ドラマでお勉強-天盛長歌 #8 | あさひのブログ
「天盛長歌(全56話)」第五十一集27分頃から。※ネタバレ注意!
父帝の命に背いて大悦へ行った寧弈はやっと帰国する。皇帝が激怒して彼に釈明の余地を与えず殺すのではないかと心配した姚英や辛子硯らは淳于鴻将軍に協力を仰ぎ兵を率いて寧弈を護らせた。謀反にすら見えるその様相に皇帝も兵を率いて彼を待ち構える。だが寧弈は父帝に対面すると護衛の兵たちを十丈(約30m)下がらせた。

* * * * *

「父上に申し上げます、双生虫の術は解けました。」
「何だと。」
「父上とわたくしに同命相連の定めを追わせる双生虫の術は解けました。父上はもう自身の安全のためにこの寧弈の命を奪えないということはありません
(*1)。」
皇帝は剣を寧弈の胸に突きつける。
「寧弈、おのれで数えてみろ、何度わしに逆らって来たか、幾度詔に抗い従わなかったか。あァ!?お前は全てが双生虫のせいだとしてこのわしがお前を罪に問わないとでも思ってるのか!?」
「もしそのせいでなければ、この双生虫のせいでなければ、父上の今されていることは何ゆえですか。今もう虫はこの中にいます。父上はご自身の事は何も心配なさらずこの寧弈に罪を問い罰を下すことができるのです。この身体は父母から授かったもの、父上がそれを取り返したいというのなら、寧弈は当然(その命令を)お受けしましょう!」
「殿下、殿下!もう陛下を刺激なさいますな。陛下は本当に世界と社稷のことを考えておられるのですよ。これ、もうッこの双生虫めが引き起こした騒ぎ、事件もこれでもう解決いたしましたね。(これからの事)全てはしっかり協議してからがよろしいかと。」
「趙淵!」
「はい。
(*2)
「こやつために仲裁者のような真似をするのはやめよ!」
「陛下…。」
「寧弈の後ろを見てみろ、いつでも(こやつのために)忠信を尽くすこやつの天盛大軍を。この十丈以内でも敵の首級を簡単に上げることのできる上将軍を
(*3)。こんな双生虫など、こやつの方便にすぎぬ!(*4)
「父上は(将軍との距離が)十丈では安心できないとおっしゃる、では百丈では?千丈では?」
「寧弈、お前はこのわしを笑いものにしたいのか。お前は蒲城で大軍を動かし皇帝の命令に背いたのだ、今更尺も丈もあるものか!
(*5)
*1 直訳:父上はもうご自身を顧みてこの寧弈の命を保てなくできないと心配をする必要がないのです。
*2 直訳:わたくしはここにおります。
*3 淳于鴻の事。
*4 直訳:この双生虫がなくなったという事は、よりいっそう彼が事を行うための方便にすぎないのではないか。(反語)
*5 直訳:尺と丈の違いなど今更言う事ではない。(同じだ。)



「この寧弈は三軍を動かした、私一人の過失です。父上が尺丈がどうであれ安心できないというならば、寧弈は下がれるところまで下がりましょう。」
「何をもって下がると。」
寧弈は懐から二つの符を取り出す。
「どうぞ陛下、(あなたから)賜ったこの皇子の魚符と兵部の麟符を回収してください。この寧弈は自ら庶民となり自ら皇籍を外れ、二度と都へは戻ってまいりません。」
「お前これはどういう意味だ。」
「どういう意味?この寧弈は、わたしはこの人生で数え切れない苦難を経験してきました、なのに母親には会えないんですよ、陛下。」
「お前(のこの所業)はわしを恨んでいるからか、わしが憎いせいだと言うのか、皇帝であるわしの子になどなりたくなかったからだと言うのか!!」
「いいえ。わたしが恨むのはわたし自身。私はなぜ皇家に生まれてしまったのかという事を、(他の奴らと)一緒になって権力を追わねばならない事を!母上と同じく長年囚われ、しかもその子(自分)は(母も長年囚われていた事を)一切知らなかった事を恨んでいるのです!!陛下!お願いです、母様を返して下さい。二十年だ、陛下あなたはもう充分恨んだでしょう!でもこの二十年は寧弈にとっては、わたしは来る日も来る日も一時も欠かさず考えていたんだ母さんの事を!この時間はすごく長かった。おれは怖くなってきたんだ、目を閉じるのが。(次に)目を覚ました時に母さんの記憶がぼやけてしまうのではと。怖いんだよ!!おれは怖いんだ、母さんの目がぼやけて見えるんじゃないか、おれを見る目が、おれに微笑むその笑顔が!おれのために泣く顔がぼやけてくることが!!父上、父上!母さんを返してください。おれの母さんを返して…。」
皇帝は剣を手放す。
「返して下さい、母様をわたしに返してください。母様をその子供に返して下さい。お願いします。」


* * * * *
ここも名シーンの一つだけどみどころは寧弈というよりは皇帝。すれ違う親子の情を描きそのカギとなっているのがこの皇帝の表情。

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