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「嫌疑人X的献身」(2017年 邦題「容疑者Xの献身」 監督/蘇有朋 主演/王凱、張魯一、林心如)
112分


原作は日本の作家・東野圭吾が直木賞を受賞した同名小説。日本でもすでに映画化されている。

――河川敷で死体が発見された。遺体は男性で首を絞められて殺されたようだ。顎から下は砕かれ脱がされた衣服と手足の指が焼かれていた。近くに転がっていたパンクしたレンタサイクルの借り主である傅堅という住所不定42歳男性が被害者だと判明した。
容疑者の一人として前妻の陳婧が挙げられた。事件を担当する刑事の羅淼は陳婧のアリバイを確認しに行くが、彼女は事件当日娘と映画へ行ったといってチケットを差し出した。羅淼は帰ろうとするがその時すれ違った隣の部屋の男に不審を抱き声をかける。男は数学教師の石泓。被害者の写真を見せるが見覚えがないと言う。隣の陳婧親子とも特に馴染みではないと言う。
羅淼は親友で警察学校の物理学教授の唐川の元を訪れる。彼は最先端の物理化学を用いた犯罪を研究しているのだ。羅淼が新聞にも載っていた河川敷の死体事件を担当していると知った唐川はその進捗を尋ねるが、容疑者の隣人が石泓だと知り驚く。石泓は彼の中学の同級生で、暇さえあれば数学の問題を解いてるような変人だった。だが物理好きの唐川とは気が合いよく才を競って遊んだものだった。懐かしい名を聞いた唐川は住所を教えてもらい石泓に会いに行く――

[ここからネタバレ-----
陳婧を疑っている羅淼はさらに裏付け捜査をするが彼女のアリバイに疑う余地がなかった。しかも大の男の首を絞めたり運んだりというのを女一人ができるわけがない。そこで気になった石泓を調べてみると彼は毎朝陳婧の働くファストフード店で朝食を購入していた、手助けする気にならないとは言えないだろう。その話を聞いた唐川は、彼はそんな種類の人間じゃないと笑う。
だが数日後唐川は羅淼に捜査資料を見たいと言って来た。急に関心を持つようになったその訳を訊くと、唐川は先日石泓に会った時に気づいたのだという。石泓は唐川に「いつまでも若々しくて羨ましいよ。」と言った。彼は外見などを気にする人間ではなかったはずだ…。

石泓はあの夜、隣の部屋に傅堅がやってきて母子に暴力を振るい陳婧らが悲鳴を上げているのを聞いていた。陳婧は暴力を振るう傅堅から娘を守るためにとっさにアイロンのコードで彼の首を絞めたのだった。傅堅が動かなくなり、恐ろしくなった陳婧は自首しようとするが、そこへ石泓がやってきた…。

事件以来警察が何度も取り調べに来たが何も変わったことは聞かれなかった。陳婧親子は理由もなく助けてくれた石泓に感謝して次第に話しかけてきたり距離が縮まった。だがある日陳婧が旧友の男性とレストランで食事しているのを見た石泓は、彼女宛てに匿名の脅迫状を出すようになった。陳婧は本当の事は言えなかったがストーカーされていると警察に訴え、警察は彼女と彼女の娘を保護するように。
そんなある日、石泓は娘を狙うと脅迫状を出した。陳婧が警察に助けを求め羅淼が娘の保護へ向かう。彼女は無事だった。だが実は石泓の狙いは娘ではなく、唐川だった。石泓は車で走行する唐川を襲い、現行犯で逮捕され、その後河川敷の事件の主犯であると白状した。陳婧への恋慕がその動機だった。

事件は解決した。が、唐川は何かがひっかかる。そしてある可能性に気づいた。現場周辺を再度調査する。
留置所の石泓に面会に行った唐川は事件の真相を彼に確かめる。河川敷の遺体は傅堅ではなかった、外見がおおよそ似ている、あの周辺にたむろすホームレスの一人だったのだ。そもそも事件は遺体が発見された前日ではなく、前々日に起こっていたのだ。だから陳婧母子には鉄壁のアリバイがある。石泓はホームレスを殺して傅堅に見せかけ、さらに自分が罪を負うことで陳婧を救おうとしていたのだ!
真実を指摘され、しかし石泓は力なく笑う。もう事件は終わっている、俺の勝ちだ、と。だが彼が連行されて行くその目の前に、羅淼に連れられた陳婧が現れた。彼女は跪くと、私が殺したんですと泣き崩れた…。

