権力とマイノリティ -6ページ目

「まるで六文銭のように」ファーストアルバム発売記念ライブ

まる六CD  まる六 

■わたしと六文銭
 12月6日、東京・南青山MANDARAで「まるで六文銭のように」のライブがあった。
 そのライブレポートです。

 わたしが六文銭に、出会ったのは十代のとき。1971年の上條恒彦と六文銭の「出発の歌」がきっかけ。世界歌謡祭グランプリになり、ヒットした曲だ。

 六文銭は小室等によって1968年に結成され、メンバーが入れ替わり、最後の六文銭が、小室等・及川恒平・原茂・橋本良一・四角佳子の5人。この六文銭が72年に、ファーストアルバム「キングサーモンのいる島」と、前年の録音をまとめた2枚組「六文銭メモリアル」が、レコードになった。最後の六文銭は一年間の活動で解散。上條恒彦のバックとして、歌謡番組に出なければならない芸能活動を強いられた、ゆえの解散だった。

 わたしは六文銭のレコードを、十代のとき、こよなく愛して聴いていた。3年前ぐらい前に、2枚組の「六文銭BOX」としてCD化された。

 2000年頃に、小室等・及川恒平・四角佳子の3人が「まるで六文銭のように」というユニットを結成し、ライブ活動を行っていた。その様子は、ウェッブの風の便りで、何となく知っていた。

 六文銭が解散したあとは、小室等のアルバムはずっと聴いていた。及川恒平のアルバムも。小室等のホームページを細かくチェックして判明したが、わたしが小室等のコンサートに行ったのは、1975年のサードアルバム「明日」発売記念(神田共立講堂)リサイタルだ。
 あとは、深夜放送の「三ツ矢フォークメイツ」でDJをしていた小室等あてに、セッセッとリクエストハガキを送り、それが読まれるのを、いつも楽しみにしていたことを思い出す。

 ・・・という長い前ふりを終了。

■まる六「はじまりはじまる」ファーストアルバム

 やっと、本題のライブレポです。
 ここは、飲んで食べながら、ライブを楽しめる会場。すでに、おしゃべりの花が咲き、華やいだムード。わたしはステージ左側の席を、ジントニックのグラスを片手に陣取る。

 7時30分、3人がステージに登場し、ライブがスタート。
 はじめの一曲「12月のうた」これは、小室さんのファーストアルバムに入っている歌。
 作詞が茨木のり子で「師も走る などと言って/人間だけが息つくひまなく/動きまわり/忙しさと ひきかえに/大切なものを/ポトポトと落としていきます」という、季節の歌。

 小室さんが「6月6日と12月6日を、まる六の日として、ここでライブをしています。今日はファーストアルバム発売記念のコンサートです」とご挨拶。

 そして、ファーストアルバムのタイトルである「はじまりはじまる」が2曲目。
 作詞・佐々木幹郎「はじまりの はじめはどろで/はじまりの かたまりひとつ」

 このあとは、ちゃんと曲の順番が、記憶できていないので、パートごとのまとまりで。

■スパイ物語
 1969年、別役実の演劇「スパイ物語」で歌われた曲。この芝居の音楽の担当が小室さんで、六文銭楽団として、劇中歌を歌った。「六文銭メモリアル」にこれらの歌が多く収録されている。
 最初の2曲は、音源化されていないため、わたしにはわかりません。あと「私はスパイ」「ネコの歌」「雨が空から降れば」「ヒゲのはえたスパイ」が、歌われたと思う。

「雨が空から降れば」は、小室さんの歌が知られているが、もともとは恒平さんが歌っていた。他の歌もそうだけど、時を経て、同じ歌い手でも、その解釈が変わってくるものだ。恒平さんの歌い方は、当初の頃より、柔らかく深い歌い方に変化している。

 ふたりのギターも、おけいさんの歌声も、3人のコーラスも、ずっと奥深く豊かになっている。フォークって、スゴイって改めて思う。だって、ギターと歌だけで、コンサートできちゃうだもの。

 次のパートは、新録音した曲を披露。
 順不同ですが「引き潮」「きみは誰かな」「ただあたたかくカラッポに」「樽を転がせ」たぶん(^^ゞ

 ちょっとここで、小室さんのMCについて。
「偉大なリーダー」は、恒平さんとおけいさんが、ちゃんと歌っているのに「あ、僕、間違えた。そうやって、ふたりして、突っ込まないで。そっとわからないように、合図して」
 小室さん、何かひとりでぼけていたよ~。もう、これって、サイコウ!

■アンコールは「街と飛行船」「サーカスゲーム」
 第3パートは、現代の反戦歌。
 作詞・谷川俊太郎の「おしっこ」。作詞・及川恒平「戦場はさみしい」。作詞・中原中也「サーカス」。作詞・佐々木幹郎「石と死者」。

「石と死者」は、もともと長い詩で、CDでは、小室さんの詩の朗読に続いて、おけいさんの歌が始まる。ライブならではの披露で、詩の全編を小室さんと恒平さんが、朗読してから、歌が始まった。
(!o!)オオ!圧巻だね。現代詩の朗読会みたい。

 第4パートは、六文銭のファーストアルバム「キングサーモンのいる島」から。
「インドの街を象にのって」「春は日傘の」「流星花火」。そして、アンコールは「街と飛行船」「サーカスゲーム」でした。

 わたしが、このライブでいちばん聴きたかったのが「街と飛行船」だ。
 発売禁止になったこの歌は「六文銭メモリアル」では「まま子もみなし子も」「リュウマチも小児マヒも」の歌詞の部分を、録音テープを逆回転させているので「オモオモキャシャニモ」「オカミノマガッタヒシュギ」って聞こえるのだ。今回の新録音ですっきり聴けたし、ライブでもよかった。

 ラストは、作詞・作曲、及川恒平の「サーカス ゲーム」だ。
「ボクのこいびとはサーカスの/フルサト忘れた曲芸師/フンワリ飛んで ふんわり浮かんで」
 恒平さんが「乗れる人は、ご一緒に」
「フゥアー、フゥア♪」と会場が一体になって、コーラスしたのであったのさぁ~。

精力的にロビーイング活動を行う生活保護や貧困問題に取り組む弁護士ら

 姑息な検討会をコソコソ隠れるようようにやって、生活保護基準費の引き下げを決めた厚労省の検討会だが、12月に入って生活保護や貧困問題や問題に取り組む弁護士などが、国会議員に対して精力的なロビーイング活動を展開している。

 報告書の生活保護費の切り下げが実施されると、物価の高い都会や単身者への影響が必須だ。一回目の検討会の配布資料が、ウェッブで公表されているので、目を通したが、はじめに結論ありきの統計資料が多く、その根拠に大いに疑問を持った。

 「天下の悪法」障害者自立支援法の成立に大きく寄与し、「社会保障費の削減で手が着いていないのは、生活保護費だけだ」と檄を飛ばしたのが、厚労省の社会・援護局長だというではないか。
モォイイッc(>_<。)シ*バシッ!

