i-smartを見に行く | An Ulterior Weblog

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少し遠いがi-smartの展示場があり、近くに別の用事もあったので見に行った。


結論を先に言うとi-smartは家ではない。


「家」と聞いて豪邸(と本人は思っていないかもしれない。千坪ぐらいの土地は当たり前に思う人もいる)を基準にする人もいれば、ハウスメーカーや工務店の標準モデルを連想する人もいるし、自分が生まれ育った建物を基準にする人もいるだろう。そこに家族が前提になっていて、建物より家族を意識する人もいるはずだ。


ここで言う「家」は家族の暮しの下支えをするものであり、物体ではあるが、そこに家族の存在と歴史が刻まれるに値するもののことだ。わかりやすく言えば、服装がそうだ。服は物ではあるが、親兄弟から引き継いでるとか、何か特別な理由があるものもあるし、その人の品格が滲み出ているものだ。

服装と家が違うのは、家は服のようにいくつも用意し、置き換えることができないことだ(資産のある人は別荘をあちこちに持ってはいるが)。

前はアパートに住んでいたが、言ってみればレンタルの服。自前の物との認識がないのは同様、家だと思ったことはない。逆に、学生時代のアパートはそこで自由に暮すものが揃えられたという点で家との意識が強かった。家族がときおり用事で出てきたときに拠点にもなったことも加わってそう感じていた。

i-smartの類はお店に並んでいる既製品に等しい。お洒落を楽しむわけでもないし、そこに品格を要求するのは難しい商品。それに該当する。ただし、性能だけはアンバランス的に高そうだということだ。撥水性が高いとかいうように。


外観と壁はサイディングかタイル張りの規格化デザイン。内装にはこれまた台所、風呂も規格品(変更可だがコスト増。風呂には床暖が入れられなくなる)。床は床暖房に合わせた化粧板。壁や天井はクロス張り。どこをとっても無機質的なものばかりで占められている。2×6が基本なので、間取りも含めてバリエーションも少ない。新築を検討している家族がいろいろ回って見ている人からすれば、それほど魅力的な商品には最初は見えないと思う。

しかし、冷暖房や光熱費の話になるとそれらは吹き飛びやすい。建築費もそれほど高くない。また、エコではないが快適で楽な暮しができる。要はイージーな建物なのだ。建築家が家とは何かとご託宣を並べる割りには住みやすくない家とは対極にある。

見に行って、誤解していたのが1つ。i-smartは性能的にi-cubeに劣るが、大開口で断熱性能が劣るためで、構造差などがあるわけではないこと、どちらもペアが標準でトリプルはオプションであった。ここに訂正する。(トリプル採用者が多いということか?樹脂サッシの出荷割合はトリプルはかなり急激に増えているのはたしか)


同じことを感じたときがある。友人のマンションを訪問したときだ。住友不動産の鉄筋コンクリートの8階建、ペアガラス、クロス壁、ガス温水の床暖房とほぼ似た仕様だ。作りつけ収納も多い。生活する上で必要なものが全て揃っているが、ほとんど規格化されており面白くも何ともない。間取り制約が強いというのを除いても。

古いマンションを現代風にリフォームすれば住み手は付くだろうが、古いままだと格安でもなければ買い手や借り手はつかない。その差は何かというと現代生活の設備が便利になっていて、イージーさが何にも優先しているからだ。現代人は我儘で忙しい。不都合を感じず、スムーズで時間の無駄がないことが条件だ。

その要求に断熱性能と床暖房で応えたのがi-smartだと言える。断熱材が全て発砲スチロールだったことも安っぽさを感じさせる(内側は原料の粒状態で入れていると想像していた)。


我が家で妻も拘ったのが床板と壁だった。床は無垢以外考えもしなかった。アパートの床は合板だった。全く、感触が違う。夏も冬もこの足触りに変わるものがない。風呂のあとなどは特に心地よい。化粧板での感触は不快だ。アパートより悪い。壁は漆喰。色合いとその塗り方には特に気を使った。クロスと比べたら神経を使うが、クロスで納得する気になどなれなかった。別に自然素材への拘りとかシックハウス症候群を気にしてということはないが、アパートで散々結露して黒カビが生えて取れなかったクロスシートを新築で使う気など起こらない。見た目にもやさしく感触がいい自然のものがいいと思っただけに過ぎない。


