Surf’s-Up -5ページ目

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

あっというまの最終日。




フェスの最終日は、寝不足で朝グダグダなことが多い。




そんなこんなで、昼過ぎにホテルを出る。




海浜幕張の駅で、もう我慢できなくなり、ロッテリアの前でビールを買う。




これがキンキンに冷えていて、最高においしい一杯だった。




本州に居ると、ビールのありがたさがしみる。






まずはメッセでPEACEを見る。




ヴォーカルが白いサロペットみたいなのを着てる。




なんか、「時計じかけのオレンジ」っぽい。




Follow Babyからスタート。この曲好きです。ストーナーなグルーヴで一気に引きつける。




繰り出すどの曲もキャッチーでUK Rockの旨味に溢れている。




でも、その楽曲の良さに溺れることなく、実直なプレイを披露していた。




なんとなくあっさりした感はあったけど、まだまだ新人。




まずはちゃんとしたセカンドを作ってください。





その後はPalma Violetsを観ようかと思っていたけど、




マリンでスマパンを観ることにする。




自分の中でスマパンは、圧倒的に2ndサイアミーズ・ドリーム。




ちょこっとメロンコリーって感じで、あとはほとんど聴いていない。




最近のは全然しっくりこない。




そんな調子だったものだから、ライブも消化不良だった。




マリンにつく前に、Tonight Tonight,Chrub Rockやっちゃったみたい。




DisarmにSpace Oddityも・・・残念。




Todayは聴けたので、そこだけはよし。




ただ、今は完全ビリーのワンマンバンドなので、違うバンド観てるような気分になったのも事実。




ビリーもなんとなく落ち着いちゃったな。




イハ、ダーシー、ビリー・チェンバレンよりはずっと上手いバンドなんですけどね。





この頃が最高にかっこいいよ。



ジェイクの後は、sonicにてKodalineとMewを観ることに。




Kodalineは先日ファーストが出たばかり。「アイルランドのコールドプレイ」とか、身も蓋もない言われ方されてるけど、フェスではこういうバンドを観たくなるんです。スケールの大きい音を出すバンドですね。




新人ながら、ステージバックにはしっかりと1stジャケットが飾られていました。




オープニングはAfter The Fallからスタート。うん、確かにコールドプレイ直系。そして、フロントマンがギターやピアノをせわしなく回る辺りも。




やはりこういう開放感のあるサウンドはフェス向き。全景を徐々に見せていくサウンドスケープが特徴だけど、この辺を今後どう練っていくかが楽しみ。今はまだ、こう、読めてしまうところがあるので。



とか言いながら、ラストのAll I Wantは本当に感動的。しっかり合唱してきました。





続いてMew。




自分にとっては、ちょっと懐かしいバンドである。一番好きなのがFrengers。その後2枚アルバムをリリースしているけど、正直なところ、それほど熱心には聴かなかった。




そんなわけで最初は、なんとなく観ていたんだけど、Frengers収録のSnow Brigadeあたりから自分のテンションが高揚してくるのがわかる。その流れで聴くと、続くApocalypso(だったと思うが自信ありません)がすごくかっこよかった。




そして、Am I wry no? 「うぉー、懐かしい」と思わず言葉にしてしまったが、ヨーナスにちょっと貫禄が出てきたせいか、アルバムで感じた繊細さとは違う、強さを感じた。




