朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -25ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

 

言葉にものすごい含蓄がありました。

自分を振り立たせることができる本ならばずっと読んでいたいし、手元に置いてまた読みたい。

名言や格言、座右の銘となるような、日々の暮らしを豊かにするアイデアがいっぱい詰まっている一冊です。

今日からできるちょっとした工夫や前向きに気持ちよく生きるヒント、日々の大切にしたい心がけが書いてあります。

 

16 家の中でよく目にする場所に、自分の好きなものを飾りましょう。無意識の中で、目から取り込んでいる情報は膨大です。それをなるべくポジティブなものにしましょう。

 

29 物事は見方によって違って見えます。あなたから見えている状況が、本当に真実ですか。他の人から見たらどうですか?など、少し立ち位置を変えてみてください。きっと違うものが見えてくるでしょう。

 

55 その日に出会った知らない言葉やものを調べる癖をつけましょう。日々の知らないものへの探求心が、数年後のあなたを大きく成長させます。

 

69 幸せは、まわりからどう思われるかではなく、自分がどう思うかで決まります。重要なのは、あなたが幸せにどれだけ気づけているか、そして感謝できるかです。

 

97 がんばってもどうにもならないことは世の中にたくさんあります。それにエネルギーを費やしても何も変わりません。そんなときは一度あきらめて、流れにまかせることも、人生において大切なことの一つです。そうすれば自然と次の風景が見えてくるでしょう。

 

 

 <目次>

はじめに

しあわせのヒントPart1

暮らしのアイデア

考え方をシフトする

ていねいに生きる

人との関わり方に悩んだとき

自分をみがく

友だちに関すること

しあわせのヒントPart2

がんばっているあなたへ

 

 

【No1725】くまのプーさん 今日からはじめる毎日を豊かにする100のこと KODANSHA(2024/07)

20年前の過去にTVドラマ化された「ウバステ」に関わった女性5人が定期的に開いていた食事会が端緒だ。

それぞれが還暦を超えてその食事会は一人二人とだんだんと減っていく。

まだ他人事だと思っていた終活が身近になっていく。

抱える悩みは誰にでも起こりえることでありいろいろと不安になってくる。一生懸命生きてきて最期こんな風な感じだとやるせない。

老いと死。

思い出とともに昭和の名曲が流れてくる。

木綿のハンカチーフ、22才の別れ、ガンダーラ、夢一夜、まちぶせ。

それぞれどれもがなにか懐かしくてそれぞれの詩が哀しくて切なく小説にはまっていく。

イヤミスの女王・真梨幸子さん。ここの随所にトゲと毒が散りばめられていた。

 

 

 

 <目次>

Track01 木綿のハンカチーフ

Track02 22才の別れ

Track03 ガンダーラ

Track04 夢一夜

Track05 まちぶせ

Bonus track

Play back

 

 

真梨幸子さん

1964年宮崎県生まれ。多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤虫症』で第三十二回メフィスト賞を受賞しデビュー

「高級とは、客を錯覚させるための巧みな演出があるかどうかだ」

「サクラビア成城」「サンシティ銀座EAST」「エレガーノ西宮」「アンペレーナ百道」など、入居金が億を超え利用料が月50万を超えるような高級老人ホームが紹介されていた。

そこで働いている人は月給20数万ぐらいで入居金や利用料金に見合うようなサービスを求められても……。居住者からの要求は高いはずだ。介護職の給料は、他の高級ではない施設とほぼ変わらないように思われた。

 

至れり尽くせりのサービスがいかによくても、そこが最高の居場所になるかどうかは本人の気持ち次第であることが分かってよかったと思う。

 

健康に留意して生きていきたい。

できるだけ施設にお世話にならないようにしたいが、この日本の現状では可能なのかどうなのか!?