三か月後、裁判所に来ていた唐川はエレベーターで偶然石泓に遭った。唐川は偶然にも彼が得意だった数学の問題を手にしていた。石泓はそれを見て「難しいだろう?」と言う。「ああ。」唐川はそう答えた。(終)
-----ここまで]

えーっと、一本の映画として脚本はすっきりしててよくできてる。
原作読んだのが10年くらい前なのでこんな話だったかなと、おぼろげだけどトリックはほぼそのままじゃないかな。でもラストはこんな終わり方ではなかったはず。

東野圭吾作品の面白さはミステリを手法にして人間性を深く描いているところだけど、ちゃんとそこを汲んだ作品になってて、主役の刑事と重要参考人の友情とか、重要参考人の恋愛感情だとかをはっきりわかるように描いてるのが良かったな。もっと謎解きをメインにって思う人にとっては駄作だろけど。
ミステリとしては点は低いかもしれないけど人間ドラマとしては高いと思う。

一応唐川が原作の湯川博士、日本では福山雅治が演じた主人公なんだけど、この作品の唐川、影薄すぎ。何の印象にも残らなかった。前半の刑事役は羅淼で、彼の方がベタな刑事を演じてるのもあって。
とにかくこの作品を一人で引っ張ってたのが石泓役のチャン・ルーイー(張魯一)。彼のお芝居がやたら真に迫ってるわけよ。正直原作のイメージから石泓はもっと小太りのハゲみたいな感じが良かったんだけど、彼みたいな土台イケメンでもイケてない感が出せるってトコがまず凄いw 
あとはヒロインのルビー・リン(林心如)かな。ベタだけど。ちゃんとおばちゃんぽくなってた。

東野圭吾作品は中国でもすごく人気あっていろいろドラマ化されてるみたいだけど、日本に入って来ることがない(既に日本でドラマ化されてる)ので観る機会がないのは残念。


YOUKU

原作の小説。



日本の映画化作品。(観てないけど)

「天盛長歌(全56話)」のあらすじ。
中国語版のざっくり解読なので間違ってるところもあるかもしれません。
(最終回につき一部反転字にしてあります。)

[第五十六集](最終回)
天盛に連れ戻された鳳知微は寧弈に火鳳帮を釈放してくれと言う。寧弈はその頼みを聞いてやるから後宮に入れと迫る。(この後カットされているが、鳳知微は寧弈の条件をのみ夜伽に入るがそこで寧弈は赫連錚を打ったのは彼が鳳知微に向かって弩を向けていたからだと話したが鳳知微はそんなこと信じられないと言ったため、証明してみせると言ったようだ。)火鳳帮や大成を支持する人々を救いたいなら彼らを率いて自分に忠誠を誓い、そして皇后になれ、と…。

三日後、寧弈から楚王府に呼び出された鳳知微。彼女の前に顧南衣が月冷を連行してきた。そして彼女の部屋にあったという矢を差し出す。それは赫連錚の弩の矢だった。なぜ…?問う鳳知微をあざ笑う月冷。寧世征が大成王朝を滅ぼし私達は親を失い売り飛ばされ生きるか死ぬかの毎日を送って来た、お前は大切に守られてきたから私達の苦労も分からないのか!月冷の目的が、鳳知微が自分を憎むよう仕向ける事だったと寧弈は指摘する。火鳳帮や大成を支持する残党の狙いは、この世に憎しみを蔓延させ帝都を殺し合いの修羅場にすることなのだと。月冷は大成を支持する多くの人々も、雅楽も王順儀も赫連錚も、みんなお前達二人のせいで死んだのだと叫ぶ。そして寧世征を刺したのは自分だと暴露する。寧澄は憤り剣を突きつけるが寧弈はそれを制し彼女を牢へと入れた。

