先週後半は用事でしばらく旭川に居た。自分のところよりもちろん寒い。それでも、土日は快晴で陽射しがあり、空気は氷点下でも温かかった。
旭川に限らないが、札幌にしてもその他の町でも、サッシが樹脂になって新しい北欧風の家が凄く多くなったように思う。いずれ、パッシブハウスが北海道では標準になるのだろうかと思いながら帰路についた。ずっと陽射しを浴びていたので車の中は暑いぐらいになって、ここが北海道かと思えるほどだった。
土地を探すとき、ほとんどの人が南向きか、陽射しが入るか、と一番に気にする。そして、希望の土地が見つかったら真南に家を建てる人が圧倒的だと思う。
いろいろ見て回ってみるとわかると思うが、南向きの場合、前に道路がある場合と、別のお宅があって北側に道路のある場合が多い。南に道路がある場合、次の区画との距離が稼げるので、前の家で日陰になるということはそう多くはない。しかし、住んでみると、家の前を不特定多数の人が通り過ぎていくし、車も通る。生垣をきっちりしないと普通の人は視線に耐えられず、庭で時間を過ごすことはできないだろう。かといって、東や西を向いて他人の家の横壁と庭で遊ぶ様子を見て楽しいかというとそれもまた難しい。ご近所と変に緊張関係を持ちかねない。そういう意味では実は前に家があるのも日陰の度合いによるが、それほど悪い話でもない。いわばごつくて高い塀があるだけと思えばいい。目の前を行き来する人は限定されてるし、相手も用もないのに家の裏手をそううろうろはしない。生垣など工夫すれば意外に精神的ストレスは受けないようだ。大きい壁があることの圧迫感は残るが。
南向きが本当にいいかどうかは土地による。東が開けていれば(ご近所の家の隙間があるなど)南東に向けた方が朝をさわやかに迎えることだろうし、1日を元気に始めることができる。紫外線による殺菌効果もある。南西に向ければ冬はとても温かく夜を迎えることができる。特に寒い地域では家の暖房を考えると少し西向きがいい(冬至とか夏至にどの場所から出て沈むかを調べることが重要)。夏の西日はヨシズなどで遮る。真南向きは実はあまりよろしくない。真冬には裏手の北壁に全く陽が当らないからだ。真冬の期間ずーっといつまでもじめじめひんやりがとれないのである。これが30 分でも陽が当たれば全然違う。太陽は偉大なり。しかも大抵は大きな面積を誇る面だ。真南に建てたがために冬の暖房費がかかっている家は多いと思う。さらに陽が差さないのは寒さだけでなく殺菌とかいった面でもよろしくない。変に地面の腐敗が進むこともあるかもしれない。
我が家は、南に家があり、建てる段階で南東・南西ともに開いていたが、南東は家が建ちそうなので、南西に振っている。冬の陽射しが温かい。
今は、いろいろいい建築資材が用意されていて施工技術も上がり、じめじめひんやりでそう簡単におかしくなったりはしないが(昔の下見板張りなどは腐りが早かったりした)、冷暖房など内側への影響はゼロとはいかない。家の内側からこの冷えを追いやるのは結構エネルギーを食う。それをお日様に少し肩代わりをしてもらうのだ。家の周りに必ず陽が当たるというのはかなり大事なことである(ただし、雑草も生えやすくなってしまうが)。日が当らず、カビがびっしり生えているお宅もある。大工のベテラン棟梁とかに訊いてみるだけでも違うので相談してみるとよいだろう。
これは雪国でも同じ。さらに積雪も考えて地形から向きを決めることが重要である。わざわざ吹き溜まりがリビングの前にどんどん溜っていくような向きは避けるべきだ。(大抵、リビングに大きい窓があって、物の出し入れとか避難口になることが多い。アイヌのチセのように雪で断熱を狙うなら、トリプル窓で断熱強化する手はある。雪で暗くなるので、高窓が要る)
区画の向きや他の家の配置にもよるが家の壁の面全てに陽が当たる向きを検討されてはいかがだろうか。