 が、生活保護基準切り下げの報道を知るのが、北海道新聞と中日新聞という地方紙頼みというのが、何とも情けない。憲法二十五条の生存権に関わる大問題なのだ。国会での論戦を徹底的にやるべきだし、国民的な議論の喚起を行うのが、マスコミの責務ではないのか。

●中日新聞 12月6日
【生活保護基準『切り下げ』報告書に反発 貧困問題の法律家らが抗議活動】

http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2007120602070054.html
 厚生労働省の有識者検討会が先月末、生活保護基準の切り下げを認める報告書をまとめたことに、生活保護や貧困の問題に取り組む弁護士、司法書士らが抗議活動を強めている。厚労省は報告書をもとに具体的な切り下げ案を検討しているが、野党も反対の姿勢を鮮明にしており、微妙な情勢だ。 (白井康彦)

 法律家らは集中的な国会議員回りを四日から始めた。衆参両院の議員会館の議員控室を「今こそ政治の力を見せてください」と書かれた要請書を持って訪問。
 生活保護基準の切り下げは、さまざまな社会保障制度の基準の切り下げに連動することを説明し、国民生活への影響の大きさを訴えている。

 民主党厚生労働部門会議は五日、この問題についてのヒアリングを実施。厚労省だけでなく、法律家らでつくる「生活保護問題対策全国会議」から説明を聞いて、切り下げ反対の方針を決めた。

 厚労省の動きの背景にはもちろん、財政事情がある。生活保護費はこの十年余、増え続ける一方だ。だが、同全国会議や、貧困問題に取り組む諸団体でつくる「反貧困ネットワーク」は、厚労省が一般の低所得者と生活保護受給者の暮らしぶりを比べて生活保護基準切り下げを行おうとしていることに猛反発している。
 ヒアリングでは、全国会議だけでなく国会議員からも「低所得者は格差社会の中で生活の切りつめを強めざるを得ない。それとの比較で生活保護基準を切り下げるのは本末転倒だ」という声が出た

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 生活保護基準は、憲法二五条が保障する最低限度の生活ができる「最低生活費」の基準。厚労相の告示で定める。給付には、日常生活費にあたる生活扶助や家賃部分の住宅扶助、医療扶助などがある。厚労省は生活扶助に焦点を当てており、社会・援護局長の私的研究会「生活扶助基準に関する検討会」が十月から五回の会合を重ねた。

 報告書が基礎データとしたのは、二〇〇四年の全国消費実態調査。全世帯を年収別に十に区切って年収階層別に支出額を示している個所があり、検討会は年収が一番少ない層を低所得者層の代表として生活扶助基準額の平均と比べた。そして、夫婦と子の三人世帯、六十歳以上の単身世帯についてともに「生活扶助基準の方が高め」と強調している。開きは単身世帯の方が大きい。

 報告書は「生活扶助基準額は世帯人員四人以上の多人数の世帯に有利になっている」とも指摘している。生活扶助の基準額は、地方と大都会では最大20%以上の格差があるが、報告書では「消費実態の地域差は以前より縮小している」と説明している。
 厚労省がこの報告書に沿って生活扶助基準の切り下げ案をまとめると、切り下げ幅が大きくなるのは、単身世帯や多人数世帯、大都会となる。
 ただ、舛添要一厚労相は先月末の記者会見で「政府与党いろいろな方面と協議を重ねながら、場合によっては政治的判断も加える」と説明。厚労省の具体案づくりは政党の動向や政局にも影響されることになりそうだ。公明党も近く、全国会議からヒアリングをする予定だ。

本末転倒 来年度から生活保護費の引き下げ決まる

 来年度から生活保護の「生活扶助費」の引き下げが、決まった。
 低所得者世帯よりも、生活保護世帯の方が、高い生活費なので、低い方に合わせるという、何とも納得のいかない検討会の言い分だ。

 日本テレビの深夜ニュースで、この問題に取り組んでいる「反貧困ネットワーク」事務局長・湯浅誠さんのコメントが印象的だった。
「本来、低所得者層に対する施策が必要なのに、生活保護費を引き下げるというのは、本末転倒だ」

●毎日新聞 2007年11月30日 東京夕刊
【生活保護:厚労省検討会、扶助基準下げ容認 低所得世帯水準に】
http://mainichi.jp/life/health/news/20071130dde001010088000c.html
 生活保護費の見直しを議論していた厚生労働省の検討会議(座長・樋口美雄慶応大商学部教授)は30日、生活保護費のうち食費など日常生活にかかわる「生活扶助基準」の引き下げを容認する内容の報告書をまとめた。生活扶助基準の引き下げは、同基準と連動している低所得者向け低利貸し付けなどの福祉施策や最低賃金にも影響する。厚労省は来年4月実施を目指すが、具体的な引き下げ額については「慎重に検討する」としている。

 07年7月現在の生活保護受給者は153万2385人。7割以上が1人暮らしで、ほぼ半数が60歳以上。既に老齢加算が06年度に全廃され、母子加算も段階的に削減され09年度に全廃されることが決まっている。しかし、生活扶助基準が生活保護費を受けていない低所得世帯の実態に比べて高めだとの指摘もあり、見直しを検討してきた。

 報告書は、04年全国消費実態調査の結果を基に、収入が全世帯のうち下から1割の低所得世帯と生活保護世帯を比較。夫婦と子供1人の低所得世帯の月収は14万8781円だが、生活保護世帯の生活扶助費は1627円高い15万408円だった。また、60歳以上の1人暮らしも低所得世帯は6万2831円だが、生活保護世帯は8378円高い7万1209円だった。このため、低所得世帯の水準に引き下げることを事実上容認する内容になっている。

 生活保護制度は、地域の物価差などを基に、市町村ごとに受給基準額に差をつけている。最も高い東京都区部などと最も低い地方郡部などでは22・5%の格差があるが、報告書は「地域差は縮小傾向」と指摘した。
 検討会議は、小泉内閣時代の骨太の方針06(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)に、08年度に生活扶助基準を見直すことが明記されたのを受け、先月中旬から行われていた。
 厚労省は今後、報告書の内容に沿って具体的な引き下げ内容を決め、厚労相が告示する。地域差を縮める形で引き下げるとみられる。【柴田朗】
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■ことば
◇生活扶助基準
 飲食、衣料、光熱水費など、生活保護費の中でも基本となる費用の基準。このほか、生活保護受給者の実情に応じて住宅扶助、医療扶助、教育扶助などが加えられ、その総額が支給される。

寺尾聰×小倉智昭スペシャルトークショー

■ライブで寺尾聰のトーク
「フジテレビ お台場オトナPARK これからはじめる! オトナセミナー」の寺尾聰トークショーに、東京・お台場のフジテレビまで、出かけてきた。

 この連休の3日間を使って、小倉智昭が総合プロデューサーを務めるイベントだ。今年、還暦を迎えた小倉は「団塊の世代がお台場に来て、楽しく・元気になれるイベントを考えた」と言う。ライブやセミナー、飲食ブースなど、フジテレビ全館をイベント会場に行われた。

