彭沛から鳳皓が所持していたという令牌を預かった辛子硯は秋府へ赴き、鳳皓の荷物の中から出て来た庚帖(*1)と合わせて秋明纓の前に突きつける。
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「言い訳はしなくていい(*2)。私はもう鳳皓の体にある(生まれつきの)あざを見た。」
「そういうことでしたら、辛院首はどうして陛下に報告に行かれないのですか。(その上)証拠品をこの明纓の元へ持ってきて、あなたはわたくしに何をさせようと?」
「お前に何をさせるかだと。私はお前に結局の所何をしようとしているのかを問いに来たのだ。あの鳳知微を楚王に近づけたのもお前の狙いではないのか。お前達は何をしようとしている?お前は本当に(たったの)一家三人で天盛をひっくり返せるというのか。お前に訊く、鳳皓は自分の正体を知っているのか。」
「…知りません。」
「ならいい。大成の遺児を隠していたのは、結局何のためだ?」
「辛院首はまだお分かりでないのですか、皓がなぜ何も知らないのか。知微もです、あなたは知微が自分の身上を知っているとお思いですか。もしわたくしが本当に陰謀を図っているならば、まだ皓を国の復興の念頭に置かせているならば、どうして今まで彼らに(その正体を)黙っていたのか。」
「ではお前はなぜこのような(二つの)物を未だに残していたのだ。」
「これは亡き夫がこの明纓に遺した唯一のもの、私はこれを(破壊して)捨てることができなかったのです。この庚帖では、院首にとっては皓は大成の遺児かもしれませんが、私にとっては、彼はただの我が子でしかないのです。この庚帖上に、彼の本当の生年月日があっても。これは私の婦人の仁(*3)です…。」
秋明纓は辛院首の前に跪く。
「辛院首、わたくしの死後に、どうかこの庚帖を破棄し、皓の体にある(生まれつきの)あざを消してやってください。そうすれば、この世に皓の本当の身分を知り得るものはいなくなります、この世に大成の遺児はもういなくなります。私はただ二人の子供がしっかり生きて行ってくれることだけが望みです。普通の家の子供と同じように、一生穏やかに暮らせれば。院首どうかお願いいたします。」
秋明纓は深々と土下座する。
「……お前の話、この世に大成の遺児はいなくなる、その言葉を(しっかり)覚えておけ。」
「!ありがとうございます、わたくしどう御礼を申し上げればよいのか。(*4)」
「私はお前に恩を与えるわけではない、ただ楚王が困難に陥らないようにしたいだけだ。お前達は楚王の恩徳を常に忘れるな。くれぐれも、後々に彼(楚王)を巻き添えにしてこの私に今日の"婦人の仁"を悔やませることのないように。…今晩亥の三刻に順平門の外に鳳皓を迎えに来なさい。」
*1 庚帖…八字(生年月日時間から算出した干支のようなもの)を記した書類。
*2 直訳:あなたがもしまた何か否定する言葉を探そうとしているならその必要はない。
*3 その場限りで思慮の浅い温情。
*4 直訳:院首の大恩にこの明纓は報いることができません。
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名シーンの一つです。秋明纓を演じるリウ・ミンタオの女優オーラが凄すぎる。
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