【No1734】没落官僚 国家公務員志願者がゼロになる日 中野雅至 中央公論新社(2024/07 | 朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

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かつて官僚として働いた経験がある著者が霞が関の官僚の変遷について記した一冊であった。国会対応や法案の作成など長時間勤務が続く霞が関の公務員は代表的なブラック職場と言われている。かつて東大卒のエリートが自らの政策で国を動かすのだという矜持があったが、今では彼らの人員が減ってきて質が下がってきているという。

官僚から官邸へ!安倍政権では官僚が政策を立案するのではなく官邸からいきなり方針が示されることが増え官僚のやる気の喪失につながってきたことが書かれてあった。また各省から出向する官邸官僚が虎の威を借り官僚に指示や働きかけをする者がいるという。

これまでの各省庁の事務力、交渉力、調整力など国家施策の実現にあたり実務を担う官僚の行く末の不安な将来を著者が危惧していた。

 

 <目次>

はじめに 霞が関崩壊のXデーに何が起きるか?

第1章 霞が関を焦土に変えた行政改革

第2章 危機対応できない警察国家

第3章 天下りが先細る先にある「政商」問題

第4章 内閣人事局と官邸官僚が霞が関を破壊した

第5章 政治家の下請けになったとぼやくエリート官僚

第6章 若手や女性の前途を阻む、哀しき「拘牢省」

終章 問われない、政治家の能力

注釈

参考文献

 

 

中野雅至さん

神戸学院大学現代社会学部教授。1964年奈良県大和郡山市生まれ。同志社大学文学部卒業、新潟大学大学院現代社会文化研究科(博士後期課程)修了。経済学博士。大和郡山市役所勤務ののち、旧労働省入省(国家公務員1種試験行政職)。2004年公募により兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授、その後教授。14年より現職