 少し早めに行って、他の会場でも覗こうと思ったが、ゆりかもめで台場の駅を降りると、あんまりに人が多くて止めた。連休で子ども連れが多く、さしずめ、安・近・短で、お台場に、遊びに来ているといった感じだ。なので、おとなしくカフェでコーヒーを飲んで、開場を待った。

 午後4時から始まったトークショーの会場は、約160名の席で満席。みんな往復ハガキで応募。ハイ、わたしもハガキを出しました。寺尾聰と小倉智昭は、2年前にインタビュー番組で意気投合し、それ以来、ゴルフ仲間だ。

 寺尾聰は、Gパンに茶色の革ジャンというラフなスタイルで登場。
 小倉が「寺尾さん、座談会とかトークショーって出ないですよね?」寺尾は「そうですね。小倉さんのお声かがりなので、今日は来ました」そんな感じでスタートした。
 トークショーなので、こういう掛け合いで進行したが、小倉が寺尾をインタビューしたので、これ以降は寺尾の話を中心に進めていこう。

■浮き沈みの激しい芸能生活
 小倉さんと親しくなったのは、2年前だけど、実は20~30年年前から、僕は小倉さんのことを意識していました。六本木のライブハウスで、やたらにバンドに詳しいアナウンサーがいるな、と思っていたんです。小倉さんとは、浮き沈みが激しいのも、性格が似ているところがあるようだ。僕は売れていない時に、キャバレー回りしていたこともあるんです。

[寺尾は66年にザ・サベージのベーシストとして「いつまでもいつまでも」でレコードデビュー。その翌年、グーループを脱退、石原プロに所属し、俳優として映画デビューする。]

 音楽活動は、三保敬太郎さんたちと、座がシラケるという意味の「ザ・ホワイト・キックス」に参加しました。
 お金がなくなって、曲を作ってレコード会社に売り込みに行ったんです。その時、作曲したのが、カセット二台でいわゆる多重録音したのが「ルビーの指環」などの曲です。2社レコード会社に行ったのですが、後から行ったレコード会社で、契約金のような形で、前金をもらえる交渉が成立したので、最初に行った東芝EMIに、その話しをして、その会社より少し高い前金をもらえることになり、東芝EMIからレコードを出すことになりました。

 その当時、石原プロで「西部警察」のレギュラーとして、ドラマ撮影で全国を飛び回っていた。そしたら、ロケ先のパチンコ屋なんかで、自分の歌が流れていることがあり、「ザ・ベストテン」などの歌謡番組に、出演依頼が来るようになったんです[「ルビーの指環」は81年にレコード大賞を受賞]。
 石原プロは、版権をある有名な会社に譲っていたため、作曲の印税を、85%くらい持っていかれ、勤労意欲なくして、俳優業に専念していました。

■世界に通用する映画をつくりたい
 最近、仕事をしていないと言われるんですが、来年の春から国営放送の地方局で制作する、定年の前の刑事役でドラマに出ます(これは推測だが、土曜ドラマではないだろか?)。

 今やりたいのは映画です。自分で監督したいのと、小泉監督と一緒にやりたいものがあるんです。世界に通用する映画だと、僕は思っているんですが、五億から十億ぐらいかかるので、プロデューサーがいなくて、スポンサーが付かない。去年からいろいろ動いているんですが、個人では壁が厚くて、なかなか思うようにいかないんです。

 ・・・とまあ、こんなトークが行われました。予定より15分オーバーの1時間のトークショーでした。
 そうか、寺尾聰は、映画を撮りたいだぁ~。
 どうも、最近、CM出演しかないと思っていたが、水面下で動いていたけど、うまくいかいないということだ。

最低生活費を、値切るな!

反貧困1 反貧困2

 このニュース、日経が少しウェッブ版にあったが、相変わらず、北海道新聞しか、続報を報じていない。
 この問題に抗議している「反貧困ネットワーク」の活動について、ホームページより転載しておく。写真も転載です。

●北海道新聞 11/21 08:31
【生活保護費、基準額下げ確実に 厚労省検討会 地域差縮小も「妥当」】

http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/61680.html
 生活保護費の給付の基本となる基準額の見直しを進めている厚生労働省の「生活扶助基準に関する検討会」は二十日、新たな基準額の定め方について、全国消費実態調査を基に、経済状況や国民の公平感を踏まえて相対的に定めるとする基本的考えをまとめた。直近の同調査では消費支出が減少しているため、連動して基準額の引き下げは避けられない見通しだ。

 老齢加算などの相次ぐ削減で不満が高まっているだけに、基準額引き下げにも反発は必至だ。
 会議では、これまで三回の議論を踏まえて論点を整理、基準額の算出方法の見直しも提言した。具体的には個人経費として年齢に応じて支給される一類と、世帯の人数によって支給される二類の合計としている現行の方式を、世帯の人数を基本とする方式に一本化する。

 また、地域ごとに基準額に差をつける「級地制度」については、消費実態を踏まえて、格差を縮小することが妥当とした。
 就労を進めるため給与の一部を収入認定しない勤労控除の見直しについては「見直しが就労にどう結びつくのか、検証する必要がある」として、結論は持ち越された。
 検討会はさらに論点を整理し、十二月中旬までに結論を出す方針だ。

■最低生活費を、値切るな!(2007/11/10)
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい」のホームページより転載。
http://www.moyai.net/modules/weblog/details.php?blog_id=227
カテゴリ: 生活保護
命の値段なんて、皆さん考えたことはおありでしょうか?

厚生労働省が生活扶助基準に関する検討会をこそこそと開催し、生活保護費の切り下げを実現させようと着々と準備しています。
人間が尊厳を失わずに、生きたいとの意志を失わずに生きられる最低限度の生活は、私たち一人ひとりの声を元に決められるものではないでしょうか?
なぜ、たった5人の学者さんの意見を検討会で聞くことでよいと、厚生労働省は思えるのでしょうか?

