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An Ulterior Weblog

更新は全く不定期です。広告は勝手に付き、外す費用も馬鹿らしく、アメーバからも一切頂いておりません(コメント・読者登録もアフィリエイト狙い多く、受けておりません。ご容赦下さい)
Read-only, not set communicative and periodical updating, sorry.

朝である。外は0~-5℃の範囲をこのところうろちょろしている。厳寒期としてはやや温かい。


室温は13℃前半~15℃後半。


で、寒くない。13℃前半の部屋では少し肌寒いが、陽射しがあれば問題ない。裸足もいける。年始とは全く違う。


暖房の主体はガス温水ヒーターだった。逆転して、電気ヒーターが今は主体。どうして?温風では家の構造体がそうそう温まらないからだ。中まで蓄熱しない。

前に書いたとおり、遠赤外は水(人間もほぼ水)には深く浸透できないが、木材やガラス、家具など金属以外のものは何にでもよく浸透していくからである。


電気ヒーター(赤熱型。遠赤外専用ではない)を連日、陽が差さない時間帯や夜に使うとどんどん蓄熱され、簡単に壁や床が冷えなくなった。そのため、室温が低くても寒くなくなったのだ。18畳で最大でも600W。6畳では200Wでも多いかと思えたときがあるほど。温水ヒーターを止める時間も延びている。総電気使用量も対象の部屋を限定したとは言え200kWhを越えず(ヒーター分だけではないのでご注意を)、意外だった。

この状態にするには2週間から3週間が必要か。最近は陽射しの時間帯も伸びてきたのも援護射撃だ。太陽も偉大だが、アイヌ民族の知恵も偉大だった。ここまでいけるとは思ってもいなかった。しかも、ヒーターは赤熱して炎を見てるようだし、外に出る前に前面に立って温まって景気を付けて出ていける。

アイヌ民族万歳!


もっと室温を下げてみろ?我慢をすれば下げられるかもしれない。が、もともと13℃台の部屋は陽射しだけで暖房をあまり入れていない。陽射しの量から決まっているようなものだ。それに、これ以下は快適ではない。快適なためには16℃台はほしいところ。やり方が十分でないのか、チセにはさすがに追いつけない。


できればヒーターは出力高めのものを低出力で使うとヒーター管を暗くできるので遠赤外線の割合を増やすことができる。購入のときに注意してほしい。赤熱する管の本数を増やすだけのヒーターだとここでの使い方の有効性が少し落ちる。




湿度?40~50ぐらい。30台は全くない。脱衣室が一時的に60を超えるだけだ。タニタのデジタル温度・湿度計をあちこちに置いている。


1つだけ不都合がある。金属物を輻射は暖められない。なので、剥き出し金属のドアレバーだけは室温と同じでとても冷たい。塗料が施されている場合は別である。



※追記

床暖人気は高い。エコ派のエアサイクル系も根強い。しかし、こう基礎ばかり暖められてはシロアリ天国だ(シロアリは蟻ではなくゴキブリの仲間でほとんどどこにでも居る)。畳に敷いていた電気カーペットがシロアリにやられたという話もある。基礎の配管穴の隙間などが侵入しやすいので一度、自宅の基礎の点検をお勧めする。

6℃以上で活動し始めるシロアリ。100m離れた巣からもやって来る。鉄筋もコンクリートも敵ではない。湿気も好み、木材もある住宅は彼らには恰好の住処。一度やられたら補修しにくい構造の家の場合はそれまでだ。風呂場の床暖房などは最も危険。

基礎断熱や床暖房をやれば必ずやられるわけではないが、札幌や旭川ですでに事例は出ている。都市化で温度が上がってきたことと、家の基礎そのものが温かくなったからである。基礎そのものを暖める床下暖房やエアサイクルなどでの被害は温暖化も手伝ってなのか拡大傾向だ。床暖房も普及により徐々に出ている。人間にとって快適なものはシロアリにも快適だ。

ここで試したのは屋内に熱源を置き、人間が動きまわる周辺を暖め、できるだけ快適な暖房の可能性を見出すためのものだった。それはそこそこ可能だし、それほど浪費しないようだ。我が家は床の断熱も厚い上に基礎が通気型で深いので屋内からの暖房で基礎は暖まらない。あとは基礎を低温にかつ綺麗に保つだけだ。一生に一度の家なら、なおのこと家の基礎と土台がやられにくい作りにすべきである。

暖房の質を見直す過程で少し違う方向にも話が進んだが、それも終わりのようだ。

最後に札幌のマンションでの無暖房(と言うより、人様暖房)のお宅の例を挙げておく。隣人に助けられている。これも輻射暖房のなせる技。我が家はこれを他人の暖房ではなく、電気ヒーター主体で自前でやっていることになる。

http://blog.goo.ne.jp/xdr123/e/452c13acef623f3131ea6de05c9622e3

(この記事は1つ大きな間違いがある。36キロワットのヒーターがあるとしているが、外気温との差を論じないといけない。外気温が0℃でも-10℃より暖かい。差が重要で、仮に0℃まで部屋が冷えたときの壁からの輻射エネルギーは315ワット/平米になる。よって約28kWになり、36kWとの差8kWが周囲のお宅から受け取っている暖房エネルギーになる。外が-20℃では232ワット/平米で20kWとなり、16kWに拡大する。北大の物理を出てこれはちと情けないミス) 

何年かぶりで神保町に行った。


驚愕した。古書街がここまで崩壊しているとは知らなかった。


老舗の巌松堂が消えて別の書店になっているのを見たときは全く固まってしまった。看板は残っていたが、別の書店が買い取って完全に品揃えは別だった。

松村書店はかなり前に建物ごと消えて駐車場になったままだ。ここはこの地域関係者が利用するためのものかも知れない。駐車違反の取締強化の対応のためとか。。。

洋書のタトル商会もだいぶ前に閉店しているが、店の中は空っぽのまま。何も入っていない。

老舗も老舗の玉英堂も品揃えが変わり、量も減った。無くなったのは理工系専門書。

村山書店も建築関係含め理工系がやはり縮小。

明倫館は以前と同じで健在だが、商品も数年前と同じものがそのまま残っている。


古書店街は建築の世界では藤森東大名誉教授が命名した看板建築の宝庫として有名だが、この崩壊とともにかなりその雰囲気が失われてきている。看板建築とはまったく異なる店構えで威風堂々の洋書専門の北沢書店は以前は周囲の昔ながらの古書店に喧嘩でも売ってるのかと思えるほど浮いた存在にさえ見えたが、今となっては周囲につまらないビルが並び、看板建築も消滅しかけている中、古書街を代表してその踏ん張りを示す牙城にさえ見える。もっともこの北沢書店にしてからが売り場縮小を余儀なくされている。


御茶ノ水界隈は学生の街という感じだった。喫茶店も多かった。駅から下っていくと右手に明治大学、左手に日本大学、背中には順天堂大学に東京医科歯科大学、下った先には東京電機大学と大学が多いし、予備校も多くあった。

駅の近くにはクロサワ楽器の店が並んでいて、下った先の左手、小川町にいくとスキーショップが多く、右が神保町の古書店街と大学生活をサポートする日本最強の界隈だった。

小川町の裏手の海和さんのお店とかにも行ったりしたが、基本的にアルペンレース関係の店が少ないので、小川町方面は特別用事がなければ行かない。

しかし、神保町の方は専門書の入手の関係で以前は毎週のように通っていた時期もあったし(都心近くに一時期住んでいた)、数年前でも年に何度かは訪問していた。しかし、このところはとんとご無沙汰だった。


