- Messenger/Johnny Marr
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Johnny Marr、初のソロ・アルバム。
The Smiths以降、Healersという自身のバンドで活動していた時代もあったが、The The,Electronic,The Pretenders,Modest Mouse,そしてThe Cribsと一ギタリストとしての活動をかたくなに続けてきた。
それがなぜ、今ソロで?ということになるのだが、それまで素晴らしいバンドからのオファーがずっと続いてきたからなんだとは思うけど、ライナーノーツには「今はとにかく一人でやりたい」という心境だということが書いてある。
そんな心境がいつまで続くかはわからないけど、とにかくここでは彼が曲を書き、ギターを弾き、歌っている。ようやく、そんなジョニーに出会うことができたのだ。
オープニングのThe Right Thing Rightからして、明確な意思表示が感じられる。力強くかき鳴らされるストローク、ドラマティックなフレーズ、その立ち姿さえ浮かんできそうなくらい、堂々とした歌いっぷり。スケール感のある王道ロックで始まるとは。続いては疾走感溢れるI Want the Heartbeat、そして3曲目European Meの哀愁の漂いっぷり・・・
と、とにかく驚くようなナンバーが次から次へと繰り出される。これまで属したどのバンドにもないテイストの曲ばかり。趣味性に走ることなく、「ギタリストが作ったギターロック・アルバム」として、ギターサウンドのダイナミズムを主に置いたアルバムになっている。
そして、どの曲も明確なメロディーラインを持っているし、ヴォーカルを大切にしている。おそらく一番自信のないパートであるところを、実に若々しく聴かせている。また、曲調も意外と多彩。特にThe Messenger、New Town Velocityのような哀愁と憂いを湛えたナンバーが光る。なんとなくだけど、雨の高速を走っているような、そんな叙情感がある。
今まで、こういうものをずっと暖め続けてきたのだろうか?アルバム全体を包む、開放的な空気。それもまた、今までジョニーが関わった作品には無かったもの。
そういう意味では、評価が割れるアルバムだと思う。個人的には結構好きだけど、やはりモリッシーのソロに比べると、いや比べてはいけないかもしれないけど、胸をかきむしられるような力は感じられなかった。スミス的なものを死ぬまで背負っていこうと、命がけの意志でステージに立ち続けるモリッシーに、僕はどうしても「夢の後先」を追い求めてしまう.
それでも、これだけは決めてます。
サマソニでは、Museを捨てて、あなたと「心中」します!
(02/08/13)