
古事記には、多くの神さまが出演してくるのでなかなか覚えきれません。また、神さまの呼び方も長くて複雑なのです。代表的な神さまから知っていく方法を取っていければうまく覚えていけるのではないかと思って読みました。
日本の国土は神さまから生まれて、その神々は天上の天つ国(あまつくに)、この世の葦原中国(あしはらのなかつくに)、死者の世界である黄泉の国(よみのくに)でそれぞれ活動をしています。
まばゆい光で天地を照らすアマテラス、八俣の遠呂知を退治するスサノオ、稲羽の白うさぎをたすけるオオクニヌシといったよく知られている神さまを厳選して紹介していました。古事記に記されている日本の神話を、難しいことばには注釈をつけて要所には図版や解説などを入れてわかりやすく書かれていたのです。
この本は、古事記の神さまを理解していく上で最初の導入部分や入門編になると思いました。
39P 日の神アマテラス、月の神ツクヨミ、海の神スサノオの誕生
「けがれは、すっかり、はらわれたぞ。」身が清められたと感じたイザナキは、左の目を洗った。すると、あたりに燦燦と光を放つ、世にもうつくしい女神、天照大御神(アマテラスオオミカミ)が生まれた。
「よきかな、よきかな。」これまでの、天のどの女神よりも、燦然と光輝く、女神アマテラスの誕生に、イザナキはよろこんだ。
つぎに、イザナキは右の目を洗った。すると、思慮深いおもざしの月読命(ツキヨミノミコト)が生まれた。
「うむ。この子もよいな。」
さらにイザナキは、鼻を洗った。すると、そこから、がっしりとしたからだつきの須佐之男命(スサノオノミコト)が生まれてきた。
「この子は、見るからに、たくましいのう。」
イザナキが産んだ三神は、「三貴子」と言われ、いずれも姿かたちにすぐれ、全身に力がみなぎっていた。
57P アマテラス、天岩屋に隠れる
集められた鶏に、オモイカネは長鳴きをきそわせた。つぎに、鍛冶のアマツマラを招いて、天金山の鉄で、矛を打たせた。さらに、イシコリドメに、八咫鏡をつくらせ、タマノオヤに、八坂の勾玉を使ったうつくしい玉飾りをつくらせた。
さらに。アメノコヤネとフトタマの神が、天香山の常緑樹を掘り起こし、上の枝には玉飾りを、中の枝には八咫鏡、下の枝には青や白の布を垂らした。これをフトタマがささげもち、アメノコヤネが高らかに祝詞をとなえた。
オモイカネは、天界で一番の力持ち、天下力男(アメノタヂカラオ)の神を、岩屋のかげに隠れて立たせた。「よし、準備はととのったな」
63P スサノオ、八俣の遠呂知を斬る
スサノオは、腰につけていた十拳の剣をぬいて、遠呂知をずたずたに斬った。おびただしい血が川のように流れた。剣が遠呂知の尾にかかったとき、カツンと硬いものにあたり、刃がすこし欠けた。
「なにごとか?」
切っ先で尾を裂いてみると、燦爛と輝きわたる剣があらわれた。手に取って、空にかざしあげると、それは世にもするどい、あやしいまでに磨きぬかれて、神々しい光を放つ剣だった。
「これぞ、神の剣だ。」スサノオはよろこんだ。
「これは、世にもまれな剣であろう。わしが持つべき剣ではない。姉上に献上しよう。」
スサノオは、草なぎの剣を持って、高天が原に登った。
<目次>
はじめに
一 天地が生まれ、神がうまれる 二 国を作り、神を生む 三 イザナキ、黄泉の国へ行く 十八 ヤマトタケル クマソを討つ 十九 草なぎの剣をふるう 二十 ヤマトタケル 白鳥となり、高天が原へ ほか
あとがき
参考文献
小沢章友さん
1949年佐賀県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。『遊民爺さん』(小学館文庫)で開高健賞奨励賞受賞。陰陽師の土御門一族をめぐる連作「土御門クロニクル」で、陰陽師ブームを巻き起こした。児童向けの作品も幅広く手掛けている
佐竹美保さん
1957年富山県生まれ。雑誌「奇想天外」で挿絵画家としてデビュー。児童書を中心に、SFやファンタジーの分野で幅広く活躍