ラストはComforting Sounds。これは本当にため息が出るくらい美しい。いつまでも続いてくれ、もっと爆音で、と思いながら聴いていた。





これ見てても泣きそうになるなぁ。

Mewがあまりにも良かったので、この日はこれで終了。引き際を誤っちゃいけない。









毎年、本州に来て思うのは、




「なんでこんなに暑いの?」




北海道も30℃超えることはあるけど、質が違う、クラスが違う。




気温よりも湿度の違いにやられます。




よくプロ野球解説者の岩本勉が「北海道のみなさん、ぜいたく言いすぎ」っていうけど、




本当にそうだと思う。タフな環境で生きてるんだなって。




しかも、あの電車の乗り換えとか、信じられません。




僕、何度路線図を見ても理解できません。




スマホ片手にやっとわかる程度。




スマホがない時代は、ネットで調べた乗り換え方一本で行動していました。




もう、都会の人は尊敬に値します。




絶対、東京はおろか、関東では生きていけないな。






と、前置きが長くなりましたが、




今年のサマソニはとにかく暑かった。




海浜幕張からメッセまでの移動さえつらかった。




そんな事情もあったのか、土曜日はメッセのみで終わりました。



$Surf’s-Up



一発目はJake Bugg。




マウンテン・ステージはでかすぎないだろうかと、心配でしたが、




ジェイクは涼しい顔で、まるでライブハウスにいるかのように




全く動じず,アルバムのラストナンバーFireから歌い始めました。




バンド構成であったけど、基本はジェイクの存在感のみで成り立っているような感じ。




でも、そういうことを19歳にして、やってのけているところが、やっぱりすごい。




あの中で、country song,Brokenと続けられるのもそう。




場をねじ伏せるような感じではなくて、どんな場面でも自然体でいられることが凄味を感じさせる。




一つ注文をつけるとすれば、Neil YoungのHey Hey My Myのカバー。




何となく違和感がありました。これは今のジェイクにとって必要なナンバーではないと思う。




今の自分の音楽をどんどんはき出してほしい。君の言葉とメロディーを聴きたい。



先週金曜から今日まで、千葉の方に居ました。


サマソニです。


金曜のソニマニから3日間、幕張に通い詰めました。


初日のソニマニは、ペット・ショップ・ボーイズの途中から。


あんまり熱心なリスナーではないけど、たまたま好きなナンバーのIt's A Sinが聴けて。


そこからドミノ・ダンシングやゴー・ウェストと、まさに黄金のセットリスト。


僕でもそれくらいは知ってます。フェスをよくわかってますね、彼らは。


この日のお目当ては、その後登場のThe Stone Roses。


昨年のフジに続いての降臨。前半は昨年以上にグダグダでした。


でも、まぁそういうことじゃないんですよね。


説明不要の存在感を持ったバンドは、今なかなか居ません。


そして、メロディーとグルーヴの奇跡の融合。


上手下手、いろいろなドラマを含めて、そこで成立している。


4人がステージで肩を組んだり、会話している場面でさえ、こちらの心に鳴り響いてくるものがある。


そんな時間を過ごすことができました。


Breaking into Heavenやってたけど、Driving southとか、もっと2ndの曲やってほしいんだけどな。


そんなの自分だけか。


あの、1stジャケットを模したウェア、商品化しないですかね?





More Light/Primal Scream



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 Primal Scream,5年ぶり10作目のアルバム。


 前作Beautiful Futureは、「なんとなく」作られたような、煮え切らなさを感じたアルバムだった。悪くはないんだけど、自分たちの最高傑作を作ろうという意志は見えず、プライマルがついにピークを過ぎたバンドになってしまったのかとやや寂しい気持ちにもなった。


 そして、近年はスクリーマデリカ再現ライブなど、キャリアを総括する活動が続き、マニも抜けてしまったこともあり、テンションの高い作品はあまり期待していなかったのが正直なところ。


 しかし、先行公開されていた2013を聴いたときに、何か心に引っかかるものがあった。退廃的な空気を作るサキソフォンと攻撃的なギターが暴力的なグルーヴを描いていく。前作にはなかった不健康な享楽性が、ここで復活している。そして、これがアルバムのオープニング・チューンとなっていて、アルバムのテンションをかちあげている。


 2曲目River Of Painでは一気に漆黒のグルーヴを見せる。パーカッションとベースラインの雰囲気が「悪魔を憐れむ歌」を想起させる。途中の壮大なストリングスといい、内包しているエネルギーが止めどなく溢れてくるような曲だ。聴いていると思わずニヤニヤしてしまう。ここにある「ゾクゾク」する感じこそが、かつてのプライマルにあったものなのだ。


 3曲目、ポップ・グループのマーク・スチュワートが参加しているアジテート・ソングCulturecide、4曲目Hit Voidからは一転して、スペイシーなロックンロールへと舵を取る。この辺の変化自在な感じも、まさにプライマル。


 その後もオリエンタルなリフが印象的なSideman,21世紀型サイケ・パンクのRelativityなど多彩なナンバーが収録されている。サウンドのトーンは、ドラッギーなギターにカンやノイ!に影響を受けたというやや無機質なハンマー・ビート、そこにサックスやピアノ、パーカッション、そしてノイズがやや乱暴にアクセントをつけているといった感じ。そのフォーマットの中で、これだけ振れ幅の大きい内容になっているのはおもしろいが、アルバムの流れという面ではどうか、という不安が見えてくる。


