消費税を上げる? 財政の再分配を考え直せ | 権力とマイノリティ

消費税を上げる? 財政の再分配を考え直せ

■消費税は低所得者に負担増
 社会保障制度を維持するために、消費税を上げようという議論が、次々出てきている。なんと消費税を17%にしようという話しまで、経済財政諮問会議で出ている。消費税による負担は、低所得者層に重たくのしかかる。
 大企業や高額所得者に優遇税制で、減税しておいて、財源がないからという理由で、安直に消費税を上げるというのは、あまりにもひどいではないか。 

 少子高齢社会で社会保障費が足りないと、直ぐに言い出す政府・厚労省だが、消費税上げる前に、やるべきことがあるのではないか。我が国は、曲がりなりにも先進国で「経済大国」なのだから、社会保障費は国民が安心して生きていくための必要経費である。

 つまり、財政の再分配をどうしていくかを、きちんと考えていくべきなのだ。政府はお金持ち企業からしっかり税金をとって、障害者や高齢者など、社会福祉・医療を必要としている人に、きちんと再配分していくことが必要なのである。
 2007年度の米軍に対する思いやり予算は、なんと2173億円。こういう予算を社会保障費に使えばいい。

●読売新聞 10月20日9時19分
【社会保障制度維持には消費税「正面から議論」…与謝野会長】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071020i302.htm?from=main3
 自民党財政改革研究会の与謝野馨会長(党税制調査会小委員長)は19日、読売新聞のインタビューに応じ、年金・医療・介護の社会保障制度を維持していくため「消費税の議論を正面からせざるを得ない」と述べたうえで、消費税を「社会保障目的税」とし、税率の引き上げに国民の理解を求めていく意向を示した。

 また、地方自治体の社会保障財源に関連して、「(国が決めた通りに課税するのでなく、必要なら)知事や県議会が税を県民にお願いするようにならないと、本当の地方自治にならない」と述べ、自治体が課税自主権を積極的に活用すべきだとの考えを明らかにし
た。

 与謝野会長は社会保障制度について「財政的な裏付けをきちんとしておかなければいけない。借金財政でやっていけば、壁にぶつかる」と述べ、安定的な財源確保の必要性を強調。さらに「法人税、所得税はこれ以上、上げる議論はできない」と指摘、消費税率引き上げが避けられないとの認識を示した。

●北海道新聞 10月19日 卓上四季「重い負担」
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/55794.html
 朝日茂さんは結核で療養所に暮らし、生活保護を受けていた。当時の保護基準では、例えばパンツを年に一枚しか買えない。ちり紙は一日平均一枚半だ。これでは憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」はできない、と裁判で国を訴えた。

 提訴五十年になる朝日訴訟だ。一審の東京地裁は、朝日さんを支持し違憲判決を下す。一九六〇年十月十九日のことである。上級審で敗訴したが、「人間裁判」と呼ばれ、人が生きる権利を問い続けた。

 今の社会は当時より豊かだ。だが近年、社会保障の水準は引き下げられている。生活保護以下の賃金しか得られない「働く貧困層」も急増した。若者の雇用問題に詳しい作家の雨宮処凛(かりん)さん(滝川市出身)は「国内で奴隷ができているような状態だ」と指摘する。

 政府・与党内に消費税の増税論が浮上した。財政のために最大2・5%の税率引き上げが必要だという。社会保障を含む歳出削減か、消費税上げか、どちらを選ぶか迫った形だ。

 消費増税による負担は、所得が低いほど重くなる。だが大企業や高額所得者向けに行った減税に切り込む話は聞こえない。ずいぶんとバランスを欠いた議論である。
 庶民の汗を踏み台に、一部の人ばかりがうまいことをする。そんな格差の広がりを改めるのが先決ではないか。病床から世のゆがみをただそうとした朝日さんの思いは、今に生きている。