火鳳帮も月冷もいなくなり孤立無援となった寧斎に寧霁は今からでも陛下(寧弈)に許しを請いに行こうと勧めるが、寧斎は奴に会って父殺しの罪を償わせてやると憤る。
寧霁の仲介で寧弈は楚王府で寧斎を迎える。寧弈は父の謀殺と帝位略奪をはかったことを認めろと言うが、寧斎はお前が趙淵と結託して帝位を略奪したのだと突きつける。
「お前が父を謀殺したのではないことはわかっているぞ、なぜなら朕は生きておるからだ。」なんと死んだはずの皇帝・寧世征が姿を現した!…あの時胸に刺さった剣は幸い肺には達しておらず皇帝は一命を取り留めた。わしが死んだことにして寧弈を即位させよ、わしはもう疲れた、後の事はお前に任せる…あの時皇帝は寧弈にこう託したのだ。
だが寧斎は全てが謀られたと信じられない、父帝に向かってお前は誰だと叫ぶ。本当に、本当に父上だというのなら…寧斎は遺書を取り出す。これは一体何だったのですか、と。皇帝は遺書を書いた時は本当にお前に継がせる気でいたと告げる。騙されたことを憤る寧斎は皇帝たるもの法に則るべきだと、母を殺した寧弈を処罰すべきだと指を突きつける。だが辛子硯が王順儀を殺したのは自分だと白状した。義妹と我が子を殺された恨みだったと…。我が子、その言葉に寧斎はおもむろに簪を抜くと自らの掌に突き刺した!血が流れるその手を父帝に見せ、我が子が血を流す姿を見てあなたの心は痛まないのかと問う。寧世征はたとえ我が子であっても天盛を揺るがす者はこの手で排除せねばならんと突きつける。お前は親じゃない!父じゃない!!寧斎は発狂し、寧弈は彼を宗正寺へと送った。辛子硯は王順儀を私怨で殺した罪について罰を受けると寧弈に平伏するが、寧弈はその彼を助け起こす。

寧世征の前に現れた鳳知微は短刀を抜く。彼女の母や弟を死に追いやった事そして彼女の恨みは寧世征にも重々わかっていた。だがなぜ彼女を生かしたのか、それは一人の平民の才能を見抜き育て、女と判明してもなお初の朝臣として用いたその自負があったからだ!そう言う寧世征に鳳知微は皇帝という一族は自分達の都合しか考えず、多くの人がその皇帝の権力のために犠牲になるのだと突きつける。寧世征は世間では死んだことになっている、あなたは一生宮殿の奥深くで孤独に生きるのだ!鳳知微はそう告げて去ろうとするが、寧世征はそれはお前も同じだと言う。お前が皇后になったとて、その身分を利用しようとするものが必ず現れる、お前も雅楽と同じことになるかもしれんのだと。皇帝の権力(皇権)に情など無いのだ、と…。

戻って来た鳳知微は爽やかな笑顔を見せ、もう昔の事は忘れることにすると言う。そして家にもどって嫁入りの支度をすると言うので寧弈は三日後に迎えに行くと約束する。
鳳知微は残った大成を支持する人々に、燕懐石と共に閔海へ逃れ静かに暮らしていくよう命じた。

三日後、雪が降った。寧弈は鳳知微を迎えに車を出す。だがその頃、鳳知微は崖から身を投げたのだった…。
鳳知微を失った寧弈は、しかし皇帝として天盛を守っていくことを心に誓う。権力闘争で命を失う不幸な人々が現れないような、悪が蔓延ることのない国を作ることで初めて、あの世で彼女に笑いかけることができるだろう…
(終)

* * * * *

→インデックス

* * * * *

総括。

タイトルとポスターから宮廷恋愛劇だろうと思うのに、中身は親子の愛情と確執をテーマにした硬すぎるミステリでした!
全70話で制作して撮り終えたのに低視聴率のため途中から56話に編集しなおしたらしくて、35話あたりからのシーンのカットぶりが酷い。俳優らはじっくりと演じてるのにシーンは細切れにされ台詞も音楽も繋がってないし…。