出版社の厳しい状況は作家の口からも出版関係者からも直接何度も聞いているし、コミックやアニメといったものに押されていることも聞いている。とにかく活字関係は大苦戦で、文学が消えてしまうのではないか、だから村上春樹が毎年話題になってしまうのではないかという心配の声まである。戦後の学生が文学や芸術や政治を喫茶店で集まって議論を交わすというのが定番だったが、そういう風景がほぼ消えてしまったと言っていいかもしれない。


いつだったか、早稲田大学の近くの軽食喫茶に入った。数人がテーブルを寄せて固まっていた。1人だけ老齢の方が居て、あとは皆若い。老齢の人が話していることに集中して若者が真剣に耳を傾けていた。どうやら大学のゼミのようだった。店の中が猥雑でよく聴き取れず、何に関する話をしていたのかはわからなかったが、文学もしくは哲学といった雰囲気だった。今でもこんな風景が見受けられて懐かしいような少しほっとしたような気分になったが、神田界隈のこの壊滅ぶりを見ると、こういう風景も消えていくのかと暗澹たる気分になった。


いま、少子化で学生が減っているという言い方がされるが、実は大学は昔に比べ大きく増えて、人数枠だけで言うなら全入時代に突入して学生数は増えている。しかし、大学生全員が大学生に値するわけではない。本来の知的な大学生の減少につながったのは事実だろう。

でも、本当に古書店に打撃を与えているのはそれではない。一番はネット販売。特にアマゾンが全国の古書店を実質的に組み込んだことだ。当初はなかった絶版本の情報をどんどん掲載してそこに古書売買のルートを築き、大きな市場へと拡大した。全国古書店組合も独自のネット販売サイトを作り上げたが、動きが遅かった。

ブックオフは原因にはあまりなっていない。なぜなら、文庫本とかコミックとか大衆向けの本しか扱っていないので各分野に強い専門書店には影響がなかった。様子がおかしくなってきたのはやはりアマゾンの古書店の取込みが加速したあたりからだ。その証拠に全国古書店のサイトに掲載しながらもアマゾンの中古販売にも出している状況だ。たぶん、甘くみていたのだろう。アマゾンが専門店を飲み込むことなどできるわけがないと。

さらに、ネットの威力は古書店の資格を確保しなくても一般庶民がアマゾンやヤフオクを通じて直接売買できるようになった点である。古書店を通す必要がなくなったのだ。一般書籍はもう古書店同士の売買には出てこなくなった。


欧米の先進国にさえ比肩するものがなかった世界屈指の伝統ある古書店街がアマゾンごときのなり上がりに短期間にあっさりシャッター通りのようにされてしまう時代になってしまったのである。



※私は古書をアマゾンでも購入するが、古本屋サイトとオークションを中心に探し、無い時にのみ使う。洋書については英米加のアマゾンより安くて豊富な品揃いのAbeBooksを利用する。ただし、日本のような良品は期待できない(それは海外のアマゾンも同様)。アマゾンはトラブルが以前に多かったこともあり、嫌いだ。本当は実物を検分して購入したいところだが、全国をいちいち確認して回ることなどできない。仕方がない。新刊は丸善のネット販売頼み。

まったく情けない。素人のような誤解をずっとしていた。


遠赤外線は体の奥まで行かない。暖房に使われている遠赤外線は体の表面しか暖めることができないと計算で確認した。

一番低い周波数の遠赤外線でせいぜい0.5mm程度(人間の体の8割は水なので水として計算。残り2割の有機物で少しは上がるはずだがデータがない)がいいところのようだ。

マイクロ波、特に電子レンジや携帯電話などの3GHz程度だと、加熱される範囲は体表面から2cmから3cm程度になる(私が携帯電話を極力利用しないのは内耳や脳が熱せられるのを避けるため)。手なら中まで完全に暖まる。肉をレンジで焼いたらそれぐらいになっているのは経験があるはずだ。病院で患部を暖めるのもマイクロ波だが、それはこの深い浸透の性質を利用している。


マイクロ波と遠赤外の境界部分の両者の周波数の差は約10倍(この境界域では性質が明確に分離できず電磁波と光の性質が混在)。すると周波数の逆数で浸透するので、数mmにはなり、それで十分暖めることができる。

ところが、よく生活に利用されているマイクロ波はマイクロ波域でも真ん中ぐらいで、遠赤外の百分の一以下の周波数になる。そうなるとさらに小さくなって0.数mmとなる。これでは体の芯に届くことなどありえない。血管やその中の血流も無理だ。届かない。


実はもっと本質的な問題がある。温度との関係。

電気ヒーターにしろ壁にしろ、温度あるものからは全て遠赤外線が出ている。というより、温度とは遠赤外線以上の光のことなのである。

温度によって、どの波長の輻射(光)が出るかというのはプランクの式を使う。これから外れることはない。それをグラフ化したのが以下の文献の図-1である。

Planckの放射式による遠赤外線加熱の問題点

ある温度でどの範囲の輻射が出るかというのがこの図だ。遠赤外線は絶対零度から出始める。大事なことは低温だからと言って長波長(低周波)域には伸びていかず、高温になるとより広い範囲の輻射を出すということ。つまり、低周波域の輻射量を増やしたいならば高温にしなければならないという、ちょっと不思議に聞こえることを示している。メーカーが出してるような図-7のようなものはあり得ない。誤魔化されないようにしてほしい。お湯でもヒーターでも関係ない。物ではなく「温度だけ」で決まる。


浸透深さの式(よく見かけるのと違い、電磁波用の電力半減深度を使う。式は複数あるが、どれもほぼ同じ値になる。その2、3倍が加熱される実際の深さになる)や材料の特性については以下が参考になる。材料特性はマイクロ波での特性なので、遠赤外にはそのまま当てはまらないが、相対関係はほぼ同じだろう(水が一番浸透しないなど)。

http://www.microdenshi.co.jp/microwave/


以上で計算すると、どんなに低温にして遠赤外線の周波数を下げても温まる範囲は0.5mm程度が限界だとわかった。まして高温になれば、主に受ける輻射の浸透深さは数十ミクロン以下、つまり髪の毛の太さ以より小さい。

マイクロ波と遠赤外の周波数レベルと浸透深さは大まかには知っていたが、詳細に調べるとレベル差が大きいことがわかった。(まったく情けない)

ただし、遠赤外線が多くの物質に吸収されるところは赤外線などと異なるのはたしかで、部屋や窓を暖めたいのであれば、ガラスを透過する赤外線は避けて、遠赤外を使う方が断然いい。その目安は上の文献にも記載があるとおり800℃以下が遠赤外で、それ以上が赤外とみていい。ずいぶん赤くて明るいと赤外の範囲だと思っていい。ただし、赤外を出しているということは遠赤外も少し出ていることをお忘れなく。


まとめよう。


・遠赤外線は体表面の数十ミクロン以下のごく表層しか暖められない。常温の壁でも赤熱した物体どちらからも人が受ける輻射の浸透深さはとても小さい。

・セラミックなどヒーター加熱材の差は放射構造などの違いと併せてもせいぜい10-20%程度で、加熱材に拘る意味はあまりない(エコ派は無視しないだろうが、判定する装置など個人家庭で準備できないし、感覚的にはわかりにくい)。メーカーの謳い文句は眉唾物と言ってよい。

・発光色によって暖房機の遠赤外線の割合を判定してよいが、それを気にしても体への浸透の違いはほとんど出てこないので赤外だ遠赤外だと気にしても仕方ない。感触の個人差だけ。

・部屋や窓の暖房として遠赤外は意味がある。赤外では窓から消失する。人を暖めるのはどちらでもよい。

・ヒーターを選ぶなら、あまり赤熱しないタイプのもので出力で適切なものを選べば少しは遠赤外線の割合が高いが、部屋を暖めることを優先しないのであれば気にしなくてよい。それより、直接、輻射が放射される管が剥き出しの方が無駄なく温まる。反射板とかその他の作りをできれば実演で判断するとよい。


さて、こうなるとマイクロ波暖房器があってもいいのではないか?と思う人がいると思う。電子レンジはまさしくそうだ。では、なぜ暖房用はないか?