 だが、そんなアルバムの最後をがっしりと束ねるのがラストのIt's Aright,It's Okだ。おそらくバンドのニューアンセムになるであろう、ゴスペルライクなロックナンバー。「なんとかなるさ、大丈夫」と繰り返し歌うボビー。この包容力に、先ほどの不安が一気にストンと落ちる。すべてのナンバーが収束していって、ここで頂点に達するという見事な流れになっている。ボビーの確信犯的な薄ら笑いさえ見えそうだ。


 器用にまとめるのではなく、自分たちのロックへの熱量を100%伝えたいという、そんな意志が漲ったアルバム。ピークがどうのこうのと言うよりは、バンドのクリエイティヴなパワーがとてもいい状態にあることを証明している作品です。


 (08/08/13)










Slow Summits/Pastels



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 グラスゴーの至宝、パステルズのニューアルバム。


 以前、テニスコーツとのスプリットアルバムを出してはいるが、純粋な意味では16年ぶりの新作となる。


そもそもリリースのスパンが長い人たちなので、16年ぶりと聞いてもそれほど驚いている人は、ファンなら誰もいないだろう。


 個人的にも、それほど「待望」という気持ちを持っていなかった。というのも、何というかグラスゴーには、またはグラスゴー以外にも優秀なパステルズ・フォロワーのバンドがたくさんいて、彼らの遺伝子を感じられるギタポをあちこちで聴くことが出来る。そんなこともあって、それほど渇望感がなかったのだ。


 今作のプロデューサーはジョン・マッケンタイア。ポスト・ロックのタッチで、眩いサイケサウンドを作らせたらピカイチな人。そして、TFCのノーマン、ジェラルドら「グラスゴー一家」がしっかりレコーディングに参加している。


 オープニングは、カトリーナがヴォーカルを務めるSecret Music。 緩やかなギターサウンドと優しげなヴォーカルが淡く溶けていく。 静的な空間にメランコリアを展開するという、illumination以降のサウンドが継承されている。続くNight time Made Usではスティーヴンが歌う。個人的にはこのスティーヴンの歌こそがパステルズだと思っている。下手とも違う、微妙にメロディーを外していく感じ。それがなんとも心地よく胸に響いてくる。


 4曲目のSummer Rainが最高だ。ザックリとしたギターに、スティーヴンのヴォーカルというゴールデン・コンビから終盤ジャムっていく流れが素晴らしい。そして、アンビエントなインストAfter Imageへと雪崩れ込んでいく。そこがアルバムのハイライトだと思う。


 6曲目Kicking Leaveでは流麗なストリングスの調べに乗せて、切なさをかき立てるようにカトリーナが優美に歌う。Wrong Lightを挟み、8曲目Slow Summitではサントラ風のインストナンバーを披露している。ラストCome To Danceはこれまた彼ららしい、ホームメイド感溢れる、軽妙なギタポ。


 16年ぶりがどうしたの?って感じで、実にあっさりとアルバムは終わる。しかしながら、この作品とリスナーの関係性こそがパステルズの重要な要素なんだと思う。過度にドラマを作らずに、自分たちのペースで音楽を作り続ける。変わりようのないもの、また、代わりようのないものがここにはある。まさに、タイムレス・バンド。


 (07/08/13)




Messenger/Johnny Marr



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 Johnny Marr、初のソロ・アルバム。


 The Smiths以降、Healersという自身のバンドで活動していた時代もあったが、The The,Electronic,The Pretenders,Modest Mouse,そしてThe Cribsと一ギタリストとしての活動をかたくなに続けてきた。


 それがなぜ、今ソロで?ということになるのだが、それまで素晴らしいバンドからのオファーがずっと続いてきたからなんだとは思うけど、ライナーノーツには「今はとにかく一人でやりたい」という心境だということが書いてある。


 そんな心境がいつまで続くかはわからないけど、とにかくここでは彼が曲を書き、ギターを弾き、歌っている。ようやく、そんなジョニーに出会うことができたのだ。


 オープニングのThe Right Thing Rightからして、明確な意思表示が感じられる。力強くかき鳴らされるストローク、ドラマティックなフレーズ、その立ち姿さえ浮かんできそうなくらい、堂々とした歌いっぷり。スケール感のある王道ロックで始まるとは。続いては疾走感溢れるI Want the Heartbeat、そして3曲目European Meの哀愁の漂いっぷり・・・