 

当たり前の暮らしと普通の人間関係は、施設の中にはないのかと。

249P おわりに

高級というレッテルほど、あてにならないものはない。

その高級という名のベールを取り去れば、中身は意外にもドロドロとした人間関係が繰り広げられているものだ。

(中略)

こうした高齢者に共通するのは資産を持っていることだ。そして試練を乗り越えてきた強さや、経験に富んだ教訓があることだ。取材で出会った高齢者たちは皆、これまでの知見をもとに第二の人生を謳歌しようとしていたのが印象的だった。

(中略)

本書では約1年をかけて、都内から福岡県まで多くの高級老人ホームの実態を取材してきた。どの施設も豪華なのは言うまでもない。ただ、もし今の私が高齢で「資金的な余裕があれば超高級老人ホームに即入居したいか」と問われれば、答えはノーだ。

年齢とともに身体の自由が限られてくるのであれば、高価な調度品に囲まれた暮らしや贅沢な食事、それに趣向を凝らしたサークル活動やビリヤード室も私には必要と感じない。

ごく普通の暮らしを送り、今まで通りの人間関係を保ちながら老後を過ごせればそれでいいというのが、私の率直な感想だ。

 

<目次>

はじめに 

第1章 選ばれた者だけの「終の棲家」、超高級老人ホーム(「高級って何が高級なんだよ」、超高級老人ホームの日本代表「サクラビア成城」 ほか)

第2章 「入居者カースト」でマウンティングし合う高齢者たち(相模湾から臨むは天下、「中銀ライフケア熱海第三伊豆山」、賃貸型ではなく分譲型のシルバーマンション ほか)

第3章 「死に場所」さえステータス化する富裕層の執着(終焉までのカウントダウンが始まる「聖路加レジデンス」、薄給社員の悲憤 ほか)

第4章 老人は二度死ぬ。悪徳施設への潜入取材(現役スタッフからの告発、潜入するは我にあり ほか)

第5章 桃源郷は夢のまた夢。「世俗」に還る人々(「アンペレーナ百道」で業務を体験、働きながら入居権をキープ ほか)

おわりに

 

 

甚野博則さん

1973年生まれ。大学卒業後、大手電機メーカーや出版社などを経て2006年から『週刊文春』記者に。2017年の「『甘利明大臣事務所に賄賂1200万円を渡した』実名告発」などの記事で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」のスクープ賞を2度受賞。現在はフリーランスのノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌などで社会ニュースやルポルタージュなどの記事を執筆

室井滋さんは、年齢を重なるごとに画面に写る存在感・凄みのようなものが増してきている女優さんだと思っています。

この本からは、特にご出身の富山をとても愛していることが伝ってきました。地元で文学の聖地・富山県立高志の国文学館の館長をされています。

 

公道を歩けばエピソードに当たるくらいに豊富な話題があふれ出てきました。彼女との出来事がすべてエッセイのネタになってしまうところが最強でした。

 

北陸新幹線のなかで毛を剃ってる人とかキャミソールだけではだけて寝てる人!?

また、富山の“吉永小百合”鍋田恭子アナウンサーや朝乃山、立川志の輔、野際陽子さんとの出来事、富山の実家でのおはなしや富山女性が寝不足世界一等々のいろいろな面白いネタや楽しい話題がここには満載でした、

すぐに読み終わるのがとても惜しかったです。

次作を読めるのを楽しみにしています。

 

202P フケタカナリスト

脇と脛に無駄毛が生えてこなくなった、流行歌を覚える気がしなくなった。気が付くと昔話をしている、背中に手が届かない。ボタン完敗、ファスナー微妙、発酵物に異常なこだわりを持つ。

 

 <目次>

はじめに

第1章 一生モノ、持ってますか?(嘆きのおパンツ様、刺激的な夜のタクシー ほか)

第2章 女優じゃあダメですか?(あのオーディションをもう一度、夏のビール祭り ほか)

第3章 オバサンスイッチON(ひょっとして君、最後の1本?私のとっておきの入眠方法 ほか)

第4章 出会いも別れも幾歳月(懐かしのあの電車、“父のお弁当”の味 ほか)

おわりに 

 

 

