下がります。収入が増えなくても負担が増えれば、低所得者の消費実態はさらに下がります。そうすればまた、それを根拠に最低生活費が切り下げられ、それがまた低所得者の消費実態を押さえ込むでしょう。こうしてエンドレスの貧困化スパイラルが進行し、人々の暮らしは苦しくなりつづけます。

<「難民」化推進・少子高齢化推進策>
 当然、国民健康保険を払えずに医療を受けられない「医療難民」、介護保険を利用できない「介護難民」、暮らしそのものが成立たなくなって「ネットカフェ難民」、その他の各種「難民」が増えます。
 生活保護受給者と低所得者の「均衡」「格差是正」などと言われることがありますが、ただ単に貧困化が推し進められるだけで、政策による国内難民が増やされていきます。
 当然ながら、子どもを生み育てるどころではない人たちも増え、少子高齢化はますます進行していくでしょう。
 厚生労働省はいつから、「国民の暮らしと健康を損ない、国内難民化と少子高齢化を推進する省」になったのでしょうか?

<コソコソすんな!——やり方が姑息>
 今回の検討委員会は、10月16日にHP上で初めて告知され、傍聴希望の締切りは18日正午に設定されていました(しかも電話受付は認めず)。
 厚生労働省は、10月2日に民主党・山井議員の質問主意書に対して「やるかやらないか決まってない」と回答したばかりでした。わずか2週間の間に、開催を決定し、人選し、承諾を得て、期日を入れたとでも言うのでしょうか? なるべく知らせないまま、人々の生活に重大な影響を及ぼす決定をやってしまおうとは、国民不在、あまりにもやり方が姑息です。

【呼びかけ人(五十音順)】
生活保護問題対策全国会議(代表・尾藤廣喜)
青木 繁幸(NPO法人神戸の冬を支える会事務局長)
雨宮 処凛(作家、反貧困ネットワーク副代表)
猪股  正(首都圏生活保護支援法律家ネットワーク共同代表、反貧困ネットワーク)
河添  誠(首都圏青年ユニオン書記長、反貧困ネットワーク)
志磨村和可(ホームレス総合相談ネットワーク、反貧困ネットワーク)
杉村  宏(法政大学教授、反貧困ネットワーク)
辻  清二(全国生活と健康を守る会連合会事務局長、反貧困ネットワーク)
舟木  浩(生活保護裁判連絡会、反貧困ネットワーク)
三浦 仁士(フリーター全般労組、反貧困ネットワーク)
山本  創(DPI日本会議、反貧困ネットワーク)
湯浅  誠(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい事務局長、反貧困ネットワーク事務局長)
吉永  純(生活保護裁判全国連絡会、花園大学准教授)

ライスショック 主食の米も外国産に

自給率   台湾の米

 先進国で食料自給率が、40%を切っているのは、日本だけだ。主食の米さえも、輸入に頼ることになったら、果たしてそれは、国家の呈を成しているといえるのか。
 1960年代は日本でも、食糧自給率は約80%あったが、確実にそれが下がり続け、ついに40%を切ったのだ。

 NHKスペシャルの再放送「ライスショック」を観たが、暗澹たる気持ちになる。更なるグローバリゼーションの進行の中、自分たちの食べる食料さえ、すべて外国産にしていいのだろうか。コシヒカリがアメリカ・カルフォルニアで作られ、それが日本に輸入されている。
 コンビニのおにぎりに、米の産地表示がないし、ファミレスのご飯なんて、もはや日本米である可能性は、低いということだ。

 新潟で農協に出荷せずに、品質も高く安全なコシヒカリを作っている農家に、アメリカの商社が、アジアの富裕層に向けて、米を輸出しようという話しを持ちかけている。すでに台湾では、米の輸入の自由化が解禁されており、スーパーには、世界各国の米が並んでいる。台湾産や中国産のコシヒカリと比べて、日本産のコシヒカリは、10倍以上も高いが、富裕層には売れるという。

 米国の年次要望改革書を推進するための機関である、経済財政諮問会議の委員だった本間正明大阪大学教授は「一人の友だちに嫌われても、他に友好関係を結んでおけば、食料は手に入るから、気にすることはない」などと、呑気なことを宣っていた。ウソを言わないで欲しい。

