知っている? 創設される高齢者医療制度 | 権力とマイノリティ

知っている? 創設される高齢者医療制度

■霞ヶ関で電卓叩いた小泉「構造改革」の爪痕
 来年4月から、高齢者医療の仕組みが変わり、大幅な負担増になる。高齢者だけの新しい保険制度を創設し、高齢者の保険料は、介護保険と同様に年金から天引きするという。2006年の医療制度「改革」で決まっていた、小泉「構造改革」の爪痕なのだ。

 取り急ぎ、「第1回社会保障審議会 後期高齢者の在り方に関する特別部会・2006年10月5日」の「後期高齢者医療制度の概要」をプリントアウトして読んでみた。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1005-4c.pdf

 現行の老人保険制度を廃止し、高齢者医療の確保に関する法律を制定する。退職者である前期高齢者(65歳から74歳)が、国民健康保険に大量加入するため、退職者医療制度を廃止し、保険者間の医療費負担の不均衡を調整する制度を独立して創設する。
 財源が、どうたらこうたらと、霞ヶ関の机上で叩いた電卓の算数があって・・・省略。

■高齢者から新たなボッタクリ
 保険料の算定方法。出たぁ(!o!)オオ! 厚労省が大好きな「応益と応能」負担。
 全国平均・月約3100円の頭割(応益)+所得比例(応能)=年7.4万円の保険料負担。
 具体的な保険料の額について、いろいろケースがありますが、基礎年金79万円の高齢者から、保険料を新たにボッタクルわけですから、相当にひどい制度です。子どもに保険料を払ってもらえばいいでしょう、という家族をあてにした制度だし、家族のいない高齢者は、生活保護受給ですか? それも支給額引き下げだし、持ち家に住んでいると、そんなに簡単に受けられません。

 低所得者に対する「激変緩和措置」や「経過措置」があるから、さも制度変更に対して対応できるかのように書いてあるが、「障害者自立支援法」もそうだが、実際に役に立たない。
 その結果、介護保険料と医療保険料を払っても、高齢者は必要な医療を制限され、介護も抑制され、更なる医療・介護難民の増加という「美しい国」(←これ言っていた首相はいなくなったけど、福田氏がなっても麻生氏になっても、実態は変わらない)がつくられるのだ。
 
●FujiSankei Business i. 9/22  
【高齢者医療費 見直し発言次々、政府に波紋 歳出増、現場混乱を懸念 】
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200709220017a.nwc
 患者の負担増を柱とする新高齢者医療制度をめぐり、次期自民党総裁の有力候補である福田康夫元官房長官や、公明党が見直しを求める考えを相次いで示したことで、政府内に波紋が広がっている。財務省は「地方や保険料負担を含め最大2500億円の新たな財源が必要になる」として、財政健全化への影響を懸念。厚生労働省は「現場の準備に混乱が起きる可能性がある」として、市町村や医療機関への影響を警戒し始めた。

 政府は2008年4月から、70~74歳の窓口負担を1割から2割に引き上げ、75歳以上は毎月支払う保険料を増やすことを決定済み。これに対して、福田氏は自民総裁選で「負担増の凍結を検討する」と表明。公明党も24日に行う自民党新執行部との政権協議で、同様の主張を行う方針を示している。(中略)

 財務省は、患者の負担増が凍結されれば、国費負担は1000億円近くに達する可能性もあるとして、「予算編成に影響が出るのは避けられない」(幹部)と議論の行方に神経をとがらせる。(後略)

●北海道新聞 09/22 08:19
【75歳以上医療制度 保険料は8万7~9万7千円 広域連合が試算】 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/50823.html
 七十五歳以上の全員が加入し来年四月にスタートする「後期高齢者医療制度」の加入者一人当たりの平均保険料(年間)が約八万七千~九万七千円となる見通しであることが二十一日、分かった。同制度を運営する道後期高齢者医療広域連合(連合長・大場脩網走市長)が同日、試算結果を公表した。(中略)

 同制度の保険料は、都道府県ごとに七十五歳以上の医療費をもとに決められる。道内の対象者の医療費は全国の中で高水準のため、全国平均(試算)の七万四千円を上回ることになる。
 後期高齢者医療制度は二〇〇六年の医療制度改革で実施が決まった。七十五歳以上のお年寄りは保険料を払い、医療機関ではかかった費用の一~三割を自己負担する。

 同広域連合によると、道内の七十五歳以上は現在約五十七万人で、その約八割は国民健康保険に加入。だが残りの約二割は子の扶養家族として健康保険組合などを利用し保険料負担がなく、来年四月からの保険料は新たな負担となる。激変緩和のため二年間は保険料の軽減措置がある。低所得層には三段階の保険料軽減措置がある。
 同連合は今後さらに保険料額を詰め、十月下旬までには具体的な額を公表する予定。