マイクロ波は光というよりは電波の性質が強く、家庭内の金属物や家電で火花を飛ばす。電子レンジの中に携帯やCDプレイヤーを入れる勇気はあるか?携帯の通話にも雑音が混じる。近所にも迷惑をかける。

遠赤外線は太陽の光と同じでそのような悪さはしない。マイクロ波は医療とか産業で局部的にあるいは閉鎖空間の中で使われる。暖房のように高出力では生活ができなくなるので存在しないのである。


※追記

コロナのコアヒートとダイキンのセラムヒートのどっちがいいかとお悩みの貴方に。どちらも3~20μmの波長ということで温度的に300~500℃ぐらいのものと推定される。この温度では全く光らない。波長域同じでどっちが能力として高いというのはない。上で説明したとおりで熱源が何かは関係ない。出力も最大1100Wと同じ。ということは違いなし。どっちでもいい。センサー機能とかタイマーとかの使いやすさがどっちかと耐久性などで選択すればよい。

少し遠いがi-smartの展示場があり、近くに別の用事もあったので見に行った。


結論を先に言うとi-smartは家ではない。


「家」と聞いて豪邸(と本人は思っていないかもしれない。千坪ぐらいの土地は当たり前に思う人もいる)を基準にする人もいれば、ハウスメーカーや工務店の標準モデルを連想する人もいるし、自分が生まれ育った建物を基準にする人もいるだろう。そこに家族が前提になっていて、建物より家族を意識する人もいるはずだ。


ここで言う「家」は家族の暮しの下支えをするものであり、物体ではあるが、そこに家族の存在と歴史が刻まれるに値するもののことだ。わかりやすく言えば、服装がそうだ。服は物ではあるが、親兄弟から引き継いでるとか、何か特別な理由があるものもあるし、その人の品格が滲み出ているものだ。

服装と家が違うのは、家は服のようにいくつも用意し、置き換えることができないことだ(資産のある人は別荘をあちこちに持ってはいるが)。

前はアパートに住んでいたが、言ってみればレンタルの服。自前の物との認識がないのは同様、家だと思ったことはない。逆に、学生時代のアパートはそこで自由に暮すものが揃えられたという点で家との意識が強かった。家族がときおり用事で出てきたときに拠点にもなったことも加わってそう感じていた。

i-smartの類はお店に並んでいる既製品に等しい。お洒落を楽しむわけでもないし、そこに品格を要求するのは難しい商品。それに該当する。ただし、性能だけはアンバランス的に高そうだということだ。撥水性が高いとかいうように。


外観と壁はサイディングかタイル張りの規格化デザイン。内装にはこれまた台所、風呂も規格品(変更可だがコスト増。風呂には床暖が入れられなくなる)。床は床暖房に合わせた化粧板。壁や天井はクロス張り。どこをとっても無機質的なものばかりで占められている。2×6が基本なので、間取りも含めてバリエーションも少ない。新築を検討している家族がいろいろ回って見ている人からすれば、それほど魅力的な商品には最初は見えないと思う。

しかし、冷暖房や光熱費の話になるとそれらは吹き飛びやすい。建築費もそれほど高くない。また、エコではないが快適で楽な暮しができる。要はイージーな建物なのだ。建築家が家とは何かとご託宣を並べる割りには住みやすくない家とは対極にある。

見に行って、誤解していたのが1つ。i-smartは性能的にi-cubeに劣るが、大開口で断熱性能が劣るためで、構造差などがあるわけではないこと、どちらもペアが標準でトリプルはオプションであった。ここに訂正する。(トリプル採用者が多いということか?樹脂サッシの出荷割合はトリプルはかなり急激に増えているのはたしか)


同じことを感じたときがある。友人のマンションを訪問したときだ。住友不動産の鉄筋コンクリートの8階建、ペアガラス、クロス壁、ガス温水の床暖房とほぼ似た仕様だ。作りつけ収納も多い。生活する上で必要なものが全て揃っているが、ほとんど規格化されており面白くも何ともない。間取り制約が強いというのを除いても。

古いマンションを現代風にリフォームすれば住み手は付くだろうが、古いままだと格安でもなければ買い手や借り手はつかない。その差は何かというと現代生活の設備が便利になっていて、イージーさが何にも優先しているからだ。現代人は我儘で忙しい。不都合を感じず、スムーズで時間の無駄がないことが条件だ。

その要求に断熱性能と床暖房で応えたのがi-smartだと言える。断熱材が全て発砲スチロールだったことも安っぽさを感じさせる(内側は原料の粒状態で入れていると想像していた)。


我が家で妻も拘ったのが床板と壁だった。床は無垢以外考えもしなかった。アパートの床は合板だった。全く、感触が違う。夏も冬もこの足触りに変わるものがない。風呂のあとなどは特に心地よい。化粧板での感触は不快だ。アパートより悪い。壁は漆喰。色合いとその塗り方には特に気を使った。クロスと比べたら神経を使うが、クロスで納得する気になどなれなかった。別に自然素材への拘りとかシックハウス症候群を気にしてということはないが、アパートで散々結露して黒カビが生えて取れなかったクロスシートを新築で使う気など起こらない。見た目にもやさしく感触がいい自然のものがいいと思っただけに過ぎない。


一押しの床暖房もさして感心しなかった。寒い外から入ってきて、多くの人は温かくて感激するかもしれないが、ほぼ同じ気温のようなのに(18か19℃)、我が家の方が温かみが強い感じがした。そして、あちこちと加湿器の多さが凄かった(全く無かったら快適どころじゃないということか)。さらに、窓際でなくてもコールドドリフトを感じたし(リビング階段のせいのようだった)、何より、分厚い靴下を履いていたにもかかわらず、じっとしていると足裏だけが妙に温かいという違和感がずっと取れなかった。和室の座敷に座っても同じだった。かなり緩和はされるがやはり一番押しつけているところが妙な具合に温かくなる。冷たい場所がないのは立派だが。。。

触ってる部分は温かいが、芯からのぽかぽか感はない。柔らかい空気の温かさと言えばそうだが、これで雪原に出る元気が湧くかというとその気がしなかった。とにかく足周りの違和感がどうしても拭えなかった。これは便座ヒーターの例がわかりやすいだろう。我が家にも便座ヒーターがあるが最初から一度も使っていない。代わりに絨毯のようなものが張りついたシートを付けている。これで十分だし、変に太腿の裏だけが熱いみたいなことは起きない。お店の寒いトイレではありがたいことはありがたいが、温度差があり過ぎて不快な経験が何度もある。それと同じ感触だ。不快の理由は熱源に直接触るということに尽きる。皮膚を暖めてほしいのではない、体の芯を暖めてほしいのだ。マンションの友人(輻射暖房併用)も床暖房の方を補助的に考えた方がいいのではないか、自分はそういう使い方でメインにはしていない、床暖房メインでやろうとしたが、快適とはいかなかったという。地域と家の断熱力によるのは当然ではあるが。