 と、とにかく驚くようなナンバーが次から次へと繰り出される。これまで属したどのバンドにもないテイストの曲ばかり。趣味性に走ることなく、「ギタリストが作ったギターロック・アルバム」として、ギターサウンドのダイナミズムを主に置いたアルバムになっている。


 そして、どの曲も明確なメロディーラインを持っているし、ヴォーカルを大切にしている。おそらく一番自信のないパートであるところを、実に若々しく聴かせている。また、曲調も意外と多彩。特にThe Messenger、New Town Velocityのような哀愁と憂いを湛えたナンバーが光る。なんとなくだけど、雨の高速を走っているような、そんな叙情感がある。


 今まで、こういうものをずっと暖め続けてきたのだろうか?アルバム全体を包む、開放的な空気。それもまた、今までジョニーが関わった作品には無かったもの。


 そういう意味では、評価が割れるアルバムだと思う。個人的には結構好きだけど、やはりモリッシーのソロに比べると、いや比べてはいけないかもしれないけど、胸をかきむしられるような力は感じられなかった。スミス的なものを死ぬまで背負っていこうと、命がけの意志でステージに立ち続けるモリッシーに、僕はどうしても「夢の後先」を追い求めてしまう.


それでも、これだけは決めてます。


 サマソニでは、Museを捨てて、あなたと「心中」します!


(02/08/13)





Monomania/Deerhunter



¥1,663

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 Deerhunter、5作目。


 傑作3rd、Microcastleをさらにドープにしたような前作、Halcyon Digestから3年。その間Atlas Sound,Lotus Plazaでも良質なアルバムをリリースし続けていたわけで、創作意欲の強さが見て取れる。ちなみにブラッドフォードは制作前のリハーサルで、280曲以上を書き上げたらしい。


 アルバムタイトルが書かれたネオンサインという、実にシンプルなジャケット。その佇まいが象徴するように、真夜中のガレージ感溢れる、テンションの振れ幅が大きいサウンドになっている。


 オープニングのNeon Junkyardは、曲調はフォーキーでメロディーもしっかりしているが、粗暴なギターとヴォコーダーによって、すっかり不健康な姿になっている。そして、シンプルなリフから無軌道なノイズに導かれるように狂気の入り口をこじ開けるLeather JacketⅡが最高。アルバムの中ではこういうラフな曲が際立っている分、精密なプロダクションではなくて、勢いに任せた感もある。アルバムタイトル曲Monomaniaも素晴らしい。終盤のリフレインは圧巻だ。ライブで是非聴きたい曲。


 ただもちろん、そういったナンバー一辺倒で終わるはずがないのがDeerhunter。The Missing、SleepwalkingのようにLotus Plazaのような浮遊感のあるギターロック、T.H.M.のようにメランコリックなギターに乗せて、穏やかに歌われる曲もある。


また、アメリカのルーツ的要素が随所に垣間見られるのも、今までにはあまりなかったこと。Pensacolaは下地にカントリー・ブルースがあるのは明白だ。巧みに音楽性をコラージュしてきた彼らであるが、今回はアプローチが思いの外ストレートだ。


 楽曲は全体的にメロディーがわかりやすいものが多い印象だ。元々、ガンガンメロディーの書ける人ではあるが、ここまで浮かび上がらせたことは無かったと思う。緻密なレイヤー、人工甘味料的コーティングを極めた前作と比べるとなおさらそうだし、Microcastleと比べてもメロディアスであるように感じられる。


 荒っぽさがありながらも、所々で違った様相を見せることで、バンドの実体をミステリアスなものにしているところが、聴く人によっては近づき難く感じられるのかもしれない。しかしながら、制御ギリギリの狂気感をサウンドにぶち込める人ってそうそういない。変な言い方かもしれないが、僕はDeerhunterに「不完全な傑作」を作り続けて欲しいと思うのだ。 


 ちなみに、ベストトラックはLeather JacketⅡ、Nitebike。ギリギリ曲の体を保っているって感じで、「不完全な傑作」には欠かせないピース。


(02/08/13)






今年はブログでほとんどフェスのことを書いていませんでした。

特に意図はありませんが。


今年は3つ予定しています。

そのうちの一つはすでに終わりました。


7/27,28のJoin Aliveというフェスです。

岩見沢の北海道グリーンランド、キタオンで行われます。


このフェス、2週開催でした。前半は行けなかったんですが、

後半は時間がとれたので、3年目にして初参加しました。


本来ならば、フジロックに行ってる時期なわけですが

今年は諸事情であきらめました。


しかし、このJoin Aliveが魅力的だったのは、

フジで来ている海外勢がこの岩見沢にも来るということでした。


しかもそのメンツが、Yo La Tengo,The Sea And Cake!!!