私たちは、データでしょうか? 数値ではじき出されたものがすべてでしょうか?
たとえば一日2食で、それも100円のインスタントラーメンだけで生きている人が多くいるような世の中になれば、数値では一日の最低食費は200円前後でも可能と出るでしょう。しかし、内情はどうでしょう。そうやってしのぐしかない人は、最低限度の生活ができていないといえます。

その人の声は聞きましたか? 声も出ない状態まで追い詰められているとは思いませんか? 私の言いたいのは、そういうことです。だから、私は11/8の夕方、もやいの仲間たちと生活保護費切り下げに対する抗議行動に参加しました。

薄暗い中、特許庁の横を過ぎると、反-貧困ののぼりが見え、「ああ、仲間たちが集ってくれているのだな」と、ほっとしました。私にとっても官庁街は居心地が悪いし、高そうなスーツを着た人々とすれ違うと、萎縮しそうになります。卑屈になる理由なんかないし、自分たちが生きる権利を主張することに躊躇することなどないと頭ではわかってはいても、体の奥からが震えがきます。

商工会館前で、検討会の傍聴組みと、抗議行動組みに分かれました。私は、声を上げたくてもあげられない仲間の思いを託されているので、抗議行動組みとして残りました。開始早々の湯浅さんの力強いしゃべりが、ともすると腰の引けそうな心をしゃきっとさせてくれました。

稲葉さんのシュプレヒコールで場の空気を盛り上げ、各自のエンジンを温め、リレートークは始まりました。

一番心に強く残ったのは障がい当事者の発言でした。長い運動の中で、自分の思い、意見を、自分の言葉で表現するということを、しっかりとやってきたのだろうと思い感心しました。その裏には、きっと筆舌に尽くしがたいさまざまな思いや出来事の歴史があるのでしょう。「自殺者3万人ということは、この国は内戦状態だといってもいいのではないか」その言葉は重いと思います。

もやいで活動をしていて、貧困の確実な広がりを感じます。それは身につまされる恐怖です。一部の人を除いて、ほとんどの人がそうなる可能性を持っています。企業福祉が崩れた今、貧困は、本当に私たちにとって身近なものです。確実に言えるのは、「今、私は貧困ではない」ということくらいです。

そろそろ国の出番ではないでしょうか? 家族内の助け合いも、企業福祉が崩れた今は、そう持たないでしょう。今、相談に繰る若い世代は、家族内の助け合いが破綻してきていると如実に表現しています。

生活保護の問題は、生活保護だけの問題だなんて思わないでください。リレートークで浮き出たみんなの思いは、そこに集約されます。もはや、私たちみんなの命の問題です。

私たちの命は、私たちのものです。

私たちは、一部の富裕層のために命をこれ以上削ることを、拒否します。水際作戦で生活保護をかけないでおきながら、生活をさらに切り詰めれば、今度はそれを根拠に「もっと低い生活費でも生活できるんじゃないか」といわれる。貧困者同士で、潰しあいをさせようとの目論見に、私たちは乗りません。

「国のお世話になっている」そんな思いで自分の生活を必死に切り詰め、自分の声を封じて我慢している人たちは、今回のリレートークでも発言はしませんでした。うまく言葉をつむげないと言うこともあるでしょう。そして、怖いことですが、あきらめている人もいるかもしれません。

私たちは、今後も幅広い分野の皆さんたちと連携して、貧困が社会問題であり、国はその責任を明確にして解決に取り組んでいくべきだと、声を上げていくつもりです。参加いただいた皆さんお疲れ様でした。今後とも一緒に戦っていきましょう。

私たちを無視したやり方で、命の値段を勝手につけられては、たまりません。



旧ソ連諸国の自殺率の高さ 日本と同じでは!?

自殺率の高い国

 自殺率に関する世界的な調査データをチェックしていると、旧ソ連諸国の自殺率の高さが、群を抜いて高いことがわかる。その理由が「91年のソ連崩壊による社会・経済の混乱」とするのは、識者の一致した見解だ。

 しかし、ソ連崩壊から16年が経過し、ロシア始め旧ソ連諸国の経済も成長し、社会は落ち着いてきた。にもかかわらず、なぜ、旧ソ連諸国の自殺率が高いのかを探ったレポートが、以下の報道だ。

 ロシアの専門家が「自殺サイト、セーフティーネットの不在、精神科にかかることの敷居の高さ」などを指摘しているが、どっかの国と似たような社会状況ではないか。

●MNS産経ニュース 11.20 08:37
【新せかい百科】ロシア発 自殺率高い旧ソ連諸国
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/071120/erp0711200837001-n1.htm
■体制転換の影響くっきり
 ロシアをはじめとする旧ソ連諸国の自殺率が際立って高い。世界保健機関(WHO)が人口10万人あたりの自殺者数(以下、自殺率)をまとめた別表によると、旧ソ連諸国が上位10カ国中、実に6カ国を占め、共産圏だった東欧を加えれば8カ国にも上る。主要8カ国(G8)でも、ロシアの自殺率は36と日本の24を抜いて断トツの1位であり、英国やイタリアの約5倍に達している。

 ロシア科学アカデミー社会学研究所のマンスロフ副所長は「1991年のソ連崩壊に伴う急激な体制転換により、これらの諸国で社会・経済の安定が失われたことが確実に影響している」とし、「人は居場所を失い、自らの存在意義を見いだせなくなったときに自殺しがちだ…(ソ連時代の)価値観が失われたのが最も大きい」と指摘する。
 確かに、旧ソ連諸国の多くで、自殺者は第一に45~54歳、次いで35~44歳の働き盛りの年齢層の男性に集中している。ソ連時代に鼓吹された「社会のために働く」という価値観は、一瞬にして個人主義に取って代わられた。新しい感覚の若い世代が台頭する一方で、中高年世代が職を失い家族への責務も果たせなくなって、心理的に耐え難い状況が生まれている。

 社会状況と自殺の因果関係は、歴史をさかのぼってみても明らかだ。
 ロシア正教に力があった帝政時代やソ連初期の自殺率は欧州諸国よりずっと低く、23年のロシアで4・4。それが飛躍的に高まったのは、社会に閉塞感が漂ったブレジネフ政権(64年~82年)期の「停滞の時代」で、ソ連の自殺率は65年の17から84年の30に悪化した。ゴルバチョフ書記長の登場で将来に展望がみえだし状況が好転したのもつかの間、ソ連末期の89年にはロシアで前年比14ポイント増の38に跳ね上がり、怒濤の90年代に突入した
 むろん、ソ連崩壊から16年が経過し、多くの旧ソ連諸国では、経済が成長軌道に乗ったりして人心も安定しつつある。ロシアの自殺率は42とピークに達した94年以降、基本的に減少傾向にあり、「自殺理由のうち経済、社会的不安という要素は徐々に取り除かれるだろう」と専門家らは見る。

 ロシアには、自殺をテーマとするインターネットのブログなどが100以上も現れ、一部は露骨に自殺を教唆するなど新たな問題も生じている。あるブログ主宰者は「問題を話し合う場で、自殺を推奨してはいない」と釈明するものの、著名心理学者のボイツェフ氏は「一部のブログが特に若者に悪影響を与えている」と警鐘を鳴らす。
 自殺を踏みとどまらせるべき“セーフティー・ネット”の不在にも、専門家らは危機感を抱く。大都市部には精神科の緊急収容施設やホットラインが設けられつつあるものの、地方都市や農村部では精神的不調をどこにも訴えられず、自殺率が全国平均の3倍以上になっている過疎地もある。

 ボイツェフ氏は「医療財政のうちわれわれに残るのはなけなしの金額だけ。国は自殺防止にもっと真剣になるべきだ」と指摘。セラピストのキシリョフさんは「ロシアには精神科にかかることを異常なことと見なすステレオタイプがある。人々の足をカウンセリングに向けさせることからして課題だ」と話している。(モスクワ 遠藤良介)

報道されない生活保護基準額の引き下げ

 生活保護費の削減という憲法二十五条の生存権に関わる問題を、なぜ、マスコミはきちんと報道しないのか、まったくもってよくわからない。
 この間、厚労省の「生活扶助基準に関する検討会」の報道は、ウェッブで見る限り、北海道新聞しか見あたらない。なぜ、厚労省記者クラブ所属の全国紙が報道しないのか。

 検討会は年内にあと一回開かれ、年内に報告をまとめ、来年度には、生活保護費削減を実施するとされている。特に首都圏など大都市の生活保護者の保護費削減は、単に生活保護受給者だけにとどまらず、ワーキングプアを始め、貧困スパイラル化を更に進めることが予想される。

●北海道新聞 11/09 07:54
【都市部の生活保護費削減へ 厚労省方針「級地」見直し提案】
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/59527.htm
 生活保護費の給付の基本となる基準額の見直しを進めている厚生労働省は八日、地域ごとに基準額に差をつける「級地制度」について、現行最大22・5%の地域差縮小が妥当とする考えを「生活扶助基準に関する検討会」で明らかにした。
 厚労省は「級地制度」見直しの論点として、現行制度が一般世帯の消費実態を反映しているかを考慮した場合、「地域差を現行から縮小させてもいいのでは」と説明した。厚労省によると、現行の「級地制度」の地域差は、全国消費実態調査の水準を大きく上回っているという。

 厚労省はさらに、生活保護世帯に勤労者がいた場合、収入に応じて一定額が収入認定から控除される「勤労控除」についても見直しを提言した。必要経費として妥当な水準かどうかや、低所得者層との逆転現象を考慮すべきだとの考えを示している。
 検討会はこれらをふまえ、次回の今月二十日に具体的な検討に入る。「級地制度」で地域差が縮小すれば、札幌市など都市部で支給額が減少することは必至とみられている。


「生活保護基準額引き下げに関する検討」についての緊急申入れ        

2007年11月10日

厚生労働大臣 舛添 要一様

呼びかけ人代表
杉村 宏(法政大学) 
井上英夫(金沢大学)
吉永 純(花園大学)

 秋冷の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

 さて、私たちは、社会保障、社会福祉分野の研究、教育に携わる者です。さる10月19日に突如開催された「生活扶助に関する検討会」は、生活保護基準額について年内に報告書をまとめ、貴省は2008年度予算からの生活保護基準の引き下げを進めようとしていると報道されています。
 しかし、利用者の生活や市生活に重大な影響を及ぼし、今以上の格差を拡大し、新たなワーキングプアを生み出す生活保護基準の引き下げについて、利用者不在、市民不在のまま、拙速、強引なやり方で進められることには、強い憂慮の念を抱かざるを得ません。ここに緊急の申入れをしますので、真摯に受け止められ、必要な対応をされるよう強く要望いたします。

     記

1 生活保護基準額の引き下げをやめること

2 生活保護基準額の検討に当っては、利用者、市民などの声を広く聞き、公開の場で、十分に時間をかけて慎重に検討すること


(理由)

(1)生活扶助基準の引き下げは、保護利用者の最低生活を直撃します。

 いうもでもなく、生活保護基準は、「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を保障するものとされています。しかし、生活保護基準は2003年度に戦後初めて0.9%引き下げられて以降、老齢加算の廃止、母子加算の削減など、今日まで引き下げが5年連続で続いています。老齢加算対象世帯では生活扶助費が19%もカットされ、全国で100名以上の高齢者が高齢加算廃止の取り消しを求め、裁判に立ち上がっています。原油価格の高騰等により諸物価があいついで値上げされる中で、これ以上の生活保護基準額の引き下げは、生活保護利用者150万人の生活を直撃し、命と暮らしを脅かすことになります。

(2)生活扶助基準の引き下げは、いま以上に格差を拡大し、貧困層を生活保護から排除します。

 今回の検討は、昨年の「骨太方針2006」で明記された「生活扶助基準について低所得世帯の消費実態等を踏まえた見直し」を具体化しようとするものです。しかし、ワーキングプアをはじめ、生活保護基準以下で生活する人が多く含まれる低所得層(主として第1・10分位)と比較すれば、生活保護基準の切り下げは際限なく続くことになります。
 また、生活保護基準が下れば、それまで生活保護を利用できていた人の中で、新たに利用できなくなる人が発生します。このように、生活保護基準の引き下げは、今以上に格差を拡大するとともに、生活保護の間口を狭め、ワーキングプアをはじめとする貧困層を生活保護から排除することになります。

(3)生活扶助基準の引き下げは、市民生活に重大な影響を及ぼします。

 生活保護基準は、市民生活に関わる様々な制度と連動しています。生活扶助基準が引き下げられれば、地方税の非課税基準額も引き下げられ、保育料など各種社会福祉サービスの利用料の引き上げを招きます。また、介護保険、障害者自立支援法による利用料の減額を受けられない人が増えます。国民健康保険料の減免(及び自己負担額の減免)基準を生活保護基準に連動させている自治体では、減免から外れる人が発生します。
 さらに、生活福祉資金や就学援助制度などの低所得者向け制度の利用者は生活保護基準額を目安にしており、利用できなくなる人が新たに発生します。そして、生活保護基準との整合性に配慮することを謳った最低賃金の引き上げ目標(改正法案)や年金額にも影響が及ぶことは必至です。このように、生活保護基準引き下げは、保護利用世帯に止まらず、広範な市民生活に重大な影響をもたらします。

(4)利用者・市民不在の拙速で強引な検討は許されません。

 今回の検討会が「骨太方針2006」を念頭においていることから、報道されているように全体として保護基準額の引き下げの方向を目指していることは明らかです。しかし、今回の検討期間はわずか2ヶ月足らずであり、利用者や市民の声を聞く場もなく、せいぜい数回の検討会によって結論を得ようとしています。

 これまで述べたように、生活保護基準が利用者はもとより、広範な市民生活に重大な影響を及ぼすものであり、本来国会の場で検討されてしかるべきものです。少なくとも、生活保護利用者の声を十分に聞き、公開の場で市民に広く意見を求めた上で、慎重に検討すべきです。「結論先に在りき」といった拙速、強引な検討は決して許されません。

