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朝活読書愛好家 シモマッキ―の読書感想文的なブログ~Dialogue~

読書とは――著者や主人公、偉人、歴史、そして自分自身との、非日常の中で交わす対話。
出会えた著者を応援し、
本の楽しさ・面白さ・大切さを伝えていきたい。
一冊とのご縁が、人生を照らす光になる。
そんな奇跡を信じて、ページをめくり続けています。



琴欧洲さん。お疲れさまでした。


ぼくにはとても真似できない強いメンタルの持ち主。



外国人力士としての日本での苦労とケガに悩まされてきたことはよくわかりました。



彼は、日本人に愛された外国人力士ではなかったでしょうか。



ぼくは、テレビの大相撲中継を見ながら彼を応援してきました。




稽古に励む彼のひたむきな姿も目に浮かびますよ。




彼の感謝の言葉がここにたくさん綴られています。



御弟子さんの育成などこれからの第二の人生もぜひ頑張ってほしいものです。



 <目次>


序章 引退を決めたとき

第1章 カロヤン少年、「琴欧洲」への道

第2章 外国人力士という孤独

第3章 いざ初土俵へ

第4章 家族という原動力

第5章 初の欧州出身大関の誕生

第6章 祖国ブルガリアのために何ができるか

第7章 出会いと別れが私を強くする

終章 花道の向こうに見えたのは




<琴欧洲勝紀>


所属、佐渡ヶ嶽部屋。本名、安藤カロヤン。

昭和58年2月19日生まれ。ブルガリア出身。

2001年ドイツ相撲選手権大会優勝。ヨーロッパ相撲選手権大会個人3位、団体優勝。

2002年11月場所初土俵。2004年5月場所新十両。9月場所新入幕。2005年3月場所新三役。2006年1月場所大関。2008年5月場所初優勝。

通算成績、68場所537勝337敗63休



176P

私も親方になった以上、親心としては弟子たちにはしんどい苦労をさせたくはありませんが、人間は、自分が苦労した、失敗したことから学ぶものです。

口では決して説明できないものですから、自分の体を張り、自分の肌で感じること、経験こそが上達への近道になると思っています。



181P

十九歳でブルガリアから力士を目指し、日本に来て十二年がたちました。引退のときの繰り返しになりますが、つくづくお相撲さんになってよかった。

ここまで来れたのも、先代親方とおかみさん、現在の師匠とおかみさん、部屋の親方衆や兄弟子、そして日本相撲協会、後援者のみなさん、ファンのみなさん、そして家族、私と触れ合ったすべての人たち―たった一人でこの国にやってきた私を支えていただいた数々のご縁があってのことです。

相撲が自分にとって最高の人生であることは、言うまでもありません。これからも第二の相撲人生を歩んでいく所存です。

おつかれさまでございます―。






短編は、書き手の力量が如実に現れますね。



池井戸さんお得意の銀行がからむ小説です。



読んでいる時には、ここにだけ夢中にさせてくれます。



一読してよくわからない難解な部分があります。



でも、それは銀行関係者なら簡単にわかることだろう。



銀行が営利を目的として企業活動を行っており、その結果として強引な融資をしているとか、倫理や道徳、法律に反するような活動をしていることが、あたかもそうあるかのように書かれてあって面白い。



 <目次>

金庫室の死体

現金その場かぎり

口座相違

銀行狐

ローンカウンター



◎1963年、岐阜県生まれ。慶応義塾大学文学部・法学部卒。1988年、三菱銀行(当時)に入行。1995年、同行を退職。1998年、『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞





153―154P


萬田は、柳井の言葉を遮った。


「横川社長は今までさんざん東都銀行渋谷支店のために尽くしてくれたと君は言った。その誠意に対して当行はどんなお返しをしただろうか。いいか、これは銀行員としてではなく、一個人の意見として横川社長の気持ちになって言わせてもらう。業務運動があればまっ先に協力し、懇親会の幹事も務め、気を遣って差し入れまでする。そこまで尽くしてきたのは、いざというとき助けてもらえるという気持ちがあったからだろう。ところが、当行は横川プラスチックを管理先に移し、新規融資を断った。もらうものだけもらい、与えるものは何も与えない。いろんなことに担ぎ出し、さんざん協力を頼んできたくせに、いざとなったらすべて引き上げようとする。これが裏切りじゃなくてなんだ。