今の家を失い、再び家を買うとして、i-smartを買うかと訊かれたらノーだ。無機質的過ぎて息が詰まる。木の温もりなど全くない。妻も同意見だ。

性能も仕様ほどの差を感じないし、光熱費は比較的広めの我が家の方が3割ぐらい安い状況でi-smartやi-cibeに性能メリットは無い。

我が家を建てると決めたとき、コンセプトはなかった。しかし、途中から、どの家を見てもあまりにイージー過ぎる感じに嫌気がさして、大事に扱いたいと思える家を目指して設計した。一応、それは成功したと思っている。

そういう観点からすると、i-smartはとても家とは呼ぶ気にはなれないのである。設計的な視点に立ってもキャッチフレーズの通りで性能以外には何も見出せない。昔ながらの在来工法でチューダー調とかの重厚な商品には家らしさは感じるが。

すでに住んでいる家族からすれば不快な言い草だろうが、今後、老夫婦だけとなり、子供世代が成人して戻ってきたとして、より性能の高い家があったとする。介護がしやすく温度的に快適な家が。その支払いが可能なとき、住み替えや建替えになるのではなかろうか。つまり折角建てたi-smartが次の世代に、あるいはこのままずっと残っていけるものとして相応しいと思えるかどうかにかかっている。

昔のよき家が技術向上とイージーな暮し指向によって見捨てられ消えてしまったことは数知れず。住人に強要はできないが、かと言って、たくさんの資材を投入した建物が、技術が変わったからと置き換わっていくのはそれこそエコに反するし、住まうという姿勢に問題ありと考える。

これから一条はどこに向かうのか。。。


もし、家の新築を検討している人がいたとしたら、費用抑えめとして、メンテナンスが厄介な床暖房(ガス温水全般に不凍液の処理に注意がいる。失敗した人の話は多い)無しで2×6かもっと間取り自由度を上げて在来工法+付加断熱とし、クリプトンガスを使ったトリプルサッシの導入を現時点では奨める。窓のコールドドリフトはほとんど無くなるし、冷暖房負荷が下がる(我が家の断熱でも一番の高性能アルゴントリプルでさえまだ窓の方が冷えていく)。それほど不満のない、かつエコな家になるはずだ。ハウスメーカーや工務店と相談してみてほしい。現在、建てた人は窓のグレードを上げることを奨める。それだけで相当、冷暖房の効きがよくなり、快適になるはずである。クリプトンのトリプルは特に奨めたい。家によっては壁よりも窓が温かいはずだ。ただし、重量が相当増えるので強度の少ない家だと厳しいことがある。

なお、海外にはクリプトン入りのクワッド がすでにある。寒さとか暑さとか何のこと?という感じだろう。

年初めに室温を下げても寒くない暖房方法 について書いた。アイヌの知恵に学んで試しているが、それとも関連してずっと、良い暖房とは何か、と考えていた。

結論に至ったとはまだはっきり言えないが、方向としては間違っていないのではないかという段階には来たように思う。

先週、旭川に滞在したとき、快晴の中で車に乗っていてほぼそれを確信できた。


何度か話題にしたi-cubeやパッシブハウスはとにかく断熱力を上げ、熱の漏れを無くし、気温を一定にすることを目指したものと言える。暖房をしない、もしくはしていることを忘れるほどに断熱力(暖忘力)を上げるに尽きる。i-cubeでは断熱だけでは足りず床暖房を使うが、外観上は暖房器具は全くなく、ただ、床に温度を与えているだけと見なすことができる。人ではなく家を温めていると言った方がいいかもしれない。いま、新築での要望として床暖の人気、特に全館床暖房は凄まじい感じすら受ける。


私自身、いろいろな暖房器具を使って来た。懐かしいところでは机に向かうときに両足をすっぽり入れるカバーの下に電気式あんかが入ったものがある。これはアパート時代でも使っていた。

雪国に生まれ育った経験には一番は灯油ストーブだし、石炭ストーブや薪ストーブなどもある。電気ストーブはほとんど役に立たなかった。そんなもので済む寒さではなかった。補助暖房にすら使えなかった。


話変わって、雪国での暮らしは大変だ。いや、大変だと思うようになったのは年を取った今だからかもしれないが、別にそれがどうのこうのというより、自然のことで仕方がなかったし、それが気に入らないと言って南国でくそ暑い中で暮らさなければいけないかと思うとそっちが耐えられそうにないなと思う。真夏の日差しの強さとむっとする空気にはエアコンの利いた建物から一歩も出る気が湧かない。しかもエアコンの環境は全くもって快適とは程遠い。早く夏が終わってほしいと思うことの方が多かった。

しかし、そうは言っても極寒はつらい。では、どうしてそれでも暮らしていけたのかと考える。逆に、一時期南方に暮らしてみて、どうして南なのに寒さが体から抜けないような感じがしたのか、不思議に思えたこともあった。


冬、北欧では白夜でずっと暗く、陰鬱になるのでバカンスで南国に旅行する人が多い。東北や北海道では白夜とまではいかないが、日本海側は降雪が多く曇天が続く。陽射しが恋しいのは同じだ。

家の暖かさでは断トツの北欧。でも、彼らは陽射し欲しさに南国に行く。家が暖かいとかどうかの問題ではないのだ。それは日本でも雪が多く降る地域の人たちも同じだ。ただ、旅に出る習慣もないし、そんな金銭的余裕などない。


太陽の恵みは陽射しであり、それが我々の体を直接暖める。輻射暖房だ。この心地よさはストーブすべてに当てはまる。つまり、光(赤外線のように見えないもの含め)を放つものはこの系統だ。

一方のエアコンとかガス温風とか床暖房は直接人間に触れるものを暖める。皮膚との接触によって熱を受け渡す熱伝導系だ。人間が感じる温かみはこの両者の合計による。一般的には輻射も半分ぐらいの寄与があることになっている。しかし、実はもっと寄与は大きいのではないか、しかも、その違いはその人の生まれた地域によるのではないかと最近思っている。


年始のエントリーではチセについて触れたが、なぜ、気温5度でも寒くないのか。なぜ、アイヌの人たちはチセが一番暖かく感じ、風邪もひかなかったのか。チセの構造物が暖かいからだけなのか。

自分の雪国暮らしで思うのは体の芯を強く暖めるものがあるかないかが重要であり、それがあるために、アイヌの人たちも自分たちも、いざ外へ出て行って狩りや仕事ができたのだという気がしてならない。それがお日様であり、チセの囲炉裏の火であり、自分たちのストーブの火だったのではないかと。部屋の気温が低くて息が白くなってもストーブで暖まって、また白一色の世界に出ていくことができたのは炎の力だったのだろうと思う。

そういう経験のない南国の人たちは逆に、暖まりたいというのはあるにせよ、強い火の存在までは欲したりしないのではないかと思う。だから、床暖房で室温が十分なら問題ないのだろうと。ストーブがほしいとはi-cubeやパッシブハウスの非雪国出身の住人は思ったこともないのではないかと思う。


強い輻射が体の芯まで暖めて、体を暑くし、冷たい空気に体から熱が逃げても丁度バランスするぐらいでないと雪景色の世界では生き続けられない。そういう状態になって初めて暖かいと感じるのではないか。室温が21とか22にすることでは全然なくて、いかに人間を強く暖めるかが少なくとも雪国の人間には必要なのではないか。そこからするとパッシブハウスなど暖忘の家はあまり意味がないのではないか、と思っている。

外から戻ると、室温が高い場合は皮膚の表面だけから熱が伝わっていくが、輻射は体の内部に直接入り込むことができる。決定的にそこが違う。もちろん、断熱力が高い家は壁が暖かいのでその温度の輻射で体も温かみを感じる。しかし、ストーブの輻射の強さには遠く及ばない。寒さに立ち向かうだけの強さを与えてはくれないと思える。