これは物語は優れているのに脚本がある意味失敗している残念なTVドラマ。たぶん原作はめちゃくちゃ面白いミステリ時代劇だと思う。読んでみたい。生半可なミステリではなく用意周到で伏線もミスリードもふんだんに敷いて、セリフは暗喩が飛び交いきちんとした解説もない事が多いので、ミステリや陰謀ものに慣れない視聴者には受け入れられないと思う。これはミステリファンにしかおすすめできない、見る人を選ぶドラマになってしまってる。
キャスティングも良くてお芝居の巧い人ばかりが集まっていて、個々が味わい深い表情を見せてリアリティのある人間ドラマとして展開されている。でもその相関関係がいかんせん分かりにくくて…。架空の王朝で架空の文化だから背景の説明は必須なんだけどそれがない、主人公ですらどういう境遇なのかが謎にされているからその行動原理が理解できず視聴者は困惑する。初見者にキビシいドラマ。原作ファン向け?
一般向けにするなら原作を多少曲げてでもシンプルにすべきだし、こういうミステリ系ドラマのシーンをカットするのは無茶が過ぎるってもんだ。

キャストでは辛子硯を演じるチャオ・リーシン(趙立新)がねぇ、やっぱり最高!!この人は本っ当にこういうひとクセある脇役が似合う。名バイプレイヤー!今作ではシリアスで硬すぎる物語に閑話休題な笑いを誘うキャラクターで親しみやすいってのもあるけど、騙し騙されの駆け引きが続く物語にあってその内心がちょっとした声色とか目線とかで示されてるの、きちんと視聴者に伝わるお芝居が本当に巧みだと思う。
でもそれ以上に主人公・寧弈を演じるチェン・クン(陳坤)がもう、アク強すぎるお芝居で圧倒してるのがある意味笑える。彼も表情豊かなのは素晴らしいと思うけど、主人公のくせにワルい顔しすぎ!!この物語、主人公が王道の正義を貫くただのイケメンだったらここまで面白くはならなかっただろうし、もう彼以外にこんなキャラは演りこなせないって程のドハマリ役。ただ彼のお芝居は生理的にムリって人も多そう…。
圧倒と言うと秋明纓役リウ・ミンタオ(劉敏涛)が最初から最後まで女優オーラがほとばしりすぎてヒロインのニー・ニー(倪妮)がかすんでたのは如何なものかと。終盤の自白シーンは映画のクライマックスかと思うほどの迫真の演技でもう涙が止まらないっ!
あとは太子寧川を演じるハイ・イーティエン(海一天)が好きだったなぁ。ベタなキャラ作りではあるけど彼も密かに表情の変化を細やかに表現しててさすがベテランというところ。
他にも皇帝、顧衍、寧斎、雅楽(宮沢りえに見えて仕方ない)とか、本当に素晴らしいと思う役者さんが多かった。

衣裳も道具関係もロケもキャストもめちゃ金かけてるのがわかるだけに、こんな中途半端な仕上がりになってしまったのは本当に残念で仕方ない。
あとタイトルはどう考えても制作発表時の「凰権・弈天下」の方がよかった。長歌だとラブロマンスと勘違いする!キケン!!
「天盛長歌(全56話)」のあらすじ。
中国語版のざっくり解読なので間違ってるところもあるかもしれません。

[第五十三集]
皇籍を捨てたくらいでこの権力闘争は終わらない、お前が皇帝の座を奪取しなければ永遠に犠牲者が出続ける、正しい君主が正しい権力を行使するまで民の不幸は続くのだ!そう説く辛子硯に、寧弈は指を突きつける、おれはただ母を救いたかっただけなのにお前がおれを使って天下を我が物にしようとしている、お前の野心のせいだ!と。出ていけ!そう言って決別を宣告する。

皇帝は王順儀の遺体を前に悲しみ憤る。そこへ辛子硯が参内した。また寧弈を擁護に来たのか、これでもまだ寧弈を赦せと言うのか!皇帝は激怒するが、辛子硯は第十皇子・寧霁を後継者に指名し直してほしいと申し出るのだった。

魏王は皇帝に母の無念を晴らしてほしい、犯人を捕まえ処刑すべきだと暗に寧弈を殺せと申し出る。だが皇帝は二人の妃を失いさらに二人の皇子を失わせるようなことをさせるなと、暗に魏王が雅楽を殺したと疑っていることを示す。もし王順儀の死の真相を究明し犯人の罪を問うならば同じく雅楽の死も、そして韶寧公主の死も調べなければならなくなると…。魏王は引き下がるしかなかった。
辛子硯はこのままでは魏王と寧弈はどちらかが死ぬまで争い続ける、早く寧霁を立太子すべきと説く。そこへ慶后月冷が参内し、家族の夕食会を主宰したいと申し出た。皇帝はまだ魏王と寧弈が和解してくれることに一縷の望みをかけていると言い、夕食会を執り行うよう命じた。