銀行を裏切ったのではなく、銀行に裏切られた。横川社長にすればそれが正直な思いなんじゃないか。横川社長は生き残るための選択をしたんだ」


しばらく、柳井は何も言えず、俯いたまま黙っていた。




一般行員が謎を解明してライバルを打ち倒すパターンが多い池井戸さん。



このため、庶務行員に焦点を当てた今回の作品は面白かったな。



不正を暴き自分を辞職に追いやった人間に仇をうつために、主人公の恋窪氏が東奔西走する姿に心から応援したくなります。



勧善懲悪ものや池井戸さんが好きな人には面白い作品だと思いますよ。



ただ、結末があまりにもあっけなく終わるのが残念ですね。


 <目次>

庶務行員

貸さぬ親切

仇敵

漏洩

密計

逆転

裏金

キャッシュ・スパイラル



◎1963年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学文学部・法学部法律学科卒。1988年、三菱銀行(当時)に入行。1995年、同行を退職。コンサルタント業のほか、ビジネス書の執筆を手がける。

1998年、『果つる底なき』(講談社文庫)で第44回江戸川乱歩賞を受賞




55P

「アドバイスと言えるかどうかわかりませんが、事業計画が出されたときには、二つの視点で目を通してみることですよ。一つはこの計画を信用する視点、もう一つは徹底的に疑ってみる視点です。信用するのは簡単ですけど、疑うのは難しい」



111P

「叩き潰してやる」

そう言っていた。

忘れようとしていた。庶務行員という新しい仕事を得て、あの東京首都銀行時代の様々な軋轢や蹉跌を忘れようとしていた。

だが、いま恋窪はそれが不可能なのだと知った。

人生の途中でやり残したことがある。それをやり遂げなければ、恋窪に新しい人生は訪れない。いま恋窪ははっきりそれを悟っていた。





この本の題名に目がいきますね。惹かれます

運動をすることは、体にとってよいことじゃないのかな!



病気の9割は「運動」が原因という。


運動をしすぎるのはよくないという意味。



ぼくはウォーキングが好き。


今朝も歩いてきました。


季節を肌で感じることができますね。


小鳥のさえずりや木々のすれる音、緑色、赤色、黄色など景色の移ろいも感じることができます。


金木犀の匂いも素敵だよね。


五感が研ぎ澄まされてくるのがわかります。


28P

「速歩き」など中強度の運動こそが、健康の維持・増進、病気の予防に最も効果的であり、健康で長生きするために必要なものなのです。


この本から学びました。

歩幅をもう10センチほど長く伸ばしながら、ちょっと息が上がるくらいに歩くこと。



さっそく実践していきたい!!




 <目次>

はじめに 


第1章 「毎日1万歩」でも病気になる!?(運動をして寿命を縮めている人々、いくら歩いても健康にはならない、運動はやらなくてもダメ、がんばってもダメ、健康になりたければ、今すぐ筋トレはやめなさい)


第2章 健康長寿の遺伝子にスイッチが入る「メッツ健康法」(Aさんにとって健康になる運動が、Bさんには病気のもとになる、健康維持のお助けグッズ「身体活動計」を活用しよう、絶対に健康になれる黄金の法則)


第3章 あなたの健康を一生守る「8000歩/20分」(健康を守る黄金バランスは「8000歩/20分」、症状が重い病気ほど、簡単な運動で予防しやすい、日本人の三大死因とそのリスクになる病気を防ぐ)


第4章 万病を防ぐ奇跡の「メッツウォーキング」(8000歩への道のりは意外なほど近い、週末だけでもOK、さぼっても大丈夫、効果的に、無理なく「8000歩/20分」を続けるための秘策)