室井滋さん

富山県生まれ。女優。早稲田大学在学中に1981年『風の歌を聴け』でデビュー。映画『居酒屋ゆうれい』『のど自慢』などで多くの映画賞を受賞。2012年日本喜劇人大賞特別賞、15年松尾芸能賞テレビ部門優秀賞を受賞。2023年4月より富山県立高志の国文学館館長に就任

文豪自身の人生や当時の時代背景など伝記的な歴史的な視点から文学作品を深く知るための本だ。

文字や文章を通じて文豪たちの作品と人生を知った。

彼らの作品に触れて彼らが生まれた時代を知ることとなった。

面白く楽しくてこころが少しドキドキした。

 

本書は、明治期から昭和期にいたる<文豪>と称される文人たちの生涯と代表作を紹介し、「人に語れるような本」という観点から、心に残る各文人の逸話と文章を展開する際に一つの軸にした。本書を通して<文豪>と呼ばれる人たちを身近に感じていただければ幸いである。

 

著名な文豪たちばかりで圧巻!

明治前期から明治中期は、坪内逍遥 二葉亭四迷 尾崎紅葉 幸田露伴 泉鏡花 樋口一葉 島崎藤村 田山花袋 国木田独歩 徳田秋聲 森鷗外 夏目漱石 小泉八雲。 

明治後期から大正前期は、永井荷風 谷崎潤一郎 武者小路実篤 有島武郎 志賀直哉。

大正後期から昭和前期は、芥川龍之介 小林多喜二 川端康成 中島敦 宮沢賢治 江戸川乱歩。

戦後の文豪としては、太宰治 三島由紀夫 吉川英治 坂口安吾 大岡昇平。

 

例えば、あの小説は実体験だったのかと問い合わせることができた。

文豪約40人のエピソード等がイラストといっしょに紹介されていた。

これらの文豪のなかで興味を持つ人が見つかれば、彼が書いたその作品一冊ずつ読んでいけばよい。

各種の事例から憂き世を渡っていくための、ある智慧が身につくだろう。

 

 <目次>

はじめに 日本の文豪と近代文学の流れ

巻頭特集 文豪たちの東京1 文明開化の音がする!?文豪たちがめざした明治の東京

巻頭特集 文豪たちの東京2 大正浪漫の嵐吹く―激動の時代へと突き進む大正と昭和前期の東京

巻頭特集 文豪たちの東京3 焼け野原からの復興―アメリカ占領下で変革が進む戦後間もない東京

第1章 明治前期から明治中期の文豪 坪内逍遥、二葉亭四迷、尾崎紅葉 ほか

第2章 明治後期から大正前期の文豪 永井荷風、谷崎潤一郎、武者小路実篤 ほか

第3章 大正後期から昭和前期の文豪 芥川龍之介、菊池寛、小林多喜二 ほか

第4章 戦後の文豪 太宰治、坂口安吾、三島由紀夫 ほか

訪ねてみたい全国文学館MAP

さくいん

参考文献

 

志村有弘さん

1941年、北海道生まれ。立教大学大学院修了。相模女子大学名誉教授。伝承文学・古典と近代文学の比較研究を専攻

 

【No1720】語れるようになる日本の文学 文豪はその人自身を知れば知るほど作品を読みたくなる!志村有弘 成美堂出版(2024/10)

 

平安時代に活躍した僧侶の源信が書いた極楽へ行くための手引書『往生要集』の中に記された等活地獄、黒縄地獄、衆合地獄、叫喚地獄、焦熱地獄、阿鼻地獄など八つの地獄と、罪問間樹、死出の山、奪衣婆、三途の川。閻魔大王などの冥界の十王の裁きなどの死出の旅路の道行、すべての生き物は生まれ変わり死後に次の世へ転生するという、地獄道、餓鬼道、畜生道の三悪道と修羅道、人道、天道(有頂天がある)の三善道の六道輪廻の内容を解説していた。

 