[第五十四集]
鳳知微は孫弘と会う。孫弘は妹に会えて嬉しいと目を潤ませるが、鳳知微は自分は大成王朝の復興に関わる気はないと告げる。
そこへ赫連錚がやってきてやはり戻ってきて欲しいと言うが、鳳知微は自分の運命と向き合うため戻ることはできないと答える。

辛子硯は寧霁を呼び、皇帝が後継者に指名したこと、そして彼が寧霁を立派な後継者に育て上げることを仰せつかったと拝礼する。だが寧霁はその礼を受けることを拒み、もし国のためを思うのなら自分を後継争いに巻き込むのではなく六兄を呼び戻すべきだと言って去っていった。

慶后月冷主宰の夕食会はとても気まずい空気が流れている。皇帝は魏王と寧弈にこれ以上いがみ合うなと叱りつける。だがそれでも二人は互いに死んだ母に詫びろと言い合い、皇帝は怒って立ち上がるが酒を飲み過ぎたのかふらつき月冷や寧弈が慌てて支えた。月冷は皇帝が酔ったようなので宴はお開きにしようといって彼を支えて連れていく。

帰ろうとする寧弈を月冷が引き留め、皇帝が呼んでいると言う。寧弈は中へ。月冷は二人だけの大切な話があるようだと言って趙淵をも外へ出した。
と、そこへ魏王が手配した兵がやってくる。そして宮殿は内側から鍵がかけられ魏王の手配した暗殺者が皇帝を襲う!寧弈に父帝殺しの罪をなすりつけるためだった。
寧弈は必死に父を守り戦うがついに暗殺者の投げた剣が皇帝の胸に突き刺さり皇帝は仰向けに倒れる。そこへやっと衛兵らが扉を押し破ってやってきた。寧弈は父の手を握り必死に助けを呼ぶ。皇帝はまだ息があった。寧弈に、お前が跡を継ぎ、決してひるむことなく立ち向かっていけ…そう告げて目を閉じた。

姚英に預けられた遺書を手に事が終わるのを平然として待つ魏王に、寧霁は剣を抜き突きつける。邪魔をする奴は生かしておけん、魏王は彭沛に寧霁を殺せと命じる。

[第五十五集]
彭沛は寧霁が寧弈と結託し帝位略奪を図ったと叫び剣を抜き迫るが、背後から飛んできた矢に射抜かれ倒れた。矢を放ったのは辛子硯だった。辛子硯は先日皇帝から直接、遺書を破棄し寧霁を後継者とすると言いつかったとを告げるが、魏王は証拠もなく誰も信じないと吼える。
その時、宮殿の扉が開き寧弈と趙淵が出て来た。趙淵は皇帝が身罷り、寧弈にその位を譲ったと宣告する。皆は跪き、寧霁も率先して六兄に従いますと拝礼する。国泥棒め!魏王は遺書をつきつけ罵るが、寧弈はこの件は即位後すぐに徹底究明することを誓うと宣言した。

皇帝に即位した寧弈はすぐに火鳳帮と寧斎を徹底的に調べろと寧澄と顧衍に命じる。寧弈は辛子硯に朝廷の要職についてほしいと言うが、彼はもはや役に立てることはないので辞職するつもりだと答えた。
火鳳帮に寧澄が率いる金羽衛が迫る。孫弘は隠し持っていた小刀で寧澄を刺そうとするが躱されその剣を胸に受ける。その現場を駆け付けた鳳知微が目撃してしまう。鳳知微は孫弘に駆け寄るが、孫弘は自らの手で寧世征を殺すことができず寧弈が自分たちを逃がすはずがない、こうなることは分かっていたと言い残し息絶えた。

金獅国から新帝即位を祝う使節団が来る。赫連錚は明日使節団と共に帰国することに。
その夜、寧弈は橋の上で鳳知微に会った。明日金獅へ戻らず残ってほしいと言う寧弈に鳳知微はあなた達親子は勝手すぎると憤る。おれはお前の望むものなんでも与えてやる、そう言う寧弈に憐れむような視線を向け、鳳知微は無言で立ち去って行った。

