彩色から表現する日光東照宮陽明門1/80 |  Kyotoから創造するARTBOX45°

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 歴史的建造物の模型・ジオラマなど当時の情景を蘇らせることに日々励んでいます。

宗秀斎です。

 

あっという間に梅雨入りの季節に突入。

6/2日は本能寺の変が起きた日ということで「ときは今 あめが下知る 五月かな」。

信長はどんな想いで最期を迎えたのか?

常に新しいことに挑戦しながら創造の道をひたすら進み人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなりの言葉(実際に詠んだのか真相は不明ですが)から、いつまで模型を製作し続けていくとができるのか?とちょっと信長と重ねてみたり…と信長に比べたら大したことはしていないのですが、そんなカッコいい人生を送りたいものです💦

常に新しいことに挑戦するという姿勢はどの時代でも共通しているようなそんな気がしている話でした。

 

先月から進めていた約半年ぶりの製作となる日光東照宮陽明門1/80が完成。

一番製作を躊躇う忍耐、根気のいる模型でもあります。

最初に模様を浮かび上がらせるために墨入れしていきます。この作業はそんなに苦にならないのですが…

 

ここからが忍耐と根気のいる陽明門の1mmもしくはそれ以下の彫刻を彩色。

この製作を始めてから近眼になりつつあると思うくらい緻密な作業が延々と続きます。

 

今回も日光東照宮陽明門のガイドブックに記載されている各所の彫刻写真を参考にしながらひたすら模写作業。

最近、これを参考にしている書籍は何か?という質問が多いので改めて紹介。

平成29年に日光東照宮が発行したガイドブックで陽明門の歴史やフルカラーで各所の彫刻部分の写真が掲載されていて、分からない箇所は殆どこの本で解決できるくらい豊富な情報量が積まれていて陽明門の詳細を知りたい方にとっては逸品と言っていいかもしれません。以前にたまたまメ◯カリで出品されていた方がいらっしゃり購入しました。発行部数が少ないこともあり、今では入手困難かもしれませんのでご入用の方はマメにフリマサイトなどチェックしてみて下さい^^

金彩にはお馴染みの京都の老舗金箔から取り寄せた24k金箔色の塗料を使用。

 

目にいき届かない組物の模様まで金彩していきます。

上層の高欄部分にある稚児などの彫刻

ここまで小さいと途中から何を描いているのか?分からなくなるレベルの彫刻ですねw

ここまでパーツが揃うのに数十時間を要する彩色作業。ここに行き着くまでのモチベーション維持が大変で何度も匙を投げたくなるような気持ちになりそうですが、完成した姿を思い浮かべながら保っています。

組物に付けられている大量の唐獅子も彩色。ひと段落したと思ったら、次方から次へと細かい作業が続きます。ほんと先が見えなくなる模型です。

最後に銅屋根の表現。さびカラーを使って金属の質感を出していきます。乾燥後、腐食が進み青緑が生まれます。そのまま使いたいくらい美しい青緑ですが、ここから何層も水彩のようにグレー系統の塗料を重ね塗りをしていき重厚感のある銅屋根瓦に。

最後に組立して長い戦いを終えて東照宮陽明門の完成です。

この姿を見るためこの一ヶ月ほぼ休みなく彩色に追われた汗と涙の結晶が神々しい姿へ生まれ変わりました^^

 

 

半年ぶりの日光東照宮陽明門1/80製作。

ここに至るまで心が折れそうな思いでしたが、完成した時にその神々しい姿を改めて見るとその苦労が吹く飛びます。この姿を見るために頑張れているような気がするそんな魅力ある姿がここにあります。

 

模型製作は陽明門に限らず、地味で忍耐のいる作業が殆どでその工程は決して楽しめるようなものばかりではないけれど、完成させた時の姿を想像することで頑張れているのかなと思っています。これまでいくつか陽明門を製作していますが、同じようなものでも日々のコンディションや精神状態などにより、彩色ひとつにおいて表情が違うので同じようなものであって同じではないと彩色の奥深さを改めて感じた一ヶ月の製作期間でした。