よく北海道の人が関東に住んで寒さに意外に弱いと言われることがあるようだが、それは家のつくりが違って断熱力が違うというのもあるが、強い熱源がないことが多いからかもしれない。炬燵中心の関東とは暖房のしくみが違う。


我が家ではガス温風ヒーターの補助に電気ストーブの類を使っている。最初はガス温風ヒーターだけで暖めていたが、高気温で気分が悪くなることがあり、輻射式を併用することにしたわけだが、このような方式が本当の快適暖房なのではないかと強く思い始めている。さらに輻射の割合を上げたいぐらいだ。チセのように低い室温でも十分に暖かさがあるような。つまり、空気を暖めてから人間を暖めるのではなく、直接人間を暖めて逆に空気を暖めるぐらいの考えの暖房概念が要る。それは自分が雪国の人間だからかもしれないとも思っている。

暖忘の家よりも暖房の家が冬に強く立ち向かって元気に過ごせる家ではないかと思う。もちろん、エコでないと意味がない。必要な断熱力を前提にLDKでも調整可能な1000W未満(成人1人あたり200W発熱と言われるので5人分未満)の電気ヒーター1台で十分とできれば、申し分ないように思うがいかがだろうか。ヒーターパワーをそれらしく強く見せかけることができればいけるのではないかと思う。

今月はもう家シリーズだ。(笑)


ほとんどのお宅の台所の床には四角い枠がある。蓋になっていて、それを引き出すともう1つ蓋みたいのがあり、断熱材になっている(これであなたの床の断熱レベルがわかる。蓋と一体になってしまっているものもある)。それも取り出すと、中には野菜や調味料などが保存されているボックスになっている。手の込んだものだとこれがスライド式になっていて、ボックス容量が大きくなっている。


この床下収納ボックスを取り外すと、ビニールシートが張られた地面かコンクリートが見えるはずだ。地面が見えた場合もその周りにはコンクリートの壁が必ずある。これが基礎だ。床下の点検はこの穴から行うことになっている。建築基準法で必ず点検口は設けないといけない。中にはすぐ下がコンクリートがあって、手だけしか入らないような作りになっている場合もある。

その分類の条件は以下が参考になるだろう。

http://www.mmjp.or.jp/honki/ie/yougo16/yougo16.htm


点検口と言うからには床下の基礎空間を点検するためのものだが、実際に入ってみようとすると結構狭いはずだ。高さがあまりない。多くは30cmちょっとぐらいのはずである。40cm以上のところは良心的なところと言えるだろう(基礎の料金が高くなるが、それでも重要だと判断してこうしてるはずなので)。

さて、その床下に是非一度潜ってみてもらいたい。どれぐらい狭いか、あるいは広いか。基礎の立ち上がりが思った以上に多いか少ないか。

おそらく、基礎の隅から隅へ行こうとしたら結構大変なお宅が多いだろう。


前にシロアリと基礎に関する話 をしたが、時間をおいて私は基礎の中を点検している。あるとき、家の基礎のある部位に黒アリの巣が出来て、大量発生したことがある。戦慄した。もしやシロアリかと(黒アリはシロアリをよく食べる)。その周囲に木材の放置などはしていないのに。

点検口から投光器を引き込み隅から隅までチェックした。我が家は点検がしやすいよう床下を大きく取っている。蟻道もシロアリが突き破ってきた痕跡も何もなかった。土台を見ても特に水分が多いと思えるところも無く大丈夫そうだった(シロアリ被害は表面ではわからないが、湿気た木材があるのは非常にまずい)。最初から我が家の基礎は綺麗でゴミが非常に少なく、そのままで問題がないことがはっきりして、ほっとした。通気も十分確保されていた。


新築工事のときに端材が落ちていたり、基礎の型枠がコンクリートに食い込んで部分的に木材が残ってしまったりして、それを狙ってシロアリがやってくることがある。

建てて何年も経っているのに、床下を見たことがない人が多い。まして隅から隅まで見て回った人はまずいない。少なくとも私は世帯主からそういう話を聞いたことがない。家を完璧な完成品と見てそんな不都合が潜在しているなどとは思わないからである。しかし、家は面倒を見てあげるべきものであり、それこそ縁の下の力となってあなたの暮らしを支えているものだ。ときには異変がないか気にかけて見てやって頂きたい。


先週後半は用事でしばらく旭川に居た。自分のところよりもちろん寒い。それでも、土日は快晴で陽射しがあり、空気は氷点下でも温かかった。

旭川に限らないが、札幌にしてもその他の町でも、サッシが樹脂になって新しい北欧風の家が凄く多くなったように思う。いずれ、パッシブハウスが北海道では標準になるのだろうかと思いながら帰路についた。ずっと陽射しを浴びていたので車の中は暑いぐらいになって、ここが北海道かと思えるほどだった。


土地を探すとき、ほとんどの人が南向きか、陽射しが入るか、と一番に気にする。そして、希望の土地が見つかったら真南に家を建てる人が圧倒的だと思う。

いろいろ見て回ってみるとわかると思うが、南向きの場合、前に道路がある場合と、別のお宅があって北側に道路のある場合が多い。南に道路がある場合、次の区画との距離が稼げるので、前の家で日陰になるということはそう多くはない。しかし、住んでみると、家の前を不特定多数の人が通り過ぎていくし、車も通る。生垣をきっちりしないと普通の人は視線に耐えられず、庭で時間を過ごすことはできないだろう。かといって、東や西を向いて他人の家の横壁と庭で遊ぶ様子を見て楽しいかというとそれもまた難しい。ご近所と変に緊張関係を持ちかねない。そういう意味では実は前に家があるのも日陰の度合いによるが、それほど悪い話でもない。いわばごつくて高い塀があるだけと思えばいい。目の前を行き来する人は限定されてるし、相手も用もないのに家の裏手をそううろうろはしない。生垣など工夫すれば意外に精神的ストレスは受けないようだ。大きい壁があることの圧迫感は残るが。


南向きが本当にいいかどうかは土地による。東が開けていれば(ご近所の家の隙間があるなど)南東に向けた方が朝をさわやかに迎えることだろうし、1日を元気に始めることができる。紫外線による殺菌効果もある。南西に向ければ冬はとても温かく夜を迎えることができる。特に寒い地域では家の暖房を考えると少し西向きがいい(冬至とか夏至にどの場所から出て沈むかを調べることが重要)。夏の西日はヨシズなどで遮る。真南向きは実はあまりよろしくない。真冬には裏手の北壁に全く陽が当らないからだ。真冬の期間ずーっといつまでもじめじめひんやりがとれないのである。これが30 分でも陽が当たれば全然違う。太陽は偉大なり。しかも大抵は大きな面積を誇る面だ。真南に建てたがために冬の暖房費がかかっている家は多いと思う。さらに陽が差さないのは寒さだけでなく殺菌とかいった面でもよろしくない。変に地面の腐敗が進むこともあるかもしれない。

我が家は、南に家があり、建てる段階で南東・南西ともに開いていたが、南東は家が建ちそうなので、南西に振っている。冬の陽射しが温かい。


今は、いろいろいい建築資材が用意されていて施工技術も上がり、じめじめひんやりでそう簡単におかしくなったりはしないが(昔の下見板張りなどは腐りが早かったりした)、冷暖房など内側への影響はゼロとはいかない。家の内側からこの冷えを追いやるのは結構エネルギーを食う。それをお日様に少し肩代わりをしてもらうのだ。家の周りに必ず陽が当たるというのはかなり大事なことである(ただし、雑草も生えやすくなってしまうが)。日が当らず、カビがびっしり生えているお宅もある。大工のベテラン棟梁とかに訊いてみるだけでも違うので相談してみるとよいだろう。