命は金で買えるのか? ドラマ「医龍2」

■原作は永井明原案の「医龍」
 医療ドラマは「ER」ファンなもので、日本の医療ドラマは、いまいちねぇ~と思っていたのだが、木曜日に観たフジテレビの「医龍2」は、エンターテイメントとしておもしろかった。
 初回は2時間半枠で、充分に見応えがある。原作はマンガ「医龍~Tesm Medical Dragon~」。原作・乃木坂太郎、原案・永井明。去年、医龍がドラマ化されているが、この秋からの続編は、オリジナル脚本。永井明は医師で、その後医療ジャーナリスト・作家として活躍。2004年に死去。
 
 あっさり、あらすじだけ記しておく。
 心臓外科医の朝田龍太郎(坂口憲二)を中心としたチームドラゴンが、大学病院で再結成されて、心臓病の女性が手術をしなければならないのだが、長年の不妊治療でやっと授かった子どもと母親ともども、助けなければならない。チームドラゴンが考えた秘策とは、妊娠9カ月で帝王切開して、その後、心臓手術に移行するという。帝王切開は腰椎麻酔だから意識はあるので、産まれた子どもを母親は抱くことができる。引き続き行われる心臓手術は、当然、全身麻酔。

 心臓手術の術式までよく知らないが、バチスタっていうそうだ。CGで冠動脈がどうしたこうしたと説明しまっくっていた。たぶん医療監修がついているだろうな、と思っていたが、案の定だ。それに手術の際に、ふつう執刀医だけに目が向くけど、麻酔科医の役割を重要視していたから、その辺もなかなかと思っていたが、原案が元医師だと知り、おもわず納得。 

 ドラマだからいいけど、どうみてもあり得ない話しがある。
 当日、大学病院での公開手術があり、母子の出産と手術は提携病院で行われる。患者の急変があって、公開手術は1人じゃなくて、もう1人の外科医とリレー式でやった。

 提携病院での手術の手はずを整えた医療ジャーナリストと名のる片岡一美(内田有紀)は、実は外資の手先だった、というのがオチだ。このオチが、いちばんリアリティがあるよな~と妙に感心したのだ。

 実際、日本の「金になる医療が出来る病院」は、米国資本に買収されようとしているし、国民皆保険制度だって、実は危機に瀕している。下手なドキュメンタリーより、ドラマの方が真実を見抜いて、表現できる強みがあるよなぁ~。フジテレビって、こういうのけっこう上手いんだよな。

■「テーマは医療と金」と語るプロデューサー
 ・・・とか思っていたら、プロデューサーは、マイケル・ムーアの映画「シッコ」を意識していた。やっぱり。以下、フジテレビのサイトより引用。
http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2007/07-230.html 

 長部聡介プロデューサー(フジテレビドラマ制作センター)は「前回は大学病院という閉鎖的な世界で教授を頂点とする権威主義と戦いながら患者に向き合う朝田と彼のチームの活躍を描きました。今回はその狭い世界を飛び出して、今、世の中で現実に起こっているさまざまな医療問題を相手に朝田とそのチームが戦う姿を描きます。

 テーマは“医療と金”です。お金のある人間だけがより高度な治療を受けられるという自由診療の波はすぐそこまできています。マイケル・ムーアの新作「シッコ」で描かれている世界は明日の日本の現実かもしれません。病院も医療法の改正に伴い経営的に自立していないと倒産、乗っ取りの危機にさらされてしまいます。病院といえども今や、民間企業と同じ状況下にあるといっても過言ではありません。

 この厳しい現実の中で、天才心臓外科医、朝田が心臓移植というあらたな目標に向かって突き進みます。医療は患者を救うためにあるという朝田の信念のもとに新しいチームが作られていくのです。オリジナルストーリーを作ることは大変ですがかつてない手ごたえを感じています。坂口さんをはじめとする強烈な個性を持つキャスト陣もさらにパワーアップしています。今、もっとも関心がもたれているテーマを前シリーズよりさらに大きなスケ—ルで描くハイテンションなエンターテインメントとして楽しんでいただけると確信しています」と語っています。