例えば、冤罪事件での真犯人について思うこと。

この世で判明せずうまく誤魔化せても、後生ではそうならない。

現世でたとえ法律的には悪くならなくても、閻魔大王はちゃんとお見通し。

あの世にある地獄できちんと罰を受けるんだということがわかった。

自分はこの世では世のため人のために真っ当に生きていくんだという戒めや心意気が必要だと思う。

 

 <目次>

冥界のキャラクター図鑑

閻魔大王、冥界の十王、亡者と獄卒、地獄に住む者たち、(番外編)餓鬼

第1章 往生要集に綴られた八大地獄

第2章 死出の旅路と六道輪廻

第3章 神話・説話・絵図に見る日本の地獄模様

第4章 地獄から脱した仏の世界 極楽浄土

第5章 地獄と並び恐れられた妖怪・幽霊・怨霊

あとがき

索引

 

【No1720】地獄の解剖図鑑 地獄と極楽を一冊で巡る旅 大角 修 エクスナレッジ(2024/09)

 

「60代以上の人生を楽しく充実させて生きよう」という考えのもと、統計データなどを用いてシニア生活をサポートしていこうという内容だった。

人生100年時代のうち60歳以上の人生については、損得がありなしにもかかわらず、趣味、旅行、お金の観点などから行動経済学でもって色々と前のめりで提案しアドバイスをしていた本だった。

 

ピークエンドの法則とピア効果の発想が面白い。趣味や社会活動、お仕事などで、これらを活用して行動することとしたい。

 

43P「ピークエンドの法則」

出来事を成功に導くためにはピークとエンドに力を入れることが良いということがわかる。行動経済学に出来事のピークとエンドの時の印象でその成否の評価が決まるという考え方がある。物事の結果が自分にとって成功だと思われる条件の一つ。物事を行っている最中に大きな喜びを得られる。最後に心に印象として残る感動を得られる。このようにピークとエンドが盛り上がることを指す。

43P 仲間やライバルを持とう「ピア効果」

仲間やライバルがいなければ張り合いもなく、やる気もなくなる。目標達成に協力しあいながら、またほかの人に負けないように頑張ってきたはずだ。

ボランティア活動、社会活動、企業など、自分と同じ関心を持つ人たちといっしょにいると自分も頑張れるようになるというものである。

「集団に属する人たちがお互いに切磋琢磨しあい、その人たちのより一層レベルアップにつながる」「仲間などを持つことにより相互に影響を受け、お互いにより高い意識を持てるようになる」

 

 <目次>

はじめに 

序章

第一章 新発想

第二章 意識

第三章 活動

第四章 旅行

第五章 お金

第六章 生活

第七章 不便化の苦境

第八章 役割

エピローグ

付録 統計調査資料出所

参考文献

 

【No1719】シニアライフのこれからを拓く 実年齢60歳が社会的年齢40歳の時代を生きる 水野勝之 土居拓務 五絃舎(2024/08)

老年期での収入のウエイトでは公的年金がとても大きいと思います。

年金のことはよく知らないし分からないという声があります。

社会保険・公的年金についての不安やわからないことがあれば社会保険労務士に訊ねるのが一番良いと思います。

またお近くにある年金事務所もアポイントを取って行けば丁寧に教えてくれます。

さらに1階建てと呼ばれる基本の国民年金や2階建ての厚生年金、3階建ての確定拠出型年金などの年金に興味がある方、詳細を知りたい方、手っ取り早く理解するために年金の申請受け取り方を含め年金の基本や仕組みがわかる本を手に取って読まれたらと思います。豊富な図解による各種いろはの説明があったのでわかりやすかったです。

 

はじめの部分には、このような内容が書かれてありました。

公的年金は、終身年金なので亡くなるまでずっと支給される。公的年金は社会全体で支える賦課方式。働いている世代・現役世代が支払った保険料を高齢者など働いていない世代の年金給付に充てている世代間扶養のような形となっている。この保険料だけで年金給付はされていない。国庫負担もあり、一定の積立金を保有しその運用収入を活用している

 

虎の子の退職金と公的年金や私的年金をいただき、その上に現役ほどではない働き方のスモールビジネスで稼いで、健康に留意しながら面白く楽しく生きていきたいとぼくは考えています。

 

 

 

 <目次>

トピックがわかる!

