宗秀斎です。
先日、下鴨神社〜上賀茂神社までお花見の散策コースへ足を運びました。
今年に入ってからご依頼の製作が立て続きに入り、昨年からとある漫画家さんの個展に関連したジオラマ製作のお仕事を無事に終えることができました。こちらは個展開催に合わせて後日記事にしたいと思っています^^
現在は別件のご依頼製作に追われているという状況ですが、息抜きにお花見へ。
下鴨神社
京都のお花見スポットはインバウンドの影響で海外からの観光客でごった返していましたが、下鴨神社は比較的に人が空いていたのでゆっくりと過ごすことができました。この場所は原生林が広がる糺の森があることでも知られ、京都市街でこのような自然が広がっているのは大変珍しく空気が澄んでいて心癒されるお気に入りのスポット。
下鴨から上賀茂へ向かう鴨川にある桜並木道を散策。お花見するには絶景な場所ですね。ちなみに下流は鴨川、上流では賀茂川と呼びますが、同じ「かもがわ」でも表記が違うのも京都ならではといったところでしょうか^^
上賀茂神社到着。
こちらは十数年ぶりに参拝。記憶も朧げでこんなに境内が広かったかな?と錯覚するくらい開放感ある空間が広がっていました。
土屋
静かなせせらぎと上流から流れる冷たい水が心地よい癒しの空間です。春の京都では信じられない静けさ^^
拝殿(細殿)
外幣殿
国宝、重文級の建物がズラリ。特に外幣殿や拝殿など江戸初期創建の建物だけでも数十棟あります。こけら葺き屋根フェチが桜より参考にと建物ばかり撮影…とお花見のつもりが職業病が発症してしまいました💦
上賀茂神社周辺にある社家町。社家とは上賀茂神社に神職として代々仕えた社家の屋敷が並んでいます。かつては数百件もあったそうですが、現在は数十件くらいまで減少。社家町は室町時代に形成され現在までその風景を留めている京都でも大変貴重な街並みです。屋敷周辺を流れる小川のせせらぎと可愛らしい鴨たちに癒されタイムスリップした気分になりますね。この景色をジオラマにすると面白いのでは?と頭がよぎってしまうくらい情緒ある景観。
下鴨、上賀茂共に平安京を彷彿させる‥そんな空間が広がっているような感覚を覚える旬のオススメスポット。
帰宅途中に豊臣秀吉が造成した御土居に出会しました。御土居とは洛中に攻めてくる敵の来襲に備え数メートルある土塁で囲った防壁のような役割を果たしていたとも言われ別名、洛中惣構えと言います。元々、応仁の乱後による荒廃により上京と下京の二つの町に分かれ、それぞれ惣構で囲んでいたことが原型だったとも言われています。要塞都市のような印象を受けますが、実際どのような風景だったのか?この土塁から想像してみると楽しくなりますね。
帰りは恒例の二条城の桜のライトアップ&プロジェクションマッピング。
一昨年はお堀半周くらい長蛇の列で諦めましたが、今回はそこまで待つこともなかったので見てきました。
絢爛豪華な装飾の唐門から更にプロジェクションマッピングの演出でこれでもかというくらい眩い姿。ここでジャジャーン!と徳川慶喜さんが登場しそうな雰囲気でした^^
引き込まれそうな美しさ^^
この日は朝から花見をしていたので、この時間帯になると流石に疲れ果てていたせいか?眠くてあまり覚えていなかったり…(笑)
そんな束の間のひとときでした。
さて、ここから話が変わって先日、TOKYO MX「小峠英二のなんて美だ!」にて日本建築をテーマにした番組内で東三条殿ジオラマをご紹介頂きました。番組放送の一週間前に急遽、写真をお借りしたいというお話を頂き、こちらも慌てて用意したので焦りました😅
このジオラマは現在、放送中の大河ドラマ「光る君へ」に登場している藤原兼家、道長の邸宅を再現した貴族邸宅のジオラマとして一昨年に製作。数寄屋造、書院造、寝殿造について日本建築史家で東京大学名誉教授でもある藤井恵介氏の解説を交えながら日本建築の変遷を辿るという分かりやすい内容でした。
こうして建築史を紐解く内容に製作したジオラマが生かされるということに改めて製作意義を感じます。立体化すると尚、その風景を頭の中でイメージしやすいということも模型の魅力の一つだと思っています。
今年は何かと平安王朝が話題なので、何かしら関連したジオラマを製作できないかと考えているところです。できれば一点は製作したい…。
先月からご依頼製作の隙間を見てコツコツ製作していた平成修理前の平等院鳳凰堂ジオラマが完成。
平等院鳳凰堂は1年ぶりの製作。今回も過去の記憶を辿るをテーマに修理前の懐かしい褪色感ある姿を再現するという試みです。
先日、この写真をXに投稿すると予想以上の反響があり、脳内がバズったという感想など沢山頂き、文字通りバズってしまいましたw
写真を見ながら一つ一つのパーツを丁寧に彩色していく作業。高床式の柱や扉の裏側まで劣化した部分までとことん拘ります。
漆喰の壁も時間の経過を感じるようなウェザリングを意識して彩色。
特に屋根瓦は目立つ箇所なので入念に何層も彩色しながら瓦屋根の微妙な濃淡をつけていきます。いきなり一色で決めてしまうと後でやり直しが効かない場合があるので最初は水彩のように淡い色から徐々に調整していくというやり方は瓦屋根を表現するやり方はいつもこんな感じです。色数も5色くらい使い分けているので平坦な感じにならないのが特徴です。
金箔が剥落した阿弥陀如来像にも拘りが^^
柱の褪色感と朱色が微妙に残る表現が一番神経と時間を使う箇所。この微妙な境目も写真をじっくり観察しながら彩色するわけですが、目が地走るような地味な作業とも言え、前作の東照宮陽明門同様に苦行です💦
ようやく全体の姿が見えてきました。彩色作業だけでも膨大な時間を費やしましたが、こうして全体が組み上がっていくと一つ一つ手間暇かけた結晶体のように臨場感ある姿が蘇ります。
レジンを流す前にも洲浜がうっすら見えるように入念に小石を敷き詰めていきます。
最後にレジンを流して…
ようやく平成修理前の記憶を辿る平等院鳳凰堂の完成です。
最後は完成後の楽しみの一つでもある屋外撮影で締める!
いかがでしたか?
平成修理前の記憶を呼び起こし時間の経過をテーマに懐かしい姿を振り返るような模型にしたという思いを込めた平等院鳳凰堂ジオラマ。過去の記事により詳しく平等院鳳凰堂の製作過程を載せていますので、ご興味ありましたらそちらも併せて覗いてみて下さいね^^
これにて今年の平成修理前の平等院鳳凰堂ジオラマ製作は終了でございます。
長文ありがとうございました😅