「負け犬の遠吠え」で有名な酒井順子さんが取り上げた今回のテーマ「老い」。
現代をえぐるような鋭い目の付け所が面白くてリスペクトします。
彼女は、老いについて書かれた本を「老い本」と呼んでいます。
「楢山節考 深沢七郎」から「61歳大学教授をやめて、北海道で、へき地のお医者さんはじめました 香山リカ」まで、時代別にこれまで発刊されてきた老い本を丁寧に拾い上げて紹介していました。そのなかにはぼくが手に取って読んだ本もあります。それらの内容と著者について丹念に調べてまとめ上げていましたから、老いに関するこれまでの動作環境を調査した本としては秀逸のレベルだったと思います。
先人や先輩たちの足跡をたどることでだいたい将来の姿が予想できますし、だんだんと心の準備ができていくものだと思います。
9P 老い本、および老い本の著者達を検証することによって、日本の高齢者、および高齢化の今と今後が見えてくるのではないか。……と思っている私も、高齢者の範疇に入るまであと十年を切っている。そう遠くないうちにやってくる高齢者としての日々に備えるためにも、老い本の世界を探っていきたい。
死は決して避けることができません。
少子高齢社会の状況下、よりよく死ぬためによりよく生きていこうと思えば。
224P
老い本はすでに書き尽くされたのはないか。という話もあろう。しかし老い本は、これからますます、盛んに供給され続けるに違いない。日本人の寿命はまだ延びるだろうし、高齢化率も上がり切っていない。時代が進むにつれて次々と新たな老いスターが誕生し、日本はますます老い本大国になっていくはずだ。
老い本に導かれ、励まされ、また尻を叩かれながら人生の着地点を目指す、日本の高齢者。日本の高齢者が老いに対する不安を強めれば強めるほど、老い本業界は盛んになっていく。老い本の量が示すのは、日本の高齢者が抱く「よりよく生きたい」という希望の量。高齢者とその予備軍の方々にとって、本書が老い本選びの一助となれば幸いです。
<目次>
はじめに “老い本”大国ニッポン
第1章 老いの名作は老いない(迷惑をかけたくない―『楢山節考』、いつか、自分も―
『恍惚の人』、マンガが見つめる孤独―『いじわるばあさん』古典の老いと理想―『竹取物語』『枕草子』『徒然草』『方丈記』)
第2章 老いをどう生きるか(百歳の人間宣言、定年クライシス、六十代―老人会のフレッシュマン、「乙女老女」は未来志向)
第3章 老いのライフスタイル(一人暮らし、おしゃれの伝承、おばあさんと料理、田舎への移住)
第4章 老いの重大問題(金は足りるのか、配偶者に先立たれる、「死」との向き合い方、老人と性)
おわりに 老い本は不安と希望のしるし ぴんころ地蔵と姥捨山を訪ねて
老い本年表
酒井順子さん
1966年、東京都生まれ。高校在学中から雑誌にコラムを連載する。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆に専念。2003年に発表した『負け犬の遠吠え』がベストセラーとなり、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞









