漢文句法を身体にしみこませよう!(基本知識編)

 

このページは、「網羅的に復習しきれない」と言う高校3年生のために、確認すべき基礎事項をできるだけ簡易な形で整理し、ドリルすることを目的としたものです。

 

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再読文字 

否定

疑問反語
詠嘆・使役・受身
仮定・限定・累加
比較・選択・抑揚・願望

 

 

1 再読文字 (2021.6改訂)

 

基本知識(空欄を補充してみよう)

 

再読文字は二度訓読する文字である。一度目は(➀)的に読み、二度目は(②)や動詞として読む。訓読では一度目は漢字の右の読みに従い、二度目の読みは左に従う。書き下し文では、一度目は(③)で書き、二度目に読むときには(④)で書く。再読文字は次の九字。)。基本的にはひとつひとつの読みと意味を覚えるしかない。

 

→【空欄】➀副詞・②助動詞・③漢字・④平仮名 

 

 

■【

「➀ダ~②」と読み、(③~④)という意味。未知を訓読すれば「➄」であり、「➅」という意味になる。例えば古典文法では、未然形は「⑦」であり、まだそうなっていない状態(打消、推量、仮定など)を主に表すのに対して、已然形は「⑧」であり、すでにそうなっている状態(順接・逆接の確定条件)を表す表現に用いられる。

 

→【空欄】➀ いま・②ず・③まだ・④ない・➄いまだしらず・➅まだ知らない・⑦いまダしかラザルかたち・⑧すでニしかルかたち

 

■【

将・且の二字の使い分けについては、明確な区別はない。ともに「➀ニ~セント②」と読む。二つの使われ方があり、ひとつは、すぐにも起きそうな「事態・状況」を表す場合。もうひとつは、すぐに実行しようとする「意志」を表す。意志の有無ということになるが、ともに「~セントス」という言い方で覚え、「~しようとする」と解釈すればよい。例えば、雨将降は「③」と読み、前者のケースとして(④)という解釈をする。将行は「➄」と読み、後者のケースとして(➅)と意味を取る。「欲ス」についても同様なことが言え、意志だけでなく、花欲然が(⑦)と読まれ、「今にも花が咲こうとしている」という無意志の状態も表す。

「まさニ~セントす」を、試験で「まさニ~べシ」と混同する誤りが多い。注意したい。

 

→【空欄】➀まさ・②す・③あめまさにふらんとす・④今にも雨が降ろうとしている・➄まさにゆかんとす・➅(今にも)行こうとしている(行くつもりだ)・⑦はな もエントほっス

 

 

】は「べし」のグループであることを意識して覚えよう。漢文と古文の「べし」の用法には違いがあるが、基本的には「スイカトメテ」を押えておく。

 

■【

ともに「➀ニ~②」と読まれる。基本的な意味は「当」はその字からわかるように(③)。

「応」は基本的に(④)だと言われる。ただし両者は混同して使われる例が非常に多く、両方を覚えておく必要がある。今、基本に従えば、当知は「➄」と読まれ(➅)という意味を表し、応知は「⑦」と読まれ(⑧)という意味を表す。

 

→【空欄】➀まさ・②べし・③当然・④推量・➄まさニしルべシ・➅当然知っているはずだ・⑦まさニしルべシ・⑧きっと知っているだろう

 

 

■【
「➀シク~②」と読まれる。「べし」の意味としては(③)。だから(~④)という訳をとる。従って
宜知なら「➄」と読まれ(➅)という意味。「宜」は「状況に適っていること」を表す「適宜」「便宜」「時宜」などの熟語からもわかるように「よろしい」「よい」という字義である。ちなみにこの字は、なるほど、もっともだという意を表す形容動詞として「宜(⑦)ナリ」と読まれることも知っておきたい。

 

→【空欄】➀よろ・②べし・③適当・④のがよい・➄よろしくしるべし・➅30=知るのがよい・⑦むべ(なり)

 

 

■【

「➀ラク~②」と読まれる。動詞「す」に助動詞「べし」がついた「すべし」がク語法(例えば、「曰く」「老いらく」などと同じ)によって「すべからく」と変化。スイカトメテの中では「当然」のニュアンスが該当するが、「須」は(③)条件などと使われるように、(③・④)の意味であり、③のニュアンスとして「ぜひとも~(➄)」、④のニュアンスとして「~する(④)がある」などと解釈される。須知は「➅」と読み(⑦)という意味である。

 

→【空欄】➀すべか・②べし・③必須・④必要・➄しなければならない・➅すべかラクしルべシ・⑦知る必要がある(知らなければならない)

 

 

■【

「➀ホ~②」と読まれ(③~④)という意味である。同じ働きをする字に「➄」がある。過猶不及で覚えてしまうのが一番早い。これは「➅」と読み、「やり過ぎは(⑦)」という意味である。「過ぎたことはもう取り返しがつかない」と誤って理解している人がいる、注意。

 

→【空欄】➀な・②ごとし・③ちょうど・④ようだ・➄由・45=すぎたるはなほおよばざるがごとし・46=及ばない(足りない)のと同じだ

 

 

■【)】

「➀ゾ~②」と読み、反語として「詰問・勧誘」の意味を表し、「③~④。~➄」と訳される。反語形「➅」と「カフ」という音が同音であることから、この字がその意を持つようになった(これを「仮借」と言い、漢字の用法には非常に多い)。『春夜宴桃李園序』に何不秉燭遊(何ゾ燭ヲ秉(と)リテ遊バざル)があるが、「人生は短い、美しい春の夜も短い。(⑦)」と同じ用法である。盍言は「⑧」と読み(⑨)という意味になる。

 

→【空欄】➀なん・②ざル・③どうして・④しないのか・➄した方がよい・➅何不・⑦どうして遊ばないのか、いや楽しもうよ・⑧なんぞいはざる・⑨どうして言わないのか。いや言った方がよい。

 

 

上記解説中の簡易な例文でおさらい

■読んで訳してみよう。(解答は上記文中にあるものもありますが、リンクページで例文の該当番号を見て下さい→例文解答ページ

 

 

 

 

■もう少し長い例文で確認してみよう。

 

 

■白文で読んでみよう。