Gary Crark Jr,やRocket From The Cryptなども!!


北海道にヨラが来るなら、誰が見てあげるんですか?

ジョン・マッケンタイアを、そしてアーチャー・プレヴィットを誰が見るんですか?


僕しかいないじゃないですか!!


そんなわけで行ってきたんですが、見事に人のいないフェスでした。

つまりは、快適に過ごせたフェスでした。


テント泊したんですが、駐車場からテントサイトが激近!

カートで3分。


飲食ブースは、やや物足りないものの、遊園地の売店や自動販売機があって

困ることは無し。


グッズも行列なし。


ロゴスのブースで、折りたたみチェアを買い、それを持って行動していましたが、

そういう人はほとんどいませんでした。


一番大きなステージには芝生席があり、そこにシートを敷いて過ごす人が多く

ほかも地べたにシートというスタイルがほとんど。


なぜなら、遊園地内なので、舗装されているんですね。


ただ、僕は椅子にゆったり、というのが好きなので、

一人、でかい椅子を抱えながら行動していました。


あの動員数では、来年は2週開催はないかもしれない。


でも、でも、でも、

絶対やってください!マウント・アライブさん、山本さん!!

これだけ快適で、敷居の低いフェスはなかなか無いですよ。


そんなことを言いながら、来年はあっさりフジに行ってると思うんですが・・・


ちなみに今後の参加予定は


8/9~11 Sonicmania,Summer Sonic(千葉)

8/16~18 Rising Sun Rock Festival(石狩)


です。

Trouble Will Find Me/National



¥1,558

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 The National、通算6枚目のアルバム。前作High Violetも素晴らしい作品で、確かアメリカでもかなりのセールスをあげたと思う。こういうアルバムが売れるって、なんかすごいなぁと思う。だって、日本のオリコンでこんなシーン日和見感ゼロの作品が上位にくることありますか?


 で、3年ぶりの新作となるわけですが、これが本当に素晴らしい。


 オープニング、力強いアコギで始まるI Should Live In Saltから引き込まれる。静かに進行していくメロディーラインを丁寧に歌い上げていく。バックの演奏もそれについて行くかのように、過不足のないエモーションを放っている。自分たちの今まで、そしてこれからを確かめるように歩いて行く。そんな雰囲気を漂わせる曲だ。


 続くDemonsはさらに深い潜行を見せ、前作のセールス的成功に左右されることなく、自分たちの世界観を貫いていくというファイティングポーズを見せている。


 3曲目Don't Swallow The Capはややアップテンポにメロディーをリフレインしていくが、ピアノやストリングスが絶妙のタイミングで入ってくることで、スリリングさをもたらしている。4曲目Fireproofで冷え冷えとした雰囲気を作りつつ、リード曲である5曲目Sea Of Loveでラウドに一気に上り詰める。


 そして6曲目、Heavenfaced。彼らにしては、やや叙情的すぎるスロー・ナンバーであるが、この曲を挟んだ後半は前半よりもさらにダークな部分に切り込んでいくナンバーが多い。


 一見シンプルさを基調としたギター・ロックのように感じるが、聞き込むと音のレイヤーにはかなり力を入れていると思う。ギターの音色に奥行きがあるし、ストリングスやエレクトロを意外なタイミングで使ってきたりもする。聞きやすさや、より感動的にすることを求めるのではなくて、曲のフォルムに忠実な音選びをしている印象。


 彼らの音楽の根底にあるのはストイックさ。信頼できるものは己の感性であることをこのバンドはよく知っていると思う。どこまでもストイックに、迷わずに自分たちの「音」を紡いでいく。それが全編にわたって貫かれているように思う。


 ただ、コマーシャルな音作りを彼らはとっくに捨てている。その中で、得ることのできた「自由」を楽しみながら、職人的なロック・アルバムを作っているのかもしれない。そういう意味では、「ストイック」という表現は少々合わない。でも、「USインディー、かくあるべし」と、それだけは言い切れます。


 いずれにせよ、素晴らしすぎるアルバムです。リリースされてからかなり経ちますが、相変わらずかなりの頻度で聴いています。個人的には「Boxer」よりも好きなくらいです。


(02/08/13)