辛子硯は韶寧公主の結婚式を口実に常忠義を帝都へ呼びよせ留める策を皇帝に献じた。だが公主の結婚相手の候補として魏知の名が挙がり、皇帝もすっかり乗り気になっている。辛子硯は寧弈が反対するに違いないと思いつつも楚王府へ戻って来た。
* * * * *

「子硯、あんたはいつもうちに来た時はずかずか入って来るのに(*1)今日はどうしたんだ?もしかして父上はあれを拒んだのか?」
「拒むなんてことない、全て我々の思った通りでしたよ。」
「ならよかったじゃないか。」
「よかったですよ。ただ…。」
「…何かあったようだな。」
「いいえ何も。私はそれを貰いに来たんです。」
「…子硯、おれはあんたに無理強いしたことはないはずだよな(*2)。」
「ええ、ええ。無理強いだなんてありませんよ。私はただ、寧斎が韶寧の駙馬(皇女の婿)を見繕ったのを聞いてたってだけで。陛下も韶寧が嫁に行くのを利用して常忠義を都へ呼び戻す事を了承された。」
「誰が(婿に)選ばれたんだ?」
「…(聞こえないふり)…。」
「選ばれたのは何者だ?」
「え?何て?」
「言え。」
「あー、魏知ですよ。わたくし多忙の身ですのでこれで失礼いたしますね。」
「…待て。」
「……。」
「子硯、あんたは魏知が何者なのか知ってるよな。」
「もうッあの鳳知微なら本当に(公主を)娶りはしませんよ、彼女が常忠義を都に呼び戻すための道を切り開いてくれるんです、全てがうまくいく。」
「ではその後は?鳳知微はどうすればいい?」
*1 直訳:あなたはいつも我が王府に来た時は(行く手を遮る)人もいないかのように入る。
*2 何か不満があるのか、の意か。直訳:私はもしかして今までにあなたを脅迫して何かを任せて来たことはないだろうか。

「常忠義が都に入ったら我々が(韶寧の)結婚式の前に鳳知微を帝都から逃がすよう計らえばいい。」
「それでは彼女は皇家の敵になるじゃないか、姓名を隠し生涯落ち着くところもなく彷徨う事になる。彼女は(この案に)うんと言わないだろう。」
「彼女がうんと言わないのかそれとも貴方がうんと言わないのかな。」
「何の違いがある?さあ、ちょっともう一度考えよう、他の方法(*3)を。」
「他の方法!?他の方法を考え付いたとて韶寧公主はうんと言わないでしょう、陛下だってそうです!考えてもみなさい、鳳知微は夜道を歩けば(*4)」
「そうだ!これはおれが許さんのだ!」
「貴方が許さなければ常忠義は都へ戻っては来ない。削藩は泡となって消える、常氏を倒すのもただの夢となり果てるんですよ?貴方はもっと大局に重きを置くべきだ。高みから眺めれば遠くが見えるはずだ(*5)。」
「関係ない!お前はただ方法を考え出せばいいんだ(後はおれがなんとかする)。」
「今になって」
「殿下にご報告いたします、」
「帰れ。」
「魏王様がいらっしゃいました。」
「!」
「入ってもらえ。」
「誰だって!?」
「辛院首、魏王寧斎さまでございます。」
「どうぞ!」
「…怒ってはなりませんよ、彼に見透かされてはなりません。」
「おれは怒りなどせんよ。おれは子硯、お前にもう一度方法を考えてほしいだけさ。まだ手遅れじゃないことが嬉しいよ。」
寧弈は寧斎を迎えに部屋を出ていく。
「貴方のこういう所が本っ当に良くないんだよ、私は…!」
*3 魏知が婿にならないで済む方法。
*4 「夜路走多了総会見鬼」と言おうとしたのか?夜道を歩けば幽霊に遭う…危ない橋を渡っているのだから元より危険は付きものだという意味。
*5 高瞻远瞩…高みに上れば遠くまで見える。読みが鋭い事を表す熟語。
* * * * *
序盤とはすっかりキャラが変わってしまい鳳知微に入れ込んでしまってる寧弈に視聴者も閉口してる頃である。
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