インパクトがある表紙だ!
「『昭和』の夢の跡を振り返る一冊」
古市憲寿さんは、大衆に迎合することなく物事を冷静に客観的に見て判断する人だと読んでいて思った。
小気味よい。はっきりと語っている彼の主張は読んでいて気持ちがよい。
国内外を飛び回り現地で取材をしているほど相当な熱量を感じた。直近に開催された万博跡地を自分の足を運んで目で見て調査し肌でつかんだ情報を知らせてくれているので意味がよく伝わってくる感覚があった。
古き良き時代であった昭和は、大きなイベントが起爆剤となるなど人口の増加や経済が成長していた時代であった。セビリアやミラノなど直近の万博開催後の状況を見てみるとよくわかる。今世ではそれらは簡単に見込めないし望めない。オリンピックや万博でインパクトあった過去の昭和の亡霊に憑かれているのはよくないことが伝わってくる。
もうすでに取り返しがつかず気づくのも全く遅い感がある。
しかしいまが一番早いのだ。
例えば、人口減少鈍化対策のために結婚する人を増やして子ども安心して産めるようにすることだ。超異次元の人口を増やす対策をしなくてはいけないと、たとえ古市さんに言われなくてもリーダーシップ取って目に見える行動をして成果を生みださなければ……。
◎271P 確実な未来予測を無視した日本
出生率や死亡率に多少の増減はあるものの、人口は急な変化がないため、数十年先のことが予測しやすい。逆に言えば、数十年単位の未来予測をする場合、人口以外に信頼に足るデータはない。つまり未来予測の基本は人口なのだ。
大まかにいって、経済が発展しやすいのは「若者が多い国」である。まず消費者としての若者が多いとモノが売れる。一方で労働者が豊富なので人件費は安く抑えられる。さらに医療・年金など社会保障費の負担も少なく済む。いいことずくめのこの時期は「人口ボーナス期」と呼ばれる。
もし2000年時代の日本が本当に「未来」を見据えていたならば、何としてでも「異次元の少子化対策」に踏み切るべきだった。だが少子化が社会に影響を与えるのは文字通り「未来」である。子どもが生まれてから、労働者や消費者として育つには約20年かかる。少子化対策は後回しにされ、介護保険法の準備など、高齢社会への対応が急務とされた。
最も確実な未来予測である人口を無視し続けた日本は、高齢社会への道を突き進んでいる。
291P
思えば、1990年代というのはこの国にとって分水嶺でもあった。もしもあの時、公共事業によって「昭和」の延命を図っていなければ、もしもあの時、人口動態の変化に危機感を抱き、本格的な少子化対策を打ち出せていれば、もしあの時、きちんと「昭和」と決別できていれば、日本は随分と違った世界観を歩むことになっていただろう。
この本の主題である「昭和100年」もまるで別物になったはすだ。
<目次>
はじめに
1章 昭和100年の万博
2章 それでも人類は宇宙を目指す
3章 東京オリンピック 大冒険の終わり
幕間 戦後100年
4章 近代が夢見たユートピア
5章 「昭和」は終わらない
あとがき
謝辞
古市憲寿さん
1985年、東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。日本大学藝術学部客員教授。日本学術振興会「育志賞」受賞