ミャンマーの若者たちは軍の弾圧をブログで世界に発信

ビルマ・デモ アウン・サン・スーチン

■パンドラの箱を空けたミャンマーの軍事政権
 先週の週末は、ミャンマーと沖縄で相次いで大きな動きがあった。わたしは、脊椎官狭窄症の再発で寝込んでいたため、ちゃんとニュースをチェック出来なかったのだが、週明けになり、テレビが続報をしていたので、夕方のニュースを見ていた。
 ミャンマーの軍事政権は、もう20年も続いているわけだが、今回の僧侶らの抗議デモに対して一般市民が呼応するが、大変早かった。それは、軍事政権の弾圧の様子をすばやくインターネットのブログなどで、発信した若者たちの影響力が大きかったという。その様子をNHK「クローズアップ現代」が取り上げていたのが、とても興味深かった。

■ブログで軍の弾圧を海外に発信
 軍の近代化に向けて軍事政権がインターネットの整備を始めたミャンマーでは、軍の僧侶や市民に対する弾圧を目撃した若者が、インターネット・カフェから、その目撃情報をデジカメに撮り、その映像を言論統制の中をかいくぐり、海外に発信した。それら複数の情報をキャッチしたタイ・バンコクの若者などが、ひとつのサイトにまとめ、ミャンマー・ヤンゴンの人たちに発信することで、実際にヤンゴンで起こっていることを、ネットを通じて、ヤンゴンの一般市民が知ることになった。
 軍事政権はデモ隊を制圧したと宣言した。現在ヤンゴンなどのインターネット・カフェなどは、封鎖されてしまったが、まだ水面下でミャンマーの人びとの抵抗は続いている。
 ゲスト出演していた上智大学教授の根本敬さんは「日本はビルマの軍事政権に対する経済制裁を含め、民主化に対する国際的な声を高めていく必要がある」と話す。決してミャンマーの軍事政権の問題は人ごとではない。

●NHKクローズアップ現代 10月1日(月)放送
閉ざされた国で何が~ミャンマー最新情勢~

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku2007/0710fs.html
 軍事政権に対する僧侶らの抗議デモが続くミャンマー、緊迫する情勢に世界の目が注がれている。軍事政権は、ついに武力を使ってデモの鎮圧に乗り出し、日本人を含む多数の死者が出ており、事態はさらに悪化する懸念が高まっている。軍事政権による独裁が続き、国際社会から閉ざされてきたミャンマー。今回のデモは、軍事政権がガソリンなどの燃料価格を5倍に引き上げることに端を発し、僧侶たちのデモに一般市民が次々と合流。

 民主化運動のリーダー、アウン・サン・スーチーさんの解放を求めるなど、民主化を求める大きなうねりとなっている。閉ざされた国でいったい何が起きているのか。デモの背景にある軍事政権に対する市民の不満や、インターネットを通して、連帯していった若者たちの姿を描きながら、緊迫化するミャンマーの最新情勢を伝える。


●ビルマ情報ネットワーク
http://www.burmainfo.org/politics/88GSG_200708.html

徒然なるままに、沢田研二日記『サムライ』&『カサブランカ・ダンディ』

サムライ 思い切り気障な人生


サムライ
作詞・阿久悠 作曲・大野克夫
1978(昭和53)年2月発売。年間ベスト10の4位など大ヒット。77年に「勝手にしやがれ」でレコード大賞受賞の翌年、阿久悠と大野克夫のコンビでアルバム「思い切り気障(キザ)な人生」を制作。サムライはその中の一曲。

片手にピストル 心に花束
唇に火の酒 背中に人生を

ありがとう ジェニー お前はいい女だった
はんぱなワインより酔わせてくれたよ
だけど ジェニー あばよ ジェニー
俺は行かなくちゃいけないんだよ


 阿久悠は著書で、サムライについてこう述べる。
「アルバムのテーマは気障であったが、軽薄なばかりにスマートな男は一つもなく、ぼくが書いた気障はやせがまんということで、損を承知で、馬鹿を覚悟で、痛みをこらえて、やせがまんを押し通すのが、ぼく流の気障の解釈であったようである」