一押しの床暖房もさして感心しなかった。寒い外から入ってきて、多くの人は温かくて感激するかもしれないが、ほぼ同じ気温のようなのに(18か19℃)、我が家の方が温かみが強い感じがした。そして、あちこちと加湿器の多さが凄かった(全く無かったら快適どころじゃないということか)。さらに、窓際でなくてもコールドドリフトを感じたし(リビング階段のせいのようだった)、何より、分厚い靴下を履いていたにもかかわらず、じっとしていると足裏だけが妙に温かいという違和感がずっと取れなかった。和室の座敷に座っても同じだった。かなり緩和はされるがやはり一番押しつけているところが妙な具合に温かくなる。冷たい場所がないのは立派だが。。。

触ってる部分は温かいが、芯からのぽかぽか感はない。柔らかい空気の温かさと言えばそうだが、これで雪原に出る元気が湧くかというとその気がしなかった。とにかく足周りの違和感がどうしても拭えなかった。これは便座ヒーターの例がわかりやすいだろう。我が家にも便座ヒーターがあるが最初から一度も使っていない。代わりに絨毯のようなものが張りついたシートを付けている。これで十分だし、変に太腿の裏だけが熱いみたいなことは起きない。お店の寒いトイレではありがたいことはありがたいが、温度差があり過ぎて不快な経験が何度もある。それと同じ感触だ。不快の理由は熱源に直接触るということに尽きる。皮膚を暖めてほしいのではない、体の芯を暖めてほしいのだ。マンションの友人(輻射暖房併用)も床暖房の方を補助的に考えた方がいいのではないか、自分はそういう使い方でメインにはしていない、床暖房メインでやろうとしたが、快適とはいかなかったという。地域と家の断熱力によるのは当然ではあるが。


今の家を失い、再び家を買うとして、i-smartを買うかと訊かれたらノーだ。無機質的過ぎて息が詰まる。木の温もりなど全くない。妻も同意見だ。

性能も仕様ほどの差を感じないし、光熱費は比較的広めの我が家の方が3割ぐらい安い状況でi-smartやi-cibeに性能メリットは無い。

我が家を建てると決めたとき、コンセプトはなかった。しかし、途中から、どの家を見てもあまりにイージー過ぎる感じに嫌気がさして、大事に扱いたいと思える家を目指して設計した。一応、それは成功したと思っている。

そういう観点からすると、i-smartはとても家とは呼ぶ気にはなれないのである。設計的な視点に立ってもキャッチフレーズの通りで性能以外には何も見出せない。昔ながらの在来工法でチューダー調とかの重厚な商品には家らしさは感じるが。

すでに住んでいる家族からすれば不快な言い草だろうが、今後、老夫婦だけとなり、子供世代が成人して戻ってきたとして、より性能の高い家があったとする。介護がしやすく温度的に快適な家が。その支払いが可能なとき、住み替えや建替えになるのではなかろうか。つまり折角建てたi-smartが次の世代に、あるいはこのままずっと残っていけるものとして相応しいと思えるかどうかにかかっている。

昔のよき家が技術向上とイージーな暮し指向によって見捨てられ消えてしまったことは数知れず。住人に強要はできないが、かと言って、たくさんの資材を投入した建物が、技術が変わったからと置き換わっていくのはそれこそエコに反するし、住まうという姿勢に問題ありと考える。

これから一条はどこに向かうのか。。。


もし、家の新築を検討している人がいたとしたら、費用抑えめとして、メンテナンスが厄介な床暖房(ガス温水全般に不凍液の処理に注意がいる。失敗した人の話は多い)無しで2×6かもっと間取り自由度を上げて在来工法+付加断熱とし、クリプトンガスを使ったトリプルサッシの導入を現時点では奨める。窓のコールドドリフトはほとんど無くなるし、冷暖房負荷が下がる(我が家の断熱でも一番の高性能アルゴントリプルでさえまだ窓の方が冷えていく)。それほど不満のない、かつエコな家になるはずだ。ハウスメーカーや工務店と相談してみてほしい。現在、建てた人は窓のグレードを上げることを奨める。それだけで相当、冷暖房の効きがよくなり、快適になるはずである。クリプトンのトリプルは特に奨めたい。家によっては壁よりも窓が温かいはずだ。ただし、重量が相当増えるので強度の少ない家だと厳しいことがある。

なお、海外にはクリプトン入りのクワッド がすでにある。寒さとか暑さとか何のこと?という感じだろう。