「高級とは、客を錯覚させるための巧みな演出があるかどうかだ」
「サクラビア成城」「サンシティ銀座EAST」「エレガーノ西宮」「アンペレーナ百道」など、入居金が億を超え利用料が月50万を超えるような高級老人ホームが紹介されていた。
そこで働いている人は月給20数万ぐらいで入居金や利用料金に見合うようなサービスを求められても……。居住者からの要求は高いはずだ。介護職の給料は、他の高級ではない施設とほぼ変わらないように思われた。
至れり尽くせりのサービスがいかによくても、そこが最高の居場所になるかどうかは本人の気持ち次第であることが分かってよかったと思う。
健康に留意して生きていきたい。
できるだけ施設にお世話にならないようにしたいが、この日本の現状では可能なのかどうなのか!?
当たり前の暮らしと普通の人間関係は、施設の中にはないのかと。
249P おわりに
高級というレッテルほど、あてにならないものはない。
その高級という名のベールを取り去れば、中身は意外にもドロドロとした人間関係が繰り広げられているものだ。
(中略)
こうした高齢者に共通するのは資産を持っていることだ。そして試練を乗り越えてきた強さや、経験に富んだ教訓があることだ。取材で出会った高齢者たちは皆、これまでの知見をもとに第二の人生を謳歌しようとしていたのが印象的だった。
(中略)
本書では約1年をかけて、都内から福岡県まで多くの高級老人ホームの実態を取材してきた。どの施設も豪華なのは言うまでもない。ただ、もし今の私が高齢で「資金的な余裕があれば超高級老人ホームに即入居したいか」と問われれば、答えはノーだ。
年齢とともに身体の自由が限られてくるのであれば、高価な調度品に囲まれた暮らしや贅沢な食事、それに趣向を凝らしたサークル活動やビリヤード室も私には必要と感じない。
ごく普通の暮らしを送り、今まで通りの人間関係を保ちながら老後を過ごせればそれでいいというのが、私の率直な感想だ。
<目次>
はじめに
第1章 選ばれた者だけの「終の棲家」、超高級老人ホーム(「高級って何が高級なんだよ」、超高級老人ホームの日本代表「サクラビア成城」 ほか)
第2章 「入居者カースト」でマウンティングし合う高齢者たち(相模湾から臨むは天下、「中銀ライフケア熱海第三伊豆山」、賃貸型ではなく分譲型のシルバーマンション ほか)
第3章 「死に場所」さえステータス化する富裕層の執着(終焉までのカウントダウンが始まる「聖路加レジデンス」、薄給社員の悲憤 ほか)
第4章 老人は二度死ぬ。悪徳施設への潜入取材(現役スタッフからの告発、潜入するは我にあり ほか)
第5章 桃源郷は夢のまた夢。「世俗」に還る人々(「アンペレーナ百道」で業務を体験、働きながら入居権をキープ ほか)
おわりに
甚野博則さん
1973年生まれ。大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から『週刊文春』記者に。2017年の「『甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した』実名告発」などの記事で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」のスクープ賞を2度受賞。現在はフリーランスのノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌などで社会ニュースやルポルタージュなどの記事を執筆