帰路へつく金獅使節団の行く手に金羽衛が立ちふさがる。火鳳帮が使節団に紛れて逃れようとしていることを月冷がわざと寧澄に知らせたのだ。火鳳帮が一斉に立ち上がり金羽衛に襲い掛かる。赫連錚は鳳知微を連れ山へ避難する。
報せを聞いて駆け付けた寧弈は鳳知微を探す。寧弈は出てこなければ容赦しない、お前も周囲の人間の安全も保障しないと叫んでいる。鳳知微は赫連錚に自分を囮にして火鳳帮を逃がしてほしいと頼む。
鳳知微は寧弈の前に姿を現した。その後ろをついてくる赫連錚がゆっくりと弩を鳳知微に向けて構えるのに気付いた寧弈はすぐさま弓を放つ。矢はまっすぐ赫連錚の左胸に吸い込まれて行った。赫連錚は倒れ山の斜面を転がり落ちて行く…鳳知微は悲鳴を上げその後を追いかける。だが赫連錚はすでに息絶えていた。「寧弈お前は赫連錚まで殺した!お前は狂ってる!!」鳳知微は寧弈に吠え掛かる。


[A] 寧弈
皇帝の第六子で六郎と名乗る。母が生きていたことを知り自ら父に絶縁を叩きつけて皇籍を外れ庶民となり母と暮らし始めたが、間もなく母は寧斎の陰謀により殺された。
[B] 鳳知微
金獅国王后。寧弈の元恋人。滅んだ大成王朝哀帝の第九子とされている。
[C] 辛子硯
光禄大夫。青溟書院院首。寧弈を将来の皇帝にすべく密かに立ち回っていたのだが…。
[D] 寧世征
天盛皇帝。
[E] 趙淵
大太監。寧世征の腹心で彼の真意を鋭く言い当てる。
[F] 寧斎
皇帝の第七子。魏王に封じられている。後継者の地位を確固たるものにするため寧弈を亡き者にせんと画策している。
[G] 月冷
皇帝の一番新しい妃。慶后と称される。その正体は大成王朝の復興を目論む血浮屠の一員。孫弘の恋人。
[H] 孫弘
天盛の奴隷市場を牛耳る火鳳帮の主。その正体は大成王朝哀帝の第四子・長孫弘。
[I] 寧霁
皇帝の第十子。青溟書院の学生でもある。
[J] 赫連錚
金獅国王。鳳知微を娶ったが彼女の心がまだ寧弈にあることも知っている。

* * * * *

→インデックス
「天盛長歌(全56話)」のあらすじ。
中国語版のざっくり解読なので間違ってるところもあるかもしれません。

[第五十集]
(ものすごいダイジェストなのでわかる範囲でざっくりと。)
鳳知微と華瓊は寧弈が蒲城の地図を入手するまでの時間稼ぎのために薬を飲んで病気のふりをする。
寧弈は佳栄に協力してもらい日落族の双生虫の術の解呪を行った。また彼女に協力してもらい大悦太子と交渉して蒲城の地図を入手する。
だがその頃晋思羽は鳳知微に自白剤を飲ませる。自白剤で記憶を殆ど失った鳳知微は断片的に残る愛する皇子の記憶を晋思羽のことだと思い込んでしまった。鳳知微の真摯な言葉に心動かされた晋思羽は鳳知微を后に娶ると言う。
会えば記憶が戻るのではないかと寧弈は鳳知微の前に現れるが、彼の顔を見た鳳知微は母の死の記憶がフラッシュバックする。あなたはきっと私の仇人だ!そう突きつける。寧弈は否定することができなかった…。

辛子硯は皇帝から魏王を後継者として育てるよう命じられた。これは断ることはできない。辛子硯は「後継者として」という事は隠して指導役に命じられたと魏王に告げる。魏王の側仕えの宦官が怪しい動きをしていることに気づいた辛子硯は策を練って彼を魏王から引き離す。そしてこの宦官が奴隷商の火鳳帮に属する男とつるんでいることを掴んだ。辛子硯は妻の妹の二花を火鳳帮に送り込む。