これは雪国でも同じ。さらに積雪も考えて地形から向きを決めることが重要である。わざわざ吹き溜まりがリビングの前にどんどん溜っていくような向きは避けるべきだ。(大抵、リビングに大きい窓があって、物の出し入れとか避難口になることが多い。アイヌのチセのように雪で断熱を狙うなら、トリプル窓で断熱強化する手はある。雪で暗くなるので、高窓が要る)


区画の向きや他の家の配置にもよるが家の壁の面全てに陽が当たる向きを検討されてはいかがだろうか。

玄関や勝手口も紫外線の強い朝日を浴びる東側を避けるとか凹ませて奥にするとかした方がよいが、一番は雨の多い時期にどの方向の風で雨が来るかを調べて、それを避けるとよい。ドアの傷みの早さが全く異なる。丈夫な木材でも木製ドアだと数年で傷んでしまうことがある。周囲の家の壁の汚れ具合などから雨の吹込み方向がわかる。



宿泊先の暖房は給排気が別の灯油ストーブだった。床から何から微小燃焼で輻射が入熱されてて温かく気持ちがよかった。この燃焼による輻射暖房は室温をどういじってもできるものには思えなかった(室温とは別物なので当たり前だが)。電気ヒーターやパネルヒーターとも温風とも異質の感じだ。当然、床暖とも異なる。弱い陽射しで猫がまどろむような柔かいぽかぽか感だった。


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前の家とどれだけの距離があると1Fが冬至でも真昼に陰が差さないかという距離の目安を知っておくのは重要だ。北海道と沖縄と緯度が大きく異なる日本ではずいぶん違いが出るが、大まかには、前の家が総2階建て軒先のある屋根があるとすると、大体境界から11~12mほどである。10mはほしいところだろう。50~70坪の土地が通常の区画とすると、まず厳しい(前の家が平屋だと本当に助かる。南北に縦長の土地だとうまくいく可能性はある)。北側ぎりぎりに建てても、1Fリビングの床は陰になる。それで2Fリビングという方式があるし、温度的にも寝室が1Fなのは悪くないが(災害時もすぐ逃げ出せる)、足腰が悪くなったときがきつくなるのと、リビングから庭を楽しむことができないなどがある。多くは主婦から不満が出る。買い物、来客、ゴミ出し、郵便物・宅配の受取りの度に昇り降りが発生するため。


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かなりあとになって、このサイトを知った。無印らしく丁寧な対応だと思う。

http://www.muji.net/mt/ie/imanando/121120.html

ピークで2℃ほども違うというのは無視できない。多くの人はこれでやっぱり南向きと思うことだろう。このシミュレーションのモデルがどこまで家の作りや条件を考慮しているのかわからないが、人が実際に感じるものとは違うはずだ。

というのも、このシミュレーションは室内気温しか見てないからだ。ほかのところでも書いてるが、人が感じる温度は気温よりも輻射である。壁の温度や入ってくる日光での暖かさが勝る(我が家では室温と寒暖感覚が一致しないことがほとんど)。1日ではなく、寒い日が何日も続き、家の躯体から基礎までひんやりさせられたら、陽射しが少々長いぐらいでは解消できない。断熱がある程度施された家では冷房より暖房にエネルギーがかかる。それを少しでも緩和するにはどうしたらいいか?家の形と周囲の家の様子から陽射しの当り方をどう確保するかを考えた方がいいのは自明だ。部屋の中に陽射しをできるだけ入れるのも重要だが、家全体を陽射しで冷えないようにすることがより重要となる。我が家でも、北側の窓をペアにしていたときはいくら南側から陽射しが入って室温が上がっても、壁ごと冷えていて窓の結露が取れずに驚いたことがある(熱量の出入りでは差ほどでなくてもコールドドリフトが激しい)。現在はトリプルに交換して結露は無いが、それぐらい冷えるので、北壁はやはりひんやり感が残る。トリプル化で低減したとは言え、日が当らないことで壁がより冷えるのは完全除去はできない。逆に、真夏は遮光しないとトリプルでも冷房を効かすと内部で温度差が発生する。

もう1つ、このシミュレーションは実は決定的な間違いをしていると思われる。このモデルの家は開口部が1面でその向きだけを考えているようだ。そんなに陽射しを入れたいなら、何のことはない、四角形の家なら、南から45°降って南東と南西の2面に開口部を設ければ、朝から夕方まで陽射しをずっと入れられる。夏は遮光し、冬は朝から陽射しを入れて暖かく過ごせばよいだけだ。

さらに続く壁厚みの話。


一昨日はi-cubeとパッシブハウスについて書いた。断熱材を厚くすれば快適にはなっていくのは当然だが、実際にはC値と呼ばれる壁の単位面積あたりの隙間がどれぐらいかというのとバランスして初めて家の性能は発揮される。折角、厚い断熱を施しても隙間が大きければ室温は外気温に左右されていく。


施主は断熱ばかりに目が行くが、このC値が結構重要だ。大体、1m角に1cm四方の穴が1個を超えると断熱を通常を越えて施しても性能は出にくい。パッシブハウスは1cm×2mm以下のわずかな隙間(ほとんど鋸キズ)しか許さない。これだけの隙間制限になると24時間換気口があることが全てを台無しにするので、換気は熱交換型を使用し、熱の出入りを防ぐ。その装置のための電力は数十ワットがかかるが、電球1個程度なのでまあ許せる範囲だろう。


熱交換型換気装置(多くが北欧製)を使うと家の中のあちこちにダクトが這いまわる。私はこれを嫌った。中にカビや虫が湧いても対処できないからだ(特に浴室の換気が疑問。日本の入浴習慣はドイツとは全然違う)。パッシブハウスはドイツで生まれ、北欧の標準になっているが、高温多湿でもない国だからできる話で日本でどうかは当時適用例がなかったし、意外に難しいのではないかと思った。北海道や北東北まではOKかもしれないが、日本全体には変更が必要に思う。日本での歴史が浅すぎる。


しかし、もっと大変なのが地震。

C値というのはしっかりした構造体に板とかが狂いなく施工されて初めて成立する。最終的には家全体をシートで覆って隙間を無くす。もし、直下型の大地震で構造体が変形し、シートの一部が破れたり剥がれたら、構造体は大丈夫でも気密性は損なわれたままとなる。もうどこが傷んで漏れているのかはわからない。外壁を全部剥がすことになる。だから、家は単に地震に耐えるだけでなく、少なくとも外壁などヒビ1つ入らないぐらいにしておかないといけない。それでも、変形はするから、どこか破れる可能性は十分ある。

家そのものは壁が厚いので倒壊とか住めなくなるとかいうことは起きない。


では、気密性を損なったとして断熱だけでどこまでいけるか?これの検討データは知る限りではないようだ(最初に1cm四方の穴が1個と指標を述べたが、計算と設計物で合致しているというだけで、シート加工後の破損試験などはない模様)。このようなとき、パッシブハウスはどこまで有効かという問題を実は誰も真剣には捉えていない。単純に断熱を厚くしても意味がないのはたしかだ。

何十年に1度という地震のために快適な家を諦めるというのは馬鹿げているという意見は当然あるだろう。ただ、それが建てて1年で起きたらどうするのか。事実3.11は地震の専門家も想定していなかったし、いま家を建てている人はもうまるで何もなかったかのように気にも留めていない人が少なくない。