玄関や勝手口も紫外線の強い朝日を浴びる東側を避けるとか凹ませて奥にするとかした方がよいが、一番は雨の多い時期にどの方向の風で雨が来るかを調べて、それを避けるとよい。ドアの傷みの早さが全く異なる。丈夫な木材でも木製ドアだと数年で傷んでしまうことがある。周囲の家の壁の汚れ具合などから雨の吹込み方向がわかる。
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宿泊先の暖房は給排気が別の灯油ストーブだった。床から何から微小燃焼で輻射が入熱されてて温かく気持ちがよかった。この燃焼による輻射暖房は室温をどういじってもできるものには思えなかった(室温とは別物なので当たり前だが)。電気ヒーターやパネルヒーターとも温風とも異質の感じだ。当然、床暖とも異なる。弱い陽射しで猫がまどろむような柔かいぽかぽか感だった。
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前の家とどれだけの距離があると1Fが冬至でも真昼に陰が差さないかという距離の目安を知っておくのは重要だ。北海道と沖縄と緯度が大きく異なる日本ではずいぶん違いが出るが、大まかには、前の家が総2階建て軒先のある屋根があるとすると、大体境界から11~12mほどである。10mはほしいところだろう。50~70坪の土地が通常の区画とすると、まず厳しい(前の家が平屋だと本当に助かる。南北に縦長の土地だとうまくいく可能性はある)。北側ぎりぎりに建てても、1Fリビングの床は陰になる。それで2Fリビングという方式があるし、温度的にも寝室が1Fなのは悪くないが(災害時もすぐ逃げ出せる)、足腰が悪くなったときがきつくなるのと、リビングから庭を楽しむことができないなどがある。多くは主婦から不満が出る。買い物、来客、ゴミ出し、郵便物・宅配の受取りの度に昇り降りが発生するため。
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かなりあとになって、このサイトを知った。無印らしく丁寧な対応だと思う。
http://www.muji.net/mt/ie/imanando/121120.html
ピークで2℃ほども違うというのは無視できない。多くの人はこれでやっぱり南向きと思うことだろう。このシミュレーションのモデルがどこまで家の作りや条件を考慮しているのかわからないが、人が実際に感じるものとは違うはずだ。
というのも、このシミュレーションは室内気温しか見てないからだ。ほかのところでも書いてるが、人が感じる温度は気温よりも輻射である。壁の温度や入ってくる日光での暖かさが勝る(我が家では室温と寒暖感覚が一致しないことがほとんど)。1日ではなく、寒い日が何日も続き、家の躯体から基礎までひんやりさせられたら、陽射しが少々長いぐらいでは解消できない。断熱がある程度施された家では冷房より暖房にエネルギーがかかる。それを少しでも緩和するにはどうしたらいいか?家の形と周囲の家の様子から陽射しの当り方をどう確保するかを考えた方がいいのは自明だ。部屋の中に陽射しをできるだけ入れるのも重要だが、家全体を陽射しで冷えないようにすることがより重要となる。我が家でも、北側の窓をペアにしていたときはいくら南側から陽射しが入って室温が上がっても、壁ごと冷えていて窓の結露が取れずに驚いたことがある(熱量の出入りでは差ほどでなくてもコールドドリフトが激しい)。現在はトリプルに交換して結露は無いが、それぐらい冷えるので、北壁はやはりひんやり感が残る。トリプル化で低減したとは言え、日が当らないことで壁がより冷えるのは完全除去はできない。逆に、真夏は遮光しないとトリプルでも冷房を効かすと内部で温度差が発生する。
もう1つ、このシミュレーションは実は決定的な間違いをしていると思われる。このモデルの家は開口部が1面でその向きだけを考えているようだ。そんなに陽射しを入れたいなら、何のことはない、四角形の家なら、南から45°降って南東と南西の2面に開口部を設ければ、朝から夕方まで陽射しをずっと入れられる。夏は遮光し、冬は朝から陽射しを入れて暖かく過ごせばよいだけだ。