[第五十一集]
晋思羽と鳳知微の結婚式が行われる。だがその場で鳳知微は転倒し記憶を取り戻した。その時城内に潜伏していた赫連錚の合図で爆発が起こる。城外にある川の堰が壊されたのだ。
蒲城は陥落し金獅王后も囚われていた兵士達も無事戻って来た。鳳知微の気持ちを知る赫連錚は、寧弈と共に天盛へ帰りたいというのなら無理に止めはしないと言う。だが寧弈は彼女に赫連錚の側で彼を支えてやって欲しいと言って身を引く。

皇帝は姚英に遺書を預けておくと言って聖旨を渡した。そこには魏王を後継者に指名すると書かれていた。兄を差し置いて弟を帝位につけることは出来ないと姚英も辛子硯も撤回を請願する。だが皇帝は魏王を援けていくと誓うかそうでなければ辞職しろと突きつけた。
皇帝は寧弈の罪を問い罰するつもりだった。しかしそれは自らを傷つけることを意味していた。皇帝の意志は固いと見た趙淵は自分もお供すると申し出るが、皇帝は残された魏王を補佐してやってほしいとその肩を叩く。

皇帝は楚王が帰国するのに合わせ密かに金羽衛副指揮使・陸明に兵を潜ませるよう命じた。それを知った顧衍はすぐに辛子硯に相談する。辛子硯、姚英、淳于鴻ら朝臣は皇帝の意に反しても楚王を助けることを誓い動き出す…。
火鳳帮の主として魏王に近づきその信頼を得た孫弘は、楚王が死んだら魏王を殺し寧世征に目にものを見せてくれようと企む。

寧弈は淳于鴻将軍と顧衍率いる金羽衛に守られ帰城した。皇帝は剣を抜き放って迎える。だが寧弈は金羽衛に下がるよう命じた。そして跪くと言う、双生虫の術は解けました、もう何も恐れることなくわたくしを殺すことができます、と。皇帝は剣のその切っ先を寧弈の胸に突きつけるが寧弈は皇子の証である魚符と兵符を差し出した。皇家を離れ庶民となると。そして母を返してほしいと訴えた。皇帝の手から剣が落ちる…。

雅楽は寧弈の元へと戻された。ついに20年ぶりに寧弈は母と再会を果たし涙する。
辛子硯が火鳳帮に潜入させていた二花は彼らが魏王と組んでいることを掴んだがスパイがばれてしまい魏王に殺されてしまった。そのショックで大花も流産する。失意の中でも辛子硯は寧弈のために韶寧公主殺害事件は魏王と火鳳帮が絡んでいると報告に行くが、寧弈にはもう後継者争いをする気持ちは全く残っていなかった。庶民として母に孝養を尽くし暮らせることが何より嬉しいと顔を綻ばせる。

[第五十二集]
孫弘は寧弈と辛子硯が結託して何か企んでいるようだと伝えるが、父帝から後継者に指名すると言われた魏王は悠然と構えている。孫弘は人質をとって万一に備えるのはどうだろうかと提言する。
寧弈の屋敷に魏王から大量の贈り物が届けられた。その夜、贈り物の箱に潜んでいた宗宸らが出て来て雅楽を攫う。だが宗宸は寧澄に見つかり刺殺された。定期報告のため天盛に戻って来ていた顧南衣はちょうどその現場を目撃していた。すぐに駆け付けた孫弘が宗宸は自分のために命を落としたのだと嘆く。
宗宸の死、そして天盛哀帝の息子が生きていたという事実に鳳知微は動揺し、天盛へ行き真相を確かめると言い出す。赫連錚は結局は昔の男に会いたいだけだろうと突きつけ、離婚するから勝手に帰れと吐き捨てた。

寧弈は母を取り戻すため辛子硯に相談する。辛子硯は魏王を倒すためにも今が朝廷に復帰する好機だと説く。せっかく庶民となり争いとは無縁の平穏な日々を送れると思っていたのに権力争いからは逃れられないのか…!寧弈は今度こそ母を取り戻したらすぐに都を離れ遠くへ逃げようと言うが、辛子硯は魏王はあなたが生きている限りどこまでも追ってくるに違いないと断言する。
寧弈は魏王の母・王順儀(※才人から昇格した)に雅楽が行方不明になったこと、そして魏王が攫ったと疑っていることを告げ、数日間一緒に来て欲しいと逼る。
母を奪われた魏王は激怒し雅楽を毒殺しようとするが、彼女が囚われている牢へ行くと見張りが倒されその姿は消えていた…。