財政検証の実態

財政検証がわかる!

この本を読む方へ

第1章 年金と財政検証 私たちの年金はどうなる?

第2章 公的年金の基本 国民年金と厚生年金について

第3章 知って得する保険料免除制度

第4章 老齢基礎年金・老齢厚生年金

第5章 老後の生活の要となる老齢年金

第6章 年金の離婚分割とは

第7章 障害年金の貰い方

第8章 遺族年金の貰い方

第9章 公的年金以外の備え これからの資産形成方法

巻末資料

索引

 

 

貫場恵子さん

ぬきば労務コンサルティング株式会社代表取締役。ぬきば社労士事務所代表。社会保険労務士。キャリアコンサルタント。三田市商工会理事。帝塚山大学法学部講師。資格の学校TAC社労士講座講師。企業の労務管理のコンサルティング、社員研修を数多く手掛ける

 

 

【No1718】最新公的年金の基本と仕組みがよ〜くわかる本 受け取りも手続きもこれ1冊で安心!(図解入門ビジネス)貫場恵子 秀和システム(2024/10)

京都の道を辿ること、それは歴史をひもとくのに似ている。

 

195P 本書は、私が京都に暮らす中で、感じ、経験した京都の街の魅力を、ありのままに書き綴ったものである。私なりの解釈が入っている部分もあるので、同じようには感じられない方もあるかもしれない。でも、それも京都の街歩きの楽しさの一つ。本書をかばんの中にぽいっと入れて、京都の街を散歩してくださる方が増えるといいなぁと思う。

 

62P 新 今出川通

ヨーロッパで長い間生活をして感じたことのひとつに、日本人ほど他国の文化に寛容な国民はいないのではないかということである。

(中略)

ラーメンやカレーだって、もともとは外国から来たものだけれど、今では立派な日本食。他者と共存し、認め合いながら生きていくという、先人たちから自然と受け継がれてきた日本人のDNAはすごいと改めて思う。

伝統と革新は表裏一体。京都という街は、保守的なように見えて、常に新しいものに向き合い、それを取り入れることに貪欲に挑戦してきた。守るだけでは残らない。それが、京都に今も伝統が生き続ける理由であり、またパン屋さんが多い理由でもあるのだろう。

京都のパン屋通りを歩いていると、京都の歴史がまた違って見えてくる。

 

京都は、千本通、北大路通、寺町通、四条通、河原町通など、たしかに「道」からものがたりが成り立っている。

京都は修学旅行で訪れた街であり多感な学生時代に過ごした第二の故郷。嵐山、太秦映画村、北野天満宮、御所、二条城、清水寺、八坂神社等々有名な観光地は足を踏み入れたこともあり、東西南北の地理感がある。

彬子女王殿下が暮らしを通じて見聞きされたこと、感じたことを京都の通りや名所に絡めて綴られたエッセイ集。住んでいたときには感じられなかった、よく知らなかった多くの道とそれにかかわる歴史・文化が彼女の素直な感性を伝えていた。親しい友人に語りかけるようなやわらかくあたたかく文のなかには洗練された知的な魅力が満ち溢れていた。彼女にとても好感がもてた。全般的に懐かしくてこころに染み入った。

ぼくは散歩好き。歩きながら景色を楽しみ四季を肌で感じるのだ。

また数十年ぶりに京都に訪れたくなった。

彬子女王殿下の本を片手に京都の道を感じ取りたい。

 

 <目次>

はじめに 

京都市街中心部の地図

京都市郊外の地図(愛宕、高雄、清滝、嵐山・嵯峨野)

始 起点の道(きてんのみち)

常 寺町通(てらまちどおり)

薫 哲学の道(てつがくのみち)

混 六角通(ろっかくどおり)

夏 新町通(しんまちどおり)

盆 お地蔵さまの道(おじぞうさまのみち)

護 下立売通(しもだちうりどおり)