 サムライといえば、沢田研二の衣装にあったハーケンクロイツ(右卍のナチスドイツの紋章)が物議を醸し出し、卍がXに変わったことを思い出す。現在、ウェッブ上で見られる映像はXもなく、シースルーなどの衣装である。
 あとから、右卍をニコニコ動画とユーチューブでも発見!
 卍は世の東西を問わず幸福のシンボルとして用いられていたが、ナチスが紋章としたことで、ナチスの代名詞になった。ハーケンクロイツは、現在ネオナチによって使用されている。しかし、ドイツではナチスの戦争犯罪の反省から、ハーケンクロイツなどを公での展示や使用をしていないという。

 以下、ユーチューブの映像より。

  

カサブランカ・ダンディ

カサブランカ・ダンディ
作詞・阿久悠 作曲・大野克夫
1979(昭和54)年2月発売。レコード大賞金賞受賞。

ききわけのない女の頬を
一つ二つはりたおして
背中を向けて煙草をすえば
それで何もいうことはない

ボギー ボギー
あんたの時代はよかった
男がピカピカのキザでいられた


 阿久悠はダンディズムについて、こういう。
「要するに歌の中のタバコというのは、男のカッコ付けの小道具として重要であった」
「タバコとか酒とかの小道具に助けられないピカピカのキザというものは、いつの時代でも必要で、男でも女でも、心の内なる光り物は見つけなければならないであろう。そう、個々の光り物である」

 カサブランカ・ダンディが「ザ・ベストテン」などで歌われたとき、ジュリーは小瓶のウイスキーを口に含み、霧を飛ばすというパフォーマンスをやってのけた。これまたいろいろネットで、当時の映像を探しているのだが、意外と少ない。
 ニコニコ動画で「ザ・ベストテン」の録画がアップされており、久米宏の「ウイスキーは本物で、外国に行って来たときに買ってきたものだそうです」なんていうナレーションが流れる。ステージのセットもすごい派手。紅白歌合戦の映像は、NHKということで、控え目な霧吹きだった。

カサブランカ・ダンディ
 歌謡曲・黄金時代のジュリーは、歌とともに派手なメイクや衣装などのビジュアルと一緒に、テレビを通じてお茶の間に現れた。当時テレビを見ていた人なら、ヒット曲は聞けばすぐに思い出す。
 阿久悠が作詞する前は、安井かずみの詞で「危険なふたり」「追憶」。あと山上路夫の詞「許されない愛」などがヒットした。ちなみに、これらのジュリーの曲をCDで聴くとすれば、「沢田研二 ROYAL STRAIGHT FLUSH」(オリジナル1979年)なの(^・^)


 以下のユーチューブは、1989年の沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」

 

◇「夜のヒットスタジオ」でサムライを歌うジュリー
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1115378

◇「ザ・ベストテン」のカサブランカ・ダンディのウイスキー霧吹きシーン
http://www.nicovideo.jp/watch/sm802923

立花隆『週刊現代』に寄稿 安倍首相「三億円脱税疑惑」水面下の攻防

立花隆

■週刊誌とブログの陰の情報戦
 新しい自民党総裁に、福田康夫氏が決まった。国会開会中に、何で自民党総裁選が行われたかといえば、安倍晋三首相が突然、辞任したからである。
 昨日発売の『週刊現代』に、立花隆氏の緊急寄稿がある。一部、引用しておこう。

 偶然の機会から、この騒動のはじめから終わりまで、核心に近いところからウォッチしてきた私が、いま確信をもっていえることは、さまざま他の要因があったにしろ、最後にとどめをさしたのは、「週刊現代」前号の「安倍晋三首相『相続税3億円の脱税』疑惑」だったということである。

 発売日まで、安倍事務所と週刊現代の間で激烈な暗闘が2日間にわたってつづいた。金の流れのデータがたっぷりつまった質問状に安倍事務所は動転した。安倍事務所は週刊現代の質問状を内々で全公開して、それに安倍事務所の全否定論をつけて配布するということをはじめた。

 編集長を口説いて、週刊現代がつかんでいるネタは、かつて安倍(晋太郎)事務所にいた人物など内部から出たもので、きわめて信頼性が高いこと。ほとんど帳簿を再現したに等しいぐらいの内容があること、財務省の相続税の専門家に見せて「それは脱税です」のコメントを得ていることなどを聞き出し、これを雑誌が出る2日前から、日経PBの私のブログのページで次々明かしていった。

 この記事は2日続けて、アクセス数130万ページを記録したのである。マスコミも政界関係者もみなこのページを見て、安倍事務所の敗北を確信した。マスコミの論調も変わった。週刊現代は陰の情報戦に勝ったのである。安倍首相は早々と病院に入院した。

■ジャーナリズム精神を取り戻せ
 何だ、そうだったのかぁ(^g^)
『週刊現代』(9月15日発売)を読んだが、立花隆氏のブログに書いてあることと同じじゃ~ん! と思ったのは、わたしだけではあるまい。活字媒体の週刊現代と、ウェッブの立花隆氏が連動した「情報戦」が、安倍首相を辞職に追い込んだということになる。
 週刊現代あっぱれ! こうした権力に媚びないスクープこそが、週刊誌の醍醐味ではないか。新聞も「マスゴミ」なんて言われないように、本来のジャーナリズム精神を取り戻して欲しいものだ。


<参考>安倍首相の突然辞任の真相は脱税疑惑スキャンダル
 http://ameblo.jp/t-garasu/entry-10047204225.html

知っている? 創設される高齢者医療制度

■霞ヶ関で電卓叩いた小泉「構造改革」の爪痕
 来年4月から、高齢者医療の仕組みが変わり、大幅な負担増になる。高齢者だけの新しい保険制度を創設し、高齢者の保険料は、介護保険と同様に年金から天引きするという。2006年の医療制度「改革」で決まっていた、小泉「構造改革」の爪痕なのだ。

 取り急ぎ、「第1回社会保障審議会 後期高齢者の在り方に関する特別部会・2006年10月5日」の「後期高齢者医療制度の概要」をプリントアウトして読んでみた。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1005-4c.pdf

 現行の老人保険制度を廃止し、高齢者医療の確保に関する法律を制定する。退職者である前期高齢者(65歳から74歳)が、国民健康保険に大量加入するため、退職者医療制度を廃止し、保険者間の医療費負担の不均衡を調整する制度を独立して創設する。
 財源が、どうたらこうたらと、霞ヶ関の机上で叩いた電卓の算数があって・・・省略。

■高齢者から新たなボッタクリ
 保険料の算定方法。出たぁ(!o!)オオ! 厚労省が大好きな「応益と応能」負担。
 全国平均・月約3100円の頭割(応益)+所得比例(応能)=年7.4万円の保険料負担。
 具体的な保険料の額について、いろいろケースがありますが、基礎年金79万円の高齢者から、保険料を新たにボッタクルわけですから、相当にひどい制度です。子どもに保険料を払ってもらえばいいでしょう、という家族をあてにした制度だし、家族のいない高齢者は、生活保護受給ですか? それも支給額引き下げだし、持ち家に住んでいると、そんなに簡単に受けられません。

 低所得者に対する「激変緩和措置」や「経過措置」があるから、さも制度変更に対して対応できるかのように書いてあるが、「障害者自立支援法」もそうだが、実際に役に立たない。
 その結果、介護保険料と医療保険料を払っても、高齢者は必要な医療を制限され、介護も抑制され、更なる医療・介護難民の増加という「美しい国」(←これ言っていた首相はいなくなったけど、福田氏がなっても麻生氏になっても、実態は変わらない)がつくられるのだ。
 
●FujiSankei Business i. 9/22  
【高齢者医療費 見直し発言次々、政府に波紋 歳出増、現場混乱を懸念 】
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200709220017a.nwc
 患者の負担増を柱とする新高齢者医療制度をめぐり、次期自民党総裁の有力候補である福田康夫元官房長官や、公明党が見直しを求める考えを相次いで示したことで、政府内に波紋が広がっている。財務省は「地方や保険料負担を含め最大2500億円の新たな財源が必要になる」として、財政健全化への影響を懸念。厚生労働省は「現場の準備に混乱が起きる可能性がある」として、市町村や医療機関への影響を警戒し始めた。

 政府は2008年4月から、70~74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げ、75歳以上は毎月支払う保険料を増やすことを決定済み。これに対して、福田氏は自民総裁選で「負担増の凍結を検討する」と表明。公明党も24日に行う自民党新執行部との政権協議で、同様の主張を行う方針を示している。(中略)

 財務省は、患者の負担増が凍結されれば、国費負担は1000億円近くに達する可能性もあるとして、「予算編成に影響が出るのは避けられない」(幹部)と議論の行方に神経をとがらせる。(後略)

●北海道新聞 09/22 08:19
【75歳以上医療制度 保険料は8万7~9万7千円 広域連合が試算】 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/50823.html
 七十五歳以上の全員が加入し来年四月にスタートする「後期高齢者医療制度」の加入者一人当たりの平均保険料(年間)が約八万七千~九万七千円となる見通しであることが二十一日、分かった。同制度を運営する道後期高齢者医療広域連合(連合長・大場脩網走市長)が同日、試算結果を公表した。(中略)

 同制度の保険料は、都道府県ごとに七十五歳以上の医療費をもとに決められる。道内の対象者の医療費は全国の中で高水準のため、全国平均(試算)の七万四千円を上回ることになる。
 後期高齢者医療制度は二〇〇六年の医療制度改革で実施が決まった。七十五歳以上のお年寄りは保険料を払い、医療機関ではかかった費用の一~三割を自己負担する。

 同広域連合によると、道内の七十五歳以上は現在約五十七万人で、その約八割は国民健康保険に加入。だが残りの約二割は子の扶養家族として健康保険組合などを利用し保険料負担がなく、来年四月からの保険料は新たな負担となる。激変緩和のため二年間は保険料の軽減措置がある。低所得層には三段階の保険料軽減措置がある。
 同連合は今後さらに保険料額を詰め、十月下旬までには具体的な額を公表する予定。

米国大統領選 ヒラリー・クリントンの国民皆保険導入の真相

マイケル・ムーア

■医療「構造改革」は国民皆保険の解体への道
 日本でも8月25日から公開された、マイケル・ムーア監督の映画「シッコ Sicko」は、日本の医療「構造改革」がめざしている姿を、わかりやすく描いているといわれる。この映画をひとつの素材にして、わたしは医療保険を民営化することの危険性について、広く国民的な議論が起こることを期待している。ずっと観たいと思っているのだが、まだ映画を観ることが、出来ないでいるのがもどかしい。ただ、この映画の評論や感想などは、ウェブ上ではいろいろアップされて始めている。

 ヒラリー・クリントン上院議員は、大統領夫人の時に、国民医療皆保険の導入をめざしたが失敗した。なぜなら、米国の保険会社はヒラリー氏の大胆な政策提言を食い止めるために、一億ドルものお金をかけて妨害したからだと、マイケル・ムーア氏は証言している。権力の中枢に上り詰めるためには、政治的な妥協や取り引きを様々しなければならない。初心貫徹が、いかに難しいかを考えさせられるエピソードだ。

●朝日新聞 09月18日12時33分
【ヒラリー氏「国民皆保険の導入めざす」医療制度改革】
http://www.asahi.com/international/update/0918/TKY200709180187.html?ref=rss
 米大統領選で民主党の有力な立候補予定者のヒラリー・クリントン上院議員は17日、皆保険制の導入をめざした医療制度改革案を発表した。個人や中小企業の税負担を軽減して保険料を補助し、財源は医療歳出の効率化などを当て込んでいる。

 医療費の上昇を背景に米国の無保険者は6年続けて増えており、昨年は前年比約5%増の約4700万人にのぼり、人口の約16%を占める。経済分野で大統領選の焦点になっており、ほかの民主党候補予定者も皆保険を視野に入れた計画を打ち出している。
 ヒラリー氏は90年代前半、大統領夫人として制度改革を率先して行い、失敗した経緯があり、注目されていた。今回は教訓を生かして「比較的簡素だが、大胆さは変わらない」と話した。

■マイケル・ムーアはヒラリーに期待していない
「TUP速報」のメールマガジンより、ヒラリー・クリントン氏に関するところだけ、引用します。なお、このインタビューの様子は「デモクラシー・ナウ!ジャパン」のサイトで見られます。
 http://democracynow.jp/stream/070618-1/index.shtml
【マイケル・ムーアが語る映画「Sicko」制作の背景】
・エイミー・グッドマンによるマイケル・ムーアのインタビュー(2007年6月18日)

 アメリカ国民の税金を湯水のように使ってイラク戦争を続行するブッシュ政権。世界一裕福なアメリカですが、先進国では世界で唯一国民健康保険制度がありません。6月下旬にマイケル・ムーアによるドキュメンタリー映画「Sicko(病人)」が初公開され、福祉制度の破綻に苦しむアメリカ庶民の実情が赤裸々に暴露されました。