パッシブハウスのようにゼロエネルギーを目指す家は増えていくだろう。しかし、日本に導入するにはまだまだハードルがある。それらの見通しが立てば住みたい対象だし、人にも勧められる。

そんな中、パッシブハウスを超断熱とするなら、200mmぐらいの高断熱が妥当な範囲に思えてくる。そういう意味では2×6やi-cubeはいい線いっているのかもしれない(ただし、前回の謎は残ったままだが)。あとはその条件下での高性能化を狙っていくのが一つの鍵のように思う(窓と断熱材をもっと熱を伝えにくいものに開発パワーを注ぐといったように)。


こうして振り返ると、現代の日本人はアイヌから何も学んでいないように思う。欧米の合理主義的なアプローチに終始追従していて、本当によい住環境とか住まい方というのはどうあるべきかを真剣に考える時期に来たのではないかと思う。技術力があるのだから、この風土にあった未来の家を。

ちなみにチセの壁(というか笹葺き)は200mmである。この間で空気の熱交換がなされる。



以前にも「パッシブハウス」と題してエントリーを挙げたが、中身がないので敢えてここでは引用していない。当時はまだ本格的な情報が不十分なときで、その後、いくつか実際に施工されているが、人が住んでいる例がまだまだ少ない。ここで問題にしているのはエネルギー問題を解決する1つのアプローチとしてパッシブハウスがある(健康問題にも直結する)が、ドイツ生まれのこの概念や仕様が北海道から沖縄まで、梅雨と台風と豪雪に極寒と多様な日本の風土にそのまま適用できるものではないのではないか、日本仕様というものを本気で考える時期に来たと思ったのが動機である。

どう考えてもはっきりしないものを述べておく。家と寒さの話が続いたので。


小屋裏を除くと我が家の冷暖房容積は延べ床相当でほぼ60坪近くになる(吹き抜け部含む。小屋裏下は断熱されてないが一応、除いておく)。以前に住んでいたアパートの3倍。アパートの部屋は上下左右に他軒があり、温度的には楽なはずである。夏涼しく冬寒い場所だった。今の家の場所は夏は暑く冬寒く、しかも風当たりが年中強い場所でかなり不利な状況だ。日当りはどちらも良好である。


今の家ではエアコンは同じく1台だが、暖房は灯油ストーブ2台からガス温水ヒーター1台に変わっている。あとは扇風機か電気ヒーター類の補助機を使う。これは少し前に書いた。

電気代は平均してアパート時代より安くなっている。一時的に夏冬で高目になることはあるが、ほかが低い。アパート時代の最低記録を塗り替え、80kWh未満を記録(3000円を余裕で切っていた。ガス代も1500円を余裕で切ったことがある)。日中も人が居て、戸建なのでアパートと違って、防犯灯なども点けており、明らかに使用するものは増えていてこの数字。もちろん、失敗もしている。数百kWhを何度か出したこともある。いろいろ工夫もしたが、無理なことはしていない。あまり電化製品を使わないのはたしかだ。


さて、夏涼しく冬温かい家というと一条工務店が必ず上がるだろう。またエコ派の人はエアサイクルやソーラーサーキットを採用している施主が多い。その問題点は前に書いた。

一条と言えばi-cubeやi-smartだが、出たのは我が家より後だし(「夢の家」はあったと思う)、一般の2×6なども後になってからだ。どちらかと言えば、多くの2×4の中での差別化やi-smartなどの話題から、業界全体の標準仕様が上がってきたという感じだ。その中でもトップはi-cubeというのが大方の認識だろう。個別の重厚仕様を除けばそうなると思う。(ちなみに一条工務店は宣伝をしないので、業界関係先からはお金にならずと鼻摘み扱いである)


i-cubeの断熱は2×6の充填断熱+50mmの付加断熱で合計190mm。北海道でも通用する仕様だが、本州以南での施工も多い。窓は基本ペア(ただし、オプションのトリプルのお宅が多いような。。。)。

その魅力の一番が1F、2Fの全床に施された全館床暖房だろう。ガス(エコジョーズ)と電気(エコキュート)と2種あるが(温水を通して温めるのは同じ)、ほとんどがオール電化契約で電気式を採用して24時間暖房をしているご家庭が多いようだ。さらに安く上げるために太陽光発電を備えているところが多い。


これだけの断熱力を誇れば、無暖房とまではいかないまでも、相当に冷暖房は要らないはずだと想像していた。我が家の断熱も当時は高い方だったが(120mm充填断熱、アルゴントリプル樹脂サッシ、C値0.5未満)、今となっては標準程度と言ってもいいだろう(それでもまだまだ断熱の弱い家が主流で作られている)。暖房負荷を下げるように工夫もしているが、それにしてもi-cubeには及ぶべくもないはずなのである。仕様を数値上見るだけなら。


i-cubeで数少ないガス暖房のお宅の光熱費がブログに上がっていた。(一条で建てた人にはこのような開示がすごく多い)

http://icube2011.doorblog.jp/archives/3991943.html

驚いた。地域的に我が家の方が暑さ寒さの状況は悪いと思う。特に風の強さは予期せぬものだったので、思いのほか冷暖房の負荷が高い。おそらく我が家より負荷はこのお宅は小さいはずである(何せ風当りの強さで寒さ暑さは半端じゃなく、庭では草木の成長が悪く全滅した種もいくつかある)。容積も我が家より小さいだろう。そこへi-cubeならもっと少なくなるはずなのに電気(冷房)もガス(暖房)も1.5倍程度もかかっている。24時間床暖房をしているのだから当然と言えば当然だが、トータルとして下がっていかないなら意味がないし、冷房が高いのが解せない。

我が家の暖房室温はたしかに下げ気味ではあるが、補助暖房もしているので、それほど差異があるとは思えない。なお、24時間換気はほとんど動かしていない。放っておいても風で屋内の空気が動くからだ。


推定できる原因はあるが、いかんせん、訪問したことも具体的に使用中の状況を調べたこともないので、はっきりとはしない。

あと、断熱材のせいか床暖との相乗効果か異常に乾燥することでも有名で、20%台にもなるとか。そのために加湿器を複数台動かしていたりする。我が家は40%を切ったことは今まで2回しか経験がない。洗濯物は天気がよければ外で干しているが、加湿器が必要になったことはないし、持ってもいない。


原因はともかく、危惧するのは、こういう快適(本当に快適かどうか知らないが)至上主義でエネルギーを大量に使うことに疑問を持たない家庭が増えるのは困ったものだということだ。ただでさえ、温暖化が止まらず、原発は停止したまま。でも、火力で賄えるなら問題ない。太陽光もあるし(それだって製作にエネルギーがかなりかかっている)、という考えでエネルギー消費を続けられたら、何のための高気密高断熱の家なのだろうか。


都市部では住宅が密集しているので無理だが、日本ほど国土面積に対して森林資源に恵まれた先進国はない。高気密高断熱の家で日照だけで十分な暖房エネルギーにするように設計することはできる。夜は化石燃料を使わずに薪ストーブで十分とできればどれだけエネルギー問題と林業の問題を低減できることか。

少なくともi-cubeやi-smartのこれまでの施主の多くの人のデータを見ると、とても威張れたものではない。金額ではなく使用料が多ければ温暖化には貢献してしまうのだ。家の性能の問題なのか、施主の生活様式の問題が大きいのかよくはわからないが。

一条工務店は元々は日本の匠の技を意識した重厚な在来工法を得意としていたが、それとは全く違う、しかも設計や生産はシンガポールやフィリピンで行っているというラインナップで日本経済には貢献しない。値段が安いので飛びつきやすい罪なものを作ってくれたものだ。