(賛同者氏名 50音順)
相澤與一(高崎健康福祉大学)/青木紀(北海道大学)/足立圭司(別府大学短期大学部)/足立英郎(大阪電気通信大学)/阿部敦(神戸女子大学)/阿部和光(久留米大学)/新井康友(羽衣国際大学)/井岡勉(同志社大学名誉教授)/池田和彦(筑紫女学園大学)/石川文人(日本福祉大学)/石川満(日本福祉大学)、/石川康宏(神戸女学院大学)/石倉康次(広島大学)/伊藤周平(鹿児島大学)/伊藤葉子(中京大学)/井端正幸(沖縄国際大学)/岩田美香(北海道大学)/岩佐卓也(神戸大学)/上畑恵宣(元同朋大学)/遠藤由美(名古屋造形美術大学)/大久保史郎(立命館大学)/太田由加里(田園調布学園大学)/大友信勝(龍谷大学)/大野友也(鹿児島大学)/岡崎祐司(佛教大学)/緒方桂子(広島大学)/小倉襄二(同志社大学名誉教授)/長上深雪(龍谷大学)/小沢修司(京都府立大学)/小澤隆一(東京慈恵会医科大学)/小田川華子(花園大学)/小野哲郎(明治学院大学名誉教授)/垣内国光(明星大学)/垣田祐介(大分大学)/加藤悦子(日本福祉大学)/金澤誠一(佛教大学)/加美嘉文(大阪体育大学)/上脇博之(神戸学院大学)/彼谷環(富山国際大学)/唐鎌直義(専修大学)/河合克義(明治学院大学)/川上昌子(淑徳大学)/木戸利秋(日本福祉大学)/
木下武徳(北星学園大学)/木下秀雄(大阪市立大学)/木村敦(大阪産業大学)/金永子(四国学院大学)/久保美由紀(会津大学短期大学部)/後藤道夫(都留文科大学)/小西祐馬(北翔大学)/小林武(愛知大学)/嵯峨嘉子(大阪府立大学)/佐々木宏(広島大学)/笹沼弘志(静岡大学)/佐藤卓利(立命館大学)/佐藤嘉夫(岩手県立大学)/里見賢治(佛教大学)/塩満 卓(佛教大学)/鎮目真人(同志社女子大学)/志藤修史(大谷大学)/嶋田佳宏(札幌学院大学)/清水浩一(明治学院大学)/下村幸仁(会津大学短期大学部)/庄谷怜子(仏教大学)/新村繁文(福島大学)/鈴木靜(愛媛大学)/鈴木嵩之(会津大学短期大学部)/鈴木勉(佛教大学)/鈴木富久(桃山学院大学)/砂脇恵(種智院大学)/曽我千春(東海女子短期大学)/高島拓哉(大分大学)/高田哲(名寄市立大学)/高林秀明(熊本学園大学)/高間満(神戸学院大学)/武井寛(國學院大學)/竹内真澄(桃山学院大学)/武田公子(金沢大学)/武元勲(同朋大学)/田中明彦(龍谷大学)/丹下晴喜(愛媛大学)/丹波史紀(福島大学)/津田光輝(元札幌学院大学)/寺久保光良(山梨県立大学)/鳥山まどか(法政大学)/中井紀代子(共栄学園短期大学)/中川慶子(京都ノートルダム女子大学)/中川健太朗(花園大学名誉教授)/中島茂樹(立命館大学)/中島正雄(京都府立大学)/中嶋陽子(大阪市立大学)/長友祐三(埼玉県立大学)/中野加奈子(佛教大学)/中村強士(東海医療福祉専門学校)/永山茂樹(東海大)/鍋谷州春(札幌学院大学)/西島文香(高知大学)/長谷川俊雄(愛知県立大学)/長谷川眞人(日本福祉大学)/八田和子(福山平成大学)/浜岡政好(仏教大学)/原田正樹(日本福祉大学)/東優子(大阪府立大学)/日比野正興(東京YMCA専門学校)/笛木俊一(日本福祉大学)/深井英喜(三重大学)/布川日佐史(静岡大学)/福間麻紀(北海道大学)/藤井伸生(華頂短期大学)/藤城恒昭(城西国際大学)/藤松素子(佛教大学)/前原清隆(日本福祉大学)/松崎喜良(神戸女子大学)/松本伊智朗(札幌学院大学)/松本一郎(法政大学)/三田優子(大阪府立大学)/宮崎牧子(大正大学)/村田隆一(横浜市立大学)/森英樹(龍谷大学)/矢嶋里絵(首都大学東京)/山田壮志郎(岐阜経済大学)/山野則子(大阪府立大学)/山本忠(立命館大学)/山森亮(同志社大学)/六波羅詩朗(国際医療福祉大学)/脇田滋(龍谷大学)/渡辺洋(神戸学院大学)以上 127名(第1次分。2007年11月10日現在)
(第2次分。11月11日以降賛同分)
藤田博仁(愛知県立大学)/生江明(日本福祉大学)/明星智美(日本福祉大学)/浅原千里(日本福祉大学)/都留民子(広島県立大学)/湯澤直美(立教大学) 総計133名

辞意表明の記者会見で民主・小沢氏がマスコミ批判

民主・小沢  福田首相


 民主・小沢代表が午後四時半過ぎに、民主党本部で記者会見を開き「けじめをつけたい」と党代表の辞意を表明した。

 ここ数日、自民党と民主党の大連立構想が、大きく報道され、いったい何のこっちゃ?・・・とか、思っていたら、東京新聞の一面に報道された記事が、この間の政局をわかりやすく報道しているようだ。全面転載しておく。

 記者会見で、いちばん小沢氏が怒りを込めて語っていたのは、マスコミ批判だ。
「3日から4日にかけて、事実無根の中傷報道が相次いだ。政権の垂れ流し報道は、亡国に導いた戦前と同じではないか!」

 記者会見後のニュースは、もちろんこの肝腎なポイントは、はずしていました。ナベツネやウジイエ、そして中曽根は、何やりたいんだか。改憲かぁ? 安倍晋三君が首相を突然、止めちゃたものだから、焦っているのか…。

●東京新聞 11月4日 10時03分
【検証—自・民『大連立構想』 お膳立て読売・渡辺氏か】
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007110490070732.html
 発端は、先月二十五日夜に都内の料亭で開かれた会合だった。
 会合の出席者は、元首相・中曽根康弘や読売新聞グループ本社代表取締役会長の渡辺恒雄、日本テレビ取締役会議長・氏家斉一郎ら。渡辺、氏家は福田政権の誕生にも大きな役割を果たし、首相・福田康夫に、大きな発言力を持つ。民主党代表の小沢一郎とも「しょっちゅう会っている」(閣僚経験者)関係とされる。この席で、自民党と民主党の「大連立」が話題に上った。

 中曽根や渡辺は、宿願である憲法改正を実現するためにも、「大連立」を熱望している。ただ、大連立が実現するとしても、次期衆院選後だと考えていた中曽根は、「衆院解散前に大連立ができるんですか」と質問。渡辺は「できます」と応じた。
 二十八日には若いころ中曽根の秘書を務め、今も中曽根側近の前官房長官・与謝野馨が小沢と都内のホテルで共通の趣味である囲碁の公開対局を行っている。

 福田は翌二十九日朝、自民党幹事長・伊吹文明に党首会談の調整を指示した。「小沢氏は応じないのでは」と懸念する自民党幹部もいたが、福田は「受けるでしょ」と軽くいなした。その言葉通り、小沢は同日夕、あっさり会談を承諾した。
 「党首会談をお膳(ぜん)立てしたのは渡辺氏」。複数の与野党幹部は、こう口をそろえる。
 福田の「大連立」打診にはどんな背景があり、小沢はなぜ申し入れを拒むことになったのか。そして、傷ついたのはどちらだったのか。舞台裏を検証した。
  