新 今出川通(いまでがわどおり)

紅 周山街道(しゅうざんかいどう)

灯 四条通(しじょうどおり)

飛 河原町通(かわらまちどおり)

雪 丸太町通(まるたまちどおり)

別 高辻通(たかつじどおり)

洛 北大路通(きたおおじどおり)

在 御池通(おいけどおり)

薬 二条通(にじょうどおり)

山 愛宕神社の参道(あたごじんじゃのさんどう)

迎 松原通(まつばらどおり)

仏 正面通(しょうめんどおり)

橋 三条通(さんじょうどおり)

彩 堀川通(ほりかわどおり)

市 錦小路通(にしきこうじどおり)

街 千本通(せんぼんどおり)

鬼 白川通(しらかわどおり)

警 下鴨本通(しもがもほんどおり)

蛸 蛸薬師通(たこやくしどおり)

英 マートン・ストリート

おわりに

新装版おわりに

 

彬子女王殿下

1981年、寛仁親王殿下の第一女子として生まれる。学習院大学を卒業後、オックスフォード大学で在外の日本美術コレクションの調査・研究にあたり、女性皇族として初めて博士号を取得した。京都産業大学日本文化研究所特別教授、國學院大學特別招聘教授などを兼任。2012年、子どもたちに日本文化を伝える団体「心游舎」を創設し、全国で活動している。

 

レビー小体型認知症からくる幻覚や幻聴への戸惑い。

先般、村井理子さんが記された『全員悪人』を読んだことを思い出した。それは実体験を踏まえて書かれたのかと合点がいった。

 

仕事や子育てをしながらも義父母の介護に奔走する村井さん。病院の送迎からケアマネとの介護計画、夫や自分と全く話が噛み合わない義父母たち。

これはまったく他人事ではなく自分事として共感したり、先々の参考となる事例だと考えながら読ませてもらった。細々と記録し伝えてくれることに感謝したい。

 

例えば、認知症や脳梗塞を発症した後期高齢者の親を介護している家族はこの国にはたくさんおられると思う。彼らにエールを送る意味でも村井さんの体験談は元気を与えてくれるものだ。

また、今後将来介護をしなければならならない人たちへの心がけになるものとして十分役立つ内容だったと思う。

 

252P

それでも私が介護を続ける理由は、自分のなかではとても明確だ。私はすべてを見届けたいと考えている。義理の両親に対する愛情から湧き出る気持ちというよりは、誰かの人生を最後までしっかりと見届けた先にあるものが何かを確かめたい、という使命感と好奇心が入り交じった勘定だ。介護に対するモチベーションは人それぞれであっていいはずだから、そこに創作意欲が絡んでいたとしても、どうか見逃してほしい。

(中略)

五十代夫婦による、後期高齢者介護の現実。私たちのようにもがいている人は、全国に大勢いるはずだ。

私の義理の両親の介護に向かわせるエネルギーはすべて、このように全てを記すことから生み出されている。この作業を続けられなくなったときは、私の介護への意欲が失われる時だ。そうならないように、この先もしっかりと二人の行く末を見守り、書き記していきたいと考えている。

 

 

 <目次>

プロローグ それは瓶ビールから始まった

第1章 異変(2016~19年)(悪い予感、税込みと税抜き、どちらになさいますか? ほか)

第2章 遊びじゃねえんだよ―介護は体力勝負!(2020~21年)(義父、ふたたび倒れる、大混乱―義母の運転免許返納 ほか)

第3章 ドタバタ介護奮闘記(2022年)(二人の人生なんだから、少しずつ、でも確実に変わりゆく日々 ほか)

第4章 もう無理かもしれない(2023年)(私って意地悪かな、本当の親子と義理の両親 ほか)

エピローグ 介護の覚悟

 

村井理子さん

翻訳家、エッセイスト。1970年、静岡県生まれ。滋賀県の琵琶湖畔に夫と双子の息子と暮らす。著書に、村井さんちの生活、兄の終い、全員悪人、家族などがある。