朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~ -23ページ目

朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。

「負け犬の遠吠え」で有名な酒井順子さんが取り上げた今回のテーマ「老い」。

現代をえぐるような鋭い目の付け所が面白くてリスペクトします。

彼女は、老いについて書かれた本を「老い本」と呼んでいます。

「楢山節考 深沢七郎」から「61歳大学教授をやめて、北海道で、へき地のお医者さんはじめました 香山リカ」まで、時代別にこれまで発刊されてきた老い本を丁寧に拾い上げて紹介していました。そのなかにはぼくが手に取って読んだ本もあります。それらの内容と著者について丹念に調べてまとめ上げていましたから、老いに関するこれまでの動作環境を調査した本としては秀逸のレベルだったと思います。

 

 

先人や先輩たちの足跡をたどることでだいたい将来の姿が予想できますし、だんだんと心の準備ができていくものだと思います。

9P 老い本、および老い本の著者達を検証することによって、日本の高齢者、および高齢化の今と今後が見えてくるのではないか。……と思っている私も、高齢者の範疇に入るまであと十年を切っている。そう遠くないうちにやってくる高齢者としての日々に備えるためにも、老い本の世界を探っていきたい。

 

 

死は決して避けることができません。

少子高齢社会の状況下、よりよく死ぬためによりよく生きていこうと思えば。

224P 

老い本はすでに書き尽くされたのはないか。という話もあろう。しかし老い本は、これからますます、盛んに供給され続けるに違いない。日本人の寿命はまだ延びるだろうし、高齢化率も上がり切っていない。時代が進むにつれて次々と新たな老いスターが誕生し、日本はますます老い本大国になっていくはずだ。

老い本に導かれ、励まされ、また尻を叩かれながら人生の着地点を目指す、日本の高齢者。日本の高齢者が老いに対する不安を強めれば強めるほど、老い本業界は盛んになっていく。老い本の量が示すのは、日本の高齢者が抱く「よりよく生きたい」という希望の量。高齢者とその予備軍の方々にとって、本書が老い本選びの一助となれば幸いです。

 

 

 

 <目次>

はじめに “老い本”大国ニッポン

第1章 老いの名作は老いない(迷惑をかけたくない―『楢山節考』、いつか、自分も―

『恍惚の人』、マンガが見つめる孤独―『いじわるばあさん』古典の老いと理想―『竹取物語』『枕草子』『徒然草』『方丈記』)

第2章 老いをどう生きるか(百歳の人間宣言、定年クライシス、六十代―老人会のフレッシュマン、「乙女老女」は未来志向)

第3章 老いのライフスタイル(一人暮らし、おしゃれの伝承、おばあさんと料理、田舎への移住)

第4章 老いの重大問題(金は足りるのか、配偶者に先立たれる、「死」との向き合い方、老人と性)

おわりに 老い本は不安と希望のしるし ぴんころ地蔵と姥捨山を訪ねて

老い本年表

 

 

酒井順子さん

1966年、東京都生まれ。高校在学中から雑誌にコラムを連載する。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆に専念。2003年に発表した『負け犬の遠吠え』がベストセラーとなり、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞

 

落語や講談、歌舞伎などは、古い時代の物語を演じているのかもしれない。けれども今でもちゃんと残っていて、その流れに普遍性がありこころに通ずるものがある。

江戸時代も現代もやるべきことはやっている。

粋はまさに生である。人間の本質は変わらない。

蔦屋重三郎の生きざまには「張り」があった。

蔦重がこの世に生きていたとしたならば、平凡な毎日は全く歯牙にもかけないだろう。

周りに迎合することなく言うべきことや言いたいことを世の中で伝え発信してきた。

彼がとった行動からは学ぶべきことが多い。蔦屋重三郎に学ぶ現代の処世術。

現代においても個々人がその役割の一端を担う機会があるのではないかと思われる。

 

21P 時代の風雲児

蔦屋重三郎が世に出したのは、黄表紙に洒落本、滑稽噺本、正本(歌舞伎や浄瑠璃の詞章の本)、美人画、役者絵、相撲絵……いずれも「粋」「通」「洒落」「笑い」「張り」といった江戸の大衆文化、サブカルだ。

江戸っ子カルチャーの最盛期に最先端を走った男。それが蔦屋重三郎であった。

 