あとがき



医学博士/東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム・副部長。


1962年、群馬県中之条町生まれ。筑波大学卒業。トロント大学大学院医学系研究科博士課程修了、医学博士取得。


現在、高齢者の運動処方ガイドラインの作成に関する研究に従事し、さまざまな国家的・国際的プロジェクトに主要メンバーとして携わっている





◎47P

中強度の運動は、体に適度な負荷をかけて細胞を活性化しますが、修復が追いつかないほどのスピードではなく、最も健康で長生きできる体をつくり出す究極の運動といえます。



◎51P

「長寿遺伝子のスイッチを入れよう」

健康で病気をしない体になる。


・新陳代謝を活発にする

・心肺機能を強くする

・体温を上げる

・免疫力を高める

・自律神経の働きを高める

・血液循環を促進し、血圧を下げる

・脂肪燃焼率を高め、血糖値を下げる



◎66P

筋トレのように体の一部に負担をかけるものではなく、「全身を動かすこと」を選んで実行するように心がけてください。





表紙を見ていると、たくさんの花の中からどくろが顔を出しています。



なんとなく不気味ですね。



この本の中身を暗示しているかのようです。




例えば、第3章からの「五時六十一分」の意味する内容はなになのか?



“午前六時一分”にならないのか?などと考えながら読み進めていくと、その意味がやっとわかってきます。



それがこれに嵌ってしまう一つのトラップなのかもしれない!



この話の先があんまり読めなかった。



怪しいのは誰か!?と連城さんから宿題が出されてきます。


話しの流れが二転、三転しながら夢中のなかで惑わされ続けました。



それが連城さんの技なのでしょう。



この本は、連城三紀彦さんの遺作でした。



連城さんのご冥福を謹んでお祈りいたします。


 <目次>


第1章 午前五時五十九分

第2章 午前五時六十分

第3章 午前五時六十一分

第4章 午前五時六十二分

第5章 午前五時六十三分

第6章 午前五時六十四分

第7章 午前五時六十五分

第8章 午前五時六十六分

第9章 午前五時六十七分

第10章 午前五時六十八分



◎1948年愛知県生まれ。早稲田大学卒業。『変調二人羽織』で幻影城新人賞、『戻り川心中』で日本推理作家協会賞、『宵待草夜情』で吉川英治文学新人賞、『恋文』で直木賞、『隠れ菊』で柴田錬三郎賞を受賞。


ミステリー、恋愛など作品の分野は多彩。37歳の時に仏門に入り、僧籍を持つ。

2013年10月19日逝去



478P

いつの間にか壁の絵へと向けていた虚ろな視線を直行の顔へと移し、森脇は唐突に「どちらにしろ処刑だったんですよ」と言った。


直行は無言の目でその意味を問い返した。


「お兄さんが自分の体をバラバラにして遺棄させるという特殊な、残忍な……誰より自分にとって残忍な自殺法をとっているのではないかと考えた時、それは自殺とか復讐というより、処刑だという気がしたんです」


「……」


「自分の処刑であると同時に、自分を裏切った二人の処刑なんだと……」




499P

義姉が何か言ったが、その声をひどく遠くに聞き、自分がどこにいるのかも忘れ、直行はただ、果てしない闇を流星のように貫いて、どこまでも……燃えつき、力つきるまでどこまでも飛んでいく一羽の蝶を追い続けた。



展開がまるでドラマのよう。



有川浩さんものだからこそ、ストーリーがおもしろくないわけがないと思ったんだ。



やっぱり有川作品は面白いよ。



家庭内暴力、学童保育、地上げ、詐欺、身代金誘拐、離婚、そして、恋愛……。



子供服メーカー『エンジェル・メーカー』に関連する、


クリスマスまでに繰り広げられる数々の人間のドラマ。



クリスマス頃に読みたかったのに、今頃になってしまったな。



クリスマスでなくても読んだ後には、心が温まる素敵な本ですよ。




ただ甘ったるいだけでなく、ちょっとピリッと引き締まった場面もあってよかったわ!



 <目次>

第1唱 オラトリオ

第2唱 もみの木

第3唱 コヴェントリーキャロル

第4唱 もろびとこぞりて

第5唱 ホワイト・クリスマス



◎1972年高知県生まれ。「塩の街」で電撃小説大賞大賞を受賞しデビュー。演劇ユニット「スカイロケット」結成。ほかの著書に「図書館戦争」シリーズ、「阪急電車」など




367P

「聞かせて」

柊子の声が泣いた。

「話してくれるの、ずっと待ってた」

もう喋れなかった。嗚咽が喉で潰れた。

ねえ、と柊子がかすれた声で呟く。

「雪が降ったら、完璧なのにね」

冷え切った夜空は冴え渡り、小雪のちらつく気配もない。

波打つ嗚咽をなだめて、かすれた声を返す。

「雪なんか降らなくても完璧だろ」

雪なんか降らなくても完璧な、三十二年間で最高のクリスマスだった。




終活とは「人生の終わりのための活動」の略で、人生の最期を自分の理想的なものとするための事前の準備のこと。



 


終活とは、人生の終焉を考え、準備をするだけではなく、人生の終焉を考えることを通じて、自分を振り返り、今を、そしてこれからをよりよく自分らしく生きていくこと。



 


終活については今から考えても早くもないし遅くもない。



 


これからの人生をどのように生きて暮らしていくのか!


どう楽しく過ごしていくのがよいのか!



 


「終活」に向けた心構えとは?


理想的な「終活」とは何なの?


 



そのヒントは、例えば人生の先輩が書かれた本の中にもあるものかと。


 



人生を太く生きていきたい!



 


自分の足で自分の人生をしっかりと歩き、悔いのないように生きてゆきたい!












 


 <目次>


はじめに

1章 がん発病

2章 大きな分かれ道に立った

3章 自宅療養と再発

4章 人生最期の居場所

5章 直葬の準備

6章 死別の前後

7章 黒字でだせた葬儀

最終章 がん闘病404日黒字決算の理由

巻末資料(高額療養費;傷病手当金)

おわりに





 


62-63P

「死を覚悟して準備に入る」


死ぬならがんで死にたい、という医師が多いという。がんによる死は、突然背後からやってくる死ではなく、ゆっくり前から近づいてくる。

だから、死の準備や家族、友人との別れをていねいにできる。

さらに、緩和技術の進歩によって、今では末期がん特有の壮絶な痛みからも解放され、安らかな死が迎えられる―職業柄、こうした周辺事情に詳しいから、医師はがんによる死を望むのだという。



109-110P

息子は義父母に対して、直葬することを説明してある。火葬場にも呼ばなかった。(中略)


位牌も戒名も要らない、といって本人は逝きました。大変申し訳ないのですが、本人の遺志を尊重してやりたいのです。


なぜ葬儀に呼んでくれなかったのかなど、親族の苦言に対して、いちばん強力な盾になってくれるのは、本人の遺言だと思う。


 

 



アナウンサーの馬場典子さんの素がわかる本。



毎日、朝の番組で馬場さんを拝見していました。



さわやかな笑顔と素敵な身のこなしやかわいいしぐさ、そして教養のある受け答えなどから、彼女がどんな人なのかと興味を持っていました。



素晴らしい言葉の数々がここにあります。



これを読むとますます馬場アナを好きなりますね。





 <目次>


はじめに


1 アナウンサーになったわけ―私の背中を押した言葉たち


2 アナウンサーになってみて―私を導いてくれた言葉たち


3 番組と出会い―記憶に残る言葉たち


4 学んだこと―経験から生まれた言葉たち


5 教わったこと―気づきを与えてくれた言葉たち


6 言霊―心に響いた言葉たち


7 アナウンサーの生態―言葉を紡ぐために


8 いまのこと、これからのこと―いま贈りたい言葉たち


おわりに




◎1974年4月27日生まれ。東京都出身。早稲田大学商学部卒業。

1997年日本テレビ放送網株式会社にアナウンサーとして入社、日本テレビを代表する数々の番組のレギュラー司会など、報道からバラエティ、スポーツまで幅広く担当し活躍。

2014年6月末、日本テレビを退社、フリーアナウンサーとしてアミューズ所属



5P

「緊張感はあるが、緊張はしない」


8P

「これまで私が頂いてきた言霊ほどの力はなくても、誰かに優しく寄り添える<ことたま>を贈れたら。そんな思いをこの本にしたためました。」


72-73P

「うさぎとカメ。なぜうさぎが負けたと思いますか」

うさぎはカメを見て、カメはゴールを見ていたからだと思います。


126P

「体の声を聞く」


145P

「信用はしても、信頼はするな」


153P

「夢を目指して、幸せを掴む人がいる。コツコツと積み重ねて、幸せになる人もいる。」


170P

「正論を吐くときは、逃げ道を用意すべし」





日常に潜む狂気!



