
ヒストリー・オブ・モーリーのところは、モーリー・ロバートソンさんのファミリーヒストリーがあったり、どのように考えてこれまで生きてきたかわかるような自叙伝的な内容でした。
普通で当たり前ではない数々のヤバい経験を踏まえているのが伝わってきました。
言葉でよりも筆力のほうが勝っていました。
まえがきを読んでいると映画が始まる前のように気持ちがワクワクしてきます。
なにか面白いことに出会えるような感じ。
デマに対する行動のいましめです。
例えば、関東大震災後の朝鮮人虐殺事件が起こった理由とか、アメリカのQアノン(陰謀論と政治活動)など。
50P 百年前の歴史から学ぶ 陰謀論
あなたがそんな陰謀論ランドの住民にならないためには、リサーチをする検索ワードをもっと知って、ボキャブラリーを増やしていくことがリスク分散になります。ネット上のアルゴリズムに惑わされないように心がけることも大事です。
陰謀論や変な話に引っかからないためには、とにかく歴史を知って勉強することしかないのです。この百年ぐらいの世界の歴史を学ぶことは生きていく上でかなり有効な手段です。
人口は減るばかりです。少子高齢社会における将来の担い手確保のために、移民政策をどうすべきか考えないといけない時期に来ています!
87P 円安で日本人が出稼ぎにいく時代に
そもそも外国人労働者から見て、現在の日本は本当に魅力的なのか?
文化レベルの高さや清潔さ、治安の良さ、インフラの便利さ、快適さはプラス材料ですが、同時にマイナス要素も多いのです。
通貨が弱い。その分、旅行者として訪れるにはコスパが高く、お得感ずくめではあります。日本で給料をもらうとなると国際的目減りするうえ、現在はインフレが進行中。日本は就労先として優先順位を下げています。加えて日本では英語があまり通じません。
日本の経済水準を維持するためには、正式に健全な移民制度を定めるしかないと多くの識者も指摘しています。それなのに政治はひたすら移民への恐怖や嫌悪感に配慮して逃げ回っているように見えます。真正面から個別にメリット・デメリットを国民に啓発する時が来ているのにです。
「自己責任」という言葉が独り歩きしている。
その人の成功には、すでにある「環境」の要因があって勝っていたのではないのか。
107P 他人の言葉を借りずに自分の言葉を見つけられる
堀江氏、ひろゆき氏、成田氏の主張には共通した流れがあります。それは資本主義による淘汰、踏み絵の「弱肉強食」、別の言い方をすれば「優れた人の礼賛」です。よほどの才能がなければ下剋上はかないません。
全体的に澱んでいて、低め安定でぬるま湯につかっているのがこの日本社会です。バカ正直に努力することを拒み、日本式のわかりにくい細かいルールやマナーに一切配慮せず、倫理観をせせら笑って、誰とでも喧嘩することを恐れない成功者たちの姿は若者たちに爽快感をもたらしているのです。
<目次>
まえがき
第1章 激化する世界情勢
ヒストリー・オブ・モーリー1 「教育」が私を変えた~東京大学とハーバード大学
第2章 衰退が進む日本社会
ヒストリー・オブ・モーリー2 「音楽」が私を変えた~ジョン・ケージとブライアン・イーノ
第3章 どうすれば「国家」を変えられるか?
ヒストリー・オブ・モーリー3 「両親」が私を変えた~研究医の父とジャーナリストの母
第4章 どうすれば「自分」を変えられるか?
あとがき
ロバートソン・モーリーさん
1963年生まれ。国際ジャーナリスト、ミュージシャン、コメンテイター、DJといった多岐にわたる分野で活躍。日米双方の教育を受け、1981年に東京大学とハーバード大学に同時合格する。日本語で受験したアメリカ人としてはおそらく初めての合格者。東大、ハーバード大学に加え、MIT、スタンフォード大学、UCバークレー、プリンストン大学、エール大学にも同時合格。東京大学を1学期で退学し、ハーバード大学に入学。電子音楽とアニメーションを専攻。アナログ・シンセサイザーの世界的な権威に師事。1988年にハーバード大学を卒業。2021年に富山県氷見市政策参与任命。2024年に広島大学特別招聘教授授与
【No1755】日本、ヤバい。「いいね」と「コスパ」を捨てる新しい生き方のススメ モーリー・ロバートソン 文藝春秋(2024/10)