123P 張りを通した重三郎の人生

蔦屋重三郎を語るうえで「粋」「張り」「男気」は必須項目だが、人生を通して蔦重を作っていたのは「張り」ではないか。

信念を貫くという「張り」があったから、「男気」や「伊達」を発揮せねばならず、その結果として「粋」が出る。重三郎の結果は、出版物でありプロデュースしたクリエイターたちで、そのクリエイターが産み出した作品だ。彼の人生はこれらを通して騙られ、多くの作品に「耕書堂」「蔦屋重三郎」の名が作者とともに記されている。

「粋だ」、「通だ」だけでは、腹は膨れない。

 

262P

江戸落語における、粋な会話も、男女のもだもだも、笑いの法則も、みんなこの時代のクリエイターたちが記し、演じ、描いたものだ。これらの出所はいつしか忘れさられても、理想や面白さの概念だけが人々の心に未だ記憶の欠片を残している。

そんな「いいねェ」と感じる思いは時と共に醸成され、伝統芸能だけでなく、ドラマや漫画、小説といった大衆文化・サブカルチャーとして、今も脈々と伝えられてきた。恰好良さも萌のポイントも、笑いのツボも、間もオチも、どうだィ、江戸時代のまんまじゃないか。

 

 <目次>

はじめに 

1章 江戸っ子とは

2章 粋の作法

3章 野暮の作法

4章 意地と張りの作法

5章 洒落の作法

6章 伊達の作法

7章 穿ちの作法

8章 笑いの作法

おわりに

 

 

櫻庭由紀子さん

執筆、創作を行う文筆家・戯作者。伝統芸能、歴史(江戸・幕末明治)、日本文化の記事執筆の他、ドキュメンタリーライター、インタビューライターとして活動

 

【No1770】蔦屋重三郎と粋な男たち!時代を生き抜く成功作法 櫻庭由紀子 内外出版社(2024/12)

江戸時代の人々の暮らしや文化、食べ物、浮世絵などを知っておきたい。

江戸で耕書堂という書店を営んで歌麿や写楽の浮世絵のプロデュースを行った、NHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公、蔦屋重三郎も取り上げられています。もちろん、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重などの六大浮世絵師の紹介もあります。

コミカルなキャラ絵を使って江戸時代のさまざまな文化や風俗、人々の暮らしぶり、当時世界最大の都市の江戸の成り立ちなどをわかりやすく解説しています。

子どもたちだけでなく、大人もいっしょになって見て読んで楽しめる歴史本です。

 

 

 <目次>

はじめに「江戸の暮らしと文化」って、スゴイんだよ!

旧国名

第1章 江戸と江戸文化の基礎知識(江戸時代ってどんな時代?5つに分かれる江戸文化 ほか)

第2章 江戸城と武士たちの暮らし(城郭都市・江戸、これが江戸城だ!江戸城拝見 ほか)

第3章 江戸庶民の暮らし(江戸を支えた農民と町人、農民たちの暮らし ほか)

第4章 庶民が生んだ江戸の文化・化政文化(元禄文化vs化政(文化・文政)文化、江戸の文化の大先輩 上方文化拝見 その一 人形浄瑠璃 ほか)

第5章 江戸文化の大輪の花・浮世絵と蔦屋重三郎(町人文化の中で開花 浮世絵、世界を魅了した風景画からエッチなものまで 浮世絵はバラエティ豊か! ほか)

 

 

伊藤賀一さん

法政大学文学部卒業後、43歳で早稲田大学教育学部を再受験し卒業。東進ハイスクール等を経て、現在はオンライン予備校「スタディサプリ」で日本史ほか9科目を担当する「日本一生徒数の多い社会科講師」

 

いとうみつるさん

ほのぼのとした雰囲気のなか、“ゆるくコミカル”な感覚のキャラクターが人気のイラストレーター

 

千羽ひとみさん

フリーランスのエディター兼ライター。雑誌・単行本を中心に執筆

 

政治とは何か?政治家って何をしているのか?内閣や政党とは?などなど、そもそも論的な基本であり、あえてなかなか人には聞けない内容が書かれてありました。

現代を生きる大人として押さえておきたい政治に関する言葉です。

8コマ漫画で分かりやすい説明があったので、改めて学ぶことができ勉強になりました。

 

12P そもそも政治って何?どういうことを決めるの? 政治=人々の利害の調整

 

社会には大勢の人が住んでおり、それぞれ望むことが違っています。人々の希望を実現したり、対立を調整したり、ルールをつくったりして、社会を成立させる働きを「政治」といいます。

ですから、国の政治だけではなく、学校で生徒たちがクラスのルールを決めるような行為も、立派な「政治」なのです。

学校や企業、町内会など、人間のいろいろな集団で「政治」は行われます。しかし、一般的には国や地方公共団体(都道府県や市区町村)が行うものを「政治」ということが多いです。

政治は、外交や防衛のような国レベルの決め事だけでなく、私たちの身近な生活にも深く関わっています。

政治はどこか遠くの世界の話ではなく、むしろ一般市民こそ政治に関心をもつべきなのだということをわかってもらえたでしょうか。

 

今回のまとめ―私たちの生活は政治で決まる。

 

 

 <目次>

はじめに 日本の政治を担うのは誰?それは、あなたです!

