キリシタン大名/大友宗麟居館、大友館再現ジオラマ制作① |  Kyotoから創造するARTBOX45°

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 歴史的建造物の模型・ジオラマなど当時の情景を蘇らせることに日々励んでいます。

宗秀斎です。

 

京都ではコロナ感染の自粛解除で少しづつ人の往来が目立つようになってきました。

今月、誕生日祝にと妻と自粛以来の京都駅周辺へ足を運びました。事前に店へ予約を入れようとしたところ殆ど空席状態でした。いざ店に向かうと時間が経つにつれて空席のはずが満室状態に…(汗)

完全個室なのでそれほど気にすることはなかったのですが、ようやく自粛から解放された人々がストレス発散へ飲みに行くのも頷けます。隣の部屋にいた女性が「こんな状況だから少しでもお店の助けになればいいよね」という声が聞こえて何だかほっこり。そうです!

今こそ助け合いの精神が必要な時だからこそ、この気持ちを大事にしていきたいと改めて感じました。いや、優しい言葉が聞けた。

さて、今月は受注案件の龍安寺石庭が完成し無事に納品できました。御依頼者様から多分な評価と感謝のお言葉を戴き安堵したのも束の間、早速次の新作に取り掛かっております。

 

今回は九州の戦国大名でキリシタンの大友宗麟居館の「大友館」再現ジオラマに挑戦。九州の大友氏と言えば、室町・戦国期において豊後府中・府内(大分県)を拠点に北部九州6か国を支配した最有力守護大名です。特に21代の大友宗麟(おおともそうりん)はキリシタン大名として著名で南蛮貿易に積極的に参画した異彩の戦国武将です。九州において一大勢力を誇る大友氏の栄華繁栄を極めた居館を再現したいと考えました。

 

現在、大分市教育委員会により大友氏館跡の発掘調査が行われています。館は一辺約200m四方の方形であったと推定されており、京の室町将軍邸をモデルに造られた守護館の典型的な姿であったと考えられています。

 

発掘調査によりその全貌が明らかになってきました。特に注目したいところは館において庭園が占める面積の比率が高いことです。館跡の南東部分から東西長 60m以上の規模をもつ巨大な池を伴う庭園跡が発見され、凝灰岩(ぎょうかいがん )安山岩(あんざんがん)の庭石が置かれ、周辺には松などの樹木が植えられていたことが判明しています。近年、京都で足利義政の室町幕府花の御所跡から巨大な庭石が発見されたと報道されましたが、当時の大名達が競って名庭を造ることは自身のステータスに繋がっていたのではないか?と推測されます。

この大友館の庭園は幾度の改修を隔て、このような大規模な庭園になったことが窺えます。

 

現在、その庭園遺構を整備・復元され史跡公園となっています。以前に福井県の朝倉氏史跡に行きましたが、こうした戦国期の大名庭園を復元された例は極めて少なく大変貴重な史跡です。機会があれば是非行きたい史跡…

 

以前に制作した室町期の細川邸にある庭園。今まで武家屋敷再現する際に必ずと言っていいほど庭園制作に拘る理由の1つとして、武家屋敷の主役的な存在が庭園であることです。先程でも述べたように当時の大名は立派な庭園を造園することで居館のスケールをアピールする狙いがあるわけです。ジオラマも同様に武家屋敷における庭園の存在感は全体の臨場感を生み出します。今回の大友館の庭園は当時も壮大な風景がそこに広がっていたわけです。今回も大友氏が誇る名庭園ができればと復元された庭園を参考に進めていきたいです。

 

大友館の位置について、江戸時代初期に描かれた府内古図を元に現在の地図に当てはめ館周辺の万寿寺等の寺院仏閣が描かれていたことが発見に大きく役立ったと言います。この古図が当時の町の区画の様子を描く重要な資料になったとも言えます。

 

大友館推定復元CG。

そうは言っても当時の建物は何一つ残されていないので、大分市教育委員会で示された復元CGを参考に進めていくことにしました。


 

個人観賞用としてのジオラマなので、できるだけコンパクトに仕上げる為に大友館全体でなく大おもてなど中心的な建築群を部分的に製作することに致しました。屋敷模型はそれなりのタッパがないと迫力が出ないので、スケール上製作できるギリギリの範囲でした。その為、建ぺい率も高くなり庭園から建物までの距離も狭めています。その姿がどのような情景であったか?を見せれるようなジオラマになればと思っています。

大おもてのCG復元。

 

上記のCGを参考に大おもてを作ってみました。僕にとって幾度となくこのタイプの建物(主殿)を制作してきたので、今となっては馴染みのある室町・戦国時代の定番の建物になりました。

 

大おもてに続く遠侍。来客は遠侍と呼ばれる建物から当主と面会する大おもてへ向かいます。

 

左端にある公文所。本来、公文所は記録など資料等管理する建物だそうですが、CGの概要だと庫裏(台所)から運ばれる食膳の検分(膳所)のような扱いになっています。もしかしたらその機能を併せ持った建物かもしれませんね。

 

さて、現在は大友宗麟が日常生活を送る常御殿を制作中。丁寧に壁面部分も細かく作っていきます。まあ…殆ど檜材だから扱いはいつもながら難しい。木材によるハンドメイドでの極限までに挑戦です!

 

来週はそれなりの形をお見せできればと思いながら頑張ります。