【No1729】分断国家アメリカ 読売新聞アメリカ総局 中央公論新社(2024/10) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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アメリカ大統領選挙を見ていたら、それぞれの支持者が両極端に分かれているように思えた。日和見のような情勢で動く人が付く方面によって情勢が変わっていくような感じだった。

民主主義の危機!?寛容と自制心。

お互いの主張が違うことは当然でありその相手の言い分にもわけがあること、相手の主張を一部でも認めるような許容力があまり見られなかったので理由をわかりたかったのだ。

8P

民主党と共和党の左右の分断を生み出している要因はなんなのか。実際にアメリカでは何が起きているのか。何が変容しているのか。

アメリカ各地を取材すると、この国が多様な社会であり、世界に間たる移民国家であり、新しい価値観が生まれる国であることを実感する。

その反面、多様性の広がりや多様な価値観を行き過ぎだと感じ、ついていけないと考える人が多いことにも気づかされる。人種差別は今での色濃く残り、新たな移民の流入は国内で軋轢を起こし、価値観の変容に抵抗する人も多い。

残念ながら、保守派もリベラル派も相手に対する寛容の精神と自制心を失ってしまった。アメリカを歩き、アメリカを見つめ、アメリカの声に耳を澄まさたからこそ痛感する現実である。

 

人種、LGBT、リベラルと保守、移民等々アメリカの多様性の価値観は、良し悪しがあり諸刃の剣だということを知ったのはよかった。

220P 

多様性という言葉は、前向きな意味を持つはずだ。だが、今のアメリカでは多様な価値観が共存するのではなく、各々が自らの価値観の正当性を声高に主張するあまり、価値観の衝突が目立っている。多様な社会とは必ずしも、その社会の構成員が多様性に寛容であることと同義ではないのだ。今日のアメリカにおいて多様性は国の遠心力となり、国の一体感を毀損しているように映る。アメリカをこれまで強くしてきた多様性が、今やアメリカを引き裂き、深刻な分断を生み出しているのが現実である。

多様な価値観を受け入れることは国を豊かにする可能性もあれば、国を傷つける恐れもある。日本がアメリカほどの多様な社会になることはないにせよ、今のアメリカから学ぶことは多い。

 

 <目次>

はじめに 

第1章 ブラック・ライブズ・マター運動で広がる分断―「黒人差別」の現在(独立記念日を祝うトランプ氏の集会で、キャンセル・カルチャーのうねり ほか)

第2章 青い州vs.赤い州―キリスト教、LGBTQ、気候変動(減り続けるキリスト教信者、勢いを増すキリスト教ナショナリズム ほか)

第3章 不法移民を巡る攻防―国境の街と聖域都市の間で(米メキシコ国境の街に押し寄せる人々、ジャングルを歩き、列車の屋根にしがみついて ほか)

第4章 国際情勢がもたらす対立―アラブ、ユダヤ、アジア(怒れるアラブ系、「ガザに自由を」抗議する若者たち ほか)

おわりに