自分の感じたことや思ったこと、考えたことを自分の言葉で伝えることができる道具・かな文字を持っている幸せを清少納言の枕草子から感じていました。
その一方、会話では、思ったことをそのままストレートに口に出さない奥ゆかしさにぼくは惹かれていました。
そのなかで自分の意思ははっきりしていて自分の考えをしっかりと示しています。しかも知的で高い教養がないと伝わらない方法でもってです。
清少納言が過ごしていた内裏では、教養がある人たちのウイットに富んだ時間があり、知識に満ち溢れた女房たちがそのような空気を十二分に醸し出していたのでしょう。
なかなか楽しく興味深々で面白そう。もし可能であったならば垣間見たかったです。
当時の紙は、一枚一枚手すきで作られていて量産ができませんでした。
天皇に届けられるくらいの紙なので、大層美しく質が良いものだったと推測します。
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今の世の中では比べられるものがないような、当時の日本で最も華やかで麗しいその場所で清少納言はすごし、そこであったすばらしかったこと、楽しかったこと、わくわくしたことなどを書いたのが、エッセイ『枕草子』です。
そこで、話し上手、たとえ上手、教養や知識がないとできない、知的なやりとりが得意であった清少納言は定子にとても大事にされました。
『枕草子』が書かれるきっかけはこうです。
あるとき、定子様は清少納言に白紙の冊子を見せて、言いました。
「これに何を書こうかしら、天皇(一条天皇)のところでは『史記』(司馬遷)を写すそうよ」
定子様にそう尋ねられた清少納言はこう答えました。
「枕にしたらよいと思います」
定子様はその答えにとても満足して、その冊子を清少納言に与えました。
唐の詩人白居易の『白氏文集』にある誌の中の一節「書を枕にして眠る」を踏まえた言葉なのです。
「書を枕にして眠る白居易」にかけて、心に浮かぶ言葉を集めてお書きになったらいかがでしょうか、という意味を、ほのめかした言葉であったかと思われます。
枕草子は「春はあけぼの」で有名です。「ようよう白くなりゆく山際、紫たちだちたる雲の細くたなびきたる……」の箇所は、紫は高貴な色であり、清少納言は定子のことを示しているのではと歴史番組で司会が語っていたことを思い出します。
これは、子供向けなのでわかりやすくて楽しく枕草子や清少納言をとりまく天皇家について知ることができます。その時代の状況がわかってくると本を読んでいてももっと楽しめます。背景などを知ってから再度枕草子を読んでみるとまた感慨深いものになろうかと思いました。
<目次>
はじめに
清少納言、宮中に行く
清少納言、人気者になる
清少納言、幸せな日々
清少納言、日没と『枕草子』
清少納言、再び宮中へ
清少納言、お勤めを終える
清少納言、それから
おわりに
令丈ヒロ子さん
1964年、大阪府に生まれる。幼年童話からヤングアダルトまで、独特のユーモア感覚で幅広い読者に向けた作品を手がける
鈴木淳子さん
新潟県出身。東京在住。1988年「別冊ASUKA」にて漫画デビュー。少女漫画やケータイキャリアなどでの連載・コミックス発刊多数
【No1732】枕草子 千年むかしのきらきら宮中ライフ ストーリーで楽しむ日本の古典 令丈ヒロ子 絵:鈴木淳子 岩崎書店(2017/01)