魏王は寧澄を差し出せば雅楽を返してやるとの手紙をよこしてきた。寧弈が約束の時間にその場所へ向かうとそこには一台の車と、顧南衣が待っていた。顧南衣は師匠の仇である寧澄を殺したら雅楽を返すと告げる。それでは憎しみの連鎖が続くだけだと寧弈は説くが顧南衣は問答無用とばかりに抜身の剣を手に逼る。寧澄が飛び出て来て雅楽を解放したらここで自害してやると剣を首に当てるが寧弈がそれを制止する。
その頃崖の下では孫弘の仲間らが集う。そして崖上に見える雅楽の乗った車に鍵縄をかけると思い切り引っ張った…!車が崖に向かって動き出す。それに気づいた顧南衣は必死に車を戻そうとするが縄が切れ無情にも車は転落していった。愕然とする寧弈を、やっと駆け付けた鳳知微が助け起こす。

鳳知微はこの事件はよく調べた方がいいと言うが、寧弈は顧南衣を差し出し二度と目の前に現れるなと彼女を追い出した。
皇帝もまた、雅楽の死に茫然としていた。その皇帝の背後に月冷がそっと寄り添う…。
翌朝、皇帝は月冷を夫人に封じ亡き常貴妃の住まいであった昭慶殿を与えた。

悲しみにくれる寧弈の元に、王順儀が殺されたとの報せ。寧弈は辛子硯を呼び出しなぜ王順儀を殺したのかと詰問する。辛子硯はあの日王順儀に魏王が何を企んでいるのか問い詰めた。だが王順儀は息子が何か企むなど考えられないと答え、さらに息子が何者かに陥れられようとしているのなら辛子硯の力でなんとかしてほしいと懇願してきた。我が子を殺した張本人を援けろだと!?ついカッとなったと辛子硯は言う。その非を責め立てる寧弈に辛子硯は家族や我が子まで犠牲にしてお前を援けようとしたこの気持ちがまだわからないのかと今までの不満をぶつける。


[A] 寧弈
天盛皇帝の第六子。楚王に封じられている。大悦に囚われる鳳知微を救うため罪を犯して駆け付けた。20年前に急死した母が実は生きている事を知る。
[B] 鳳知微
金獅国王后。寧弈の元恋人。大悦に囚われた多くの兵士を救うために人質となっている。王后の侍女の華瓊だと偽っている。滅んだ大成王朝哀帝の第九子とされている。
[C] 華瓊
鳳知微の姉貴分の女剣侠。鳳知微を救うために自分が金獅国王后の鳳知微だと名乗る。
[D] 晋思羽
大悦国王子。安王に封じられてる。鳳知微を人質にして金獅国を手に入れようと目論む。
[E] 凌英
寧弈の母・雅楽の側仕えをしていた女官。両目を潰され見えなくなっている。
[F] 佳栄
晋思羽に捕えられている日落族の生き残りの女。
[G] 赫連錚
金獅国王。ずっと想い続けていた鳳知微を娶ったが彼女の心がまだ楚王にあることも知っている。
[H] 寧世征
天盛皇帝。滟妃雅楽によって息子と死を共にする双生虫の呪いをかけられた事から逆上し彼女の首を絞めた…。
[I] 寧斎
天盛皇帝の第七子。魏王に封じられている。後継者の地位を確固たるものにするため寧弈を亡き者にせんと画策している。
[J] 月冷
寧斎が探して来た市井の調香師。その正体は大成王朝の復興を目論む血浮屠の一員。孫弘の恋人。
[K] 孫弘
天盛の奴隷市場を牛耳る火鳳帮の主。その正体は大成王朝哀帝の第四子・長孫弘。
[L] 雅楽
寧弈の母。滟妃と称される。18年前に突然「病死」した上に敵国と通じたとして廃妃された。元々は大悦国日落族の巫女。
[M] 辛子硯
光禄大夫。青溟書院院首。寧弈を将来の皇帝にすべく密かに立ち回っている。
[N] 寧澄
寧弈の腹心の部下。
[O] 顧南衣
元血浮屠の剣侠。師匠である宗宸の命令で鳳知微を護衛する。

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