 またもや全米に大旋風を巻き起こしているマイケル・ムーアに「デモクラシー・ナウ!」のエイミー・グッドマンが6月18日(月)に一時間のインタビューを行いました。そのトランスクリプトの翻訳をお届けします。


エイミー・グッドマン:あなたはヒラリー・クリントンについて、彼女がビル・クリントン大統領のもとで試みようとしたことについて触れていますね。彼女が何を試みたのかを説明してください。

マイケル・ムーア:そうですね。彼女は14年前にとても勇気のあることを試みたと思います。彼女は皆のためのヘルスヘアがあるべきだ、既存症状に対する制限をなくすべきだ、収入の高低によらず、職種によらず、なんであれ皆が保障されるべきだと発言しました。彼女の行動は大変大胆なものでした。
 その結果として彼女はめちゃくちゃにされてしまったのです。いいですか、彼女をくいとめるために彼らは一億ドルのお金をかけたんですからね。

エイミー・グッドマン:それでも巨大な保険会社は気に入っていたわけですよね。なぜなら彼女はビッグ・ファイブ企業を保護しようとしたからです。彼女が保険会社をすっかり排除したら、単一支払い制度をアメリカ国民にもっと明確に説明することができたはずだという意見があります。

マイケル・ムーア:それが彼女の間違いだったのです。彼女は丸ごと取り組むことを怠った、この問題でやらなければならないことすべてを最後まで追求しなかった。実際に、同じ問題だったわけです。
 もうひとつの例をあげるなら、民主党がね、もう、ドリルでももっていって奴らの、この、もう、何かしてやりたくなっちゃうでしょう。だって、彼らの心は、まぁ、まともなところに行っているんだけど。分かる? それとおんなじで、ヒラリーの心も正しいところにあると思う。

 彼女はアメリカ国民みんなを保障したいと考えているんだけど、でも保険企業を根本的に排除することができないんだったら、じゃあ、ちょっとした取引でもしましょうか、というわけですよ。それって今エドワードが提案しているのに似ています。

 彼女は、少なくとも去年の議会で、リック・サントロムに次いでヘルス企業から受け取っている献金金額は第二位を占めていました。彼はもういませんから、現在彼女がナンバーワンかもしれません。彼女はこのように、企業が彼女のポケットに入り込み、彼女が彼らのポケットに入り込んでいる、そのような姿を見るのは残念でなりません。彼女にはあまり期待していません。

徒然なるままに、沢田研二日記『勝手にしやがれ』

勝手にしやがれ

1977(昭和52)年5月発売。日本レコード大賞受賞。
作詞・阿久悠 作曲・大野克夫

壁ぎわに寝返りうって
背中できいている
やっぱりお前は出て行くんだな

バーボンのボトルを抱いて
夜ふけの窓に立つ
お前がふらふら行くのが見える

別にふざけて困らせたわけじゃない
愛というのに照れていただけだよ
夜というのに派手なレコードかけて
朝までふざけよう ワンマンショーで



 阿久悠は著書で、次のように書いている。
「昭和五十二年、『勝手にしやがれ』は、年末の音楽賞を総ナメにした。その二、三年、ぼくはどういうわけか大晦日に高熱を発するようになり、その時も三十九度近い熱であった。帝国劇場のステージに上がった。ただし、レコード大賞授与の様子はあまり覚えていない」

 あるいは、こうも述べている。
「沢田研二の魅力は圧倒的で、直接言葉を交わすのが憚られるような雰囲気があった。・・・美女を前に茫然自失、空洞になってしまった頭で立ちつくすような感じ」

「真っ直ぐに、熱烈に愛することに照れるというのが、一種のトレンドのような時代で、素直であれば幸福になれるのに、斜に構えて不幸になるというのが多かった」

「勝手にしやがれ」のタイトルは、ゴダールの映画に由来するが、阿久悠自らが、代表作・真打ちという歌なのだ。

 阿久悠は「レコード大賞授与の様子はあまり覚えていない」と述べていたが、1977年のレコード大賞受賞の映像に阿久悠の姿も、しっかりアップされています。もうひとつは、紅白歌合戦の映像です。