嘘に嘘が塗りたくられる。


嘘×嘘=真にはならない。


あくまで嘘のまま。



自転車操業時のような犯罪に犯罪が重なり続ける。


それを抱え切羽詰まっていき、誰にも相談できずにのめり込んでいく女の心情がひしひしとぼくに迫ってきます。




わかば銀行の契約社員、梅澤梨花(41歳)は、とても可哀相な人間だ。


あの時期には理性や倫理観がなかったのだろうか!


自分だけで世の中を生きているわけじゃない。


罪が軽いうちに誰か信用できる人に相談することはできなかったのか!


早い段階で気づくことができなかったのか!


家族、親戚、友人、知り合いにも、いつか将来迷惑がかかるとは思わなかったのか!


周りを客観的に見ることができなかった。


もし途中でわかったとしても、どうしてよいかと悩んでしまうかもしれないが。




彼女の「万能感」― ぼくはそれが気になってしょうがないのです。



読んでいた途中、彼女に「もうやめてくれ!」って心の中で叫んでしまうくらい、入れ込んでしまった。



彼女には、第三者的な視点や思考が必要だったと。




彼女の横領は、顧客から預かった5万円から始まりました。



ほんのささいな気持ちから。


小さなことのように思われるその事件から始まって犯罪が積み重なっていく。



だんだんと大きくなって、雪のように降り重ね積もっていく。



もう戻れない状況になって「もし……」そうでなければと考えても遅いのです。



ああやって誤魔化しても、後戻りできない。



歯車が狂ってしまったのです。




「説明のつかない万能感の心地よさ」や「得体の知れない万能感」が事件のきっかけ。



彼女は、精神的におかしくなって、こころが壊れていたことがよくわかります。



そうわかるけれども、ぼくには彼女の行動の一部がいまだに理解できない。




誰にでも起こるような事例だと思います。


サークル、町内会、親睦会などでみんなのお金を扱うときにそう思います。



1億円という金額の横領は大金ですが、ほんのわずかな金額であっても大同小異か。




他山の石として、肝に銘じて生きていきたい!


道を踏み外してしまわないように、自分を戒めていきたい!






 <目次>


プロローグ

第1章

第2章

第3章

第4章

第5章

第6章



◎神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。

「対岸の彼女」で直木賞、「ロック母」で川端康成文学賞を受賞。




12P

あでやかな美しさではなく、おろしたての石鹸のような美しさを持つ子だと、中学生のころから木綿子は梨花について思っていた。








135P

駅のホームはひとけがなく、梨花はベンチに座って電車を待った。薄青い空に白い月が残っていた。唐突に、梨花は指の先まで満たされた気分になっていくのを感じた。満足感というよりは万能感に近かった。いこうと思った場所へどこへでもいくことができる、やろと思ったことをどのようにでもやることができる。

自由というものをはじめて手にしたかのような気分だった。梨花は罪悪感も不安もいっさい感じることなく、自分でも説明のつなかないその万能感の心地よさに、ひとけのないホームでひとり浸っていた。







265-266P

「花火の向こうに月がある」ぽつりと光太が言った。たしかに切った爪のように細い月がかかっていた。花火があがるとそれは隠され、花火の光が吸いこまれるように消えるとそろそろと姿をあらわした。






307P

ほとんどものの入っていない手提げ袋のなかで、手がパスポートに触れる。さらりと乾いたその感触を指の腹で数秒味わい、梨花はパスポートを取り出し男に渡した。そうして自分の声がすがるようにつぶやくのを、聞く。かつて愛した男が言ったのとおなじ言葉を。

「私をここから連れだしてください」と。















世の中には、陽の当たる場所と日の当たらない陰の場所があります。



「陽と陰」



それぞれがあるからこそ、別の場所が引き立つんですよね。


そして、気になるんですよね。




知能検査でIQ161以上を記録する神の子である町田博史を、関係者はそのままほっておかない。




暗闇の人生を背負った人らと明るい世界を歩んできた人たちが交差していくのが面白かったな。





◎1969年兵庫県生まれ。

2005年「天使のナイフ」で第51回江戸川乱歩賞を受賞。

ほかの著書に「友罪」「その鏡は噓をつく」など。



下の437P


「信頼し合える仲間を持て。そういう存在がいれば、どんな苦境に立たされたとしても、いつか這い上がれる。おれはそう信じている」