
5P 本書の目的は、これから迎えることになる人口減少時代において、日本経済の構造がどのように変化していくかを予想することにある。実際に統計データを確認していくと、近年の日本の経済にはさまざまな変化の兆しがみられる。本書ではここ最近においておこっている変化の兆候を捉えながら、人口減少局面に突入する日本経済の将来の姿を考えていきたい。
少子化が進んでいることもあり日本の人口減少は避けられない。このままでいると慢性的な人手不足に陥る。賃金が上昇傾向にあるなか、その人出不足を補おうとして、外国人労働者の安易な受け入れ増加は現状の賃金の下落を招きかねないという著者の考えに賛同する。
これまで捉えられた豊富なデータや企業への聞き取りが土台にあり説得力高い。
日本の未来の姿を大胆に予想していている。これらは信頼性が高い将来像になるものだ。
それはそれでありなんとかして生きていかないといけないから、これらの方向性を頭に入れて生きてゆきたい。
232P 人口減少経済の8つの未来予測
1 人口減少と高齢化により、人出不足はますます深刻になる
2 人手を確保するために賃金水準を引き上げざるを得ないので賃金はさらに上昇する
3 女性や高齢者などの労働参加は限界まで拡大する
4 賃金上昇による人件費の高騰が企業利益を圧迫する
5 デジタル先進技術の活用、自動化技術の省人化などの資本による代替が進展する
6 生産性が低い企業が市場から退出を迫られ、時代についていけない企業が吸収や消失し合従連衡が活性化する
7 企業はコストを商品やサービスの価格に転嫁し緩やかなインフレーションが定着する
8 運輸業の各戸配布や再配達のきめ細やかなサービスなど、優先順位の低いサービスが消失する
「少子化に社会全体としてどのように向き合うか」の論点について。
婚姻している夫婦間でこどもをもうける場合が多い。経済的な問題であれば結婚や出産、子育てに際して手厚く補助をすればよい。しかし、現状ではまだまだ感情的にも不足があるように思われる。少子化が必然的な流れだと決めつけず諦めず抗うようにして、山をなだらかにしていけるよう、これからもその対策をいろいろと愚直にやり続けるしかないのではないかと。
281P 日本の住むすべての人の力でこどもにかかる負担は支えていくという認識を社会全体で共有しながら、政府としてもできることはすべてやるという覚悟をもって、取りうる政策を総動員していくべきだ。
家族政策を現代社会における最優先課題と位置づけた上で、政府によるなりふり構わぬ政策対応が行われることを願って……。
主要国のうち人口減少国として、日本は成熟した道を歩んでいく。他の国々は先行する日本の後ろ姿を眺めながら、その事例から学んで自国の経済や社会に活かしていくはずだ。
9P 将来の日本経済を展望すると、人口減少に伴う日本の経済規模の低迷や国際的なプレゼンスの低下は、ほぼ確実にやってくる未来だと考えられる。しかし、生産性が低い企業が市場から退出し、人件費高騰に危機感を持った企業が生き残りをかけて経営改革に取り組めば、先進技術を活用した機械化や自動化の進展も相まって、労働生産性はむしろ上昇していく展開になることもありうる。実質賃金に関しても、名目賃金の上昇率が物価の上昇率を上回っていく形で、緩やかに上昇に向かう可能性が高い。
近代において、日本は主要先進国で初めて大規模な人口減少を経験する国になる。人口減少が進む国の経済はどのような道をたどるのだろうか。その嚆矢となる日本経済の現状を分析することで人口減少経済の行きつく先を予想してみたい。
<目次>
はじめに 日本経済はどのように変わったか
プロローグ――人手不足の先端を走る地方中小企業の実情
第1部 人口減少経済「10の変化」
変化1 人口減少局面に入った日本経済
変化2 生産性は堅調も、経済成長率は低迷
変化3 需要不足から供給制約へ
変化4 正規化が進む若年労働市場
変化5 賃金は上がり始めている
変化6 急速に減少する労働時間
変化7 労働参加率は主要国で最高水準に
変化8 膨張する医療・介護産業
変化9 能力増強のための投資から省人化投資へ
変化10 人件費高騰が引き起こすインフレーション
第2部 機械化と自動化――少ない人手で効率よく生産するために
建設 現場作業の半分はロボットと
運輸 自動運転は幹線輸送から
販売 レジ業務は消失、商品陳列ロボットが普及
接客・調理 デジタル化に伴いセルフサービスが広がる
医療 非臨床業務の代替と専門業務への特化
介護 記録作業から解放し、直接介助に注力する体制を
第3部 人口減少経済「8つの未来予測」
1.人口減少経済でこれから何が起こるのか
2.人口減少局面における社会選択
おわりに
坂本貴志さん
1985年生まれ。リクルートワークス研究所研究員・アナリスト。一橋大学国際公共政策大学院公共経済専攻修了。厚生労働省にて社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府で官庁エコノミストとして「経済財政白書」の執筆などを担当。その後三菱総合研究所エコノミストを経て、現職
【No1735】ほんとうの日本経済 データが示す「これから起こること」坂本貴志 講談社(2024/10)