第1章 政治のキホン(異世界で「日本の政治」を考える!どんな人が政治をするの? ほか)

第2章 選挙や法律のキホン(選挙のしくみはどうなってる?政治家になるには? ほか)

第3章 内閣や政党のキホン(内閣ってなあに?三権分立ってなあに? ほか)

第4章 憲法や社会保障などのキホン(日本国憲法ってどんなもの?基本的人権ってなあに? ほか)

第5章 地方政治のキホン(地方自治は国の政治とは違う?地方の政治は何ができる? ほか)

 

 

【No1768】ざっくりわかる8コマ日本の政治 中野晃一 まんがうかうか 朝日新聞出版(2024/11)

キャリア官僚の実態を伝えてくれる文献にはあまり遭遇したことがない。

日本の未来を想う本音の話だった。

官僚の組織や文化を森永さん自身の経験を踏まえてユーモラスに説明していた。

闘病生活中でも自暴自棄にならず、日本の将来を憂い森永さんを突き動かしてきた精神力に頭が下がる。

覚悟を持った人の言葉はとても刺激があり過激だとも思った。

 

結婚している夫婦だからこそ、そこに子どもが生まれてくる。

女性や男性の生涯未婚率が上昇している原因を見つけられるのであれば、少しでも一つでもその問題を解消できる方向で行動をしていけばよい。結婚を踏みとどまっている原因が収入だと気づいたなら、例えば最低賃金を大幅に引き上げるなど、所得の格差を生む原因を排除して収入を上げばよい。

106P 少子化の本当の原因は何か?

少子化の原因は、合計特殊出生率(15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの)の低下だ。

晩婚化が原因という考えは間違っていることが明らかになった。

なぜ少子化が進んでいるのか。

女性の生涯未婚率(50歳未婚率)が1985年の4.3%から2020年には16.4%へと劇的に上昇したのだ。男性は、1985年の3.9%から2020年には25.7%に上がっている。つまり、今起きている少子化の主因は「結婚しない」ことなのだ。

107P 「しない」ではなく、「できない」

「結婚しない」という表現は正確ではない。正しくは「結婚できない」のだ。

年収が下がると結婚している人の割合が絶望的に下がるのだ。

真の少子化対策は簡単に導き出せる。格差を是正することだ。

具体的な対策としては、最低賃金を大幅に引き上げるとか、同一労働賃金を厳格に適用する、あるいは逆進性の強い(低所得者ほど負担が大きい)消費税を減税する、国民全員に毎月一定金額を給付するベーシックインカムを給付するなど、所得格差を縮める手段は無数にある。

 

普通で当たり前の考えとして、本来お金を掛けるべき安全対策に精力を傾注しないので、電力企業などが儲かる仕組みにつながっているならばいただけない。

137P なぜ、原発再稼働なのか

原、電力コストの低減といわれている。

しかし、原発の発電コストには、原発事故の処理費用と放射性廃棄物の最終処分にかかる費用が算入されていない。

最終処分場の立地は、地盤が安定していることが絶対条件になるのだが、地学の専門家らは日本に適地は存在しないとする声明を公表している。つまり、地層処分はそもそも日本では不可能なのだ。

 

考えているだけでは腹は膨れない。食料は生きていくために必要不可欠だ。スタンスとしては、安全な食料確保は農家を軽んじる上から目線ではなく補助金を出してもよいから、正に一丁目一番地の基礎的な政策になるはずだろう。しかしそうならないのは、不思議でたまらないのだが。

146P 軽視される食料安全保障

「農水省の官僚は、農業をしたことがないのか」

いまの日本は、肥料も飼料もタネまでを海外に頼っている。有事の際にはそうしたものも入ってこなくなるから、有事の際の食料自給率は1割を切ってしまうだろう。

私は、「有事になったら食料を生産する」という考え方そもそも間違っているのだと思う。

食料安全保障のためには。普段から国民が食べるのに十分な量を作っておくべきなのだ。

あまった食材は、輸出するか家畜に与える。欧米の食料安全保障策なのだ。輸出したり、家畜のエサにしたり、パンの原材料として使うことを前提に、ふだんの消費量を超えるコメを作り続ければよいのだ。

