【No1733】「指示通り」ができない人たち 榎本博明 日経BP(2024/03) | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

自分ができるからほかの人もできる。自分がわかるから相手もわかる。自分がしんどいから疲れているからきっと忖度してくれる……。ほぼ正解というよりも間違っていました。

この世の中には、いくら誠意や言葉を尽くしてもできない人や分からない人がいることを知ったことが勉強になりました。

まずは心底分かり合えないものだということです。寄り添うことができても、育ってきた環境やそもそも考え方が違っています。学んできた知識や蓄積されてきた経験も違います。いっしょに暮らしてきた家族でさえも、意見の相違や分かり合えないところがあるのです。

指示通りができない人について、多く具体例から職場によくある問題点を洗い出してその対処法が示されています。

この指示通りにできない人たちには、機会を設けて次の3点を鍛えるようにしていくことが有効だと主張されています。

 

211P 認知能力を鍛える

知的能力そのものを指す。仕事をする上では、認知能力の中で読解能力が重要となる。読解力は、文章を読むときだけでなく、人の話を聞く時にも重要な意味を持つ。読解力を向上させるには読書が効果的なのは、多くの研究により実証されている。

 

217P メタ認知力を鍛える

メタ認知能力とは、仕事、勉強、趣味やスポーツ、何かで力をつけて成長していく際に必須の能力である、振り返る力のことである。モチベーションが高くても、自分の仕事能力のどこに弱点があるかわからないと改善されないため、同じような失敗を繰り返したり伸び悩んだりせざるを得ない。常に自分を振り返る習慣があり、自分の弱点に気づき、そこを補強していく人は絶えず成長していくことができる。

 

223P 非認知能力を鍛える

非認知能力とは、自分をやる気にさせる力、忍耐強く物事に取り組む力、集中力、我慢する力、人の気持ちを共感する力、自分の感情をコントロールする力など、学力のような知的能力に直接含まれない能力のことである。

 

指示通りにできない人に寄り添い理解していく前提として、以下の5つが世の中に存在することを踏まえなければ理解することができません。

今後の職場やサークルなど人が集まる機会で対処する際、この疑似体験や知識が役に立つことになります。

 

10P

第一、人は誰でも理屈を理解すると思っている。論理的に物事を考えることをしない、単に理屈を理解できない人もいる。何か誤解をしているというより、論理能力が鍛えられていないため、言っている理屈が理解できないのだ。

 

第二、人は誰でも理屈で判断するものと思い込んでいる。気持ちで流されて判断する人もいる。気持ちが拒否していたら丁寧に説明しても理解してもらえない。

 

第三、頭脳に蓄積されている言葉や知識が違えば思考の仕方も違うので話は通じない言葉でものを考えるので、持っている言葉や知識が違えば話はなかなか通じない。

 

第四、過去の出来事や以前に経験したこと、話したことを覚えていない。人により記憶力に著しい違いがある。

 

第五、だれもが根拠があってものを言ったり行動しているわけではない。ただの思いつきでものを言ったり行動したりする人もいる。自分の内面の動機を振り返る心の習慣のない人にはごく自然なことである。

 

 <目次>

プロローグ 周囲にこんな人はいないだろうか?

第1章 認知能力の改善が必要な人(コミュニケーション・ギャップが酷い、取引先や顧客とのトラブルが目立つ ほか)

第2章 メタ認知能力の改善が必要な人(意欲ばかりが空回り、アドバイスを意地悪としか受け止めない ほか)

第3章 非認知能力の改善が必要な人(基礎能力はあるのだが、欲がない、思うような成果が出ないと落ち込み、やる気をなくす ほか)

第4章 能力改善の3つの柱(改善するにはどうするか?認知能力を鍛える ほか)

 

 

榎本博明さん

心理学博士。1955年東京生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。川村短期大学講師、カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在MP人間科学研究所代表