■検証『大連立』頓挫
 福田、小沢の一回目の会談がセットされたのは十月三十日。福田は新テロ対策特別措置法案の成立に協力を求めたが、小沢は「自衛隊の海外活動は国連決議に基づくものに限るべきだ」との持論を展開。平行線が続き、再び会談することになった。二人とも連立は話題にしなかったと説明しているが、自他共に認める大連立論者の渡辺が仲立ちをして会談が実現することが広がると、与野党幹部の間では「当然、大連立の話もしているはずだ」との憶測が渦巻いた。

 二日午後三時から始まった再会談。福田は自衛隊海外派遣の恒久法を検討する代わりに、新法案への協力を求めた。
 しかし小沢は、ここでも原則を譲らなかった。平行線のまま一時間経過すると、福田は「あなたの原則と新法案が法的に合うか検討してみる」と中断を提案。会談をしていた国会から首相官邸に戻って、官房長官・町村信孝らと対応を協議した。
 小沢も、党本部に戻り民主党代表代行・菅直人や幹事長・鳩山由紀夫と対応を検討。鳩山らは「もし大連立を提案されたら、『小沢首相』の実現が条件だ。就任したら、すぐに解散すればよい」と小沢が安易な妥協をしないようくぎを刺した。
 
 午後六時半の再開後、福田は「国連決議で認められた活動に限るという前提で、恒久法がつくれるかどうかを検討する」と小沢の主張を丸のみする考えを示した。さらに、「今日の状況の中で力を合わせないと政策実現できない。連立を組んでいただけないだろうか」と、ついに本題を持ち出した。
 小沢は「そんな大きな話はここでは決められない」と回答を留保。約一時間で会談を打ち切り、党幹部と協議するため党本部に戻った。
 福田は、成算があったのだろう。会談後、伊吹に「もし、民主党がオーケーの返事を出したら、政策協議機関を設置して滞っている政策を中心に実行する」と指示。直後に記者会見した伊吹は「ボールは民主党にある」と、民主党に決断を促した。

  ■     ■
 だが、ほどなくして福田のもとには、期待に反する知らせが届く。
 「誠意ある対応をしていただきましたが、結果として、のめません」
 小沢は二日午後九時半すぎ、民主党本部八階の代表室で、福田に電話で大連立拒否を伝えた。
 小沢は党首会談終了後、民主党の役員会に出席。「政策協議が(大連立の)入り口だが、どうだろう」と切り出した。
 小沢は「政策協議をしていけば、参院選で掲げた公約を実現できる。ただし、本当の意味での政権交代ではない。国民がどう見るかも分からない」と、大連立参加のプラスとマイナスを説明した後、「両院議員総会を開こう」と提案した。小沢は最後まで連立への賛否は口にしなかったが、党の正式な議決機関である両院議員総会の開催を提案したことからも、小沢が連立に傾いているのは明らかだった。

 しかし、これに対し「政権に入ることが目的なのではない。政権交代が目標だ」「大政翼賛会的で国民の反発を招く」と反論が続いた。発言者は六人。全員反対だった。
 小沢は「みんながそう言うのなら、分かった」と決断。大連立構想は表に出てから、わずか数時間で頓挫した。
 町村は記者団に「答えがこんなに早く出るとは思わなかった。しかも、ノーという答えが。意外であり、かつ残念だ」と福田の思いを代弁した。

  ■     ■
 自民党の連立パートナー、公明党代表・太田昭宏に大連立打診の可能性を福田から知らされたのは、二日午後二時半の与党党首会談の席だった。大連立が実現すれば、公明党は自民党から使い捨てにされかねず、党内は動揺した。
 小沢が連立の打診を持ち帰った後、公明党は、常任役員会を開いて対応を協議。その最中に、民主党が申し出を拒否したとの一報が入ってきた。

 ある幹部は「ボールを投げたと思ったら、あっという間に返ってきた。そして、ボールはなくなってしまった」と皮肉な笑いを浮かべた。
 小沢は、提案を持ち帰ったことで党内の疑心暗鬼を招いた。
 福田はいきなり切り札を切ったのに成果は得られず、公明党の不信も買った。
 「福田も小沢も両方傷ついた」
 自民党の閣僚経験者はこうつぶやいた。 

人権としての食糧権 反グローバリゼーションへ

フランスワイン ブドウ畑

■フランスの「新世界」ワインショック
 NHKスペシャルの「ライスショック」に続いて、クローズアップ現代で「フランス ワイン危機」(10月25日)を観た。食糧自給率の高いフランスでさえ、グロバリーゼーションの影響が深刻なのだ。

 フランスは食糧自給率も高く、チーズなど乳製品の輸出品も多いはず。ワインは「新世界ワイン」の競争力に負け、消費者も新世界ワインを受け入れている。EUは、今年7月、これまでのワイン産業に対する保護政策を大きく転換した。補助金の廃止やブドウ畑の減反、そして、新規参入の自由化といった大胆な改革案を打ち出した。

 新世界ワインの台頭によって、地域原産にこだわるのではなく、ブドウの品種による「ワインの民主化」が広まった。それから、高級ワインがこれまでの数十倍の高値をつけるという、二極化という現象が起こっている。

 ライスショックは日本だけの問題ではなく、グロバリーゼーションが世界的にさまざまな現象を引き起こしていることがわかる。反グローバリゼーションを、どうやったら実現できるのか、かなりむずかしい問題だ。

■1948年に認められた「食糧権」
『ル・モンド・ディプロマーティーク』日本語・電子版に、以下のような記事があったので、一部、転載する。

人権としての食糧権の確立をめざして
ジャック・ディウフ(Jacques Diouf)
世界食糧農業機関(FAO)事務局長、1994年着任
訳・七海由美子
http://www.diplo.jp/articles07/0710-3.html

 国際社会は所信表明を繰り返し、善意に事欠かない。にもかかわらず、世界では8億5400万人もの人々が空腹を満たせずにいる。地球には、現在の総人口をたやすく養えるだけの食糧があるはずだ。10月16日は「食糧権」を掲げる世界食糧の日である。この機会に、人々の意識や諸国の政府に、この衝撃の事実を呼び起こすことができるだろうか。

 意外に思えるかもしれないが、1948年に認められた食糧権が、確固たるものとして具体性を持つようになったのは、ここ10年ほどにすぎない。それまでの間、この基本的権利があまり知られず、なおざりにされてきたなどとは、信じがたい話ではないか。「人間は生まれつき善人である」とか「人類は大いなる発展を遂げてきたのだから、やがてすべての人々の福祉が保障されることだろう」といった見立ては、現実によって裏切られている。

 問題はどこにあるのか。我々は長年、食糧の流通の不備や分配の不平等をあげつらい、経済成長や人口圧力をめぐる大理論をでっちあげてきた。あれらの大陸は呪われ、嫌われ、足踏みしているのだと言っては手をこまぬき、神の呪いのせいにさえしてきたのだ。