いまの官僚たちが打ち出している食料安全保障は、日常は農家を軽んじておいて、いざとなったら農産物を強制徴収して、それを都会にばらまくという都会目線、上から目線の政策だ。もっと生産者の立場に立たないと、食料自給率は上がらないだろう。

 

 

 <目次>

まえがき 知られざる官僚の実態

第1章 私が観察した官僚の生態

第2章 凋落し始めた官僚―私が観察した官僚の生態(2)

第3章 官僚の生態系に何が起きているのか?

第4章 官僚たちの生存戦略

第5章 なぜ官僚の政策は失敗するのか?

第6章 “官僚生態学”から7つの処方箋

あとがき 

 

森永卓郎さん

1957年、東京都生まれ。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。1980年、東京大学経済学部を卒業後、日本専売公社(現・JT)に入社


追記

1月28日に森永さんがお亡くなりになられたと報道で知りました。もっとお話を聞きたかったです。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

 

【No1767】官僚生態図鑑 ズレまくるスーパーエリートへの処方箋 森永卓郎 三五館シンシャ(2024/12)

9P

生きていることそのものを楽しむような瞬間を取り戻す。時間の僕になるのではなく、主になる。流されるままの人生から、自分で方向を決める人生にする。これが本書の目的です。

比較してみると、子どものころの時の進み方は遅かったものと気づいた。

お金と違って、時は人に等しく与えられているものだ。

時は同じく進んでいくのに、そうなのに関わらず早く進んでいくように体感するのはなぜなのか。

時の流れのままに任せてそのままで流され続けていないか。

57P 時間の消費の正体

人生の3つの理

1 死、2 孤独、3 責任

この3つの理を避けるために無意識にウソをついて行っている行動が、間違った時間の使い方を生み出しているのです。

 

自分自身で選択し行動する人生で有意義に過ごしていきたい。

302P

人生を有意義に過ごすには、価値観にあった目標設定をすることが大切。

目標設定は、「目的」「目標」「手段」の3段階で行う。

定期的に見直して柔軟に入れ替えることで、より本質に近づくことができる。

これを繰り返すことで自分の成長に気づくことができる。

 

 

 <目次>

はじめに 心の底から充実した時間を取り戻すために

第1章 起 「人生の浪費」の正体を暴く(問題提起(まだ解決できていない悩み) 私たちは、自分にとって重要なことがなんなのか分かっていないのではないか、原因特定、証拠(問題が発生するメカニズム、意外な事実やデータ)私たちの時間を奪っていくものの正体を解明する ほか)

第2章 承 人生の「3つの理(死・孤独・責任)」と向き合う(問題提起(まだ解決できていない悩み)逃げても逃げても、苦痛は追いかけてくる、原因特定、証拠(問題が発生するメカニズム、意外な事実やデータ)人生の向き合い方と苦痛への処方箋:3つの原則ほか)

第3章 転 自分の「本心」を掘り下げる(問題提起(まだ解決できていない悩み)自分の本心(価値観)をどのように見つければいいのか、原因特定、証拠(問題が発生するメカニズム、意外な事実やデータ)価値観とは何であって、何でないかほか)

第4章 結 本心に従って行動する(人生を充実させるための習慣、問題提起(まだ解決できていない悩み)価値観に合った目標を設定する ほか)

あとがき

謝辞、参考文献

 

 

佐藤舞さん サトマイ。

データ分析・活用コンサルタント。ビジネス統計学の専門家。合同会社デルタクリエイト代表社員。ビジネス系YouTuber。SNS総フォロワー40万人超(2024年6月現在)。桜花学園大学客員教授

 

 

【No1766】あっという間に人は死ぬから「時間を食べつくすモンスター」の正体と倒し方 佐藤 舞 KADOKAWA(2024/07)

表紙にあるように、歌麿が描いた「ポッピンを吹く娘」はなぜ名作と言われるのか?

