Kyotoから創造するARTBOX45°

 Kyotoから創造するARTBOX45°

 歴史的建造物の模型・ジオラマなど当時の情景を蘇らせることに日々励んでいます。

kyotoから日本の歴史的建造物を模型・ジオラマにて現存する古建築から失われた建築物の再現まで幅広く製作しています。このブログを通して製作過程などを紹介しながら歴史ある古建築の魅力を発信しています。

<ジオラマ掲載例>
2022年 信玄公生誕500年記念歴史ドラマ「信茂と勝頼」(山梨県庁)
2022年 古寺行こう金閣寺・銀閣寺第6号(小学館)
2023年 関口宏の一番新しい中世史(BS-TBS)
2023年 newsおかえり/教えて天才さん出演(ABC朝日放送)
2024年 小峠英二のなんて美だ!(東京MX)
他、メディア掲載多数

●個人観賞、メディア用等のご依頼・お問い合わせなど下記のメールにて承っておりますのでお気軽にご相談下さい。

※お問い合わせ
bluesky2033city@yahoo.co.jp


宗秀斎です。

 

はじめに令和八年熊本地震が発生し、最大震度七を観測する大きな被害が生じました。

妻の実家、親戚は熊本県八代市に居住していることもあり、義兄の家では水道管が破裂し室内では足の踏み場もないくらい物が散乱し、普段の生活ができず妻の実家へ避難生活を余儀されているという知らせを受けてショックを受けました。お盆休みに妻の実家へ帰省する計画を立てていたのですが、それどころではなくなり延期に。

義母や親戚の方々は幸い無事でしたが、家の片付けや仕事復帰に向けて少しづつ準備しているとのことでした。10年前に起こった地震の際にも記事にしていましたが、復興中に再び繰り返されることにもどかしさを感じています。

 

いつどのような場所でも大きな地震が起きてもおかしくない状況から日々の地震対策や心構えを備えておくことの重要性を改めて痛感しましたが、ニュースを見ていて当時の震災の教訓が生かされている点もあれば、避難生活における車中泊といった決して良好な環境と言えない状況と未だ冷房が付いていない体育館が避難所という点においても対策が不十分と感じます。日本は最も震災のリスクを抱えている国なのですから、早急に先鋭的な対策を進めてほしいと願うばかりです。

 

熊本地震でお亡くなりになられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに被災された方々に一日でも早い復興、皆様のご安全を心よりお祈り申し上げます。

 

先月から製作していた奈良薬師寺東塔模型が完成したばかりでした。

今回も彩色による褪色感に拘り、時間の経過を感じさせる古刹の姿を再現することをテーマに進めてみました。

 

初めて薬師寺へ足を運んだ際に1300年という悠久の歴史の中で幾多の天災や兵火を潜り抜け、創建当時の逞しい姿を目にして感動したことを今でも覚えています。各層に裳階(もこし)が付く三重塔という奈良時代の寺院仏閣の特色が色濃く残る貴重な国宝です。

一見すると六重塔に見える三重塔。各層に挟まれた裳階と呼ばれる屋根付の美しい装飾性の高い部分が臨場感を生んでいて、見る側が圧倒されるような構造が魅力的とも言える上層建築です。

2020年に大改修が完了した2年後に初めて足を運んだのですが、漆喰の壁など綺麗に修復されていて日光に照らされた漆喰が美しく見えて柱と漆喰のコントラストがとても良い感じでした。

ちょうど三年前にも薬師寺東塔を製作していたのですが、京都五山の送り火が近づく頃に完成させたのですが、今回もたまたま同じ時期に完成したのは偶然?どうもお盆の時期に薬師寺とご縁があるようです。今回もフジミ模型の薬師寺東塔1/100を使って、現地撮影した写真を参考にしながら彩色に注力してみました。

悠久の時間を経た褪色感ある姿を再現するというテーマで進めました。

先ずは漆喰壁のある壁面部分と屋根軒下の組物、柱の彩色。漆喰の壁など少し色褪せた感じに塗装します。その際にウェザリングし過ぎると汚く見える印象を与えかねないので、その加減が難しいところ。柱の色も漆喰とのアクセントを強調させるため、深みのある茶褐色に彩色しています。

 

屋根の軒下の白く塗られた部分。垂木の間の木口と呼ばれる箇所で割れや防腐対策のために白胡粉が塗られているのですが、特に高層の古建築にはよく見られる箇所です。初めに垂木部分の褪色感ある彩色を施した後に木口部分に白胡粉塗料を加えるだけで、再現性も高くなります。中々見えずらい箇所でもありますが、見えにくいところまでやらないとスッキリしないので軒下まで入念に塗装します。

 

屋根部分は模型面積の大半を占める上、屋根は見下ろす視点として特に目立つ箇所でもあるので彩色に一番神経を使う箇所でもあります。写真を比べてみると一層目、二層目の裳階(もこし)部分の瓦屋根は砂などの小さな粉塵が堆積し褐色した褪色感ある様まで拘ってみました。最初にアクリルガッシュの白胡粉を全体に塗装した後、薄く水彩のように彩色しながら調整する作業に入ります。乾燥後、また同じように彩色するといった工程を何回も繰り返すことで濃淡が美しく浮かび上がってきます。普段は一色塗りはしないので数種の色を使い分けて塗装しています。

 

金属塗料の塗布

さびの発色液の塗布

24時間乾燥後、自然な緑青へ

 

最後に最頂上にある相輪(そうりん)部分は緑青をリアルに再現するため、金属塗料を含んだサビカラーという溶剤を使用。こちらは真鍮の粉末が配合されていて、一度塗装してから別の塩素系の青さび発色液を塗布すると自然な緑青へ変化します。これは以前に東照宮陽明門の屋根にも使用した必須アイテムです。

 

塗装した各々のパーツを組み合わせて薬師寺東塔の完成。組立以上に彩色時間が殆どを占める褪色感ある姿がここに。

 

 

いかがでしたか?

悠久の時を経て現在まで創建当時の姿をそのままに残す古刹、奈良薬師寺東塔。

 

今回、製作期間中に起きた熊本地震に見舞われた状況化において少しでも復興が進むよう安寧の願いを込める東塔ともなりました。

時代は変わっても人々が天災や厄災に見舞われた時に心の拠り所として、当時の人々もこの東塔へ訪れたのではないかと思う感慨深い製作ともなりました。

 

現在、オークションにて出品中です。ご興味ありましたらご参加ください↓