 おお食糧よ、いかに多くの罵詈雑言が、汝の名において吐かれてきたことか。この21世紀というグローバリゼーションとインターネットの時代に、食糧権が憲法に明記されているのがわずか20カ国程度にすぎないことを、どれほどの人が知っているだろうか。考え方を変えることは難しい。また、関心や意識の欠如を克服することは難しい。この基本的な人権の一つが「復権」を果たすまでに、あとどれほどの時が流れればよいのか。

 すべては1948年に始まった。パリで採択されたあの世界人権宣言の中で、このとき初めて食糧権が認められたのだ。だが、この権利は長い間、いわば休眠状態に陥った。国連総会で、「経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約」が採択されたのは、1966年になってからのことだった。

 1976年に発効し、今日までに156カ国が批准した同規約を通じて、「適切な食糧」を得る権利は諸国の認知するところとなった。これらの国々は、「すべての者が飢餓から免れる基本的な権利を有すること」を認め、「食糧の生産、保存および分配の方法を改善する」ために、個々に、および国際協力を通じて「具体的な計画その他の必要な措置をとる」ことを約束している。

 これらの国々は、「世界の食糧の供給の衡平な分配を確保」することや、「この規約において認められる権利の完全な実現」を達成するために「立法措置」をとることも約束している。各国はこのように、規約上の義務の存在を認めているのだ。しかし、諸国の約束はなかなか具体化には至らなかった。(後略)



 


 

浜岡原発は東海地震に耐えられるのか?

浜岡原発

 静岡にある中部電力・浜岡原発の運転停止を求める市民団体が、起こした訴訟に対して、静岡地裁は「東海地震の大きさは科学的根拠に基づいており、住民の生命・身体が侵害されることはない」と原告の請求を棄却した。

 科学的根拠・・・原告の科学的根拠と、裁判所の科学的根拠が、食い違っている。
「科学的根拠」っていう言葉に騙されてはいけない。権力が捏造する調査データというのは、たくさんある。

●中日新聞 10月26日 夕刊
【浜岡原発の運転停止認めず 静岡地裁「耐震性は確保」】
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007102602059498.html
 中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)が東海地震に耐えられるかを争点に、市民団体が1-4号機の運転差し止めを求めた訴訟の判決が二十六日、静岡地裁であった。 宮岡章裁判長は「中部電力が想定する東海地震の大きさは科学的根拠に基づいており、原子炉の運転によって原告らの生命、身体が侵害される具体的危険性は認められない」として原告の請求を棄却、並行審理された仮処分申請も却下した。市民団体は控訴し、仮処分についても東京高裁に即時抗告した。

 判決理由で、宮岡裁判長は「想定東海地震に関する中央防災会議のモデルは科学的根拠に基づいている」と指摘。「中電が定めた、最大の地震が起こす揺れの基準地震動は妥当で、設計上の安全余裕は十分に確保されている」と述べた。
 柏崎刈羽原発で想定を二・五倍上回る揺れを観測した七月の新潟県中越沖地震の後でもあり、原発の耐震性に対する司法判断が注目されたが、仮処分の決定理由で、トラブルを起こした柏崎刈羽原発についても、炉心溶融などの重大事故は防止され、安全性は確保されていたと述べた。

 訴訟の争点は(1)中電が想定した地震の規模(2)原発の耐震性(3)老朽化による強度低下-の三点。

判決骨子

 判決は地震の規模について「十分安全側に立った想定がされている」と妥当性を認定。「揺れが大きな、より厳しい条件を想定すべきだ」と主張していた原告側の訴えを全面的に退けた。耐震性については「余裕を持って設計されており、想定に近い揺れに襲われても直ちに耐震安全上、問題が生じるものではない」とした。昨年九月の国の耐震指針の改定についても「耐震安全性の向上を求めたもので旧指針に基づく安全評価を否定するものではない」と旧指針の信頼性を認定。1-4号機は新指針に照らした国の安全確認を終えていないが「耐震安全上、問題はない」と判断した。

 老朽化への対策についても「機器のひび割れなどを事前に予測し、部品を交換して安全性を確保することは可能で、合理的」とした。
 原発の運転や設置をめぐる訴訟で住民側が勝訴したのは、〇三年一月の高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の設置許可無効(最高裁で破棄)と、昨年三月の北陸電力志原発(石川県志賀町)の運転差し止めの二例だった。

<浜岡原子力発電所> 中部電力が唯一の原発として静岡県御前崎市に建設し5基ある。1-4号機は沸騰水型、5号機は改良型沸騰水型で1976年から2005年にそれぞれ営業運転を始めた。総出力は約500万キロワットで国内原発では東京電力柏崎刈羽原発に次いで2番目。1号機は01年、2号機は04年から定期点検を理由に稼働停止中。4号機も今年9月から定期点検に入り現在稼働しているのは3、5号機。


■声明 浜岡原発運転差し止め訴訟不当判決に抗議する

2007年10月26日
原子力資料情報室


 本日、静岡地方裁判所民事第1部は、原告住民の訴えを却下する判決を下した。裁判では原告側は耐震安全性の不備や原発震災の危険を具体的に主張したが、判決は安全評価や機器のチェックが国の指示にしたいがって行なわれていれば、それでよしとする極めて表面的なものであり、不当判決と言わざるを得ない。

 さらに、浅い判断と言わざるを得ない点が多数見られる。
・判決直前に明らかになった1000年周期でM9クラスの地震が起きる可能性についても全く無視し、「十分に安全側にたった地震動予測がされているものと認められる」としている。
・中越沖地震では同時多発的に配管類の変形や建物の亀裂などが起きたが、判決は「同時多発的に配管類の変形や破断が発生する現実的な可能性があるとはいえない」と現実を無視する判断を下している。
・経年劣化についても、SCCがどこで発生するか分からないにもかかわらず、また、全てが点検できるわけでもないにも係らず、点検・検査を行い適宜交換しているから安全が確保されていると判断している、など被告側の主張を鵜呑みにした判断が行なわれているといわざるを得ない。


 5年余にわたって原告は、想定すべき地震の規模と起こり方、地震時の共通要因故障、施設の安全余裕性、進行している重要機器の老朽化の危険性、膨大な同時多発故障などをめぐって主張を展開してきた。これは判決が言うような「抽象的に想定可能なあらゆる事象」を主張してきたのではなく、具体的に危険性を指摘してきたのである。

 起こりうる事象に対して、起こった場合の甚大な被害を想定し、それを避けるという予防原則こそが、これからの人類社会の規範でなければならないと、私たちは考える。
 この判決によって、住民・市民の生命・健康を守ることは決してできないであろう。原告ならびに周辺住民も、これによって原発の安全性が示されたとはとうてい言えず、原発震災を招く判決と言わざるを得ない。


●判決骨子PDFはこちら
http://cnic.jp/files/071026hanketsukosshi.pdf

原子力資料情報室 URL: http://cnic.jp/