2025年NHK大河ドラマ「べらぼう」。

この主人公は蔦屋重三郎です。

「吉原細見」等本を作り上げるうえでの行動力は他人よりも優れていたのではないか。歌麿などの浮世絵師を選定する目利きがあり描いてもらえるご縁を求めて交流を深める人たらしの要素があったのはないか。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」アイデアの発想が豊かな人ではなかったのか。蔦重は、現代ではすでにビジネスモデルとなっているやり方を江戸時代において既に先じて取り入れて実践して大いに成功しました。

今を生きる現代のビジネスマンはこの粋なセンスを学ぶべきです。

商売人としての神のように崇められる稀有な人物だったからです。

75P 手堅い商売で経営基盤を固める

蔦重は、いわゆるクリエイターではありません。名プロデューサーであり、稀代のディレクター、敏腕エディターではあるけれど、ゼロから新しいものを創造したりしたわけではないのです。何をしたかと言うと、すでにあるものの形式を変えたり、切り口や枠組みを変えてみたり、リアリティというスパイスを加味してアレンジしたりしていた。彼のアレンジの趣向に江戸の人々は新しさを感じ、それが熱狂を醸成して、蔦屋が発信する情報や最新の流行が市中に拡散していったわけです。

富本節の本も吉原細見も、独占的に版行できれば、ある程度の安定収入が望めます。それで資金を貯めていったのでしょう。そうした手堅い商売と、歌麿の美人大首絵のように表現の新機軸を打ち出す企画という二つの異なるビジネスモデルを並走させてバランスを取っていた。そこにも蔦重の商売におけるリアリズムが貫かれていたように思います。

 

 <目次>

はじめに 

第一章 歌麿のリアリズム―浮世絵美人画の旋風

第二章 なぜ「歌麿」だったのか

第三章 蔦重のリアリズム―はじまりは吉原

第四章 飛躍のカギは「狂歌ネットワーク」

第五章 出る杭は打たれても出る―蔦重と筆禍

第六章 写楽のリアリズム―蔦屋の誤算

第七章 貫かれた蔦屋イズム

おわりに 

蔦屋重三郎関連年表

掲載図版一覧

参考文献

 

松嶋雅人さん

1966年、大阪市生まれ。東京国立博物館学芸企画部長・広報室長。金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科卒業、同大学大学院修士課程修了。その後東京藝術大学大学院博士後期課程に進み1997年単位取得満期退学。日本近世から近代にかけての絵画史を中心に研究

 

【No1765】蔦屋重三郎と浮世絵「歌麿美人」の謎を解く 松嶋雅人 NHK出版(2024/11)

養老孟司さんのような人生の大先輩からぼくら後輩たちに対して、人生経験を踏まえた苦言をたくさん呈してほしい。ぼくらは僕らのためにちゃんと聞く耳を持っていたい。

養老さんの知恵とか信念、価値観、性格などのなかに、心に刺さることがありました。アドバイスのような中には、いわゆる名言とか格言のような含蓄がある素晴らしい言葉がいっぱいあります。

 

148P 本気で自給を考えなくてはならない

現在の状況、つまり大量消費を前提にするのではなく、大切なのは、人が生きていくうえで最低限どのくらい必要かを考えていく視点をベースにこれからのことを考えることでしょう。どのくらいの生活環境があれば人は幸せに暮らせるかという問題と直結します。

 

179P 早期リタイアに憧れたことがない

好きなことは、仕事の合間の貴重な時間にやるからこそ楽しみが増すし、深くなる。楽しみを増すため、深みを持たせるためにこそ働いているのではないでしょうか。

 

184P とらわれない、偏らない、こだわらない

人生相談に対する私の答はほとんど次の三つです。とらわれない、偏らない、こだわらない。悩みを抱えている多くの人は、一つの見方にとらわれています。だからとらわれない、偏らない、こだわらない姿勢を持ってはいかがですか、と言うのです。

それ以外には、相談者の感情をどれだけ処理するかの問題になります。相談という行為そのものがはけ口になる。悩みを言語化して、他人に伝える。その時点である程度過程を整理して、問題点を抽出しなければいけない。それ自体が感情の処理になるのです。

 

 <目次>

まえがき

第1章 子どもの壁(子どもを上手に放っておきたい、子ども時代は大人になるための準備期間ではない、子どもを大人扱いするのは大人の身勝手)

第2章 青年の壁(解剖学を選んだのは「確実」だったから、煩わしいことにかかわるのは大切、貧乏は貴重な経験)

第3章 世界の壁、日本の壁(世界は一つにはなれない、歴史は急によみがえる、日常生活は生きる基本である)

第4章 政治の壁(あいまいなのは悪いことではない、自給自足を基本に考える、数字に惑わされてはいけない)

第5章 人生の壁(怒りっぽい人が見ていないこと、人生とは学習の場)

あとがき

 

養老孟司さん

1937(昭和12)年、神奈川県鎌倉市生まれ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。89年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞

ぼくにとっての自分らしく輝き運が開ける“命の動詞”とは何か!

「読む、聞く、見る」の「インプットする」であり、「書く、話す、行動する」の「アウトプットする」だ。これが循環している様子が浮かんできます。

 

「自己肯定感」という言葉がよく出てきます。

これは自尊感情とも似ています。できてもできなくてもありのままの自分を受け入れるようなイメージがあります。この自己肯定感(感情)とは、自分の存在自体や自分の価値を肯定する心理状態を指すものです。無条件に自分の存在や自分の価値を認められる状態を自己肯定感が高い状態です。自己肯定感が強い場合には、たとえ成功しなかったとしても自分は価値があると認められる状態です。

その一方、類似した言葉で「自己効力感」(認知)があります。

この概念は、カナダ人で心理学者のアルバート・パンデューラが提唱しました。ある行動を前に自分はその目標を達成できる能力があると自分を信じる力のことです。この背景にはこれまでの経験や学習、努力などの根拠があります。無条件に自分を肯定する自己肯定感とは違って、自己効力感は根拠を基に自分を信じるという違いがあります。

まずは自己肯定感を高めていくことを、そして、例えば小さな成功を重ねていく、疑似体験をしていく、成功体験を想像していくなどの自己効力感を高めていく方向性がぼくに合っているのではないかと思います。

 

 <目次>

プロローグ 気づいた人から運は良くなる!

第1第 好運のカギは「命の動詞」(あなたの「命の動詞」は何?職業はなんだっていい ほか)

第2第 では、運のいいあなたを作っていきましょう(運はあなたにしか良くできない!セルフイメージをブランディングしよう ほか)

第3第 運に効く心のおまもり(失敗の数を数えていこう、リスクじゃなく可能性にフォーカス ほか)

第4第 開運トラブルシューティング(人生はあなたが創っていくもの、どういう人をメンターにするか ほか)

第5第 運の強敵「お金」に勝つ!(運は遺伝、伝染する、動き出さなければ運は伝染しない ほか)

エピローグ これから運が良くなるあなたへ

強運スパイラルトレーニング10

 

中島 輝さん

作家/対人関係評論家/自己肯定感の第一人者/「自己肯定感アカデミー」代表。著書累計70万部。プロアスリート・経営者・俳優など1万5000人以上の心理カウンセリングを手掛ける。自己肯定感の第一人者。独自の自己肯定感理論を構築し人材育成を行い、受講生は3万人を超える。心理学、脳科学、NLPなどの手法を用い、独自の120のコーチングメソッドを開発し資格発行している。自己肯定感ムーブメントを生んだカリスマとして、「自己肯定感の重要性をすべての人に伝え、自立した生き方を推奨する」ことをミッションに掲げ、「一般財団法人自己肯定感学会」の代表、新しい生き方を探究する「風輝塾」の運営のほか、広く中島流メンタル・メソッドを知ってもらうための「自己肯定感カウンセラー講座」などを主催する。毎月500人以上のメンタルカウンセラーコーチ、トレーナー、セラピストを育成・輩出している。

“キッチュ”こと俳優でタレントの松尾貴史さん。

さておいても、まずは見開きから見えてくる似顔絵たちが上手い。

元首相の岸田文雄さんをはじめ、元デジタル大臣の河野太郎さん、元外務大臣の上川陽子さんなどもうそっくりだ。

山藤章二さん、上岡龍太郎さん、桂南光師匠、高田文夫さん、横尾忠則さんなどお知り合いが多くて、政治から芸能までの人物に関する出来事を取り上げて松尾さんらしく熱く語っています。

またマイナンバーや、神宮外苑計画、都知事選、大阪・関西万博、インボイス制度等々、このごろの世相に対する意見を反映した、辛口気味で気軽に読み終えるコラム集です。

 

 

 <目次>

はじめに 

第1章 永田町流パフォーマンス

第2章 ニッポンの怪談

第3章 金はいずこへ

第4章 恥を知る

第5章 言葉と体と日常と

対談 古谷経衡×松尾貴史「違和感」対談

 

松尾貴史さん

1960年、兵庫県生まれ。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、「折り顔」作家など、幅広い分野で活躍。東京・下北沢にあるカレー店「般゜若(パンニャ)」店主。「サンデー毎日似顔絵塾」塾長