もし、今、自宅を建てるならこの際なのでパッシブハウスを検討する。一条はそこまで手を出すか。断熱厚みは500mmとか600mmになる。



パッシブハウスの電気代が見つかった。たしか鎌倉のこの家の壁厚みは300mm。

http://plaza.rakuten.co.jp/kamita/diary/201210170000/

オール電化だから、通常なら我が家の電気とガスの合計がはるかにかかるはずなのだが、なぜか我が家の方が安い月が少なくない。年合計ではさすがに負けるが、オール電化割引でなかったら金額的には我が家の方が安くなる。快適性はパッシブの方が上だろうが、CO2の問題でいえば、我が家の方が正味放出量が少ないのは間違いない。

北海道のパッシブハウスでの無暖房力は凄まじいのでさすがにこれとは違うようだが、何がどうなっているのかさっぱりわからなくなった。


※※

2/15現在の我が家の室温は朝には全て16℃未満である。でも、裸足で歩ける。2月になるまでは無理だった。輻射暖房を試し続けた結果である。ガス温水ヒーターを止める時間が稼げるまでになった。電気代は増えたが意外にも200kWhはまだ越えていない。もちろん、日当りは最大限利用している。もし、i-cubeやi-smartがエコであるならこの室温にして暮らせるのかどうか知りたいところだ。エコにはなるだろう。設定温度で20か19ぐらいではないかと思う。たぶん、室温は同じになっても体感は寒くなるのではと思う。と言って我が家と同じ暖房方法は取れないと思う。仮にやったとしても効果が発揮できないだろう。湿度が大きく異なるのと同じように。

我が家でも少なくともアルゴントリプルでは壁より窓の方が冷える。i-cubeならなおさらだろう。クリプトンのトリプルが標準にならないと折角の性能も持ち腐れだ。ペアでは話にならない。海外にはクリプトンのクワッドもあるぐらいだ。


※※※

秋口だが我が家の光熱費 を記事としてあげた。

お茶の間を楽しくしてくれる家関係の番組として、リフォームを募って取材する『大改造!!劇的ビフォーアフター』と全くの新築の取材をする『完成!ドリームハウス』が双璧だろう(後者はテレビ東京なので視聴できない地域あり)。

つい最近放送された後者の番組の物件はいろいろな意味で考えさせられ、興味深い例だった。


『完成!ドリームハウス』では建築士ではなく建築家と言われる人たちが設計した物件が扱われる。一般の人で建売やハウスメーカーの注文住宅といったレベルを越えた一味違う家を求めて建築家にお願いするのであるが、ネット環境の充実により、それがどんどん拡大している。前世紀で建築家にお願いするとなると、お金にゆとりがあるか、知合いの家を訪問してとか、限定された条件がついていたが、今は敷居が低くなっている。また、建築家たちもそうやってアピールしていかないと食べていけないのが実情だ。


今回の物件は施主が建築家だった。しかも、父親が建築界で有名な建築家のご子息。調べると、渋谷にある父親の名前を冠した事務所のトップ運営者になっており、家業として引き継いだ形になっている。ただし、40歳になるまでの担当住宅物件(ビル関係などは不明)は十数軒と少ない。それもおそらく、父親との共同だろうと思う。


上記の2つの番組で建築家が自分の家を手掛ける例は初だ。何故なかったか不思議な気もするが、とにかくなかった。番組を見終わったあと、いい加減だなぁ~と同時に、大変だなぁ~と思った。前者は無茶な設計ぶりに、後者はそこに住む家族と、こうまでしないといけない建築家の置かれている状況にである。

渋谷に小さいながらも事務所を構えるのはアトリエ建築家(デザイン関係で個人名を売りにしている建築士をこう呼ぶ)としては大変で、それなりの物件数を消化していかないと続かない。ビル設計監理中心ならわかるが住宅も視野に入っているとすると十数軒は少なすぎる。東京五輪景気はあるにせよ、それは主にビルで、アトリエ事務所ではお零れに預かる余地はあまりなさそうだ。ゼネコン内で処理されることが多いだろう。

となると、今の勢いを利用して、住宅の仕事を引き寄せるのが目的なのではないかと思う。つまり自作自演の宣伝のように思えた。そのための冒険的作品が今回のお宅ではないかと。


あるいは、名の知られた父親の後を引き継ぐに際し、自分らしさをここで新たに確立したい、それを示す作品にしようという意図があったのかも知れない。そう思うような試行的なものが随所にみられた。

台所には専用換気扇が全くない。フードもない。臭いなどは天窓から出すというが、冬に雪が降ったときはどうするのか。横に24時間換気扇と思われるものだけで取ることはまず無理である。

その新たな家は八王子にあり、事務所が渋谷。施主との打合せはどちらか近い方で行うようにするそうだが、この新居を見てお客は不安になるのではないだろうか。打合せはおそらく広いダイニングかリビングのどちらかを使うだろうが、臭いが残っている中で行うことになる。

大開口の窓があるから排気は簡単にできるが冬や夏にそれは辛い。特に夏冬が厳しい八王子では尚更だ。その辺りは同じ市内のアパートに住んでいた施主にはわかっているはずだが、経験住宅軒数の少なさの故なのか何なのか。


玄関框が土間と平らで靴の脱ぎ場所がそのタイル張りの中央に入った目地のようなステンレス板が境目とか、20m近い連続の軒先は出が1.5mもあり、その下に一切の支えがない。山の斜面に建つこの家に春一番などが入り込んだときや台風のときに最近の異常気象を考えると無事に済む気がしない。せめてどこかで途切れていればいいが、風の逃げ場がない。しかもブーメランのように折れ曲がっているのでより中央に風が呼びこまれる。どうぞ屋根を持って行ってと言わんばかりだ。

外壁のレッドシダーは軒が深い南面を除いて、残り3方向ともに軒の出がほとんどない。しかも横張りで下見にもなっていないから良く濡れて水切りも悪い。腐っていくのが早いだろう。

暖房は薪ストーブと床暖とエアコンのようだが、リビングがピット式で低く、基礎に近い。たしかここにも床暖房を入れているようだったので、シロアリが危ない。

大開口の複数の窓は合せに隙間があるとか、高気密高断熱志向の最近の住宅事情と真逆の方向には驚くばかり。合せ部に細くてもいいから柱1本あれば全く違うのに。断熱材は100mm厚だが、あれだけ隙間があるとあまり意味はないだろう。その意味で結露はあまりしないかもしれない。

などなど、何だか、昭和40年代か50年代の少々変わった、今の時代ではとても奇妙な、家のつくりだ。もちろん、その当時でも不便な家で人々は暮してはいたが。。。


デザイン的には父親の作った実家の影響もみられるが、むしろ、吉村順三やルイス・バラガンを意識したのではないかと思える点がいくつかある。あるいは中村好文も取り入れているようにも思えた。正直なところ、あまり本人の自主的なところでいいなと思えるような部分は見当たらなかった。せいぜい、家を折り曲げてまで私的空間のデッキを北側に配置した程度か。台所の換気扇を無くしたのは画期的かもしれないが。。。


もしかしたら、最悪、渋谷の事務所を引き払うことも視野に入れているのかもしれない。しかし、それなら土地が安かったとは言え、高齢とか体が不自由な施主とかを玄関まで30段以上の結構きつい階段を登らせるのはちょっと酷ではないかと思う。

家そのものは、そのうち、手が入って少しずつリフォームしていくのではないかと思う。ビフォーアフターを自ら演じることになる気がする。

今回の番組を見て、あるいは実際に訪問して、この建築家にお願いしようという施主は現れるだろうか。。。